
2011.12.15
[第83回] 三谷家のムスメ語録(『お手伝い至上主義でいこう!』発刊記念)
#ネタの宝庫、3人娘たち
この3月に『お手伝い至上主義でいこう!』を発刊しました。子どもたちの生きる力を鍛えるには、親は頑張って「ヒマと貧乏とお手伝い」を子どもたちに与えなくてはいけない、という内容です。
親たちは知らず知らず、子どもたちに「与えすぎ」てしまっています。指示を、予定を、モノを、カネを、答えを、勉強を、そして、夢を。
たとえば、夢(Vision)は、強力なものです。ヒトの意欲を高め行動への原動力となります。同時に夢は、破れるものです。子どもの頃の夢は、ほとんどが破れます。でももし、もともとの夢が親に与えられたものだったら? それを達成した後、どうなるのでしょう。それが破れた後、誰が責任をとれるのでしょう。
『お手伝い至上主義でいこう!』では、そんな話から始まり、ヒマ、貧乏、お手伝いの効用と、子どもたちへの与え方について述べていきます。
この本の「子育て本」としての特長はまさにここにあります。「生きる力の根源は、ヒマと貧乏の中で培われ、お手伝いの中で鍛えられる!」と言い切っています。
とても、イマドキでない子育て論かもしれません。でも現代日本の都会で、それをどう実践しているかの現場レポートであり分析なのです。
もう一つ、この本には特長があります。それは、「育てられる側の証言」が盛り込まれていること。各章の終わりには「三娘鼎談(さんじょうていだん)」と称した、わが家の3人娘の会話が、そしてところどころ1~2行の「ムスメ語録」が挿入されています。
特に「ムスメ語録」は品川女子学院 校長の漆紫穂子さんに「これだけで本になる」と絶賛されたもの。それではと、「ムスメ語録」を増強したものをつくり、発刊時のプロモーションキャンペーンでpdf版を配布しました。今回は、その内容をさらに増補改訂して公開したいと思います。わが家のネタの宝庫である3人娘たちの「一言」を、お楽しみください。
登場人物は、長女(大学1年生)(*1) 、次女(高校2年生)、三女(中学1年生)です。特に注記のないものは、その前1~2年のコトバです。
(*1)学年は発刊時。現在はこれらより1学年ずつ進んでいる。
#ムスメ語録:本の内容全般について
1. 「就職力を高める」って、大丈夫?
長女がこの本の副題(子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣)を見て、ビビって。まだ自分は就職してないけど・・・と。
2. 心配するな、あとに続くものがいるから、大丈夫だ。
上記の直後、次女が、長女に対して言い放った言葉。要は「あんたがダメでも私たちはちゃんと就職するよ」ということか?
3. 楽しく生きればいいの。
山のような片付けに奮戦しながら「どうしたらいいの」と独り言を言ったお母さんに対して、次女(小3)が。
4. 楽しいかどうかわからなかったら、楽しいと思えばいいの。
上記で「今、楽しいかどうかわからない」と返事したお母さんに、次女が。本人はいつもそうしていたらしい。
#ムスメ語録:お手伝いについて
5. 「勉強しろ」と言われなかったからしない、なんてダサいから勉強する。
お手伝い至上主義(勉強しろと言われない)の中で、なぜそこそこ勉強したのか、と問われて長女が。ちなみに三女はズバリ「頭悪いのはダサイから」と・・・。
6. 子どもが家事を手伝わなかったら、お母さんがタイヘンじゃないか!
友だちで、家の手伝いを全くしない子がいることに関して長女(小6)が憤慨して。
7. これは私はお手伝いじゃなく、シゴトとしてやってる。ちゃんとやるから口出さないで。
担当の家事が滞っているのに、長女(小6)がお母さんにエラそうに。
8. 私がすぐ動けるのはお手伝いのおかげ。みんな口しか動かさない。
お手伝いの効用として、次女が。学校で周りを見ていてそう感じたらしい。
9. 高校を卒業して家を出るとき、持っていくものと捨てるものに分ける。そして、終わる。それまでの私が終わる。
きれい好きの次女が片付けをしながら。そしてその後おもむろに、『大地讃頌(だいちさんしょう)』(*2) をピアノで弾き始める・・・。
(*2)合唱組曲「土の歌」の第7楽章。地元中学の合唱コンクールでの定番課題曲だった。
#ムスメ語録:ヒマについて
10. お休みは、休むものでしょ。
休日あまりに何もしない次女に、勉強とかしないのと声をかけたら・・・。はい、確かにその通り。
11. どうやってヒマをつぶすか、毎日必死だった。
小学生低学年の頃のことを話してたら、次女がしんみりと。
12. ヒマなときに必死で面白いものを探す。そうするとうまく行くんだよね。
面白いことを思いつくのが上手な長女。どういうときに、いい発想が出るかと問われて
13. 私は強い。多分この強さはよく寝てるところから来ると思う。
9時半には就寝する高2次女のコトバ。受験生になっても変わらず、9時半に寝て4時起床で受験勉強。ただしお昼寝付き。
#ムスメ語録:貧乏について
14. これ欲しい!と思っても、一晩寝ればほとんど忘れる。
欲しいものの話をしながら、長女(中2)がポツリと、ちょっと寂しそうに。小学生のときに気がついたらしい。
15. 今欲しいの!おとなになったら欲しくなくなっちゃう。
任天堂DSが欲しいと泣く次女(小2)に、「大きくなってお小遣いで買いなさい」と言ったら。
16. がま~~ん。
PC上で権限がないからiPodに音楽ダウンロードができないと父に訴える長女(中3)に対して、4メートル先の居間から、背中を向けたまま三女(小3)が。いつも耳ダンボな三女であった。
17. 子ども同士で遊ぶなら、特別なおもちゃは要らないんだよ。
娘たちが、折り紙やあやとりや手遊び上手なことを誉めていたら、次女が断言。他に「子どもは子ども同士で遊ぶのが一番」も。
#ムスメ語録:放牧型イベントについて
18. 私たちは羊。楽しく自由だが、遠くに柵はある。
次女が中2のとき、友人たちと「うちの親ってこんな親」を話し合っていたときに言った言葉らしい。ここから「私がやっている子育てって、『放牧型』(*3)なのね」と気づかされた。ちなみに本人は言ったことを忘れている。
19. ケータイは持つと「ないと不便」だが、持たないとそうでもない。
中学時代、携帯電話が欲しくて泣いたこともある次女が、その当時を振り返って。
20. どーして? 調べたのっ!
「ドライヤーは冷風より温風の方が速く乾くよ」というお母さんに対し、長女が小4のときに。いつもお父さんに突っ込まれていることを応用したのか。ただの反抗期とも言える。
21. まだそろっていませんが授業を始めます。遅れる人が悪いんです。きびしくしないと、その人のためになりません。
みんな(除くお父さん)でお風呂。次女が入るのに遅れていたら、小3の三女が、いきなりお風呂の浴槽に仁王立ちして。
(*3)子どもに対する自由と制限の与え方によって子育てを、放牧型、放流型、ケージ鶏舎型、室内犬型、に分類した。
#子どもたちの応援団として
さて、3月につくった『ムスメ語録 増補改訂版』をさらにちょっと書き直してみました。如何だったでしょうか。
私は今、社会人大学院で教える傍ら(いや、多分主従は逆だが)、子どもたち・親たち・教員のみなさん向けに授業や講演を行っています。
なかでも直接的な反響が大きいのは「お母さん」向けのもの。先日、日体幼稚園(*4)(東京・世田谷)で行われた「母の会 年次講演会」でも190名余の保護者(うち男性2名)の方々が熱心に『サバイバル!』演習に取り組み、また「ヒマと貧乏とお手伝い」論に耳を傾けて頂きました。
後日集められたアンケートにはこんなコメントが。
「3月の震災以降、毎日地震におびえ、子どもたちをどう守ったらいいのか、いつも頭から離れませんでした。今回の話を聞いて、とても参考になりました」
「たかがお手伝い、されどお手伝い。この中には多くのエッセンスが入っていること、小さな頃からもう社会への扉が開いていて、能動的に発見し自分のものにしていく土台づくりが始まっているのだと、改めて考えさせられました」
「娘は一人っ子で甘えん坊、なんて思っていましたが、私も手を出しすぎていることに気づき反省しました」
すでにいろいろな行動を起こされている方の、報告も。
「2人の娘の服装選びから自分でやらせるようにしてみました。でも我慢しきれなくて口出ししてしまい、反省」
「講演以降わが家では、子どもたちがお手伝いを必ずしてから学校に行くように、変わりました」
「さっそく夫や祖母にも情報共有し、『サバイバル!』もやってもらいました」
さて、サバイバル!の結果は、どうだったでしょうか(笑)
この1年を振り返ると、社会人向けで1500人、子どもたち・親たち・教員向けではなんと3000人余と直接に向き合い、研修や講演を行ってきました。その一人一人の心の中で、そして一つ一つの教室や家庭で、少しの変化が生まれると、うれしいですね。
みなさん、今年1年お世話になりました。また来年も、ともに頑張りましょう。応援しています。
(*4)日本体育大学参加の幼稚園。『健康第一!』を掲げる。講演当日の様子はこちらで。
お知らせ:11月9日発刊の『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)は好評で、なんと発売1ヶ月で4版を数えました。三省堂名古屋高島屋店でビジネス書10位にランクインするなど、書店さんでも大きく扱って頂いていますが、何より今回の売れ方の特長は、
・上司から部下へ、が多い(10冊、渡した方も・・・)
・女性読者が、多い(丸の内キャリア塾では講演後、数十冊売れた。講演内容は『発想力』だったのに・・・)
社会やビジネスで必要十分な論理思考が『重要思考』です。それを使って考え、伝え、聴き、話し合うことで、チームでの議論効率が何倍も上がり、すれ違いの会話がなくなります。
是非、周りの方々にもお奨めください。

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三谷宏治 氏
K.I.T.虎ノ門大学院 教授
http://www.mitani3.com1964年生まれ、三女の父。 87年、東京大学理学部物理学科卒、92年、INSEAD MBA修了。87年から96年までBCG、96年から06年までアクセンチュア戦略グループ。03年から06年は同 統括エグゼクティブ・パートナー を務める。 06年8月からは教育(特に小学生から大学生)の道へ。 近著に「ペンギン、カフェをつくる」「お手伝い至上主義でいこう!」「ルークの冒険 ~カタチのフシギ」「コンサルタントの整理術」「ハカる考動学」「発想の視点力」「正しく決める力」「観想力 - 空気はなぜ透明か」など。早稲田大学ビジネススクールおよびグロービス経営大学院 客員教授。永平寺ふるさと大使。

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