厳しい難局こそが、リーダーにとって「最良の成長チャンス」となる
先の話の延長線として、八木氏は言う。「いつも正しいことしか行われない会社なんてない」と。「GEにだって、常にたくさんの問題点がある」と。そして続ける。「だからリーダーを次々に生み出していかなければいけないんですよ」。
「そういう意味では、CASで経験したミッションなどはその典型例ですね」と村上氏。そもそもCAS(Corporate Audit Staff)とは、世界で約400名が所属し、GEグループ内のオーディット対象を「クライアント」と呼んで、あたかも外部監査法人やコンサルタントのように変革のメスを入れていく組織 。 村上氏によれば「どんなに正論を言ったとしても、それで人が動いたり、問題が解決するほど生やさしいものではない」のだという。
「 ロジカルな答えだけでは応じない人々や現実を、どう動かしていくか。どんなふうに巻き込んで、一緒に変革を実行していくかが問われます。とびきりoverwhelmedな日々が続く(笑)」(村上氏)

「それ自体は『やりがいです』などと言えるような生温いものではないですよね。ただただきつい(笑)。けれども、確実に自分が伸びていくことは実感できる」(八木氏)
「そうですね。自分が下したディシジョンが、どう反映されているか、いないか、もはっきりと見える」(村上氏)
「私が前職と最も違うなあ、と感じているのは、そのディシジョンの数とスピードです。これほど何でも自分自身が意思決定していける、あるいはいかなければならない会社は、他にはないと思う」(八木氏)
「あらためて見回してみると、GEというのは『自分で決めて、自分で責任を取る』ことを『面白い』と感じるような人ばかりですよね」(村上氏)
「そう、そういう人じゃないと、単にきついだけです(笑)」(八木氏)
こう語り合った後、八木氏はオリンピックに出場するアスリートを例えに用いた。
「例えば水泳の北島選手。私はお会いしたことはありませんけれど、きっと『練習しろ。練習しないとメダルは取れないぞ』などと誰かに言われてトレーニングしているわけではないと、想像しているんです。おそらく自分から進んできつい練習を繰り返し、その練習の成果が記録や結果に結びつくことを知っている。その時の喜びも知っている。だから誰に強制されなくても、自分から飛び込んでいくんだと思うんです。言ってみればGEというのは、オリンピックで金メダルを取るために鍛錬するアスリートと似たような集団、すなわちビジネスの世界で世界一を目指す人たちの集団なんじゃないか、と私はよく思っています」
自ら進んで「エクセレントでありたい」と願う。そのためにはoverwhelmedな状況もいとわない。そんな「志と向上心の持ち主」ならば、ぜひGEという舞台に足を踏み入れて欲しい、と八木氏。
村上氏も以下のように言う。

「人を巻き込むことは難しいですし、意思決定に責任を持つのは厳しいことです。けれどもそれがリーダーというものですし、少なくとも私をはじめ、GEの人間は皆、『世界中の人を巻き込んで仕事がしたい』と望んでいる人たち。自分もそういう人間だと思うのならば、こんなにチャンスに満ちた集団は他にないと思います」
GEには、他に例を見ないような思想で築かれた、優れたリーダーシップ・プログラムがある。だが、「それに参画できたら、誰でもリーダーになれる」という代物ではない。用意されているのは激流を楽々乗り切るためのボートではなく、激流そのもの。それをチャンスだと思える者が、グローバルなビジネスリーダーとしての成長を手に入れるのであろう。























