本文へジャンプ

コンサルティング企業への転職支援 の中の 企業インタビュー の中の プライベートエクイティ 各社トップインタビュー の中の アドバンテッジパートナーズ

プライベートエクイティ 各社トップインタビュー Advantage Partners

Advantage Partners

リチャード フォルソム 氏 共同代表パートナー
以前から経営姿勢やビジネス慣習が独特だと言われてきた日本。とりわけファンドとのパートナーシップによる経営改革については 一部で「後進国」とさえ言われる。
そんな日本であえてPEファンドを設立。案件獲得、トラックレコードともに、短期間で劇的な成果を上げたのが アドバンテッジパートナーズである。
日本におけるPEファンドの役割とは何なのか?  とりわけアドバンテッジパートナーズがファンドの投資家や投資先企業から期待される点とは? 今後の成長戦略をどう描いているのか?
……笹沼泰介氏との二人三脚で アドバンテッジパートナーズのアクションを推進してきたリチャード L.フォルソム氏に聞いた。

「真の差別化と成長」を考えれば「投資先企業の経営に関わる」しかない

photo_f01.jpg

【フォルソム】「投資先企業の経営に深く関わっていく投資会社。それがアドバンテッジパートナーズの特徴です」

 フォルソム氏は開口一番にこう語る。フォルソム氏と笹沼氏というアドバンテッジパートナーズの設立者が、かつて在籍したベイン・アンド・カンパニー。そこから生まれたベインキャピタルと、基本的な方向性は同じだ。また、アドバンテッジパートナーズやベインキャピタルの成功に影響され、最近では他の多くのPEファームも「経営改革能力」を強化・標榜し始めている。
  では、アドバンテッジパートナーズはなぜ設立当初から「経営に深く関わっていく」ことを重視したのだろうか?

【フォルソム】「投資から得られるリターンの源泉は大きく分けて3つしかありません。1つはファイナンシャル・レバレッジによる効果。しかし、この部分はどの投資会社でも条件は一定です。つまり差別化要素にはならない。2つめの源泉は、いわゆる『(投資先企業株を)安く買って高く売る』というアクションですが、これも実は市場などの環境要因に左右される部分が非常に大きいのです。となれば、PEファームが独自性を高め、確実に差別化を追求できる"源泉"は残る1つにしかない。それがつまり、投資先企業自体の利益を拡大していくことなのです。だから私と笹沼は、設立時からここに注目したのです」

 ファンド投資先企業の経営現場に自ら入り込み、イノベーションをともに起こして、利益を拡大。そうすることで、その企業価値を着実に高めていく。そうした関わり方を長期的に追求することでリターンを得る、という手法にこそ、PEファームにとっての最大の差別化要素があるのだ、とフォルソム氏は説く。

PEファーム自身もまた成長し続けなければ、 投資家のニーズに応えられず、競争力も衰えていく

photo_f02.jpg

 しかし、気になるのは俗に言われ続けている「日本市場独自の閉鎖性、保守性」だ。欧米企業と異なり、「投資家や投資会社が参画することで経営を向上させる」ことへの拒否反応が強い、というイメージを日本企業に持つ人は少なくない。しかし、フォルソム氏は微笑みながらこの俗説を切り捨てる。

【フォルソム】「日本人に限らず、外国人投資家の間でも『日本の企業経営者は改革意識が低い』というイメージを抱いている人は多数います。しかし、私も笹沼も、コンサルタント時代に数多くの日本企業の経営陣にお会いしてきました。欧米企業の対日参入戦略にも関わってきました。だから知っています。本質部分では欧米企業も日本企業も変わりはない、という事実を。要は、コミュニケーションの内容やプロセスなどが他国と異なるだけの問題だと、私は思うのです。きちんと相手に伝わるコミュニケーションを行いながら、改革を追求していけば、日本の経営陣も積極的にこれを押し進めるのです。おそらく、こうした地道なアプローチをせず、うまくいかなかった外国のプレーヤーたちが『日本は特殊』という言い訳を用いているに過ぎません」

 真面目、地道、長期的視野......そうした言葉もまたアドバンテッジパートナーズの姿勢を示すキーワードのようだ。だが、この国におけるPEファンドのパイオニアは、決して保守的ではない。積極的に新しい一手をどこよりも早く打ってくる集団でもある。すでに20社を超える投資実績によって急速に成長していながら、なおも新しいファンドを岩本朗氏をはじめとするメンバーでスタートさせたばかり。その旺盛な事業意欲はどこから来るのか?

【フォルソム】「おかげさまでアドバンテッジパートナーズは過去10年で多くの成果を得ることができました。『自分たちが儲けよう』という思惑だけがこの会社を運営する目的ならば、これまでのトラックレコードに満足し、そこそこの規模で経営を維持すればいいのかもしれません。しかし、PEファームもまた厳しい国際競争の中にいます。どんなに差別化要因を持ち、努力して成果を上げているとしても、その競争力は瞬間風速でしかないのです。何もしなければ、既存の競争力は衰えるでしょう。次の一手を打ち続けることが、私たち投資会社にとっても必要な経営戦略。だからこそ、前を向いて成長を志しているのです。新しいファンドへのサービス提供をスタートさせるのも、これら成長戦略の一環です」

 アドバンテッジパートナーズは、グローバル化にも積極的だ。2007年9月には香港に拠点を設けた。

【フォルソム】「今、日本企業は再び劇的なグローバル化の時代を迎え、積極的な海外戦略を打とうとしています。投資対象となり得る日本企業がグローバル化を目指している時に、我々もまたグローバル化を充実させ、経営強化能力を向上させなければ、これまで維持してきた競争力も減衰していく。そう考えた上での施策の1つが香港への進出です」

 成長著しいアジアに新たな拠点を設けることで、この地域への進出を考える日本企業に、より緊密かつ上質なサービスを可能とする。フォルソム氏は香港進出の理由をこう語る。だが、理由は1つだけではない。以上のような新ファンドへのサービス提供や海外進出の背景には、「投資家のニーズに応える」という大きな理由もあるのだという。

【フォルソム】「私たちを支えている投資家の多くは、非常に長期的な投資行動をベースに考えています。10年、20年ベースの投資を考えれば、新しい可能性のあるファンドや、海外での拡張性も求められます。つまり、投資先企業の成長、我々自身の競争力の向上とともに、なにより投資家の要求レベルに応えていく必要性があるから、アドバンテッジパートナーズは進化し続けているわけです」

「新しいこと」を吸収し、再現し続ける。・・・・・・この価値観に共感できる人材を求めている

photo_f03.jpg

 明確な理由あっての成長戦略。それゆえに、アドバンテッジパートナーズは今、人材採用を強化しようとしているわけだ。では、求めている人材像はどのようなものなのか?

【フォルソム】「現状のメンバーについて説明すると、コンサルティングファーム出身者が最も多く在籍しています。ただし、金融業界出身者や事業会社出身者もいますし、少数派とはいえコンサルティングと金融の双方を経験している人材もいます。では、これからのアドバンテッジパートナーズが必要としている人材はどうなのかというと、極端な言い方をすれば経験値を最優先しません。つまり、"何を経験してきたか"よりも大切だと考えている要素があるということ。それは、アドバンテッジパートナーズ独自の価値観や行動規範に共感でき、それを行動で示せる人かどうか、です」

 こうしたトップの言葉は、戦略系ファームでも聞く。「キャリアは問わない。理念や姿勢への共感が重要」と。しかし、アドバンテッジパートナーズの場合、事業に対する洞察力や改善提案力、さらに実行力が高度に問われるはず。金融面についての知識も高水準のものが必要なはず。そう問い直すと、フォルソム氏はこう答えた。

【フォルソム】「もちろん、優秀な人を求めているのは確かです。例えばコンサルティングファームで大きな成果を上げてきた人といえども、企業のバランスシートに触れてきた経験までは持っていません。アドバンテッジパートナーズにジョインすれば、こうした未経験領域に関する知識の吸収は必要となります。事業会社で経営企画やM&Aに携わった人には大いに期待しますが、その過去の経験則だけでは、アドバンテッジパートナーズがファンドの投資家や投資先企業に求められているすべてに応えていくことはできません。しかし、以上のように『どんな経験をした人でも完全ではない』からこそ、これまでの経験以上に価値観や行動規範に注目して採用を行っているのです」

 では、アドバンテッジパートナーズならではの価値観・行動規範とは何なのか? フォルソム氏はこう語る。

【フォルソム】「投資会社の仕事では、常に"新しいこと"が連続して起き、それに対応することが求められます。経営現場でも市場でも、予測しきれない"新しい"事態が起き続けます。これをどんどん吸収し、理解し、同様のケースが起きたなら対応を再現していくことが必要です。つまり、新しいことを積極的に迎え入れる姿勢があること。それがアドバンテッジパートナーズの一員として最も重要な事柄なのです」

 ここでフォルソム氏は、アドバンテッジパートナーズの大きな特徴の1つを挙げる。それは「同じチームメンバーが1つの案件について、開拓から回収まですべて行う」という姿勢である。

photo_f04.jpg

【フォルソム】「組織の規模が大きくなってきた今では、いくつかの機能について専門チームを設けています。しかし、基本姿勢は変わりません。1人ひとりのメンバーが案件開拓に携わり、その可能性については全メンバーが精査し、獲得後は回収にいたるまでの全プロセスを担当者が責任もって受け持っていく。これが、ファンドの投資家の利害に最も近いポジションであり、姿勢です。PEファームが担う複雑な機能を分解して分業すれば、誰がどこまで責任を持つのか、何がどこまで進んでいるのか、が見えにくくなります。これでは投資家に明確な答を提示することも、投資先企業に的確な提案を行うことも難しくなります。それゆえに我々は『案件開拓から回収まで』の姿勢を今も貫いています。この行動規範を維持した上でのメンバーの成長を考えて、ポートフォリオ・チームが独自の教育についてアプローチを始めてもいます」

 すなわち、こうした環境もあるからこそ、より一層「新しいこと」と直面する機会が多くなるわけであり、あらゆる種類の新しい事象に対して応えていけるような成長が、人材には求められるわけだ。「自分の専門領域はここです。それを深く追求したい」というような成長意欲よりも、「投資家や投資先企業の期待に広く、かつ深く応えられるような成長を」という発想を持つかどうか。これがフォルソム氏が繰り返す「共感」の部分といえるだろう。

【フォルソム】「長期的視点で案件や経営に向き合い、永続的に成長していきたい。それが私と笹沼が行ってきたアドバンテッジパートナーズの基礎理念です。この理念を自らに適応したいと思うような人、私たち独自の価値観に共感してくれる人とぜひ出会い、ともに成長を勝ち得たい。そう強く望んでいるのです」

プロフィール

写真:リチャード フォルソム

リチャード フォルソム 氏
共同代表パートナー
ブリガムヤング大学卒業 日本語および経済学専攻
ペンシルバニア大学ウォートンビジネススクール修了(MBA 経営学修士号取得)
財務管理およびベンチャーマネジメント専攻

アドバンテッジパートナーズ共同代表パートナー。株式会社エイ・ピー・エム代表取締役。大学卒業後、戦略コンサルティング会社ベインアンドカンパニー入社。ベインスカラシップ留学生としてビジネススクールに留学後、欧米有力企業の対日参入戦略の立案、大手日本企業に対する企業戦略の立案、個別事業の競争戦略の立案、新製品開発プログラムの実施、コストダウンプログラムの実施などの業務に従事。1992年アドバンテッジパートナーズを創立、共同代表パートナーに就任。研究論文に、「日米企業の経営スタイルの比較」、「国際多角化機会としての新興株式市場」、「欧米企業の日本参入戦略における誤謬」などがある。

写真:赤池 敦史 氏

赤池 敦史 氏
パートナー
東京大学工学部資源開発工学科卒業
同大学大学院工学系研究科地球システム工学修士課程修了(工学修士取得)
コロラド・スクール・オブ・マインズ鉱山工学博士課程修了(Ph.D.取得)

卒業後、大手会計事務所系コンサルティング会社のニューヨーク事務所にて企業年金に関する保険数理業務に従事。その後、戦略コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーにて半導体、化学、エレクトロニクスなどの業界を対象に、全社戦略の再構築、個別事業戦略の立案、新規事業分野の開拓、eコマース事業の立ち上げ、などの業務に従事。2002年4月、アドバンテッジパートナーズに参加。MBIファンドの関連業務を担当。

写真:岩本 朗 氏

岩本 朗 氏
パートナー
東京大学経済学部経済学科卒業
ペンシルバニア大学ウォートンビジネススクール修了(MBA 経営学修士号取得)

大学卒業後、日本長期信用銀行(現 新生銀行)にて買収ファイナンス(在NY)、対日系大企業投資銀行業務、デリバティブトレーディング業務等を経験した後、戦略コンサルティング会社A.T.カーニーにて買収・提携・バイアウトのアドバイザリー業務等に従事。2001年8月、アドバンテッジパートナーズに参加。MBIファンドの関連業務を担当。日本証券アナリスト協会検定会員。CFA。

写真:河野 司 氏

河野 司 氏
エグゼクティブ・ディレクター
應義塾大学経済学部卒業
ノースウエスタン大学ビジネススクール修了(MBA 経営学修士号取得)

大学卒業後、株式会社東芝にて家電及びメディア関連の海外技術提携と合弁事業に従事。その後、戦略コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーにて、半導体・テレコム・メディア・自動車・公共輸送機関等の業界を対象に、主に事業戦略再構築プロジェクトに従事するとともに、アジア地域におけるコスト削減等オペレーション改善プラクティスの立上げを担当。その後アクティブインベストメントパートナーズにて投資先の企業価値拡大を支援。2007年6月アドバンテッジパートナーズに参加。

ページの先頭へ