ご経歴を見ると、非常に華々しいのですが、コンサルティングファームとしてはブーズ・アレン・ハミルトン(以下ブーズ・アレン)を2回も選ばれてますよね。その理由は何ですか?

   
直接的には、MITの先輩から「一緒にブーズ・アレンでやろう。One of Themではなく、高松個人が欲しい」と声をかけていただいたからです。もちろん、米国でのブーズ・アレンの評価は高く、常にMBAの就職人気ランキングの上位にありましたので、非常に強く魅かれてました。しかし、何よりも、1人ひとりのコンサルタントの成功に深くコミットするファームだということを感じたのが最大の理由です。一度起業をした後、またコンサルティングの仕事をしたいと思い、他のコンサルティング・ファームでの経験を経て、結果的に現在ブーズ・アレンに在籍するのも、この個人に対するコミットの深さを重々知ったからです。
   
   
ブーズ・アレンは退職した元コンサルタントとも友好的関係を保ち、また高松さんのように再度復帰する例も多いようなイメージがあります。
   
確かにそうですね、出戻りの多いファームです(笑)。1人ひとりに深くコミットするのがブーズ・アレンのカルチャーで、しかもオープンでフェアに付き合っていけるというカルチャーもある。それゆえ出戻りが多いし、私も含めそうした人間がのびのびと活動できるんだと思います。これは誇るべき事だと自負していますよ。
   
   

歴史があって、しかも政府・公共系案件も多いことから、保守的なイメージを持つ人もいるようですが、反面、アプローチがイノベーティブだということでも知られています。実際のところ、どうなんでしょう?

   
両方ともブーズ・アレンの大きな特徴です。政府機関や公共組織からのニーズが高い点は、ブーズ・アレンの幅の広さの1つの現れだといえます。一方、特に今の日本では多くの企業がイノベーションの渦中にいると考えています。技術面のみならず経営手法や戦略戦術面でも革新的な試みが続いている。だからこそ、イノベーションを旨とするブーズ・アレンへの期待も高まっているのです。
   
   

新しい経営手法としては、たとえばどんな案件がありますか?

   
 

M&AやMBOなどを絡める戦略策定から実行までをともに動く、という案件が日本企業の間でも急速に増えています。場合によっては適宜ファンドなどとも協調して、経営主権の確立を担っていく仕事が今後はもっと増えていくと思っています。

これからはどんな業界であれ、「現在のトップ企業」が安泰で、楽に生き残れるというような時代ではありません。常に先を見て「次の一手」を打つ必然性がすべての企業に存在する。そして、現在高いポジションを獲得している企業ほど、そうした危機意識をしっかり持っています。過去の実績が高いだけでなく、先進的なアプローチを行ってきたブーズ・アレンだからこそ、今まで以上に大きな期待が集まっているのだと私は思います。
   
   

以上の点以外にブーズ・アレンの特徴を語るとしたら何が挙げられるでしょう? 高松さんなりの見解を教えてください。

   

大きな特徴は2つあります。1つは、とっても地道なフィールドワークをするファームだということ。ブーズ・アレンには創業時からの信念があります。「お客様が戦略に基づいて行動を起こし、成果を獲得する」ことで初めてコンサルティングに価値が出る、というのがそれです。どんなに最上流寄りの戦略提案をする場合でも、私たちはフィールドワークを欠かしません。現場を自分たちの目で見て、「どこでどういう人たちがどんな姿勢で何をしているか」を確認していくのです。決して楽ではないし、地味な活動ですが、組織を動かす上でなくてはならないこと。これを重視してきたからこそ、ブーズ・アレンは長年支持をいただけているのだと思います。

 もう1つの特徴はグローバルな案件が多い点です。グローバル体制でのプロジェクト案件も非常に多いのですが、そうではない場合でもブーズ・アレンのコンサルタントは海外とのコンタクトを頻繁に行い、情報交流をしています。国内で完結するような案件でさえ、海外での知見を集めたりするんです。グローバルな実績を膨大に備えたファームだという利点もあっての話ではありますが、グローバルなスケールでものを自由に考えるカルチャー、習慣が当たり前のように根付いているのです。ブーズ・アレン以外にも世界中にオフィスを有するファームはいくつもありますが、これほど自由度の高いグローバル環境を持っているところは少ないと思います。
   
   

1番目の特徴については、ジェミニコンサルティングとの合併もプラスに作用しているのでしょうか?

   
はい、そうだと言えます。もともとブーズ・アレンは戦略立案から実行レベルまで幅広く関与するファームでしたが、ジェミニコンサルティングは、とりわけ実行レベルで高いパフォーマンスをあげていました。3年が経過した今では、誰が元ジェミニコンサルティングなのかわからないくらいとけ込んでいますが、間違いなく彼らとの合流が、私たちの力をさらに引き上げてくれました。
   
   
高松さんは採用担当VPでもいらっしゃいますよね。今、ブーズ・アレンが求めている人材像について、採用担当としてお答えいただきたいんですが。
   
 
   

まず基本条件があります。それは3つのタフネスを持っていることです。1つめは知力面のタフネス、つまりはあきらめずに考え抜けること。2つめは体力面のタフネス。地道なフィールドワークを重視するファームですから、これは絶対必要です。3つめが精神力としてのタフネス。コンサルティングという仕事はストレスに満ちてます。そうしたプレッシャーをむしろ楽しめるような人でなければ、生き残って行けません。

以上3つのタフネスを備えていることを前提として、私たちが最も強く求める資質は、チームプレーヤーであることですね。今は、あらゆる案件が複雑な問題を抱えています。1人のコンサルタントで解決できるようなものはほとんどない、と言い切ってもいいほどです。だからこそ、競争よりも協調のメンタリティをしっかり備えたかたに参画してほしいと思うのです。

   
   

コンサルタントというと、協調的というよりも競争的な精神性を求められるような印象を持っていましたが、ブーズ・アレンではそうではないということですか?

   
もちろん、強い成長志向は持っていて欲しい。コンサルタント同士が切磋琢磨して、刺激をやりとりしながら成長していくべきと思います。けれども過剰な競争意識は不要です。ちょっと意外かもしれませんけれど、ブーズ・アレンには「全員に成功してもらいたい」という純粋な気持ちがあります。だからこそ、外部からいい話をもらったコンサルタントには、ブーズ・アレン卒業生として活躍することを素直に期待しますし、かつての私のように復帰を望む者にも門戸を開くんです。言い換えれば、そういうカルチャーのあるファームであるがゆえに、「もう一度ブーズ・アレンで」と望む人間も多いのだと思いますね。
   
   

ブーズ・アレンを志望する人に伝えておきたいメッセージはありますか?

   
 
   

「ブーズ・アレンだから入りたいと思ったんだ」という人と是非お会いしたいと思っています。正直なところ、トップクラスのグローバルファームならば、どこへ行っても基本的な仕事内容に大きな差異はありません。そこに向かう姿勢がファームによって異なるだけで、ミッション自体は同じだったりする。それならば、「働きやすいか否か」「自分の価値観と近い姿勢で仕事に向き合っているか否か」が志望者のかたには大切になってくるはずです。「他のファームは受けてません」なんて偽る必要はありませんよ(笑)、むしろ「他ファームの面接も受けたが、ブーズ・アレンには働きやすさを強く感じた」などと言ってもらえたら嬉しいですね。実際、今いるメンバーにはそういう人間が多いんです。私たちはこの点に自信を持ってもいます。ですから迷わず扉をノックして、ここの空気を感じてほしい。そう願っています。

 
 
   
 
   

電通で大規模戦略案件に携わり、その後はメディア・レップで経営にも携わった山口さんが、どうしてコンサルティングの世界を選択しようと考えたんでしょうか?

   
前職でも前々職でも、十分に仕事を堪能し、成長を手に入れられたと思ってはいます。けれども、私としてはもっと自分の成長カーブを上げていきたかった。メディア・レップでは経営に直接関わったのですが、そこで経営を考える技術の未熟さを思い知ったりもしたんです。ビジネススクールへ行く選択肢も思い浮かべましたが、ブーズ・アレンの存在を知って、「ここならば仕事を楽しみながら成長できる」と確信したんです。
   
   

前職を辞める時期までブーズ・アレンの存在は知らなかったんですか?

   
 
   

実を言うと、電通時代から知っていて、興味を持っていました。あらゆる情報が入ってくる会社ですから、ブーズ・アレンがジェントルなカルチャーを持ったファームだという噂は常々耳にしていたんです。しかも、東京オフィスがいわゆる支社的な組織ではなく、グローバルオフィスの一部として、シームレスに機能していることも聞き、ボーダレスが当たり前という環境に魅力を感じました。これらが最終的に'01年にブーズ・アレンへの転職を決意した大きな理由にもなっています。

ただ、「4年半を経過した今でもブーズ・アレンに在籍している理由」は、当然かもしれませんが少し違います。

   
   

入ってみたら前評判とは少し違っていた、ということですか?

   
いえ、そうではありません。「入ろうと思った理由」となった情報は、間違ってはいませんでした。そればかりか、入ってみたらもっと違う良さを発見できたということです。何よりも「人がいい」。コンサルタントと聞いて、多くの人がイメージするような「攻撃性の持ち主」がいないんです(笑)。いい意味でですけれど、驚くほど仲がいいんですね。

「例えば、毎年定期的にオフィス・アウティング(社員旅行)を実施しており、これは社内でも好評です。普段プロジェクトが一緒でない人やパートナークラスの者とも交流することによって、お互いの理解を深める良い機会になっていると思います。ちなみに今年は6月に四国で『讃岐うどんツアー』を敢行しました」
   
   

たしかに、ちょっとびっくりします(笑)。そういう社風のようなものが、やはり楽しいとお思いなんですね?

   

とても大事なファクターだと思います。コンサルティングの仕事を経験したことのある人ならわかると思いますが、とにかく長時間タフな仕事をするのがコンサルタントです。しかも、不特定多数の人たちとのチームプレーがどんどん増えている状況もある。そうなれば、長時間をともにする仲間との結束が強いほうが仕事も楽しいし、成果も間違いなく上がる。私はそう信じています。

そのうえ、ブーズ・アレンには「新しいことをやってやろう」という気概の持ち主も多い。一緒にいることで刺激をもらえる。つまり自身を成長させられる環境でもあるんです。少し自分のレベルが上がったかなと思えても、「上には上がいる」と痛感させてくれる人が4年半経過した今でさえたくさんいます。成長カーブを急上昇させたいと思って入った人間にとって、これ以上の環境はないと思います。

   
   

人間同士の結束がある点、新しいことを追求する風土、力のある上司が無尽蔵にいる点などが、山口さんの成長志向とぴたりと合っているというわけですね?

   
 
   
もう1つ魅力があります。それは仕事が面白いということ。ファームによっては、1人のコンサルタントがいつも同じような案件で、しかも同じような立場に立って仕事をしていく場合も多いようです。けれどもブーズ・アレンには非常に多様な案件が入ってくる。案件ごとに、いつも異なるアプローチが求められもする。つまり、いつも新鮮な気持ちでチャレンジができるということです。非常に高度な戦略案件を担うこともあれば、お客様が展開する営業拠点の改装にまで関与したりもする。その幅の広さがたまらなく面白いと感じます。
   
   

そうした独自性を山口さん同様に「面白い!」と感じられる人間ならば、ブーズ・アレンで活躍できる、ということでしょうか?

   
そう思います。チームワーカーであり、なおかつ新しい取り組み、新しいアプローチを好んでいる人が、ブーズ・アレンには合っている。ただし、今はブーズ・アレンに限らずコンサルタント全般に、以上のようなメンタリティや資質が必要とされつつあるのではないかと思います。
   
   

コンサルタントに対する期待値が、質的に変わりつつあるということでしょうか?

   

そうです。例えば、世の中には物事を「知らない」という段階にいる人たちがいます。「知っている」段階にいる人も多い。ただし、「知識を持っていて、しかもそれを有効に使うこともできる」段階の人は少なかった。昔のコンサルタントは、おそらくこの段階にまで達すれば、価値を提供することができたのだと思います。

しかし、今ではお客様である企業の中にも「知っていて、なおかつその知識を使える」人が大勢います。非常に優秀なかたがたが問題解決を自力で行っている。そんな状況では「知っていて使える」だけのコンサルタントには何の価値もない。では何が求められるのかというと、次の段階です。つまり「今までになかった新しいものを創り出す」段階まで到達することで、今のコンサルタントは初めて価値を提供できるのだと思うのです。

   
   

クリエイティビティという資質の重要性が増しているということですね?

   
 
   

ただし、クリエイティビティという言葉の響きに惑わされてはいけないと思います。新しいことを思いつけば、それがすべてクリエイティブかというと、そんなことはありませんよね。特にコンサルティングという仕事で新しいことにチャレンジしようとすれば、お客様との共感が不可欠になります。つまり、私流の「クリエイティビティ」の解釈は、「人の心を動かすことができる」ということ。心を動かすような創造性があるか否か。それをコンサルタントは今後一層求められるようになるでしょう。

そして、だからこそブーズ・アレンのようなカルチャー、姿勢を持った集団があらためて注目され、期待の値を上げているのだと思うのです。

   
   

それが同時にブーズ・アレンの求める人材像でもある、ということですね?

   
そうなんです。チームワークを通じて人の心を動かす新しいものに取り組んでいく。そういう仕事を求めてコンサルタントを志す人ならば、ブーズ・アレンこそが最適な場だと私は信じています。
   
   
 
 
※2008/5/22 ブーズ・アレン・ハミルトンより、ブーズ・アンド・カンパニーへ社名変更されています。
この取材記事は2006/9現在の社名になります。