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「第2回 PEファンドの実態 ~ファンドマネージャーに聞いた5つの質問~」 ~前編~

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先日は、PERMIRA ADVISERSの日本法人設立10周年記念レセプションにお招きいただきました。同社は設立30周年も同時に迎え、今後更なる飛躍の為に、投資先の成長にコミットした投資を行っていくと仰っていらっしゃいました。2015年に新たに日本法人代表に就任された藤井様も日本での投資を今後加速していくというお話をされておりました。今後が益々楽しみです。

さて、今回は「第2回 PEファンドの実態 ~ファンドマネージャーに聞いた5つの質問~」の前篇をお送りいたします。

今回は、独立系PEファンドでVPとして活躍される戦略コンサルティングファーム出身のBさんにお話を伺いました。
戦略コンサルティングファーム出身者という事で、コンサルティングファームとPEとの違いという点にフォーカスして話を伺いました。
大変参考になる話です。是非ご一読ください。

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Q1.なぜPEへ転職したのでしょうか?

【INQ佐竹】候補者の方に、「現在PEで働かれていらっしゃるファンドマネージャーの方はどういった動機でPE業界へ入られたのでしょうか?」という質問を受ける事があります。この質問に対してのお話を聞かせ頂きたいと思います。まずはBさんのプロフィールからお伺いできますか?

【Bさん】私は、大学/大学院と理系で研究を行っていました。院卒で、外資系戦略コンサルティングファームに入社し、3年半経験を積み、現職のPEファンドへ転職しています。弊社へ転職してからは約5年になります。

新卒で入社した、このコンサルティングファームでは、幸いにもプロジェクトにも恵まれ、在職中に10数件のプロジェクトを経験しました。内2つのプロジェクトは、PEファンドをクライアントとしたプロジェクトでした。

【INQ佐竹】そうなんですね。PEファンド向けのプロジェクトを経験され、業界に興味を持たれたのでしょうか?

【Bさん】そうですね。先程お話した2つのプロジェクトは、PEファンド向けのビジネスデューデリジェンスの仕事で、1つは実際の投資実行にまで結びつき、マスコミにも大々的に取り上げられニュースになりました。間近で見ていて、「ダイナミックな仕事だな」と感じたのが、PEへ興味を持ったきっかけです。
もう少し具体的に転職時の動機をお伝えすると、大きく2点です。

1点目は、若くして企業の経営者になれる点、2点目はスキルの幅を広げられる点です。

1点目の「若くして企業の経営者になれる」に関してですがPEの仕事は、自分自身が社長になるわけではないですが、オーナーとして株を取得し、取締役にも名を連ねます。経営会議にも出席すれば、取締役会で決議もします。20代、30代でこういった経験を積めることに興味を持ちました。

2点目の「スキルの幅を広げられる」に関しては、スキルの幅を広げながら、深化させていきたいという思いがありました。
コンサルタントをしていた事もあり、経営には強い興味がありました。素晴らしい経験を積めたものの、コンサルティングファームでは基本的にPLしか見ない事に疑問もありました。会社を経営するには、PLだけでなく、BS、CFも見なくてはいけないし、会計、財務、税務、法務等もっともっと広い知識、経験、スキルが必要だと考え「スキルの幅を広げる」そしてそれを「深化させる」事を希望しました。

この2つを同時に満たせるのが、PEファンドだと考えたという事です。

Q2.転職時にPEを選ぶ軸はありますか?

【INQ佐竹】前回のAさんにも同じ質問を伺いましたが、PE業界へ興味を持った後にどのように会社を選んで行っていったのでしょうか?

【Bさん】正直に言いますと2010年に転職したので、転職マーケットも冷え切っており、選べるほどPEファンドで募集は出ていませんでした。そのような環境下で、たまたま私の志向性にあったPEファンドが募集をかけており、そことご縁があったというのが正直なところです。

ただその時には、大きく3つのポイントでPE業界を見ていました。
1つ目は、出身者のバックグラウンド、2つ目は外資系か日系か、3つ目はディールフローが豊富かどうかというポイントです。

【INQ佐竹】3つのポイントについて、それぞれ詳しく教えて頂けますか?

【Bさん】1つ目に関しては、世の中のPEは大きく3つに分けられると考えています。コンサルティングファーム出身者が多く在籍するPEファンドと、投資銀行出身者が多く在籍するPEファンド、そして半々ぐらいの割合のPEファンドです。

コンサルティングファーム出身者が多いPEファンドの方が、金融スキルが無くてもハンディキャップになりにくい、企業経営や経営改善に踏み込んでやれる、カルチャーも合いやすいというのが当時考えていた仮説です。
多くのPEファンドはメンバーのバックグラウンドを開示しており、また開示していない会社もヘッドハンターに聞く事でメンバーの情報を取得する事が出来ると思います。

2つ目に関しては、そのままですが、どういった資本の会社かという事で見ていました。それぞれで、投資に関する意思決定のプロセスが異なります。外資系は基本的にヘッドクオーターで投資を決定します。必然的に、夜中の電話会議もあったりもしますし、投資メンバーと物理的に距離があります。この点は、労働環境の差になります。
外資系の方が規模の大きい案件が経験でき、英語を使う場面があったりしますので、そういった事に興味があれば外資系の方にフィットがあると思います。

3つ目は、過去のトラックレコードと人員数で見ていました。PEファンドは、コンサルティングファームと大きく違い、在籍年数とプロジェクト経験数が比例しません。コンサルティングファームでは、基本的に3ヶ月で1つのプロジェクトが経験できるため、1年、3年と、どういった成長するかが描きやすい。

PEファンドは長く在籍すれば、投資経験が積めるという事ではないです。一方で、投資を経験しないとスキルは伸びないため、投資、経営改善、Exitのプロセスを多く経験することが大事です。投資経験を積めるかどうかは運もありますが、確率は高い方が良いと考えました。
これも各ファンドは過去の案件実績も開示していますので、人数からおおよその案件経験数期待値は計算できると思います。

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Q3.他PEと比べての違いは何かありますか?

【INQ佐竹】PEファンドを選ぶ軸として大変分かりやすいお話をありがとうございます。類似する質問になってしまいますが、候補者側の疑問としては、「日々の業務でどうやって他PEとの違いを打ち出しているか」があります。この点について、お話頂けますでしょうか。

【Bさん】率直な所、結果的に投資先企業へ提供する本質的価値はどのPEファンドも大きくは変わらないと考えています。
ただ各社には、強い所、弱い所があると日々の業務を通じ感じます。例えば、投資銀行出身者が多いPEファンドは、経営者を連れてきたり、組織体制を構築する事が上手い印象があります。一方で、優秀な経営者を招聘した後は、経営改善はその人たちにお任せします、というスタンスが強いとも感じます。経営者を連れてこない場合もバリューアップに関しては、コンサルティングファーム等にお任せし、投資メンバーが手を動かしてやっていくという事は少ないと思います。
コンサルティングファーム出身者が多いPEファンドは、良くも悪くも自分達で手を動かすことが多いと思います。

【INQ佐竹】コンサルティングファーム出身者は、計画だけでなく実行までやりたいと考えPEファンドへ転職する事例が多いと思います。そのため、仰って頂いた違いに結びついていくのかもしれませんね。手を動かすという点に関し、Bさん経験された実例などを教えて頂けますか?

【Bさん】私が担当したある外食サービスの会社(以下A社)での事例です。
広告、新メニューや割引等、ある施策をおこなった後に費用対効果測定する。ある意味当たり前の事ですが、当たり前の事が徹底できていない中堅、中小企業というのはたくさんあります。私が担当したA社でも同様で、施策を行ってもその費用対効果を計測せず経験と勘で物事が進んでいました。

そのため、私たちは費用対効果の検証方法の改善を行いました。施策が効果があったかを検証するには、前月との比較だけでも前年との比較だけでも説明しきれません。前者は季節変動性があるし、後者は景気変動性があるからです。A社も単純な比較はやっていましたが、それが本当に行った施策の効果か説明しきれるところまで考えられてはいませんでした。そこで、私は検証方法のロジックを組み、エクセルに落とし込み、対象会社の方が自身で分析ができるようにしました。

【INQ佐竹】現場感があって面白い事例ですね。PEファンドは人員も限られていると思いますが、仰って頂いたようなハンズオンでの取り組むところと、取り組まないところはどのように決めるのでしょうか?

【Bさん】外部の専門家に任せた方がクオリティが高くなるかどうかがポイントになります。
例えば、担当先にBtoB中心のメーカーがありまして、同社は直近BtoC領域でWeb販売含めて拡大する戦略をとっております。そのため、自社のECサイト構築含めて販売チャネルを拡大しました。ITの起業家とプログラマーの人に入ってもらい、EC戦略の立案からサイト構築まで対象会社の方と一緒にやってもらいました。このケースでは、ITのプログラミング含めて私が行うよりも外部専門家の方がスピードとクオリティが高いので任せるという判断になります。

参考までに弊社での投資直後の対象会社との関わり方をご説明します。弊社では、投資後の半年は、投資チームのメンバー2~3人が50%以上の時間を使い100日プランの中で各種プロジェクトを能動的に進めていきます。実際の現場に入り、自分でプロジェクトを進めつつ、横のプロジェクトは外部の協力会社にアウトソースし進捗を管理します。外部の協力会社にアウトソースする部分も、何をどのように進めるかという大枠の設計は、弊社側のメンバーが行う事にしています。

(後編に続く)

※「PEファンドの実態 ~ファンドマネージャーに聞いた5つの質問~」は今後も不定期でお送りする予定です。「こういった話を聞きたい」というリクエストがございましたら、遠慮なくご連絡下さい。

佐竹

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マネージングディレクター 佐竹勇紀

キャリアインキュベーションにて、プライベート・エクイティ業界(プロフェッショナル及び投資先経営幹部)の採用/転職サポートを中心に活動中。 プライベート・エクイティ ファンドの投資プロフェッショナルはMDクラスからアナリストまでを網羅的にカバーし豊富な実績がある。
投資先経営幹部はCEO、CFOといったプロ経営者の支援実績が豊富。 キャリアインキュベーション参画以前は、大手人材紹介会社の金融部門にて就業。

マネージングディレクター 星野 光博

キャリアインキュベーションにて、PE、インフラ、VCなどの投資プロフェッショナル及び投資先経営幹部のサーチを担当。
キャリアインキュベーション参画以前も人材紹介会社に属し、上記業界への人材紹介経験は合計10年を超える。 それ以前は投資銀行や事業会社、ノンバンクにおいてM&Aや投資関連業務に従事。

ディレクター 山口 彩

キャリアインキュベーションにて、PEファンド、メザニンファンドの投資フロント及びミドルバックの転職サポートを専門に担当。
キャリアインキュベーション参画以前はブティック型のエージェントにて金融機関(保険会社・銀行・証券会社・不動産ファンド)の人材紹介に従事。
それ以前は生命保険会社にて就業。

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