他業界と比較するとコンサルティング業界での転職においてカジュアル面談は以前より一定行われていました。他業界からの転職をお考えの方にとっては、「コンサルタントは日々何をしているか分からないが、どうもインターネットの情報を見ると日々神経をすり減らすような働き方をしているようだ。けど給与は非常に良さそうだから興味あるけど、やっていけない不安もあるので手が出ない」といった印象を全般的に持たれているようでした。
今は書籍やYouTubeといった媒体を通じて、以前よりは情報が行き渡ってきました。また、コンサルティング業界の拡大に伴い先輩や同級生、後輩といった知り合いも働き始めている方が増えていることから「働き方のイメージは沸きづらいけど、あいつもやっていけているし、すぐに辞めさせられるような業界でもなさそう。それに給与も良さそうなので転職先としてあり」といった印象に変わってきているのをファーム側も感じ始めています。
一時期よりは、コンサルティング業界未経験者とのカジュアル面談が依頼される機会は少なくなってきているように感じます。一方で増えてきているカジュアル面談のパターン(シニア向けのカジュアル面談)もあるので、その視点から皆さんにファームの採用担当者から好評価をもらうコツを伝えていければと思います。
カジュアル面談と一口に言っても、エージェント経由での依頼とリファラル採用の一環としてのカジュアル面談に大きく分かれます。前者はエージェントが転職や応募に迷っている候補者の後押し、またはスペックとしては良さそうであるが応募ファームでの募集人材に該当しない候補者をプロセスにのる前に見てもらうのを主な理由としてセットされます。
正式な応募プロセスにのる前に見てもらう理由は、エージェントがファームの応募フォームに記入する手間を省く、または募集要件はしっかりと理解していることをアピールした上でエージェントとしては採用実績を増やすチャンスを作るといったことが背景にあります。ケース面接を行わない見極めの場と捉えて頂いてもいいのではないかと思います。
また、後者のリファラル採用のカジュアル面談は、面接を担当するシニアが紐付きで一本釣りをする位置付けが強い場となります。前提としてシニアが関わる、またはリードしている組織のメンバーからリファラル紹介の場合でカジュアル面談が発生するケースが多く、面接自体も回数は同じものの、面接官はランダムで割り当てられるわけではなく、シニアからの指名の場合が多くなります。
なお、このことにより面接内容が簡単になるということはありません。社内メンバーからの紹介だから大きく能力的に問題がある候補者を紹介することは少ないものの「一緒に働くことを前提に、より厳しく実務的に突っ込んだ働き方やマインドの確認」を行うケースが多いのではないでしょうか。
また、若手のカジュアル面談は前述の通り機会として減ってきている肌感覚はあるのですが、一方のシニアクラスのカジュアル面談は引き続き活況な印象を持ちます。(ここで言うシニアはコンサルティングファームで一定の役職まで上り詰めた方を差します)
以前よりシニアクラスはクライアントやチームメンバーを含む移籍が期待されていることから、一定の守秘性を持って転職活動を行う習慣があります。そのため、正式な応募の前に、感覚的に転職、又は採用があるかないかをお互いに知ることが大事になります。もし上手くいかなくても、また万が一、動きが他の人に知れたとしても情報収集をしていたとすませることができるためです。
このようにカジュアル面談のパターンは多岐にわたります。そのため、どのパターンのカジュアル面談なのかを把握することが好評価の最初のステップと言えます。基本、好評価のコツは普段の面接と同様で、論理的であり、過去の体験に基づくエピソードや将来へのアスピレーションを一貫して語れることにあります。しかし、どのパターンのカジュアル面談かを認識すると、強調するポイントが異なり、より面談対応をする方へよい印象を与えることができます。
また、カジュアル面談は普段の面接と少し異なる進み方をします。それは、インタラクティブである点です。面接は一方的に聞かれて回答することを繰り返し、最後のQAの時間でインタラクティブに会話する流れが一般的となります。一方のカジュアル面接は最初からインタラクティブなコミュニケーションになるケースが多くなります。それはファーム側としても、こちらの魅力を知ってもらい、良い人材であればリテンションできるようにしておきたいという気持ちがあるからです。
一時期、カジュアル面談という名の"縁故採用"が一定存在していました。その意味合いは、カジュアル面談をやっても能力評価をせずに、知り合いだから大丈夫という理由で採用をするケースです。
しかし、最近はどちらかというとコンサルティング業界への流入より、流出の方が多い感覚を持ちます。それは大きくなりすぎた総合系ファームを中心とした人員調整の結果かと思います。そのため、一時期の様に人がいればよいからとにかく採用という雰囲気ではなくなっています。
結果、カジュアル面談="裏口入学"、"縁故採用"といった印象も徐々になくなってきたのではないでしょうか。そういった最近の状況だからこそ、カジュアル面談でもしっかり見られていると意識して、皆さんによってよりよい場になればと思います。
]]>コンサルタントは転職がし易いという話をよく聞きます。業界や周りを見渡してみても、他業界と比較して転職がし易いというのは実感を持ってYESと断言できるものだとは思います。それは、一社にとどまらない前提で、日ごろからマーケットバリューを意識して、意図的に外部との接点を増やす動き方をしている方が多いカルチャーであることが根底にあると思います。
また、アルムナイの多くはコンサル業界内で転職していますが、絶対数だとコンサルティング業界外へ転職する方が多くなります。そのため、転職先にコンサルティング業界出身者がいる場合、「あの会社のあの世代の人か。」と、なんとなくの実力が分かり、また何名かたどると応募者と一緒に働いていた方にアクセスできるのでリファーラルが取りやすいということも転職し易い背景にあります。
改めてコンサルタントの特徴は何かと考えてみると、当然、専門とする領域(自動車・ヘルスケアといった業界、M&A・サプライチェーンといった機能、等)での多様な経験に基づく価値の創出という観点もありますが、
①ビジネスマンとしての基本的な所作・スキルを突き詰めている および、②目的志向で動けるという2点が挙げられます。
つまり、最新のグローバル地域を問わず情報収集し、集めた情報を分かり易く重要度の軽重を考えながら纏め、相手の状況を踏まえて理解できるように伝えてビジネスを素早く前に進めていくスキル・能力を磨き続けているのがコンサルタントとなります。
そのため、コンサル業界で一定期間働けていた場合、その出身ということでスキル・能力については一定の保証がある状況です。転職先の方から見ても、若手のスタッフとして協同する分には何ら問題はないのではないでしょうか。
しかし、現実はスキル・能力を一定持っていると分かっているコンサルタントであったとしても、転職できる方もいれば、お断りされる方も存在します。本日はその差を生み出すポイントに焦点を当ててお伝えできればと思います。
コンサルティング業界内でのリテラル転職、また業界外への転職において良く見られている点としては、端的に書くと組織の一員としてやっていけそうか、という点がコンサルタントの転職時にはよく見られているようです。「ようです」と書いたのは、私自身がコンサルティング業界から他業界への転職がないため、周りの方から聞いた話となるためです。ただ、リテラル転職時においては、私も中途採用責任者として、また面接官の一人として重視しています。
なぜ重視しているかの背景として、コンサルタントのイメージにあります。ミッションや仕事が終わったら去るといった立ち位置にあるコンサルタントは、一般的な見方をするとジョブホッパーとして受け取られがちです。どのファームで仕事をしても変わらないなら処遇がよいファームへ転職しますといった話も少なくない声として聞こえてくるのが実態です。
つまり、もちろん残ってもらうことは目的ではありませんが、その転職者の方に現時点でのスキル・能力の発揮以上に、将来においても組織内での役割を背負ってもらえそうかという点を重視します。
そのため、コンサルタントが転職を成功させる上ではストーリーを持って自身が何者であるかを語れることが重要になります。なぜストーリーであるかという、経歴上、転職をそれなりにしてきたことにも理由があるという点、並びに将来においてやりたいことを明確にして、そのために今回の転職があるので一定期間は所属するという点を一貫性を持って語ることで、安心感を提供するためとなります。
このストーリーとして自身の人生を意味付けし、他者に分かり易く伝える能力の有無が、コンサルタントであっても転職できる人、断られる人を分ける大きな差となると考えます。
皆さんの周りを見渡してみても、「彼/彼女は、あの領域でこういうことをしていたし、将来こういうことをしていきたいと言っていたので、あの転職には納得だよね。」という方がいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、ストーリーとして構築する能力も大事なのですが、そのストーリーに説得性を持たせるのは日々の行動により生み出された証左となります。そういった意味だと、日ごろからこれまで何をしてきたのか、今後、何を成していきたいのかといったアスピレーションの所在を考えて過ごすことが大事とも言えます。
]]>コンサルティングファームで働いた1年は、事業会社で働いた3年分に相当するとも言われます。そのため、1、2年ぐらいコンサルティングファームで働いていると、古株とまでは言いませんが中堅層として、結構昔から働いているよねという扱いとなりますし、本人たちもそういう気持ちになってきます。結果、ファームでの経験はある程度積んだので次のキャリアでも考えようかという余裕も出始めます。
また、余裕が出てきたことに加えて、早い方だと2年、順当にいけば3年ぐらいで、アナリストからコンサルタント、コンサルタントからマネージャーといったようにポジションがあがるタイミングが訪れます。
そして、ポジションがあがると転職エージェントから連絡を受ける機会が増えてきます。特にポジションがあがるということは、コンサルタントとして能力に対して一定の評価を得たと転職時ではポジティブに受け取られます。そのため、好条件でのオファーとなることから、今後も今のファームに所属し続けようか迷っている方には、背中を押す大きなきっかけになるとも言われています。
例えば、私の知っている方だと戦略ファームにおいてマネージャーから上の役職(シニアマネージャーやプリンシパル)へ上がったタイミングで、総合系ファームからお誘いがあり、一定の条件をクリアしたら半年後にパートナーになるという約束で転職した方もいます。余談ですが、その方は見事に条件をクリアしてパートナーになっていました。
2年目とはそのような節目となるタイミングともいえますが、未経験でファームに転職した方はどのような状況におかれているのでしょうか。
良く聞く声としては、
「厳しい環境の中で、最初は右も左も分からなかったが、プロジェクトを複数サバイブしてきたので続けること自体は大丈夫だという自信を持った。一方で、1つ上の役職を見ていると更に大変そうなので、今後もこのような働き方を続けられるかの自信は持ちきれない。」、
「入社前は経営者に対して提言し、もっと大きく社会的なインパクトを出せると思っていたが、コンサルティングによって貢献できること、出来ないことの限界も見えてきた。改めて事業会社の良さも分かってきた。」
「ある程度、コンサルティング業界の内情も分かってきて、自社のファームの世間的な評判や強み弱みも理解してきた。そのため、内部状況に対しても昔のように全部が新鮮と感じることもなく、一定の不満もある。」
というように、コンサルティングファームへ転職した時に思っていたような、いつまでもプロフェッショナルファームで働き続けたいという状況ではなくなっている方が大半ではないかと思います。結果、やはりコンサルを辞めようか続けようかと一度は迷うこととなります。
そして、2年、3年ほどファームで働くコンサルタントからは、よくそのような話のニュアンスでの相談を受けていますが、その際に必ず「君のアスピレーションは何か?それに立ち戻って決断をするように。」と伝えています。
結局、普段の仕事に立ち戻って考えても同じですが、コンサルタントの仕事は毎日キラキラしている訳ではありません。日々、辛いと思う最後のタイミングで踏みとどまって頑張れるかは、「なぜ、ここで仕事をしているのか?」の背景にあるアスピレーションがあるか否かにかかっています。同様に、なぜファームで働く選択をしたのか、そして今後どうしたいかに立ち戻って考えていかないと、私自身もそうでしたが、違和感だけが大きくなっていくことになります。
コンサルタントとは何かと改めて考えると、仕事をする基本的な所作(資料作成、コミュニケーション・プレゼンテーション、ファシリテーション、等)を究極までに極めた存在ともいえます。そのため、それなりの期間をコンサルタントとして過ごした方は、辞めたとしても一定の活躍ができるのではないでしょうか。コンサルタントであるとそれなりの処遇を貰っていることから、今の生活を手放すのが惜しく、惰性で残らざるを得ないと考えることもあるかと思いますが、そこはどこに行っても活躍できると考えてアスピレーションに従って判断をされるとよいと考えています。
]]>何十年間もの間、新たなにコンサルティング業界に転職し、残る方、去る方を見てきました。
最近は入社後にオンボーディングの位置づけでトレーニング期間が厚めにとられていますが、コンサルタントとして長く勤務し続けられるかどうかの最初の見極めポイントはそのトレーニング期間の終了後、プロジェクトに入って1か月続くかどうかだと考えています。
その後、1か月続けられる方のほとんどは3か月続けられ、3か月続けられる方のほとんどは1年続いて在籍していられることが多いです。もちろん、その間にファームから向いてないと促される方もいますが、そうでない限りは、そのような傾向を持ちます。
コンサルタントとして働き続けられている人たちと話した結果、入社からの時間ごとに乗り越えるべき課題が見えてきました。
まず、1ヶ月残るのに必要なのは、たとえ何が起きているかよく分からず忙しい日々を送りながらもその時点で働き方に忌避感を覚えないことです。
次に、3ヶ月残るためにはコンサルタントとしての働き方に慣れて成長やプロジェクトの面白さを感じ始められることが必要です。
そして、1年残れるのは、ファームに入ったからにはなんとしてでも複数プロジェクトを経験したいという意思のある方です。
コンサルティング業界に転職して、このまま続けられるか悩まれる入社半年未満の方から「このまま私はやっていけるのでしょうか?」と相談を受けた際に、この話をして、「だから、君も大丈夫。」と話をすると、いつも不安そうな反応を受けます。
改めて、面接の時は自信に満ち溢れ、またコンサルティング業界に残り続けている面接官が大丈夫ではないかと採用した業界未経験の方々の不安が解消されない理由を考えてみると、大きく2つの原因があるのではないかと思っています。
1つ目は、一般の企業とコンサルティング業界で、仕事の組み立て方の思想が180度転換していることに気づいてないのではないか、という点です。
具体的には多くの企業は積み上げ型で仕事を進めているように見られます。
例えば、ある資料の準備をしている際、終了の目途がついた、あるいは終了してからレビューをしてもらう上司との打ち合わせをセットしているのではないでしょうか。あるいは、お客さんとの打ち合わせが終了した後も同じで、持ち帰った宿題が終わった、あるいは終わりそうになってからアポイントメントを入れているのではないでしょうか。
一方のコンサルタントは、「終わりから考える」ことから教え込まれます。
それは、何を成果物にするかから考えることや、いつまでを期限に終わらせる必要があるかといった「終わり」です。
例えば、クライアントの状況を考えると、来週に必要だから来週に打ち合わせをクライアントとセットし、そのための準備として、ドラフトをいつまでに作成する必要があるかというと、上司のレビューを2サイクルぐらい回していくとすると上司の予定がここしか空いてないから、明日の朝の段階で出来てないと間に合わない、といった仕事の進め方となります。
あるべき目的に対して品質を担保した成果を出し続けようとするプロフェッショナルの一面でしかありませんが、このように仕事を組み立てていくことが求められます。
このサイクルや思想の転換が期待されていることが分かっていないと、なぜ今日徹夜して準備をする必要があるのか、ただ体力が辛いと思い、ついていけない、不安だ、となってしまうように見受けられます。
2つ目は、目指す目標においている人が身の丈に合っておらず、ひたすら焦るだけで不安が解消されない状態になっているケースです。
つまり、上を見すぎの状態です。
多くの未経験者が憧れて、こんなコンサルになりたいと見上げている人は、プロジェクトの中心でキラキラと輝くマネージャーや、名だたる大企業のクライアントに親しく話しかけられるシニアコンサルタントであって、一緒に今苦しんでいる未経験者ではなく、またちょうど立ち上がり始めている入社半年未満の方でもありません。
そうなると当然、自身とのギャップを感じ、不安になってしまいます。
辞めるか迷った時は、ぜひ上を見るのではなく周りを見ていくことを心掛けてください。そうすれば、色々と落ち着く部分も出てきます。
辞めるか迷ったら、先ずは周りに相談されると思いますが、多くの場合は「大丈夫、なんとかなる。」「騙されたと思って1か月続けてみたら3か月は続くよ。」とか言われ、相談をしても解決しないことが多いかと思います。また、アドバイスする側からしても、「きっと解決してないな。」と内心で思いながら対応している場合がほとんどではないでしょうか。
今回、不安を感じ続ける理由をお伝えしましたが、結局は、最初のうちは不安があってもとにかく続けることを目標にするしかないような気もしています。せっかくコンサルティング業界に入ったのであれば、少なくとも半年ぐらいは続けてみて、この記事の内容を検証してみてはいかがでしょうか。
]]>ウェビナー(Web経由でのセミナー)の浸透に伴い、以前よりコンサルタント向けキャリアセミナーが開催される機会は増えています。開催される目的はほぼ自社を志望する採用母集団の形成にあります。
但し、コンサルティング業界自体の拡大に伴い、ここ数年の傾向としては、そもそもコンサルティング業界に興味を持ってもらうセミナーといった、自社を志望する採用母集団の前段階となる母集団の裾野を広げるセミナーが増えてきました。例えば、よく持たれているネガティブなイメージの払しょくを目的とした「コンサルティング業界のワークライフバランス」「女性コンサルタントの活躍」といったセミナーです。
また、自社の会社紹介のためのキャリアセミナーというと、そのファームに興味を持っていない場合はセミナーへの参加は見込めません。そのため、「ケース面接対策」「ロジカルシンキングとは」といった、コンサルティングファームへの転職を狙う人が必要とするスキルや考え方を学べるといった立て付けで集客するセミナーが存在します。キャリアセミナーの一部に会社紹介を入れ込むことで、あるいはインタラクティブに受講生とコミュニケーションをとることを通じて、「このファームは今まで候補に考えていなかったけど、受けてみてもいいかも」という気にさせるものです。
このように、コンサルティング業界で主催されるキャリアセミナーはバリエーションに富みますが、その中で業界を知っているコンサルタントに向けてわざわざ実施するキャリアセミナーも存在します。つまり、ラテラルでの転職を狙ったキャリアセミナーとなります。
業界経験者向けのキャリアセミナーとして、今更何を経験者へ説明する必要があるのかと思われるのではないでしょうか。実際のところコンサルティング業務という名称は同じであるにせよ、ファームごとに特異なオファリング、クライアント、アサインメントの運用方法、各ランクの役割といった様々な観点で実際のところは異なります。
また、同じプロジェクトのテーマであったとしてもスコープや進め方は異なります。例えば「新規事業策定」といったプロジェクトは、どのファームにも存在するプロジェクトかと思います。しかし、実際のプロジェクトの内容を見てみると、クライアントが考えていることを上手く引き出して纏める(言い方を悪くすると、言われたままに絵に落とすだけ)ことを新規事業プロジェクトと言っているファームもあれば、提案段階で一定の新規事業仮説を提示し、その仮説が確からしいかの検証を進め、PLの営業利益までを試算することを新規事業プロジェクトと言うファームも存在します。
実際に、私自身もコンサルタント向けキャリアセミナーを開催していますが、その中での質疑として多く受けるのは「どんなプロジェクトタイプが多く、実際にどんな進め方をするのか?特にシニアクラスの関与の仕方はどうか?(成長に貪欲な若手はパートナークラスとの接点を多く求めていることが多いため)」、「アサインメントはどのように決まっていくのか?同じようなシニアメンバーに囲われてしまい、アサインされる案件幅が少ない」といった点です。質問は正に各コンサルタントが入社後に悩みとして抱える点であり、他ファームでは実際はどうなのかといったファームごとの違いを明らかにしたい質問が多くなります。
以前のコンサルティング業界では、若手コンサルタントの転職は知り合い伝手が一般的でした。しかし、近年ではコンサルティング業界でも転職エージェントの利用が一般化し、多くの優秀な若手コンサルタントが転職を考えた際に「まずエージェントに登録する」という流れができてきています。
そのような中で、未経験者の立ち上がりに対して問題意識を持つファームも増えてきており、コンサルティング業界において一定の経験を持つ方へのニーズは高まってきていると感じています。そのため、今後もコンサルタント向けのキャリアセミナーは増えていくのではないかと思っています。
なお、キャリアセミナーに参加して質問を多くしているからといって選考水準が緩くなり、通りやすくなることはありません。しかし、最終面接に近い段階では「そういえば、彼はよく質問していた人だよね」といった情報はよく入ってきます。そのような情報があると、最終面接に近い段階では好印象で始まることが多く、追い風になることは間違いありません。そのため、現在コンサルタントの皆さんにおいて、ラテラルでの転職を考えている方は参加してみてもよいのではないでしょうか。
]]>時代錯誤と言われそうですが、コンサルティング業界において「疲れない」日はありません。
労働時間の総量が多いことに加えて、プロジェクトベースでの働き方となる点も疲れやすさを促進する要素でもあります。
新たなプロジェクトが開始されるたびに人間関係を構築し、同時に未経験の産業やテーマへのキャッチアップ、そしてクライアントも社内では対応しきれないから外部に依頼をしている難しいイシューをいかに解いていくかを考えていきます。そして、慣れたと思ったころには別テーマのプロジェクトが始まります。
また、同じようなコンサルティング働き方を生き抜いてきた上司たちから厳しく、また、ぐうの音も出ないフィードバックを日々浴び続けます。
そういったストレッチした環境の中で、今でも筆者自身は布団に入ると10秒たたずに寝ることができます。また、若手コンサルタントの中には翌日起きられるのかが不安だからわざわざ固い床で寝ているという方もいます。なお、蛇足ですが、このコンサルタントは、それでも起きるのが大変になり、目覚ましを1個2個と増やしていったそうです。
しかし、それでも「辞めたい」といった決断をしないのは、疲れ方が心地の良い疲れ方と心地の悪い疲れに分けられる内、コンサルティング業界での疲れの大半は心地の良い疲れ方だからではないでしょうか。いわゆる、「コンフォートゾーン」から抜けてチャレンジをし続ける状態での疲れと言えます。クライアントへの価値提供に向けて必要な疲れであるという認識を持つ限りは、部活で強くなるためにトレーニングをしている感覚と一緒で、日々のハードワークは心地の良い疲れと言えます。
一方、心地の悪い疲れ方も存在します。
主に広義の意味で人間関係に起因する疲れ方が多いとは思いますが、例えば
「イシューを捉えて上司からクライアントにとって価値のない作業を指示されて、無駄な作業で忙しくなっている」
「優先順位が低いタスクと上司に指摘したら、論理的な説明もないまま感情のままに否定され、心理的な虚無感を持つ」
「イシューを捉えてないのが軌道修正されないまま、そして自身でも納得しないまま作業をしてクライアントへ提示して、やり直しとなる(そして、リカバリーの時間が追加で必要となり、さらに働く必要がでてくる)」
といった時に、心地の悪い疲れ方をします。
これまでの経験から、傾向として、最終的にクライアントの行動変容に繋がる形でイシューを解いていくという軸に対して、違った論理(社内事情、立場、自己顕示、等)に基づくコミュニケーションを他者からとられた時に、コンサルタントは心地の悪い疲れ方をすることが多い印象は持ちます。
もちろん、心地の良い疲れ方をしていても辞めたいといった心理状態になることがあります。その場合、一定期間を休んでリフレッシュをすれば、たいていの場合は前向きな気持ちになれます。
一方,心地の悪い疲れ方の場合は、一定期間を休んでだとしてもなかなかリフレッシュすることはありません。
色々なファームを見ていますが、心地の悪い疲れ方を引き起こすコミュニケーションが起きている場合、残念ながらプロジェクトが変わったとしても同じことが続く場合が多いです。それは、心地の悪い疲れ方を引き起こすコミュニケーションが生じていても問題がないといったファームの体質、カルチャーに起因する構造的な要因が存在している可能性があるからです。
そのため、対処法としては転職活動を始めることをお勧めします。ただ、転職活動に際しては業界を辞めたいか、ファームを辞めたいかを見極める必要があります。そして、早めに業界内の知り合いやエージェントから情報収集をしていくことをお勧めします。それは当然ですが、どの企業にも良い点/悪い点があるので、その中で自分にフィットする場所に出会えるかが重要になります。
そのため、その良い点/悪い点を相対的に比較ができる状況にもっていくことが、悶々と心地の悪い疲れ方をひきずるよりは合理的であると考えるためです。
また、その過程で、結局、色々と考えると今の状況も悪くない方かもしれないと思いなおし、心地の悪いと思っていた部分も一定受け入れることができるようになることもあります。
私自身も疲れた、辞めたいと思う場面は多々ありますし、最近も思いました。ただ、その際に嫌になった原因から離れてリフレッシュしたり、また定期的にコンタクトをしているエージェントと会話をしたりすると、「色々とあるけど、よくあることだから、まぁ、いっか。」という心理状態に変わります。
また、以前より書いているかもしれませんが、「終わらないプロジェクトはない」というのが、この業界でよく言われる言葉でもあります。そのため、疲れることは日常茶飯事ですがプロジェクトベースで動くコンサルティング業界だからこそ、一過性の疲れにより軽々な判断を下さずに、腰を据えてコンサルティングと向き合うことを、今いる方も、これから目指されることもお勧めします。
]]>業界を問わず、転職後はこれまで培った常識を捨て(アンラーニング)、新たな組織で価値を創出するために最適化された行動様式やスキルの習得(ラーニング)をすることが求められます。
それに加えて、コンサルタントへの転職では、自分自身を唯一無二のサービスとして価値を高め続け、クライアントに評価してもらう(買ってもらう)というマインドがより一層必要とされます。
自分が唯一無二の価値を提供することを前提に、以下のポイントを考えてみましょう。
1.サービス開発:
自分の専門領域を確立することは不可欠ですが、同時にその領域の境界線を柔軟に捉え、常に新しい領域に挑戦できるマインドセットを持ちましょう。クライアントがあなたに期待する価値を高めるために、継続的な学習と成長が必要です。
2.パーソナル・マーケティング:
あなた自身を広く認知してもらうために、自己ブランディングが大切です。自然な方法で信頼を築き、相談が集まるような状況を作ることを目指しましょう。
3.サービス提供:
100%以上の価値を提供する仕組みを構築しましょう。クライアントの期待を超えることが信頼を築く鍵です。持続的な関係を築くために、顧客にとって不可欠な存在となりましょう。
4.サービス改良/革新:
常に新しいアイデアを追求し、既存の枠組みにとらわれない姿勢を持ちましょう。独自の経験から得た知識を活かし、専門領域をより魅力的に差別化しましょう。
コンサルティング業界では、自分のキャリアについて自己責任を持つことが必要です。ファームに所属しているだけでは成長できません。プロジェクト経験だけでなく、主体的な学びと行動が求められます。プロアクティブな姿勢を持ち、積極的に挑戦し続けることが成功への鍵となるでしょう。
他業種からコンサルタントへの転職に際して必要な心構えについては、以下の記事で詳しく説明しています。
最近、公務員からコンサルティング業界への転職が増えており、以前とは異なり、キャリア公務員に限らず様々なバックグラウンドを持つ人々がこの業界に足を踏み入れています。
コンサルティング業界から見たとき、キャリア公務員出身者と非キャリアの違いはいくつかあります。
知識や経験の面では、キャリア公務員は政策動向やマクロ経済に強みを持つことが多く、基礎調査やデータ収集においてスムーズにスタートすることができる一方、他公務員も遜色のないスキルを持っています。
もう1つの大きな違いは、資料作成スキルや仕事へのアプローチです。キャリア公務員出身者はプロジェクトの進行方法やタイムマネジメントにおいて独自の視点を持つことがあり、精神的なタフさも持ち合わせていることが多いと感じます。
コミュニケーションスキルについては、どちらも高い水準を維持していますが、アントレプレナーシップに基づく挑戦意欲において公務員出身者はまだ改善の余地があるかもしれません。
一方で、コンサルティングファームはキャリア公務員出身者と他公務員に異なる印象を持っており、それを理解することが大切です。公務員からコンサルティング業界への転職を検討する場合、新しい経験や実績を強調し、期待を超える姿勢を示すことが肝要です。入社後は、過去の経験を捨て、新しいスキルを身につけ、日々成長を追求する姿勢が求められます。
公務員からコンサルタントへの転職については、以下の記事で詳しく説明しています。
中小企業出身者がコンサルタントに転職するケースは多くはないのが現実です。
コンサルティング業界の中途採用はほぼエージェントを介した応募となっており、エージェントは候補者をスクリーニングし、ファームに推薦します。そのため、エージェントが候補者を推薦しない場合、面接の機会すら得られません。それでも、戦略ファーム以外であれば、意外と中小企業出身の方でもコンサルタントとして活躍しています。
コンサルタントへの転職を成功させる中小企業出身者は主に3つのタイプに分かれます。1つ目は、中小企業でコンサルティング経験を積み、その後大手ファームへ転職する人。2つ目は、英語や海外経験など評価基準が明確なスキルを持つ人。3つ目は、既存のコンサルタントとのつながりを通じて転職する人で、リファーラル採用を利用する方が多くなっています。
コンサルタント業界は企業規模と能力には必ずしも関連がないことを理解していますが、現状ではまだ大企業勤務が一般的なため、中小企業からの転職は競争が激しい状況です。しかし、優秀で意欲的な候補者には決して閉ざされた門ではありません。
中小企業からコンサルタントへの転職に関しては以下の記事で詳しく説明しています。
コンサルタントのコンサルティング業界内での転職は、専門的なスキルと幅広い経験を持つプロフェッショナルにとって魅力的な選択肢です。この業界では、戦略的なアドバイスや問題解決のスキルが高く評価され、クライアントのビジネス課題に対処するための知識が不可欠です。
転職を考える際、まずは自身の強みとキャリア目標を明確にしましょう。次に、適切な求人情報やコネクションを活用して、適切なポジションを見つけることが重要です。面接や履歴書のプレパレーションもお忘れなく。自身のスキルと経験を強調し、過去のプロジェクトでの成功体験をアピールポイントとして強調しましょう。
転職活動を成功させるためには、忍耐強さと決意が必要です。競争が激しいコンサルティング業界での転職は容易ではありませんが、適切な計画と努力を続けることで、新たなキャリアチャレンジを実現することができます。
コンサルティング業界内での転職に関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
新卒からのコンサルタントキャリアは、多くの若者にとって魅力的な選択肢です。コンサルティング業界は、多岐にわたる業種や企業に対して問題解決の手助けを行い、ビジネスの成長に貢献する重要な役割を果たしています。しかし、新卒でのコンサルティング業界への就職に際しては、いくつかのポイントに留意することが大切です。
まず、コンサルタントに求められるスキルや資質を磨くことが不可欠です。分析力、コミュニケーション能力、問題解決のスキルなど、幅広いスキルが必要とされます。これらのスキルを磨くためには、大学時代から関連する授業やインターンシップを積極的に活用しましょう。
また、コンサルティング業界は日々の学びが欠かせません。クライアントの業界や課題に詳しくなることは、価値を提供する上で不可欠です。一方で、コンサルタントになりたての頃は、「なんとなく」の姿勢で仕事をすることがあるかもしれません。しかし、これでは将来的に足かせとなる可能性が高まります。シニアになると、複数のクライアントに対応する必要が出てきます。そのため、コンサルタントとしての価値の出し方を見失うことがあります。
新卒でのコンサルティング業界への就職に関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
コンサルタントとして成功するためには、コミットメントを持ち、スキルを磨く努力を怠らず、絶えず学び続ける姿勢が重要です。自身のキャリアの「出口」と「EXIT条件」を常に意識し、コンサルタントとしての価値を磨き続けることが、成功への鍵となります。新卒からのコンサルタントキャリアは挑戦的で充実したものとなるでしょう。
コンサルタントのキャリアパスは、過去と現在で大きく変化しています。
以前は、コンサルティングファームのマネージャーという肩書きは特別で、その地位に昇進するためにはコンサルタントとしての経験と実績が欠かせませんでした。
例外として、一部の戦略系以外のファームでは未経験者がマネージャーとして採用される例も見られました。しかし、彼らはしばしば実力不足と見なされ、業界を去るか転職を繰り返すことが多かったのです。
コンサルティングファームのマネージャーになるのは、狭き門と言えました。しかし、時代は変わり、コンサルティング業界の拡大に伴い、役職のヒエラルキーも変化しています。現在では、コンサルタントとしての実績がしっかりあれば、マネージャーに昇進するのは難しくありません。そのため、コンサルタントとして期待通りの成果を出し続けることが、マネージャーに昇進する鍵となっています。
しかし、コンサルタントのキャリアパスを考える上で、さらなるステップアップを目指す人にとっては、今後のプロモーションに向けても準備が必要です。シニアマネージャーやプリンシパルといった高位の役職に昇進するには、専門知識やリーダーシップスキルが不可欠です。
また、近年ではFIRE(Financial Independence, Retire Early)ムーブメントなどもあり、コンサルタントのキャリアパスがより柔軟になりつつあることが示唆されます。このムーブメントは、財政的な独立と早期のリタイアメントを追求する考え方で、コンサルタントたちにも浸透しています。今では、一生懸命働くだけでなく、将来のリタイアメントやライフバランスについても考える人々が増えています。
コンサルタントのキャリアパスに関しては、以前とは異なる可能性が広がっています。コンサルタントとしての経験を積みつつ、自分のキャリアに合った道を見つけることで、より充実したキャリアを築くことができるでしょう。
コンサルタントのキャリアパスに関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
コンサルタントとして成功するためには、常に変化する環境に適応し、革新的なアプローチを取る覚悟が必要です。
自己啓発とクライアントへの献身を忘れず、誠実で信頼できるプロフェッショナルであることが、持続的な成功の鍵です。コンサルタントのキャリアは非常に充実感のあるものであり、クライアントや組織に価値を提供しながら成長する機会を提供してくれます。
新たな挑戦を楽しみ、絶えず向上心を持ちながら、コンサルティングの世界で輝かしいキャリアを築いていきましょう。成功への扉は開かれています。
近年のコンサルティング業界では、10年以上の長期就業か、3年以内の短期転職という二極化が見られ、ワークライフバランスを重視する転職が増えています。
皆さんもご存知の通り、ワークライフバランスはワークとライフの2つの構成要素で成り立ちます。そして、コンサルティング業界でもワーク重視派とライフ重視派がいます。長い期間コンサルタントとして活躍しつづけるには、より質の高いワークとライフの調和が必要です。
今回は、今までのコンサルティングファーム転職情報から、コンサルタントのライフプランに関する記事をピックアップしてご紹介します。
コンサルティングファームの給与水準は役職に応じて異なり、アナリストからパートナーまでの年収幅が示されています。
給与は個人のパフォーマンスによって変動し、ボーナスはプロジェクトへの貢献度を基準に評価されます。コンサルタントの給料は高く、中途採用者にも期待されますが、キャリア選択には給与だけでなく、モチベーションやキャリア目標も重要です。コンサルティングファームの給与水準については、次の記事で詳しくご説明しています。
コンサルティングファームの退職金制度は、通常の企業とは異なり、途中退職を前提として設計されています。
一般的な制度では、毎年の年収の一定割合が退職金積み立てとして貯められ、途中退職の場合でも一定の退職金が支給されます。具体的な金額はファームによって異なりますが、例えば、年収の15%が積み立てられ、数年の勤務であれば500万円近い退職金を受け取れることがあります。コンサルティングファームの年収と退職金については、次の記事で詳しくご説明しています。
コンサルティングファームというと成果主義を重視し、アップオアアウトの制度があるため、福利厚生が不十分なイメージがありますが、近年、改善が進んでおり、特に健康・医療関連と育児・介護支援に力を入れています。
コンサルティングファームの福利厚生については、次の記事で詳しくご説明しています。
一方で、平均勤続年数については、外資系の戦略ファームでは3~4年、他のファームではそれ以上が一般的です。しかし、平均勤続年数そのものはコンサルタントの実力やキャリアに直結せず、実際に辞めるタイミングは多様なので、平均勤続年数は転職判断にあまり関係がないと考えるコンサルタントも多いのが特徴です。
コンサルタントへの転職を検討する際には、自身のキャリア目標や昇進基準に焦点を当てるべきであり、平均勤続年数だけでなく、コンサルタントの実際の状況や背後にある理由を考慮すべきです。
コンサルティングファームでの海外勤務の主なケースは、国内プロジェクトで海外進出をサポートする場合、エキスパートとして海外プロジェクトに参加する場合、海外のオフィスに移動する場合の3つがあります。
海外勤務の魅力は、挑戦的な仕事であり、異なるカルチャーやビジネス環境で成長する機会があること、国際的なつながりを築き、長期的なキャリア形成に寄与できることです。コンサルティングファームの海外勤務は、海外でのビジネス経験や人脈の構築に貢献し、将来のキャリアに有利です。
したがって、挑戦の機会があれば積極的に利用することをお勧めします。ただし、海外勤務の割合や制度はファームによって異なるため、詳細は面接などで確認することが重要です。
コンサルティングファームでの海外勤務については、次の記事で詳しくご説明しています。
コンサルティングファームでは働き方改革が過渡期にあります。現在、残業代のために残業する状況は少なく、労働時間を短縮して生産性向上に注力しています。
しかし、長時間労働に耐える必要が減少していることから、将来的に業界全体としての粘り強さや底力の不足が懸念されます。
この変化により、コンサルティング内容もオーダーメイドから画一的なサービスへと進化するでしょう。クライアントもサービスの選択アプローチが変わり、ファーム内のマネジメントの仕組みも調整される可能性があります。働き方改革は必要ですが、コンサルティング業界では特に他業界とは異なる独特の影響を与えており、将来のキャリア選択には検討が必要です。業界は変革の途中にあることを十分に考えたうえでの転職が賢明だと思います。
コンサルティングファームにおける働き方改革については、次の記事で詳しくご説明しています。
コンサルタントとして働く中で、ライフプラン策定は重要な決断です。
この業界では、給与水準、退職金、福利厚生、平均勤続年数、海外勤務、そして働き方改革など、多くの要素が考慮すべきポイントです。
各コンサルティングファームは固有の特徴と文化を持っており、自身のライフスタイルやキャリア目標に合った選択をすることが不可欠です。
この記事が、コンサルタントとしての未来を考える際の貴重な情報源となることを願っています。自身のライフプランを練る際に、これらの要点をしっかりと考慮してください。
「コンサルティングファーム」と一口で言っても、取り扱う業務や分野は多岐にわたります。大きく分けると、コンサルティングファームは
① 戦略系コンサルティングファーム
② IT系コンサルティングファーム
③ 総合系コンサルティングファーム
④ 人事・組織系コンサルティングファーム
⑤ 財務アドバイザリー系コンサルティングファーム
⑥ 企業再生・事業再生系コンサルティングファーム
の6種類に分けられます。
それぞれの特徴と、適した経歴については以下の記事で詳しく説明しています。
大手コンサルティングファームには、伝統とブランドによる知名度、また人数規模が2つのメリットがあります。これらのメリットは、ファームのタイプによって異なり、一部のファームは両方のメリットを結集しています。しかし、その程度は個別のファームに依存しており、どちらが最適かは一概には言えません。
伝統・ブランドのある大手ファームに勤務すると、以下の3つの側面でメリットがあります。
まず、クライアント候補とのコンタクトが容易で、高位のエグゼクティブと連絡をとる機会が増えます。
次に、仕事仲間は共通の価値観を共有し、ストレスが少ないでしょう。
最後に、ファーム内での評価は卒業後のキャリアに影響し、優遇されたポジションや独自の機会を提供するでしょう。
一方、人数規模の大手ファーム(メーカ系や監査法人系のコンサルティングファームなど)に勤務すると、幅広いプロジェクト経験が可能で、多くの業界やテーマをカバーします。
また、多様な人材と協力し、新しい価値を提供する機会が増えます。ただし、プロジェクトの品質にはばらつきがあり、一部の人がストレスを感じるかもしれません。
最終的に、どの大手ファームが最適かは個人の価値観やキャリア目標に依存します。コンサルタントとしての成功には自己成果が欠かせません。
ファームの種類・規模と、それぞれに所属するメリットについては以下の記事で詳しく説明しています。
昔と比べるとかなり一般的になってきたコンサルティング業界ですが、一方で、企業ごとの特徴や、グローバルでのポジションなどについては、まだまだ知らない方もいらっしゃるかと思います。
米国Vault社が毎年発表しているコンサルティングファームランキングを元に、以下に世界的に有名なコンサルティングファーム5選を紹介します。
● McKinsey & Company(マッキンゼー&カンパニー)
1926年に設立され、アメリカ合衆国を拠点に世界60カ国以上で100以上の支社を持つ、戦略コンサルティングファームであり、グローバルでNo1のポジションを占めています。その一体運営の仕組みや国際的なプロジェクトへの参加が特徴です。
● Bain & Company(ベイン&カンパニー)
ビル・ベイン氏がボストン・コンサルティング・グループから独立し、設立した新興の戦略コンサルティングファームで、世界34ヶ国に53拠点を展開しています。ベイン&カンパニーは新しいアプローチやビジネス価値の追求に重点を置いており、プロジェクト後の企業価値の変化をモニタリングし、ベインキャピタルやNPOコンサルティングなどを立ち上げています。
● The Boston Consulting Group, Inc(ボストン・コンサルティング・グループ)
1963年に設立され、世界46カ国に82の支社を持つ戦略コンサルティングファームで、日本にもオフィスを構えています。その多彩な専門性や多様な文化的背景を持つ人材が特徴で、最適なメンバーでチームを編成することに重点を置いています。
● Deloitte Touche Tohmatsu LLC(デロイト トウシュ トーマツ)
1845年に設立され、世界四大会計事務所の一つであり、150カ国以上に約20万人の専門家を擁しています。コンサルティング部門では、幅広いサービスを提供し、各国のエキスパートを利用しており、企業に包括的なサポートを提供しています。
● PricewaterhouseCoopers Advisory Services LLC(プライスウォーターハウスクーパース)
1849年に設立され、世界四大会計事務所の一つであり、コンサルティング事業にも注力しています。ブーズ&カンパニーとの統合を通じて、幅広いサービスを提供しており、デロイトと同様にグローバルなネットワークを活かしています。
コンサルティングファーム業界は今後も進化し、2つの主要なトレンド、すなわち統合とデジタル領域への進出が注目されています。詳細については以下の記事で詳しく説明しています。
コンサルティング業界は、各社ここ数年順調に成長しています。景気の回復や、コンサルティングに対する企業ニーズの変化など様々な要因がありますが、コンサルティング業界への転職のタイミングとしては非常に良い市場環境であります。
そうした中でも、特に多くのコンサルタントがおすすめの転職先として挙げるのが、グローバルエリート集団のマッキンゼー・アンド・カンパニー、国内最大規模の戦略系ファームのボストン・コンサルティング・グループ、世界的なIT企業のアクセンチュア、そして、テクノロジー領域での飛躍を目指す新興系ファームや中長期的な成長を実現できる総合系シンクタンクです。
これらのコンサルティングファームは、それぞれ特徴や強みが異なります。
転職先を検討する際には、自身のキャリア目標や興味領域に合わせて選ぶことが重要です。また、実際に説明会や面接に参加し、ファームの文化や仕事内容を詳しく知ることがおすすめです。
今お勧めしたいコンサルティングファームに関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
この記事では、コンサルティング業界と有名ファームについての基礎知識を提供しました。コンサルタントへの転職を考える際に、ファームの種類と特徴、大手ファームのメリット、世界的に有名なコンサルティングファームの紹介、そしておすすめの転職先について詳しく説明しました。
コンサルタントとしての成功には自己成果が欠かせないことを念頭に置きつつ、読者にとって最適な転職先を見つけるために必要な情報を提供しました。コンサルティング業界への転職が考えられている方々にとって、この記事が有益な情報となりましたら幸いです。
]]>他の業種と同様ですが、コンサルティングファームへ中途入社する際には筆記試験・面接試験などの採用試験を実施しているファームがほとんどとなります。
特に、面接試験はコンサルティングファーム業界独特の面接スタイルをとっている企業が多く、他業種からの転職の際は事前の面接対策が非常に重要です。
今回は、今までのコンサルティングファーム転職情報から、コンサルティングファームの採用試験に関する記事をピックアップしてご紹介します。
まず初めに、コンサルティングファームの採用試験の大まかな流れをご説明します。
コンサルティングファームの中途採用面接の流れは、一般的に以下のステップで行われます。
適性試験(オンラインまたはペーパー)
ますます多くの方が業界未経験からコンサルティングファームへの転職を検討されています。そのため、適性試験は業界経験のない方に対して基本的なスキルや知識を評価するために行われます。
面接(3~5回程度)
適性試験をパスした応募者は、複数回の面接を受けることになります。通常、面接は3回から5回の間で行われ、さまざまな形式が含まれます。以下は一般的な要素です。
[一般的な面接]これらの面接では、応募者の経歴、職務経験、スキル、志向などが詳細に評価されます。
[ケース面接]ケース面接は、実際のビジネスシナリオや問題に対して応募者に解決策を提案させるものです。これにより、応募者の問題解決能力や論理的思考能力が評価されます。
コンサルティングファームの採用試験の流れについては、次の記事で詳しくご説明しています。
コンサルティングファーム特有の採用面接形式として有名なのが「ケース面接」です。コンサル業界が未経験の方でも耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
コンサルティングファームの採用プロセスにおいて、ケース面接は非常に重要な要素とされています。実際、一部のファームでは、中途採用の面接プロセスにおいて最大で4回ものケース面接が行われることがあります。しかし、ケース面接はコンサルティングファームに特有の面接形式であり、馴染みの薄い方も多いかもしれません。
ケース面接とは、面接官がクライアントの役割を果たし、応募者に特定のビジネス課題やシナリオに対する解決策を提案させる面接のことです。
通常、1時間程度の時間が割かれ、応募者は課題を分析し、提案を行い、場合によっては面接官の質問に答える必要があります。
最終的に、ケース面接は正解を出すことが目的ではなく、コンサルティングファームとしての思考能力やプロフェッショナリズムを評価するものです。課題に根気よく取り組み、プロセスを大切にする姿勢が重要です。
コンサルティングファームのケース面接の特徴と対策については、以下の記事で詳しく説明しています。
ンサルティングファームの採用面接におけるグループディスカッションは、応募者のコミュニケーションスキル、リーダーシップ能力、論理的思考、協力能力などのスキルを評価するための重要な過程です。
コンサルティングファームのグループディスカッション形式の面接について、以下の文章で詳しく説明します。
グループディスカッションの特徴、面接官の評価ポイント、評価を向上させるための方法について、詳細な理解が得られることでしょう。
コンサルティングファームの採用面接において、志望動機は非常に重要な要素です。これは応募者のキャリア目標と専門知識を示し、そのファームで提供できる価値や献身心を伝える鍵となります。
志望動機は、候補者のキャリア目標や専門知識を表し、コンサルティングファームでのスキルセットの活用と成長意欲を示す要素です。
また、ファームへの理解や研究成果も非常に重要で、どのクライアントに価値を提供し、ビジョンを持っているかが評価されます。志望動機は、熱意とチームプレイヤー能力を表し、ファームでの価値と献身度を伝えます。
要するに、志望動機の質問は、面接官に「私は価値があり、熱心に取り組む意志がある」というメッセージを伝える重要な機会であり、準備と自己分析が不可欠です。志望動機を明確かつ説得力のある形で伝えることは、成功への第一歩です。
コンサルティングファームの最終面接については、以下の記事で詳細に説明しています。
通常、最終面接を担当するのはコンサルティングファーム内で最も高い地位にある「パートナー」です。そして、彼らが採用の最終判断をくだします。
評価ポイントは、主に論理的思考力、コミュニケーション能力、信頼性、プロ意識、熱意などが含まれますが、これらの要素はこれまでの面接段階で既に評価されています。
最終面接に向けた準備として、ファームのカルチャーを理解し、関連する企業や部門について情報を収集し、慎重に準備を進めることが重要です。
最終面接の対策については、以下の記事で詳しく説明しています。
コンサルティングファームでは通じるものの、事業会社ではあまり聞きなれない役職タイトルがいくつか存在します。
その中でも、代表的なタイトルが「プリンシパル」・「ディレクター」といった役職タイトルではないでしょうか。
正直なところ、役職タイトルの上下関係は、各ファーム毎にファームの創業地域・国におけるビジネス慣習に従って設定されることがほとんどです。
例えば上下関係だと、あるファームでは「ディレクター>プリンシパル」であり、またあるファームでは「プリンシパル>シニアマネージャー」、またあるファームでは「シニアマネージャー>ディレクター」と、様々です。また、役割もそれに従いファームごとに異なります。
このような理解を前提に本記事での"ディレクター"は何者かを最初に記載しておくと
● 特定領域における専門知見を深く持ち
● シニアであるもののパートナーが担うマネジメント業務やセールス業務の責任は薄く
● どちらかというとプロジェクトデリバリーの品質向上やマーケティング活動を通じたファームのビジビリティ向上に責任をもった立場の方
となります。こういった責任の方々をファームによっては名称は異なりますが"ディレクター"と位置付けています。
先の定義を見れば、なんとなく仕事内容も想像つくかもしれません。ディレクターの役割を改めて整理すると、当然、コンサルタントとしての基本的な素養は持った上で、
① ジェネラルな組織運営/マネジメントより専門的な知見やケイパビリティの提供と発揮
② 個別営業での売上よりもマーケティングを通じたファーム全体のビジビリティ向上
③ 1つのプロジェクトでしっかりとデリバリーよりも多くのプロジェクトでのアドバイザー
が期待されます。そのため、それぞれに紐づく形でディレクターの仕事内容が整理され、
① →オファリング作成、営業資料における専門領域パート作成、社内講師、等
② →執筆、講演、政府機関等の委員会への参画、等
③ →社内レビュー、クライアントミーティング参加での一部パートの説明、現場視察、等
といったところが主な仕事内容となります。
コンサルタントはクライアントよりも多様な業界やビジネス、企業を知る機会が多くなります。
そのため、ベストプラクティスや学べる点のアナロジーを見出すことを通じて、クライアントへの価値を出していくアプローチもあります。一方、クライアントは位置する業界や研究開発する技術や販売製品といった特定領域においてはコンサルタントよりも多くを知っていることがほとんどです。
そのため、クライアントによっては「俺たちより知らない外部の人に何ができるんだ?」という考えを持たれる方に会うこともあります。
時にはストレートに言われることもありますが、重要なことは特にはじめてお付き合いを始めるクライアントは多かれ少なかれ、こういった考えを持たれています。
そのため「はじめてのお付き合いで、コンサルタントが値踏みされるプロジェクト」においては、ディレクターが非常に活躍します。派生として「工場・倉庫視察やインタビューが必要なプロジェクト」においても非常に重宝されます。
また、その他ディレクターが活躍することが多いプロジェクトは、ご想像の通りかもしれませんが、インサイトやオファリングベースでの価値提供というよりは、知見ベースでの価値提供が求められるプロジェクトです。無双状態と言えるでしょう。
例えば資料作成時に、インタビュー先、HP、雑誌といった、情報の出所を記載することが求められるのですが、ディレクターが「出所俺」といった冗談を言いながら資料作成することもあります。
パートナーとなるには、実力に加えて社内でのデリバリー基盤やクライアント基盤の構築といった運も必要になってきます。一方で、"ディレクター"はコンサルタントとしての専門性を追求していけばたどり着ける役職タイトルでもあります。
"ディレクター"はパートナーとは異なる一つのプロフェッショナルの姿です。
コンサルティングに興味を持たれる皆さんも、そういったキャリアパスがあるということを認識して採用試験に臨んでいただければと思います。
中小企業からコンサルティング業界へ転職する方と面接する事例は意外と多くありません。
それは、コンサルタントが一次面接で会う候補者は既に中途採用エージェントにスクリーニングされているためです。
現在のコンサルティング業界における中途採用はエージェント経由での応募がほとんどとなっています。
そのため、エージェントは書類応募時点で一定のスクリーニングを実施し、候補者をファームへ紹介します。つまり、中途採用エージェントがこの候補者を紹介しても通らないと思われると面接どころか書類応募にもたどり着かないのが現在のコンサルティング業界での中途採用の実態です。
ただし、戦略ファームに近くなればなるほど基準のバーが高くなりますので、戦略ファーム以外であれば、意外と中小企業出身の方も多くいらっしゃる印象は持ちます。
少し蛇足ですが、中途採用エージェントを通した採用をするとファームはエージェントへ仲介料を支払います。そして、この仲介料を考慮したチャージレートに基づきクライアントへのコンサルティングフィーを請求するため、ファームが大きくなればなるほど少しファーム経営としては悩ましい事態に陥ります。
サイズ維持のために、ますますエージェント経由での採用を増やさざるを得ず、また未経験の候補者を一定程度採用する必要が生じます。
結果、品質は下がり、また低下した品質に見合うフィーでの請求は出来ずに、評判を落とす悪いサイクルに入っていくからです。当然、変動費に占めるエージェントフィーは何か月か稼働すれば回収できるのですが、悪いサイクルに入った瞬間に非常に気になる項目です。
さて、本論に戻ると、そのようなプロセスにおいても中小企業の方でもエージェント経由で書類応募される方もいます。その方がどういう方々かを紹介した上で、どうすればなれるかをお伝えしたいと思います。
主に中小企業出身で面接にお会いする方は3タイプいます。もちろん、ここで挙げる3タイプ以外の方も多くなりますが、ほとんどはこの3タイプのどれかに当てはまる印象です。
1つ目のタイプは中小企業においてコンサルティング業務に従事する方です。
大手コンサルタントファーム出身者の社長を含む何人かが独立して立ち上げた企業に所属される方が多いと思います。
コンサルティングを行う中小企業は比較的に他中小企業からの入社はし易い傾向にあります。そのため、一度、そのような会社に転職し一定のお作法を身に着けて大手のコンサルティングファームへ転職するといったルートがあります。
ただし、転職が成功したとしても、そこからがチャレンジングだと思った方が良いです。同じコンサルティングといってもコンサルティングのテーマや期待値、品質や働き方は全く違うという心構えでいた方が良いとは思います。
2つ目のタイプは、書面上で見ても分かり易く評価しやすいポイントを持っていることです。
例えば、英語といったビジネスレベルでの言語能力や海外での就業や起業の経験といったものです。
個人的に珍しいと思って目を引いたのはMENSA(人口上位2%のIQを有する方々の交流を目的とする非営利団体)に所属している方でした。少しミーハー気分もありましたがMENSA所属と初見の中小企業の名前とのギャップで面接をさせて頂いた記憶があります。
このルートでの転職を目指す場合、英語を身に着けてビジネスシーンで活用する経験を積んでいくことが王道ではないでしょうか。
3つ目のタイプは、知り合いからの紹介です。
つまり、既にファームに所属する友人がいれば、その方のリファーラル採用のルートで転職することです。
リファーラル採用は優秀な知り合いを紹介という制度ですので、自身が優秀だと、その友人に思われていれば手っ取り早いルートとなります。
実は私も20人ぐらいの中小企業からコンサルティングファームへ転職しております。
その時は1つ目の中小企業でのコンサルティング経験と、3つ目の知り合いのリファーラル採用の合わせ技で転職が実現しました。
その後は少し苦労しましたが、転職先のファームで最速でプロモーションし、最年少での役職を更新していきました。
そのため、企業サイズの差と能力は紐づかないとは理解しています。しかし、ファームでの採用責任者の立場になると、確率論として一定以上の能力がある方はやはり今の日本では大企業に所属することが分かり、その結果、効率を考えて中小企業に所属される方にとっては狭き門となる選考をせざるを得ないというのが現実です。
しかし、そういった状況であっても優秀でやる気のある方がいらっしゃることも理解しているので、上手く転職活動を乗り切って頂けると嬉しい限りです。
コンサルタントにとっての"クライアント"は、最終的に社内予算からコンサルティングフィーを支払い、コンサルタントからの提案に基づき意思決定を行う、いわゆるプロジェクトオーナーとその他のメンバーに分かれます。
さらに、その他メンバーも実質的にプロジェクトを取り仕切る方々とその他参加者に分かれます。
そのため、もしプロジェクトオーナー、あるいは実質的にプロジェクトを仕切るクライアントのメンバーに「コンサル意味がない」と言われた場合は、ほぼコンサル側の力量不足と言えます。真摯に反省するしかありません。
しかし、その他参加者の方に「コンサル意味ない」と言われた場合、プロジェクトにおけるイシューを解いているかという観点に照らして本当に意味がないのかはコンサル側でも考える必要があります。
というのも「コンサル意味ない」と言われる多くのケースは現実として、その他参加者からの意見が多いからです。そしてなぜ「コンサル意味ない」と言われるかの理由もなんとなく分かっています。
それは、コンサルの事をなんでも言えば出てくる、あるいは何でも知っている"魔法のステッキ"のように思われていることに起因しているのがほとんどのケースです。
限られた期間で全てを解くことも、全ての要望に応えきることも、ほぼ不可能です。そのため、提案書において解くべきイシューを絞り込み、その解の仮説を買ってもらっています。
しかし、そのことを横に置いて「知りたいから」「個人として気になるから」といった理由で残念ながらイシューとは関係のない要望を出す方もおります。
イシューベースのコンサルの多くはその要望に対して応えることは少なく、結果として、使えないといった話になる構造は、どのコンサルも経験しているのではないでしょうか。
ただし、最近は"コンサルもどき"のコンサルタントも増えてきているので、「コンサル意味ない」とプロジェクトオーナーと類する方々に言われることも増えてきているかもしれません。
そのような状況ではあるものの、プロジェクトオーナーと類する方々にとっても、コンサルタントがその他のクライアントのメンバーに意味ないと言われる状況は社内評価を含めて不都合な部分が出てきます。また、せっかく良い成果物を作り上げたとしてもクライアント内で反対にあう状況に陥る可能性も生じます。
そのような事態を未然に防ぐため「コンサル意味ない」と言われないためのポイントがあり、それらはマネージャーになる上では必須の技術と言われています。
その技術とは、"前提条件の設定"と"スコーピング"と呼ばれるものです。
前提条件の設定とは、複雑に色々な要素が連関する経営をシンプルな事象として切り取り、設定をする手法です。
例えば、現実はAもBもCも・・・と色々な要素で成り立つ事象を、その要素の内、最も影響力を持つAとBのみに着目し、これをどうにかするにはどうすればよいかといった形で、コンサルティングプロジェクトの状況を規定していくような手法です。
これにより「でも現実はこういったことも考えられるよね?」といったよく遭遇するコメントに対して「今回はこういった前提で取り組んでおり、その前提を置いた理由もこういうものなのですが、もしその前提から考え始めるならオーナーと相談ですね」といったコミュニケーションが可能になります。
また、もう1つのスコーピングとは、プロジェクトでの検討範囲、並びに到達するゴールを合意する技術です。
検討範囲とは、例えばある部門の生産性を向上する上では、全ての部門が業務として何らかの形で繋がっているため、企業全体を包括的に見直さないと最適になりません。またもっと大きく考えると、調達先や販売先を含めて考える必要があります。
しかし、全部を検討していてはクライアントもフィーが足りませんし、現実問題としてその検討範囲が広がったところでの成果物の到達点の違いは微々たる違いです。
言い換えると、ここまでだと有意な検討範囲であるといった点を合意していくことが重要です。そうしなければ、この検討範囲だと意味ないよね?あるいは、こんなに検討する必要あるの?といった「コンサル意味ない」のコメントを生む原因となるからです。
そしてもう一つの到達するゴールとは、戦略立案までなのか、実行計画までなのか、実行支援までかといった、トップライン・ボトムラインに結果が反映されるまでのステップにおいて、どこまで取り組むのかといった話です。
ここをしっかりしないと、人によっては結局意味なかったよねといった話になりがちです。
重要性を理解されるコツとは、言い換えると、プロジェクトの炎上を回避する技術とも言えます。
炎上するプロジェクトの多くは、前提条件の設定を曖昧にし、どこまで検討するかのスコーピングをぼかし、数字のためにプロジェクトを受注してくるシニアによって引き起こされます。
皆さんもコンサルタントを目指すのであれば、その点を意識して頂ければと思います。
採用面接時に聞く志望動機のほとんどは紋切り型であるなという印象を、面接担当をしていた立場としては感じています。
もちろん「なぜ転職をしたいか?」については、それぞれの候補者にストーリーがあります。
しかし「なぜ転職先として、このファームを志望するのか?」はエージェントの入れ知恵もあるのかほとんど同じような回答が多くなります。
それぞれに異なる「なぜ転職をしたいのか?」と基本は同じな「なぜ転職先として、このファームを志望するのか?」を整合性を持つ形で語ると、結局、全部同じように聞こえるという残念な状況になっていきます。
しかし、実際に面接で確認しているのは、志望動機の素晴らしさではなく、整合性の部分が中心です。そのため、志望動機が残念に思われたとしても、話に整合性があり、また、その話に説得力を持つエピソードがあれば問題ないとも言えます。
今回は、よくある志望動機のパターンをお伝えしたいと思いますので、皆さんの志望動機を構築していく上での参考に頂ければと思います。
「今の職場で10-15年先を考えた時、10年上の先輩との(給与と能力の)差を感じずに・・・」といったよくあるエピソードから入るパターンです。
しかし、どんな成長をしたいのか?と一度突っ込むと回答出来ない方も多くなります。
コンサルティング業界では、色々な成長の方向性を選べます。そのため、具体的にどういった観点で成長したいのかまで考えることをおすすめします。
「幅広く社会に影響を持てるコンサルティングに魅力を感じており・・・」といったように、現職への微妙なネガティブ系のトーンをキラキラした言葉で言い換えたエピソードから入るパターンが多くなります。
正直、コンサルティング業界を志望される方は日本の素晴らしい大手企業に勤めている方がほとんどです。そのため、コンサルよりも現職の方が影響あるでしょ、と思う事が多く、志望動機の目線が小さく未熟と見られるリスクがあります。
ポジションなつもりで話す候補者が多いものの、一歩深く考えると思考の浅さが見え隠れする志望動機を聞くことが多いのですが、そういった志望動機はコンサル適性の面で問題があると見なされる可能性があります。
「こういった改善や成長の方向性を提案したが、承認されず・・・」といったように、これまた現職への微妙なネガティブ系のトーンから入るエピソードも多く聞きます。
本人は隠れた前提として「現職を定型的に回す業務が忙しい中、また、こんなに保守的な会社でチャレンジした私は凄いでしょ」というトーンを含ませているとは推察します。しかし、コンサル思考からすると実力不足を環境のせいにしているというように捉えがちです。
「将来経営をする上で必要な能力を身につけたくて、責任ある立場や経営の考えに触れたく・・・」といったよくあるエピソードから入るパターンです。
これは、②の「より影響力のある」、③の「現職では限界」といったエピソードのポジティブ版と個人的には位置付けています。
お分かりのように現職をベースとしてエピソードを語ると、どうしてもネガティブ系のトーンが入りがちになるので、将来どうしたいからコンサル業界が転職先としてベストであるといった志望動機の纏め方が重要になります。
「大学の専攻である分野の研修をしており、それに携われる会社に入ったのですが・・・」と一見ネガティブ系のトーンに聞こえるエピソードです。
しかし、不思議なもので、コンサルファームではキャリアや生き方の一貫性を高く評価することが多く、こうしたエピソードは意外とポジティブに受け止められます。
そして、そういった方々は将来その分野での専門家になっていきたいとエピソードを締めることが多く、コンサルファームとしては活躍の場面を含めて非常に分かり易く、好まれる志望動機だと言えるでしょう。
「日本が大好きで、日本企業のプレゼンスを高めるために海外進出を・・・」といった話から入ることが多いパターンです。
これとは別に愛国系の「日本のために」といった志望動機もあるのですが、海外関係の仕事に携わりたい方の多くは、とにかく英語を使って海外関係の仕事をしたい人となり、その数は一定数います。
「Whatが決まった後のHowからのコンサルだと限界があるので、上流から・・・」といったフレーズです。SIerの方はシステムコンサルを、システムや業務系のコンサルの方は戦略コンサルを志向されるパターンもが多く聞かれます。
一方で、戦略ではなくより具体的な手触り感のある結果を求めたいと実行系のコンサルを志望される方もいます。
「社内のプロジェクトでコンサルと一緒に仕事をして自分の力不足を感じ・・・」といったように身近なコンサルと働いたという方も多くいます。
採用側としては、どのコンサルと働いたの?と興味がわくところをぐっと抑えつつ対応します。一方でどのコンサルと働いたかにより、だいぶ自社での価値の出し方とのギャップが生まれることも確かであるため、聞きたいコンサルと言わない候補者との攻防戦が続くこともあります。
「社会課題を解決し、未来の社会を考えるのが好きでイノベーションとか・・・」といったように純粋に新しいことを考えていくのが好きといった話から入るパターンも多くあります。
このパターンで入ると、その後の面接の際に産業の未来は?といった質問やこの産業の課題ってどう思うというように、目指す方向性との適性がありそうか、普段から口だけでなくアンテナをたてて情報収集しているかといった関連質問に発展するケースが多くなります。
「日系企業が本来の力を発揮できず停滞していることに強い課題感があり・・・」といった話から入るパターンが多くなります。
話は非常に共感するものの、面接においては、「現職でも貢献できるのでは?」という問いに対して、「コンサルの方が貢献できる」といった程度問題に陥りがちで、その後の展開が苦しくなる志望動機だと常々思って聞いています。
心の奥底には、給与が良い、キラキラしていて格好良い、現職が辛い、などの理由でコンサルファームを志望されている部分もあるかと思います。それ自体を否定することはありません。
ただ、それを隠しきった上で、志望動機においてもコンサルとして論理性や一貫性、話の持っていき方といった適性の片鱗を見せて欲しいなとは思っています。
「終わらないプロジェクトはない」と、コンサルティング業界では良く言われています。
どんなにクライアントからのプレッシャーがきつくとも、マネージャーから厳しいフィードバックを受けたとしても、プロジェクトが終われば解放されるので大丈夫、という意味の言葉です。
もちろん、プロジェクトごとに全くすべてから解放される訳ではありません。一定の人間関係やプロジェクトを通じた本人へのレピュテーションは結果として残ります。
しかし、この言葉には「コンサルティング業界以外の会社で長期間勤め上げて形成される人間関係その他のしがらみと比較すれば、プロジェクトの終わりという区切りがあるコンサルタントは恵まれている」という隠れた前提があるので、言われたコンサルタントは「まぁ、そうだよな・・・。もうちょっと頑張ってみるか」と、なることは多いです。
なお「終わらないプロジェクトはない」の後に「けど、終わらない日はある」と冗談のように続けて言われたことがあり、その時は苦笑いをするしかありませんでした。
コンサルティング業務に限りませんが、働いていてきついと感じる要素は、だいたい次の5つに分類できます。
中でも、この中で自分自身が重視していることでネガティブな状況に陥ると、よりきつく感じられます。
①「自分自身に関すること(金銭的/非金銭的報酬が満足しない、行動の自由が制限、等)」
②「仲間/同僚に関すること(お互いのリスペクトがない、仲間/同僚がやるべき事をしていない、等)」
③「会社に関すること(仕事の仕方があわない、倫理観が低い、等)」
④「クライアントに関すること(誠実に価値提供をしていない、成果物のインパクトが低い、等)」
⑤「社会に関すること(世の中のために貢献していない、社会へのインパクトが薄い、等)」
例えば、①「自分自身に関すること」だと、
●働き甲斐があっても、自身の労働時間や貢献価値に見合った報酬が貰えていないと感じる
●組織の方針に沿ったプロジェクト以外のことは、取り組もうとしてもストップをかけられたりする
などです。この状況が続くと、息苦しくきついと感じ始めます。
また、報酬が良くても、クライアントの言われたことを文字に落として資料化する仕事が続き、本人としてはフィーに対して成果物のインパクトが低いと感じるような場合(④クライアントに関すること)、朝起きてからクライアントオフィスへ出社することすら精神的にきつくなってきます。
このようなきついと感じる理由に対してとれる手段は、正直なところでいうと限られます。
ただし、とるべき手段を間違えないために「このきついと感じている環境への自分なりの診断」が必要になります。
例えば、最近では戦略立案を支援する際に、
パンデミックによる消費者行動の変化を前提とした、長期的な戦略を立案するか
それとも、
この状況はここ数年の出来事で消費者行動自体は前に戻る、と考えて立案するか
といった見立てを検討します。
つまり、現在の環境が一過性の変化で状況的な問題なのか、それとも根本的に不可逆な構造的な問題で、何らかの変曲点が訪れない限りは変わらないと考えられるのかを見極める検討をします。
例えば、消費者行動は前者です。緩やかに変化はし続けるものの、外食といった飲食店での食事は引き続きパンデミック前と同様の状況に戻る可能性があります。
一方、サプライチェーンにおける経済安全保障の観点やブロック化の流れは後者です。一定の前提として、構造的に組み込んで検討せざるをえない状況になっています。
こうして環境を見極めてから、改善方法を考えていきます。
繰り返しになりますが、取れる手段は限られます。
構造的な問題で改善の兆しが見られない場合、ファーム内で改善する立場にいないのであれば転職をおすすめします。
その際に「きつい」と感じる理由が業界レベルの課題であるか、ファームレベルの課題であるかを考えてみましょう。
ファームレベルであれば転職先は他ファームが検討できますが、業界レベルの問題であればコンサル以外の別の業界に目を向けていく必要があります。
状況的な問題の場合は、まず一度「終わらないプロジェクトはない」という金言を胸に耐える期間があるかと思います。
もし、耐えられるレベルを超えている場合は、まず求められるのはアラートをあげることです。まわりの社員に「自分がきついと感じている」ことを理由と共に早急に相談しましょう。コンサルタントである以上、クライアントに対してチームとして価値提供をしていく必要があります。そのため「自分がきついと感じていること」も早期にプロジェクトメンバーへ伝え、その上でのリカバリーをどうするかを考えるのがコンサルタントとしての動き方です。
それでも、周りに相談、アラートをあげられないという方もたまに見かけます。
もし周りに相談もアラートもあげられない状況なら、それは構造的な問題として、今すぐ転職することをお勧めします。
ただし、相談、アラートをあげられない理由が、「恥ずかしい」とか「プライドが......」といった類の理由であれば、一歩踏み出して相談するのがコンサルタントとしての成長です。皆様が成長していくことを期待しています。