新しい技術、新しい発想も 改革実現のために生かす
例えば、最近は「レガシーは何?」と尋ねると、実はERPだと答える企業がでてきている。そこで今度は組織変革やグローバル対応、あるいはビジネスモデルの再編などといった事態にどう対応してきたか質問すると、「必要な機能はアドオンによって対応してきた」という企業も多い。ところが、そうした企業が今、SOSを発していると沼畑氏はいう。
「ケースバイケースですが、決して間違ったパッケージを導入しているわけでもないのに、業務がうまくまわらなくなっていたりする例は少なくありません。その理由は何なのかといえば、例えば『システムは統合されたのに、そこで働く人の仕事が統合されていない』。あるいは、ここ数年の間に驚くべきダイナミズムでビジネスや業務が変化した企業の場合には、『業務の変更に今までのパッケージでは対応不能』になっていることに気づいていないケースもあるんです」
そこで最近注目されているのがSOAの発想に基づく次世代技術。アクセンチュアはすでに多くのグローバル企業で、これらの取り組みでも「結果」を出している。
アメリカの大手航空会社では、従来多様なシステムがそれぞれの機能を持って稼働していた。例えば予約発券システム、搭乗手続きシステムなどなど。さて、ある時天候が崩れ、航空機の遅延が続出する事態になったとしよう。こうなると、バラバラのシステムはそれぞれの対応しかできない。例えば遅延によって長時間待たされることになった搭乗客のために、乗り継ぎ便のキャンセルをして新しく代替便を予約したり、代替便が確保できないときは、ホテルをおさえたり、荷物のシステムが誤って別の便に乗客の荷物を載せないようにしたり、という動きは人が頼りとなる。
もちろん、航空会社の組織がしっかりと対応し、人が柔軟に連携しあえばトラブルには至らないかもしれない。しかし、できることなら業務担当者が様々なシステムや電話などで手続きをとらなくとも、遅延というイベントに対して個々のシステム同士が連携できるならば、単に業務効率が上がったり、ミスが減るだけではなく、顧客へのサービスの質も上がり、結果、顧客がこの航空会社をより利用したくなる魅力を提供することができる。
以上のような要望を実現するのがSOAの発想だ。アクセンチュアはこの航空会社のみならず、多業種にわたって新技術を「結果」に結びつけた実績を得ている。
「トラディショナルなERPをはじめとするパッケージについて、しっかりとしたソリューション実現を追求しつつ、同時にビジネスの価値を高める新しいシステムのあり方も追いかけ、提供していくのがGBSの役割です。これからはシステムをインテグレートするのではなく、サービスをインテグレートする時代。そうした変化をリードするような取り組みを今後も私たちは続けていきます」
2つのセンス、プラス、ポジティブな
モチベーションの持ち主がGBSで成長する
さて、ではGBSとして必要な人材の条件とはいかなるものなのだろう? 沼畑氏は即座に「2つのセンスを問いたい」と答えた。
「例えば面接でお会いしたかたに『GBSで何をしたいですか?』と質問すると、『財務会計、管理会計の領域です』というような答がよく返ってきます。私はすぐにまた尋ね返します。『では、今までに会計の業務について、どこまで深掘りして、理解してきましたか?』と。IT、とりわけパッケージについて、これまで深く関わってきた人ならば、単にテクノロジー部分のセンスだけでなく、業務の視点から何を変えることができるか、そうすることでどんな変化が実現するか、という発想も持っていて欲しいのです」
続いて、沼畑氏は「業務のことなら任せてください」というような志望者の例も挙げた。今度は「業務を知っているからには、そこにどんなテクノロジーを加えればいいか、わかるはず」という期待を寄せる。
「技術センスだけ」「業務知識だけ」の人材は要らない、と言っているわけではない。双方について、きちんと関心を持ち、深く理解しようとしているかどうか。それを沼畑氏は期待しているのだ。
さらにもう1つ。沼畑氏はポジティブなモチベーションの持ち主を望んでいるとのこと。 「GBSの場合、やはりパッケージベンダーで導入コンサルタントをしていたようなかたも多数応募していただいています。もちろん、導入を目的にしないのがGBSではありますが、パッケージについて知識と理解を持っている方は魅力的です。
ただし、『導入ばかりやらされるのがイヤだから』というネガティブなモチベーションしか持っていない人では、GBSではやっていけないと思います。
逆に、例えば『パッケージやアドオンが機能しなくて火を噴くと、その対応をさせられてきた。ただ、それがイヤで現職を辞めるのではなく、本当にお客様のことを思えば、そもそも火を噴かないようなソリューションを提供するべき。そのためにもビジネスの視点でITを活用し価値を提供したいと考えた』と言われたなら、私も嬉しくなるんです」
転職を決意した理由が、前向きである点が前者との違いだ。しかも、こういう意見を持つ人材ならば、ITをビジネスにどう活用するかという視点ももちあわせていることがわかると沼畑氏。
「ともかく、アクセンチュアは成長を志す人たちが集う場です。自分を着実に高めようという志の持ち主とともに、新しいソリューションのあり方を追求していきたいと考えています」
この企業へのインタビュー一覧
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