従来のインダストリーコンサルタントの方がデジタル領域に移る魅力はなんでしょうか?
【立花】コンサルティング業界も変化してきています。今までの様に数ヶ月お客様のために調査分析をして報告書を出すことだけではなく、お客様と一緒にリスクをとり、売上を一緒に増加させ、リターンを分かち合えるビジネス・パートナーにならなければなりません。
事業そのものを一緒に作り出して、ジョイントベンチャーをつくって経営者になるようなキャリアも描けるかも知れません。それが一番の魅力だと思います。
アクセンチュア ストラテジーのデジタルチームとの違いは何でしょうか?
【立花】アクセンチュア ストラテジーのデジタルチームはビジネスプランを描くことで、アクセンチュアデジタルのメンバーはプロトタイピングやモックアップ作成など、より実行寄りのところが出来るのが強みで、うまく役割を分けています。
3領域の中で、どの分野に一番ニーズがあるのでしょうか?
【立花】どの領域もですが、直近は特に顧客接点のデジタル化に大きなニーズがあり、そこを担うインタラクティブチームの稼働がとりわけ上がっています。このところ、デザイナー、広告代理店出身の方は十分に採れてきているのですが、そのプロフェッショナルを取りまとめてプロジェクトとして立ち上げていくメンバーがより必要になっています。
クラス毎の役割を教えて下さい
【立花】インタラクティブであれば例えばマーケティングROIの分析やEコマースのサイト構築のプロジェクトを通して、1つのチームを経験するのがアナリストやコンサルタントクラスとなります。
マネジャーは1つのプロジェクトを仕切れるクラスを想定しています。シニア・マネジャーは複数プロジェクトの監督や、新規クライアントへの提案・セールスにより案件化できることが期待されます。マネジング・ディレクターは50〜100人規模の案件を取り仕切り、お客様のアカウント責任者として動くことが期待されます。
インタラクティブでは、オムニチャネル、ソーシャルメディアを活用し、独創的な設計から顧客エクスペリエンス、デジタル制作、Eコマース開発まで、"END to END"のマーケティング・エクスペリエンスを提供しています。
モビリティでは、スマートフォンやタブレットのみに限らず、センサーを搭載したIoT機器を含み、コンサルティングからビジネスソリューションまで包括的なサービスをグローバルで展開しています。アナリティクスでは、データ分析の担当者からデータ分析全体プランする担当者などで役割が変わるイメージとなります。
営業の役割はシニア・マネジャーから担うことになりますか?
【立花】正式には担いませんが、貢献度は評価します。マネジング・ディレクターになると営業の役割を担います。シニア・マネジャーではその準備ができているのかが見られますので、その役割が重要です。
選考はどのように?
【立花】マネジング・ディレクターが4名いるので、必ずその中の1名と私がお会いします。
場合によってはシニア・マネジャーとの面接を挟むこともあります。
内容は?
【立花】相手の反応に対して自分の言葉で回答できるかどうかを見ています。
デジタル領域のコンサルでは技術力が重要になると思いますが、御社の技術力の源泉は何でしょうか?
【立花】2つあります。1つは教育です。当社では新卒から技術的なトレーニングを行っていますので、技術的な蓄積を持ったコンサルタントが揃っているのが特徴です。2つ目は自社で保有するラボです。世界中にテクノロジーのラボがありますし、ロボティクスとかアーティフィシャル・インテリジェンス(AI、人工知能)などの研究をしているメンバーがいます。
さらにオープン・イノベーションチームには世界各国でその地域のスタートアップ企業の方々と接して先端の情報をキャッチアップするメンバーがいます。
海外で買収されている企業(Fjordのようなデザインファーム)との連携はあるのでしょうか?
【立花】はい、協業はしていますが、日本支社をつくるかどうかはまだこれからです。現在その検討を進めているところです。
アクセンチュア デジタルのカルチャーはどうですか?
【立花】ご想像の通りコンサルとは全然違うタイプです。こんな話があります。海外で買収した会社のトップのデザイナーがアクセンチュアのオフィスに来た時にサッと踵を返して帰ってしまったんです(笑)。なので、海外では「スタジオ」と言われる専用のワークスペースを作って環境を整えたりしています。
アクセンチュア デジタルのこれからの目標について教えて下さい
【立花】さきほどの3つの領域に注力することはもちろんですが、今までのタイムチャージモデルではなく、お客様のビジネスにコミットして結果を出し、その売上をシェアするような新しいビジネスモデルへチャレンジしていってそれを増やすことですね。
候補者へのメッセージをお願いします
【立花】アクセンチュアのグローバル・ネットワークを活用し、世界の最先端の情報をリアルタイムに手に入れられる環境であることは当社ならではの魅力だと思います。
もう1つは日本が超高齢化社会などの課題先進国として、世界に先駆けて必ずロボットやAIを活用しなければならない時代がくるということ。日本で培ったノウハウは必ず他国で必要とされます。アクセンチュアはそのデジタル化に本気でチャレンジしようと思っています。ぜひその日本発のビジネス、サービスを一緒に立ち上げてみませんか?
プロフィール
立花 良範 氏
アクセンチュア株式会社
執行役員 デジタル コンサルティング本部 統括本部長
アクセンチュアに入社後、通信・ハイテク業界を中心に多数の大規模SI案件でアーキテクト・プロジェクトマネジメントを経験。マネジング・ディレクター昇進後、IT戦略グループを統括し、さまざまな業界・企業のITビジョン、中期計画策定やエンタープライズアーキテクチャ・デザインを手掛ける。
2015年よりデジタル コンサルティング本部統括として、デジタル・マーケティング、アナリティクス、モバイル、IoTといったテーマで数多くのクライアントのビジネス・イノベーションを支援している。
アクセンチュア・オープンイノベーション・イニシアチブ統括。
この企業へのインタビュー一覧
- [コンサルティングファーム パートナーインタビュー]
アクセンチュア - 戦略コンサルティング本部 金融サービス マネジング・ディレクター 森 健太郎 氏 / 長谷部 智也 氏(2018.8)
- [注目ファームのコンサルタントインタビュー]
アクセンチュア - 中村 健太郎 氏(戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター) Hosho K. 氏(戦略コンサルティング本部 シニア・マネジャー Hosho K. 氏)(2017.5)
- [コンサルティングファーム パートナーインタビュー]
アクセンチュア - 西村 祐二 氏(エグゼクティブ・パートナー 戦略グループ総括)(2006.8)
- [注目ファームの現職コンサルタントインタビュー]
アクセンチュア - 森 泰成 氏(グローバル・テクノロジー・コンサルティング統括 パートナー)(2006.4)
- 佐藤 剛 氏(テクノロジー・コンサルティング エグゼクティブ・パートナー)(2006.3)
- 沼畑 幸二 氏(グローバル・ビジネス・ソリューションズ統括 エグゼクティブ・パートナー)(2006.3)
- 川辺 義之 氏(通信・ハイテク産業本部 ソリューション・エンジニアリング マネージャー)/栗花落 一史 氏(通信・ハイテク産業本部 財務・経営管理サービス マネージャー)(2005.8)
コンサルティングファーム パートナーインタビューの最新記事
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- シグマクシス・グループ | 株式会社シグマクシス・インベストメント 代表取締役社長 柴沼 俊一 氏(2022.1)
- キンセントリック ジャパン合同会社 | 日本代表、パートナー 松崎 肇 氏 / アソシエイトパートナー 蓜島 資幸 氏(2021.5)