コンサルティングファーム パートナーインタビュー

画像:アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー

アリックスパートナーズ・アジア・エルエルシー

1981年に北米で産声をあげたアリックスパートナーズは、いわゆる経営コンサルティングファームとは一線を画すアプローチにより、米国GM社やKmart等、数々の大規模企業再生を成し遂げ、急速に期待と信頼を世界中から集めて成長してきたエキスパート集団。日本オフィスも2005年に設立され、日本航空やライブドア等の企業再生でその手腕を示してきた。このアリックスパートナーズ日本オフィスが今、新たな成長局面を迎えようとしているという。
そこで、同社を率いるツートップ、深沢政彦氏と野田努氏にアリックスパートナーズの独自性、そして日本オフィスが今後さらに注力しようとしているテーマについて話を聞いた。

景気の浮沈とは別次元で膨らむ危機意識。
それがアリックスパートナーズへの期待増につながっている

「経営破綻が迫り、緊急性を要する局面で企業の再生を引き受け、これを実現していくプロフェッショナル集団」......多くの人がアリックスパートナーズについてこうした認識を持っているはずだ。だが、深沢氏も野田氏も、「それはアリックスパートナーズの強みや特徴の一面に過ぎない」と指摘する。危機的状況に瀕した大企業をドラスティックに引き上げ、再成長の軌道へと導くプロジェクトは、たしかに衆目を集めるが、とりわけ日本においては違った性質の期待値もまた膨れあがっているようだ。

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「『企業再生』あるいは『事業再生』という言葉の意味・定義がこの数年で急速に広がっています。特に今はアベノミクスをはじめとする政策の効果もあって、日本を取り巻くビジネスの状況が上向いてきた、と見る傾向もあります。しかし、この仮説の真偽はさておき、多くの企業が共通した2つのテーマの実現に追われているのです」(野田氏)

野田氏の言う「2つのテーマ」とは何か? 明快だ。「国内における効率化」と「海外における成長化」。この2つを、同時に、しかもいち早く実現できなければ企業の生きる道は失われる。この難局打開において、アリックスパートナーズが持つ「再生」の力に期待がより一層集中し始めている、というわけだ。

「『なぜ企業がアリックスパートナーズに期待をしてくださるのか?』という問いに対する答えもはっきりしています」(深沢氏)

そう語る深沢氏は、「多くの企業がこれまでコンサルティングのプロとの協力関係で成長を実現してきた」ことを、ポジティブな事実として示す。

「事業を変革したり、経営を効率化したり、グローバル戦略を整えたり、という様々な局面で、コンサルタントは力をふるってきましたし、それは今でも続いています。ただし、そうした繰り返しを通じて、当然のことながら、当事者である企業内部にも成功のノウハウや知見が蓄積され、活用され始めています。コンサルタント人材を自社に登用する企業も少なくありませんし、極論すれば経営の改善に必要な知識・知恵の多くが書籍となって世に出てもいます。有用なリソースは内外に豊富にある。しかし、それらをフル動員しても解決できない新たな局面を迎えているとしたら、どうなるのか? そこがポイントになってくるのです」(深沢氏)

今までとは異なるノウハウやアプローチで現況を打開したい......そう考える企業が増えていることが、アリックスパートナーズへの期待値の増大につながっているというのだ。では、具体的に「アリックスパートナーズの何が、いわゆるコンサルティングとの違いなのか?」。

暫定経営陣として企業の内部に深く入り込み、当事者となる。
この独自の経験がさらなる成長につながる。

アリックスパートナーズのサイトには、その特徴が明記されている。主に携わる領域は4つ、「経営改善」「企業再生・リストラクチャリング」「財務アドバイザリー」「情報管理サービス」だ。他のコンサルティングファームとの違いについても、「結果をもたらすことに情熱を傾ける経験豊富なシニアプロフェッショナルのチームがクライアントに対して直接サービスを提供している点です」とある。これをより具体的に説明してもらった。

「端的に言いますと『違い』は2つです。1つは成功報酬を取り入れたフィー体系。本当の意味でお客様とリスクをシェアし、効果もシェアする関係を築くのが私たちです。ですから、計画を立てるだけでなく、それを実行し、そして結果につなげていくことにコミットしています。もう1つのポイントは、暫定経営陣を派遣する手法。クライアントの中に入って、実際に実行に携わっていくことで、問題を迅速に解決していきます。実業経験を豊富に持つ当社のメンバーが、直接クライアント企業の経営・実行メンバーの一翼を担うことで、効果もスピードも大きく違ってくるのです」(野田氏)

全てが成果報酬型によるものではないが、クライアントから緊急な局面で求められれば、そういった形態も取り組むノウハウと実力。これは他のコンサルティングファームと大きな「違い」といえる。また、経営陣派遣の手法はPE(プライベート・エクイティ)にも見られるものだが、その内容が「違う」のだと野田氏は言う。

「私自身もかつてPEに身を置いていましたが、基本的にリスクマネーの供給を担うPEにとっての最優先課題はファイナンシャルな意味合でのリストラクチャリング。これを実現する力を持った人材をPEは保有していますし、真価も発揮しています。一方、アリックスパートナーズが暫定的経営陣を送り込む場合は、企業収益の改善部隊としての意味合が色濃くなります。COO的な立場で実際の事業を動かしたり、時には部課長クラスの人間としてクライアント企業内部に入り、ダイレクトに現場で戦ったりもする。従って、ファイナンシャルなリストラを行うPEと協業して、我々がオペレーションのリストラを行い、クライアント企業の包括的な再生を行う場合も少なくないのです」(野田氏)

こうなると、気になるのが暫定経営陣の一員となり得る者の資質だ。アリックスパートナーズのこれまでのクライアントを見ても、名だたる大企業が多数存在する。激烈なスピードで変革や再生を起こすことが求められる成長企業も多い。再生の取り組みがグローバルなアプローチとなるケースも多い。そうした企業の内部に入り込み、成果を上げていくには、相応の人物が必要になるはずだ。質問をすると、深沢氏は微笑みながらこう答えた。

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「わかりやすい一例を挙げれば、『やったことのある人』です。暫定的とはいえ、企業経営の当事者になる、というのは外部からコンサルタントとして関わるのとはまったく違います。それは私も野田も過去の経験から熟知しています」(深沢氏)

経営陣となることとコンサルタントとの違いは何かといえば、「広い意味での人間力が問われる点」とのこと。アリックスパートナーズには「やったことのある人」が多数在籍している点も1つの特徴だと語る深沢氏だが、もちろん「やったことのない人」も多い。

「経営者の経験を持つディレクターが暫定経営陣のトップとして出向くだけでなく、バイスプレジデントやアソシエイトも複数集まって暫定経営陣のチームを形成するケースが主流ですから、そこでの経験が『やったことのない人』の成長につながります。こうした成長機会を有している点もまた当社の独自性と言えるでしょう」(深沢氏)

一方、野田氏は「オーディエンス」というキーワードで説明する。

「コンサルタントの立場でも、クライアントの経営者とマンツーマンで向き合う機会はあります。しかし、彼の貢献度や評価を決めるのは、結局のところクライアント企業のトップであったり、自ファームの上司。オーディエンスが限定的です。ところが、暫定経営陣としてクライアント企業の経営の当事者となれば、担った事業のサプライヤーや顧客をはじめとする外部企業や、株主や銀行も含む経営を支える多くのステークホルダーに成果のほどを直視されます。財務面での効果の現れにも責任を負うこととなる。多種多様のオーディエンスに認められる働きを求められるわけですから、非常に厳しい。かかるプレッシャーもコンサルタントとは比べものにならない。ただし、そのかわり、深沢が言ったように大きな成長が得られますし、何より外部の人間では味わえないほどの成功の喜びを得ることも可能です」(野田氏)

プロフィール

写真:深沢 政彦 氏

深沢 政彦 氏
マネージング ディレクター 日本共同代表

一橋大学経済学部卒業後、住友銀行(現・三井住友銀行)を経てA.T.カーニーへ。アジア、ヨーロッパ、北米の多数の企業と向き合い、経営戦略、組織戦略、事業再生、合併後の統合など、広範囲に渡る分野で手腕を発揮。米国本社取締役、日本支社代表を務め、中国支社会長およびA.T. カーニー韓国の会長代理も務めた後の2012年、アリックスパートナーズに参画した。1993年M.I.T.スローン校にてMBA取得。訳書に『明日の世界を読む力』(東洋経済新報社)がある。

写真:/野田 努 氏

野田 努 氏
マネージング ディレクター 日本共同代表

慶應義塾大学経済学部卒業後、日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経てマッキンゼー・アンド・カンパニー、米国KPMGトランザクションサービスへ。日本企業の米国市場参入、事業買収・提携にかかる戦略立案・事業統合等のクロスボーダー案件、日米企業の成長戦略の立案等を行った。その後、ユニゾン・キャピタルにてCFOに就任。資金調達やIR、出資企業のモニタリングやファンドの管理部門全般の指揮を執った後、2007年にアリックスパートナーズ参画。ハーバード・ビジネススクールにてMBA取得。著書に『企業再生プロフェッショナル』(共著 日本経済新聞出版社)などがある。

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