画像:株式会社 日立コンサルティング

株式会社 日立コンサルティング

2002年の設立以来、戦略をリアルに実行する姿勢を貫き、成長を遂げてきた日立コンサルティングは2012年、社会イノベーション&インキュベーションをミッションとする部門を設立。社会の課題・問題に正面から向き合う体制の本格始動で注目を浴びている。そして今、同本部は具体案件の増加と、社会からの期待急伸を受け、人員の強化・拡大に打って出ようとしている。
では、日立コンサルティングに寄せられているという「社会イノベーションへの期待」とは 具体的にどのようなものなのか?そして、強化しようとしている人材面では、どのようなこだわりを持っているのか?
社会イノベーション&インキュベーション本部を率いる関穣氏に話を聞いた。

「社会イノベーションとは何か?」
その定義付けからスタートした革新的集団

「文字通り『社会にイノベーションを起こしましょう』というのがこの本部の使命です。しかし、この名称だけでは意味合いや対象となるものがあまりにも広くて『いったい自分たちは誰と一緒に何をするのか』が見えにくい。ですから、私たちが最初に着手したのは、『社会イノベーションとは何ぞや』『コンサルタントである我々がそこで何を担えばよいのか』という定義付けだったのです」

社会イノベーション&インキュベーション本部設立時の様子を振り返る関氏によれば、日立コンサルティングがこの本部をスタートした背景にはいくつかの要因があったのだという。

1つは従来型コンサルティング事業に訪れた変化。個別企業のイノベーション戦略を策定し、その実現に向けてともに奔走する、という日立コンサルティングの姿勢は不変だが、それら既存ビジネスの中に、複数企業とのコラボレーションやアライアンスが頻繁に絡むようになった。

特に大型プロジェクトにおいて、こうした傾向は顕著とのこと。クライアント1社の収益獲得だけを追求するようなコンサルティング・スタイルでは到底目標を達成できない状況が増えてきたというのだ。

一方、日本社会そのものにも変革の必然性が急速に高まってきた。高齢化問題やエネルギー問題などの解決が急務となる中、その解決過程そのものが民間企業にとっては大きなビジネスチャンスになろうとしている。しかしいずれの社会問題も、特定業種の一企業だけで解決できるようなものではない。異なるフィールドで異なる価値観と強みを持つ複数の企業を束ね、リードしていくような存在を求める声が高まってきているという。

以上のような背景もあって、「1つの会社や業種」だけを見つめるコンサルティングではなく、社会問題を取り巻く全体像に向かって問題解決のメスを入れていく存在としての機能を果たすべく、社会イノベーション&インキュベーション本部は生まれた、というわけだ。では、関氏を中心に進められた「定義付け」はどうなったのか?

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「私たちが定義付けの結論として出した答えは3つです。1つめは、至極ストレートな内容。『社会課題の解決に寄与するのが我々の使命なのだ』ということの確認です。

では、このような大きな使命を果たすには、何が必要となるのか? 答えは複数の業種や技術領域にまたがり、それらをつなぎ合わせていく力です。どこにでもできる取り組みではありませんが、私たちにはそれができます。様々なアセットを持つ企業の集合体である日立グループを効果的に活用していくことが、日立コンサルティングならばできる。つまり2つめの答えは、グループが持つ有効なアセットを活用していくべき取り組みだ、ということです」

ここで関氏は、日立コンサルティングの立ち位置を明確にしておきたい、と話す。日立コンサルティングが日立製作所の100%子会社であり、日立グループの一員であることは事実だが、一方で、コンサルティングという職種は中立性の担保も求められている。ですので、日立グループとの関係においても、自立・独立した存在としてグループと健全な関係を保たなければばらないという点を理解しておいてほしい、というのである。

「たとえばエネルギー問題を解決するプロジェクトとなれば、この分野で圧倒的な成果と技術と影響力を持つ日立製作所の存在が鍵を握ります。事実、スマートシティ関連のプロジェクトなどでは、他のコンサルティングファームも日立製作所に積極的に働きかけています。

日立コンサルティングが『同じ日立グループなのだから、競争抜きで協力を得られる』わけではありません。日立製作所もまたフェアな視点でパートナーとなるファームを選択する。我々はたしかにホットラインでつながっている優位性を持っているけれども、決して安閑としていられるわけではない。どこよりも優れた問題解決を明示していくことで、初めて協働が実現するのです」

日立コンサルティングが常に最適なパートナーであり続ける努力をすることで、初めて2つめの定義付けは現実のものとなる。そのことを肝に銘じながら関氏率いるチームは活動しているというのである。

では、3つめの定義付けは何なのだろう?

「継続的な問題解決姿勢の必然性です。社会とは人々が日々営みを続けて行くステージであり、そこでの問題解決もまた単発的な対応で成し遂げられるものではありません。変革を起こすだけでなく、その成果を継続的に維持できるような仕組みを作らなければいけない。複数の民間企業が参画するプロジェクトに継続性を持たせるには、それが収益を生み出し、ビジネスとして成立し続けるような構造まで築かなければいけない。我々はこの部分にもコミットすべきだ、という結論に達したのです」

さらに関氏はこのチャレンジが「コンサルティング・ビジネスの新たな可能性の模索」でもあるという。継続性のある社会変革への挑戦を通じて、これまでのコンサルティングにはなかった可能性も追求する。社会イノベーション&インキュベーション本部が果たすべきもう1つの使命というわけだ。

「会社」ではなく「社会」と向き合うことで
生まれ始めている具体的な成果

それでは、日立コンサルティングが取り組む「社会イノベーション」は、現状どのような成果を生み出しているのか。具体例を聞いてみよう。

「いくつものプロジェクトが進行している中、オープンにできる例を挙げましょう。1つは高齢化問題に関わるプロジェクトです。現代ではITをはじめとするテクノロジーの進化によって、多様な情報を容易に手にできるようになりました。高齢者のみの独居世帯が増えて、生活上の不便や不安が増大している中、情報社会の利便性を活かしていくことができれば、数々の問題を解決できます。

しかし、現実問題として、ほとんどの高齢者はPCや最新のスマートフォンやタブレット端末といった機器を持っていませんし、その使い方を理解できている人も少数に限られます。世の中にどれほど有用な情報や機能が流通していても、それを実際の高齢者が利用できないのでは意味がありません。

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そこで我々が着目したのがテレビです。IT機器と異なり、多くの高齢者が保有し、使い方も浸透している。そのテレビを双方向性のある情報端末にすることができれば、地域情報をより豊かに提供することができるばかりでなく、例えば見守りサービスのような福祉サービスにも活かしていけます。

2013年度に、日立製作所とテレビ朝日と共同で神奈川県のとある集合住宅を対象に実証実験を行い、その結果をもとに現在はサービス提供の事業体の設立準備を行っています。

日立コンサルティングの役割は、当サービス事業の成功に向けたアクションの推進となります。顧客となるデベロッパーの方々に対する提案活動に加え、例えば化粧品会社や旅行会社等、高齢者の生き生きとした生活を支援するサービスを提供している会社をパートナーとして巻き込み、魅力的なサービスを一緒に作っていくといった活動を主に担っています。

これらの活動一つ一つを取ってみると、通常のコンサルティング活動の延長ではありますが、それらを一企業に対して行うのではなく、社会課題の解決という視点で組み合わせて行っているところが特徴だと思います」

「グローバルのプロジェクトも一つ紹介しておきます。スイスのベンチャー企業と共同で、ヨーロッパの某空港にて旅客視点での次世代空港構想の策定等のプロジェクトを手掛けています。これなどは、社会課題の解決という側面ももちろんそうですが、これまでコンサルティング会社がお付き合いしてきたパートナーとは異なる、新しいタイプのパートナーと協業することで、これまでにない発想・アプローチでプロジェクトを推進することができた事例ではないかと思います。その他、農業、教育、ヘルスケア等、様々な領域で社会課題の解決という観点での取り組みを推進しています」

「もちろん、日立コンサルティングが以前から強みとしてきたスマートシティ関連も含むエネルギー問題の解決に関する案件も、複数動いています」

関氏によれば、こうしたエネルギー関連のニーズがここへきて急激に高まっているという。環境問題や3.11からの教訓等により、火力、原子力など既存エネルギーだけに依存できなくなった現状を、いかに解決へと導くか。そのような問題意識から、欧米に遅れての取り組みになりますが、日本においても100年に一度の大改革がエネルギー分野において起こっています。

そして同時にスマートシティ構想にも現れているように、エネルギーへの取り組みをいかに街づくりや社会の再構築につなげていくか。これらを目指す動きが本格化する中、日立コンサルティングの社会イノベーション&インキュベーション本部に対する期待も劇的に高まっているのだという。

プロフィール

写真:関 穣 氏

関 穣 氏
株式会社 日立コンサルティング
社会イノベーション&インキュベーション本部 マネージングディレクター

大学卒業後、1991年にアンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)へ入社。官公庁関連部門において主に教育機関の経営・業務変革を担った後、2006年に日立コンサルティング入社。官公庁関連分野でのコンサルティングを担当した後、社会イノベーション&インキュベーション本部が設立されたのを機に、2012年より現職。”会社”ではなく”社会”とダイレクトに向き合う新しいコンサルティング・ビジネスの基盤を構築しながら、数々の大規模社会変革プロジェクトをリード。同時にこの革新的チームの統括・マネージメントを担っている。

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