人材に求める4つの基本資質とは?
「私が考える重要な資質は、全部で4つあります。まず1つめはコミットメント。クライアントへのコミットメントは当然のこと、加えて、自らのコンサルティングチームに対するコミットメントも必要だと思うのです。」
先に触れた通り、他のファーム以上に、顧客企業はガートナーに中立性を期待している。顧客サイドに立つからには、コミットする姿勢は強く求められるのは納得できる。 ユニークなのは、内部へのコミットメントという発想。中村氏は「具体的な数値目標は持っていない。」としながらも、短期間でコンサルティングチームを拡大するミッションをおびている。東京オフィスのチームは、今まさに規模を押し広げようとしているタイミング。加えて、コンサルティングモデルの進化にも重点を置いている。自らが「このチームをどう成長させるか。」を考え、実行していく機会も手に入る状況と言える。
グローバルな後ろ盾と、これまでに得た信頼をバックに、新たなファームを自分で形成していける醍醐味がここにはある。だからこそ、コミットメントのベクトルの向きにも 中村氏は注目するわけだ。
「2つめに注目したいのは、スマートさ。物事を考える処理能力と 実現可能な解決方法を考え、まとめあげる能力のことを指しています。コンサルタントにはいろいろなタイプがあると思うのですが、問題を解決するとき、いろいろなアイディアが次々と出てくる発散系の人もいれば、整理学が得意な人もいる。できれば、その中間にいるような人にぜひ参画して欲しいのです。」
ここまでの話からもわかるように、ガートナーはモデルの発展とハイバリューを重んじて事業を展開し、そして個別案件にも向き合っている。それゆえ、人材にも以上のような意味合いでのスマートさを求めているのだ。
「3つめは、ディスカッションを通じて価値を生み出すスタイルの人かどうかです。現状の企業経営の問題点のどれをとっても、たった一人のコンサルタントがすべてに対応できるレベルではありません。もちろん個人としての成長は大切ですが、ディスカッションを通じて更に提供価値を高めて欲しい。必ずしも、ディスカッションで次々と意見を発信する人ばかりでなくていいのです。価値をチームワークから生みだそうとする人、それができる人、そうしたい人というのを私たちは求めています。」
それゆえに、ガートナーでは面接でもディスカッションを多く取り入れているという。討議の中で、何を言えるか、何を発想できるか。そこに着目するのだ。
「そして4つめがITを毛嫌いしていない人であることです(笑)。企業変革にITは不可欠な要素だと思います。大好きである必要はありませんが(笑)、やはりITの持つ可能性を知り、正面から向き合うことに嫌悪感を持たない人材であってほしいと思います。」
以上4つの条件に適合していれば、ガートナーが持つ圧倒的な知的資産を駆使し、独自のコンサルティングにあたることが可能なのである。しかも、営業チャネルを独自に持っている。中村氏が示唆した「3要素」が揃うことで、ガートナーのコンサルティングチームは、他に真似のできない価値を創出できるのである。
最後に中村氏は、キャリアパスの積み方についての独自性も語ってくれた。
「ここまで話したような環境がありますから、我々は他のファームよりも自由なキャリア形成を追いかけることが可能だと考えています。たとえば、すぐにでも出世したい人ばかりではないでしょう(笑)。あるいは、要領良くは立ち回れないが、じっくりと知見を蓄積して力を発揮する人もいるでしょう。いつごろまでに、どれくらいのペースで自身を成長させ、ステージを上げていきたいか。これは人それぞれのはず。ならば、それが出来る環境を提供しようと考え、話し合いながら運営しています。それぞれ異なる人生観を持った集団が、ディスカッションや対話を大切にしながら多様性のあるチームとして成長していく。それがここならばできるのです。」
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