スカイライト コンサルティング自体が、経営イノベーションの実験ラボ
スカイライト コンサルティングのユニークさは以上の発想を見ても明らかだが、これだけでは終わらない。羽物氏は、会社作りのイノベーションについて、スカイライト コンサルティング自体を一つの実験、実証の場として捉えているのである。
「『個々の現場の自由を尊重しつつ、そこで得たものを規律を通じて集合知とし、全体の財産にしていきましょう』と言葉でいうのは簡単です(笑)。けれども、これが実に難しいから、数々の優れた企業が頭を悩ませているわけです。ならば、言い出しっぺである私たちが自分の会社の経営で、それを体現すべき。創業時から、そう強く考えてきました。」
多少なりともコンサルティングファームの業界事情を知る者には、有名な話でもある。スカイライト コンサルティングは、これまでに立候補制のアサイン制度、丁寧かつ公正な評価制度など、数々の画期的な経営手法を自社の経営に取り入れてきたことで、知る人ぞ知る存在になっているのだ。
「オープンな組織となり、自由に意見を戦わせることが可能で、なおかつフェアな評価をしてもらえる。そういう会社作りを私たちは目指してきました。やりたいと思ったことは、周囲を納得させることさえできれば、なんでもできる。しかし、その成果は厳正に評価される。うまくいけば納得のいく評価が得られる反面、失敗すればその責任も問われる。そうした『自由と規律の独自バランス』を、今では確立できたと考えています。おかげさまで、当社に中途入社するメンバーには『私は何をしたらいいですか?』などと言うような人はいません。そうした人物にとっては決して幸福な会社とはいえませんから(笑)。」
笑いながらこう語った羽物氏だが、目は真剣なまま。そして、以下のように付け加える。 「現状でもスカイライト コンサルティングが理想の会社、100点満点の会社作りのお手本だ、などとは思ってもいません。試行錯誤もある。それが健全な経営というものです。当社のメンバーは、自由と規律のバランスを心得た者ばかりですから、自社の経営に不満があれば、それについても自由に声を上げます。私は社長だから、とか、そうした肩書きはまったく関係ありません。入社間もない若いメンバーが、不満点を掲げ、『こう解決すべき』という提案をすれば、皆がそれに対して真剣に考えます。価値ある提案だと皆が理解した結果、導入した仕組みというのも多々あります。言い換えるならば、『オレがこのファームをもっと良くしてやる』くらいの問題意識の持ち主にこそ、参画して欲しい。そう心から願っているのです。」
他ファームにはない、独自の観点による5段階のキャリア展開
以上のように、根底から他ファームとは一線を画した姿勢を貫いているスカイライト コンサルティング。では、どのようにキャリアを積んでいけるのだろうか?
「大まかに分けて5つのレイヤーがある、と理解して欲しいです。 まず第一段階がタスクワーカー。指示された仕事を着実に形にしていく素養を発揮する段階です。
第二段階がプロジェクトスタイルワーカー。ここからが本当のキャリアのスタートと言えるかもしれません。ここまでお話してきたような、協働型の仕事の進め方が必要になります。自分の担当プロジェクトで起こっている事象と相対するだけでなく、担当範囲外の課題にも目を向け、必要に応じてその改善や解決にも役立っていこうとする働き方。スカイライト コンサルティングのコンサルタントの基本線です。
第三段階がコラボレイティブ・マネージャー。先に申し上げたように、顧客企業や当社のメンバーあるいは外部の組織など、様々な人々を巻き込んで、よりイノベーティブなコラボレーションのあり方を追求していく立場です。
第四段階はビジョナリー・リーダー。自分のビジョンというものをしっかりと用意し、それをあらゆる人々にきちんと伝達し、実現していけるリーダーです。
第五段階は言ってみればサーバント・リーダー。ビジョナリー・リーダーに向かって、違うスコープ、より広いスコープから助言・提言を加えていく立場です。」
こう、明確に説明したうえで、羽物氏は言う。「参画して欲しいのは最初から第二段階で活躍できる人」だと。そして、そうした人材に第三、第四段階を目指して奮闘してほしい、と。
では、そうした人材像に匹敵するかどうか、羽物氏は面接でどういう視点から見極めているのか。最後にこれを聞いた。
「難しい理屈はありませんよ(笑)。情報をきちんと理解して、分析して、創造力を発揮できるかどうか。そして、その創造力をきちんと他者にわかるように発信できる人なのかどうか。私が面接で注目するのは、唯一このポイントだけです。以上のような素養さえあれば、必ずその人は進化しますし、その人が参加してくれることで、必ずスカイライト コンサルティングも進化できるからです。」
ちなみに、創業から8年が経過したスカイライト コンサルティングは、従来のコンサルティングとは別に、新たな事業展開も視野に入れ、実働を始めつつある。これについては、別ページを参照してほしい。同ファームの型破りなイノベーションは、また新たな局面を見せ始めようとしている。
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