求めているのは、言わばプロ経営者予備軍人材。
経営に関わる知識・スキルはもちろん、何より「意欲」「情熱」にこだわりたい
「では、具体的にどんなバックボーンや志を持つ人材を求めているのか?」という話をお聞きしたくなるのですが、考えてみれば井上さんが"いきいき"に参画した経緯が大いに参考になる気がします。まずはそこから教えていただけますか?
【宮澤】今後展開していく新規事業全体を統括できる存在を求めていたのが2〜3年前です。当時は複数の優秀なかたとお会いしました。では、その中からなぜ井上に決めたのかといえば、渡邉美樹さんのもとでしっかり成果を出していた、という点が大きかった(笑)。
【井上】え? そこがポイントなんですか?(笑)
【宮澤】もちろん、ブーズやマーサーで経営や組織の変革に携わってきた実績も大きかったですよ。あの時も求めていたのは、経営者になり得るだけの視野の広さと、経営スキルや知識、思考力だったから。
でも、それだけでいいのならば、世の中のコンサルティングファームや事業会社の経営企画部門などにも素晴らしい人材はいる。加えてこだわったのは情熱であり、この領域の可能性を本気で信じる姿勢であり、強靱なメンタルも含めたタフネスだった。
ワタミの渡邉さんのように、良い意味で厳格かつタフなリーダーに認められ、あの強烈なパーソナリティのもとで単に付き従うだけでなく自分なりの成果と成長を築いてきた人だと思ったからこそ、「是非来てくれないか」とお願いしたんです。
【井上】そこまで言っていただけるなんて光栄です。
今熱望しているという事業責任者あるいは将来的な経営リーダーに求める人材像というのも、井上さんの時と重なっているのでしょうか?
【宮澤】その通りです。具体的に言えば、1つの専門性を強みとするようなかたではなく、総合力を備え、それを伸ばしていこうという志向の持ち主。経営関連の知識やノウハウをある程度身につけているだけでなく、組織をリードするために求められる広い意味でのコミュニケーション能力であったり、事業化のために不可欠となる経営者的センスも持ち合わせている人。
【井上】先ほど宮澤も申し上げたようにコンサルタント経験者や企業の経営企画部門経験者だけに絞っているわけではありません。そうした経歴の持ち主が備えているであろう能力やセンスや経験値にはこだわりたいけれども、「前職が何だったのか」にこだわるつもりはありません。当然のことながら、年齢や性別などにも一切こだわりません。
シニア関連の事業に携わった経験を持っているかたがいるのならば、それらの経験値はもちろんプラスになると思うのですが、これについても必須条件とは思っていません。異業種からのチャレンジでも大歓迎だということです。
【宮澤】例えば現役コンサルタントのかたが「事業会社で経営責任を背負いながら成果を出してみたい」と願っているようなケースは多いと思いますが、そういうかたが"いきいき"グループのビジネスに強く共感してくれるのならばウエルカムです。
あるいは事業会社で多様な経験を積んできたかたが、そうして得たものを結集させて「総合力で勝負できる経営へのトライ」という夢を実現したいと願っているのならば、それもまたウエルカム。もちろん「将来的に起業を考えていて、その起業の夢への第一歩を踏み出したい」というかたも大歓迎です。強い成長意欲と、我々が向き合っているチャレンジに対する理解と共感の両方を持ち合わせているかたと出会いたいと思っています。
【井上】抽象的な言葉だと思われるかもしれませんが、やはりどんな要素よりも重視したいのはシニアへの「想い」や「愛情」や「情熱」といったものになります。
【宮澤】大事な点だね。先ほども言いましたように、ここでプロ経営者として自立できるくらいの力を養い、ゆくゆくは巣立っていこうと考えているかたでもかまいません。しかし、まずは私たちと一緒にシニアマーケットというものが無尽蔵に秘めている可能性の大きさに興奮し、それらを世界中の誰も実現できていないような新しい事業の形にしていくことに夢中になってほしい。
成長意欲は持っていてほしいけれども、「キャリア・アップのために頑張ります」ではなくて、「自分たちが精魂込めて築いたものを50代以上の女性たちが喜んでくれる」ことを最大のモチベーションにしていくような、そういう人と出会いたいと願っています。
【井上】誤解のないように伝えておきたいのは、宮澤と私が線引きしたものの上で忠実に動いてくれる人を求めているわけではない、ということです。そもそも今回の分社化も企画してぶつけたのは私でした。それを宮澤がしっかりと受け止めてゴーサインを出してくれたのが事の始まりです。
つまり"いきいき"には誰もが自発的に前を見て発想し、そうして作り出した提案を経営者にぶつけていける土壌があるということ。そんな"いきいき"グループで新しいリーダーになってもらおうというのですから、自発的に動き、自由に考え、想いをぶつけていきたいという人にこそ注目してもらいたいと思います。
【宮澤】2009年の経営再建へのチャレンジ以降、当社はノーリツ鋼機の資本傘下にありますが、経営戦略上の制約は一切受けていません。むしろ、ともにチャレンジングな試みにトライしていこうとするパートナーシップが確立されている。ですから、その気さえあればどんどん大胆なことができるし、そうしたいと願っている人にとっては思う存分暴れられる環境があることも知っておいてほしいですね。
シニア市場は、世界が熱い期待を寄せている革新的領域。
「壁」を「階段」に変えてしまうような人を必要としている
最後に、このインタビューを熱い想いで受け止めた読者にメッセージをお願いします。
【宮澤】私たちが取り組んでいる挑戦は、エスタブリッシュされた産業や企業の中で、従来路線の延長上に新規事業を設けていくのとは一線を画します。ITやバイオなどのように華々しいイメージでは語られないシニア市場ではありますが、実は日本のみならず世界中が「今までにないイノベーション」を期待している最先進領域です。未開拓の部分がまだまだ多く残されているフィールドで、ベンチャー企業を起ち上げていくようなチャレンジを"いきいき"は本格化させます。
ですから、このチャレンジに対して「難しい」と思うのではなく「わくわくする」という人に参画してほしい。そういう人とともに世界の市場にくさびを打ち込むような成果を築いていきたいと願っています。
【井上】宮澤が指摘したように、未開のフィールドでのチャレンジには難問が付きまといます。しかし、それを「壁」だと捉えるのではなく「未来へ伸びる階段」だと捉える人と一緒に奮闘したいですね。誰も手をつけていない挑戦だからこそ、誰も到達していない高みへと登っていける階段になる。そう信じられる人を私たちは待っています。
プロフィール
宮澤 孝夫 氏
代表取締役社長
1956年生まれ。東京大学大学院修了後、野村総合研究所へ入所。UCLAビジネススクールへの留学・MBA取得を挟みつつ、主に自動車業界や航空・宇宙業界をはじめとする製造業を対象にしたリサーチ、コンサルティングを約10年間担った。その後、ボストン コンサルティング グループへ転じ、約4年間にわたり戦略コンサルタントとして活躍。1996年、テレマーケティングジャパンに入社し、2003年には同社代表取締役CEOに就任。黎明期にあった日本のコールセンター事業分野において、大きな成果を築き上げた。2009年、PEファンドのJ-STARが買収したいきいき株式会社代表取締役に就任。同社の経営再建を達成して再成長軌道に乗せ、現在に至っている。
井上 耕平 氏
事業開発室長
1975年生まれ。早稲田大学卒業後、日本輸出入銀行(現 国際協力銀行。JBIC)に入行。同行で資源金融を担当、シラキュース大学マックスウェル行政大学院でのMPA取得を経て、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサー ジャパン)、ブーズ・アレン・ハミルトン(現プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー)でコンサルティング業務に携わった。その後、ワタミグループのワタミの介護株式会社でCFOや経営企画担当執行役員を務める。そして2012年、新規事業の起ち上げから確立までをマネージメントする存在を求めていたいきいきに魅力と可能性を感じ入社。事業開発室長としていきいきグループの新たなチャレンジをリードしている。
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