アディエントの強みは専門技術と誠実さ。
それらを体現する人材の育成に注力している
1998年の入社以来、一貫して自動車関連事業に携わってきたハワード氏。アディエントジャパンのカントリーマネージャーとなった現在では、日本国内のビジネスを統括しながら、同時にPMOエグゼクティブリーダーとして、アジア(中国を除く)の製品開発プロセスを担っている。
自動車用シートの領域で世界ナンバー1のサプライヤーであるアディエントでは、その開発・製造・生産に関わるメタル(金属部品)、フォーム(発泡剤関連部品)など、幅広い素材・部品を扱っているわけだが、アディエントの飛び抜けた競争力の源はどこにあるのか? そして、何が他の企業と異なるのかについて、ハワード氏に尋ねてみた。
「我々の競争力を生み出す最大の原動力は専門技術の高さです。では、専門技術の高さをなぜ手にできたのかといえば、一貫してワクワクするような、イノベーティブな製品開発を継続してきたからです。
アディエントは世界で成功している完成車メーカーのほとんどと一緒に仕事をしていますが、当然のことながら完成車メーカーにはそれぞれ独自のこだわりがあります。これらに対応し、最良の結果を出すのが我々の務め。
メーカーや多くのサプライヤーと密接に連携しながら高度な技術力を駆使するのはもちろん、チームとして的確に正しくワークし、価格競争力もクオリティも実現していかなければいけません。専門技術を活かしつつ、インテグリティ(誠実さ、高潔さ)をもって関係各者の連携を推進することで、アディエントの競争力は強化されてきたのです」
アディエントは世界シェアナンバー1の自動車シートサプライヤーであり、ジョンソンコントロールズ時代からGlobal OEM SuppliersランキングでTop10の座を維持してきた。世界中の完成車メーカーと向き合いながらビジネスを成功に導いていく力量が問われる。ナンバー1だからこそ、常に高度な期待と要求が寄せられる。しかし、そうしたタフな環境への対応が、多様な要求に応えるだけの技術力と誠実さを育み、成果と成長につながったというわけだ。
「結局のところ、アディエントの強みは人材なのです。どんなに飛び抜けた技術の持ち主がいても、チームでワークできなければ成果や評価にはつながりませんが、アディエントには社内のチームワークはもちろん、完成車メーカーとのチームワーク、そして各サプライヤーをはじめとする関係者とのチームワークを推進していける人材が揃っているのです。そうした人材を継続的に生み出し、維持するべく、人材育成、リーダー育成などに注力し続けているからです」
ハワード氏が語ったように、アディエントはリーダーシップトレーニングにおいて、北米ベスト企業の1つとして高い評価を獲得している。その内容はというと、例えば何百ものトピックをカバーするオンライン・トレーニング・プログラムを社員に無料で提供。
また、リーダーシップ・トレーニング・プログラムにおいては、多様な国々や文化を持つ人々を結びつけることに注力し、グローバルネットワーク構築を促進しているという。ハワード氏にとっては、JCLEとXLPという2つのトレーニング・プログラムが自身のキャリアを前進させる(昇進する)のに役立った。
「これらの高度に発展したプロセスを、世界中で共有・実施し、標準化していることによって、様々な地域性や文化の持ち主が共通の価値観と理解のもとで一緒に仕事ができるようになっているのです。アディエントの良質なチームワークは、以上のような数々のプロセスによって促進されています。一緒に働き、文化価値の違いを理解することにより、イノベーティブな製品の開発と提供がさらに強化されるのです」
活躍する人材の必須条件は
パッションとコミュニケーション
では、ハワード氏が採用においてフォーカスするポイントとは何なのだろうか?
「自動車用シートの開発・製造・提供を行う事業と聞けば、かなり絞られた領域のビジネスだという印象を持つ人は多いかもしれません。確かにこれに近い業界での経験値や、そこで求められる専門性、知識、スキルを保有している方がいれば嬉しく思うのですが、私たちとしては特にこだわってはいません。エンジニアリングや製造、つまりモノ作りに携わった経験や、ファイナンシャルやパーチェシング(購買)、セールス等に関わり続けた方であれば、それが自動車部品における経験値でなくても、必ず活きてきます。
多様な業界や領域の人材にも活躍してもらう上でも、当社の育成プログラムは効果を上げていくはずです。そもそも、私自身も以前はオイル業界やガラスメーカーに在籍していました。全ての資質とスキルを最初から持っている必要はありません。それらを獲得し、伸ばしていくのに必要なプロセスがここにはあります。だからこそ、私が採用面接などで何よりも注目するのがパッション。『学ぼう』という情熱をどれほど持っているか、なのです」
自らを高めていこうとする成長意欲の重要性を説くハワード氏は、さらにもう1つのポイントを挙げる。コミュニケーションだ。
「グローバル・カンパニーで世界を相手にビジネスをしていきたい、という人にとってアディエントは最適です。冒頭で申し上げたように、世界が認めるだけの成果と評価をこの会社はすでに持っているわけです。社内外を問わず、世界中のビジネス・パートナーと積極的にコミュニケーションをとっていく姿勢や、最低限の語学力を持ち、パッションを発揮してくれれば、確実に活躍し、成長することができます」
広い領域で高まる期待。
成長機会を模索している人にとってチャンスは無限にある
アディエントでの成長モデルの一例として、ハワード氏はプログラム・マネージャーという立場について説明してくれた。この会社でいうプログラム・マネージャーとは、IT産業のそれとは異なる。多くの製造業でいうところのプロジェクト・マネージャーに類似するポジションだと捉えればいいようだ。
「プログラム・マネージャーは、最前線でクライアントと向き合うばかりでなく、社内にある各部門、例えばエンジニアリングやファイナンス、パーチェシング等々とも連携し、必要な場合にはアディエントのグローバルなリソースも活用しながら、1つの案件をまとめ上げ、結果に導く立場です。
多様な分野の多様な相手に対してコミュニケーションを持ち、高い達成意欲を実現するためにチームメンバーをリードしていく必要があります。いくつもの部門やファンクション、あるいは様々な地域から発生する課題に対処するという役割は、ある意味、ミニCEOと言ってもいい立場です。難易度が高い分、確実に成長につながりますし、プロモーションにもつながります」
最後にアディエントに関心を持った人へのメッセージをハワード氏に聞くと、この会社が持つ未来への可能性について語ってくれた。
「アディエントが今後も自動車用シートをコアビジネスに据えて成長を目指すのは間違いありませんが、当社に対する期待は自動車産業以外でも高まっています。例えば旅客機や列車に対しても、アディエントは独自の専門技術を提供。これら自動車以外の交通機関においても、アディエントのシートは期待されていますし、事実、実績も伸ばしています。既存の市場にこだわらずに当社が持つ強みを多彩な場面で活かしていくようなチャレンジを望む方が参画してくれることも大歓迎です。
また、アディエントは世界中に拠点を持つグローバル企業ですから、向き合う相手は日本人やアジアの人々ばかりではありません。仕事を通じて成長し、違った文化を経験し、社員とのグローバルネットワークを築くために、我々は様々な機会を提供します。私自身、これまでにいくつもの国で働き、その国にある素晴らしい人々や文化と出会ってきました。そうした体験を得られるのもアディエントだからこそなんです。
どんな夢でもかまいません。あなたが、世界を舞台にしながら自分の夢を実現しようというパッションの持ち主ならば、ぜひアディエントでのトライを考えてみてほしい。私はそう願っています」
プロフィール
デビッド ハワード 氏
エグゼクティブダイレクター シーティングジャパン エグゼクティブダイレクターAsia PMO
米国ケンタッキー大学にて機械工学を専攻し卒業。米国エリス大学のビジネススクールでMBAを取得した。ジョンソンコントロールズへの入社は1998年。以来、オートモーティブ分野において様々な役割を担い、近年は製品開発および生産分野を統括。アジアにおける製品開発プロセスをリードするとともに、日本およびアジアのプログラム・マネージャーをはじめとする従業員のトレーニングも先導。現在では日本におけるオートモーティブ事業すべてを統括するカントリーマネージャー、そして、アジアにおけるプログラム・マネージメント分野のエグゼクティブダイレクターという2つの大きな使命を担っている。
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