シニアビジネス先進国であるべき日本には、まだまだチャレンジが必要。
"いきいき"がそのリーダーとなって、活気あるマーケットを創り上げていく
実名登録型SNSの「いきクル」が2万人ものシニア女性会員を集めて話題となっている最中ですが、御社ではさらに新しいチャレンジを始めていると聞きました。具体的にはどんな方向性と内容なのでしょう?
【宮澤】定期購読雑誌「いきいき」が紙の情報メディアとしてスタートしたのは1996年のことです。長い時間をかけて読者であるシニア層から信頼していただき、20万部という発行部数を不動のものにすることができました。
ロイヤリティの高い顧客資産というベースがあったからこそ、「いきクル」などの新しいサービス展開に取り組み、それを軌道に乗せることができたのです。
そして、今回、「いきクル」のさらなる拡充と、シニア女性専用人間ドックなどのヘルスケア領域での事業確立という2つのチャレンジを加速するために、井上を責任者として分社化することに決めました。
【井上】私は前職の"ワタミの介護株式会社"で、シニアのかたがたが持つ可能性の大きさを実感しました。しかし同時に、アクティブなシニア層の多様な要請や願望に応えるビジネスが市場でいまだに確立されていない現状を痛感していたのも事実。ですから、シニア女性に支持されている雑誌コンテンツを提供し、通販事業でも実績を上げ続けていた"いきいき"が、新規事業開発の責任者を探していると聞いた2年半前に、迷うことなく門をたたいたんです。
入社後、いきクル事業と人間ドック事業の立ち上げを行ってきました。これまで順調にきていますが、より成長を加速すべきとの判断から、今回、分社化をして、さらに2事業を牽引していただける責任者を採用していこうということになりました。
今採用を急いでいるという事業責任者の条件も「2つの新規事業を引っ張っていける人」ということになると思うのですが、あえて新規事業の運営を分社化し、事業責任者を外部から採用することにしたその理由とは何なのでしょう?
【宮澤】"いきいき"の社内には多数の有能な人材が在籍しています。しかし、これから本格化する一連のチャレンジは、従来の"いきいき"のビジネスとはいろいろな意味で違います。マーケティング力や、編集などのクリエイティブ力、あるいは「シニア層のリアルな要求を肌で理解している」というような高い専門性や経験値が活用できるのは確かですが、それらとは別の経営者的な視野やマネージメント能力などが高水準で必要になってきます。
ある意味、ベンチャー企業をゼロから起ち上げ、その経営を安定化させていく起業家のようなもの。これを実現できる人材がどうしても必要なんです。
【井上】かつての私がそうだったように、「"いきいき"が築き上げたあらゆるリソースをフル動員しながら、まったく新しい事業を構築したい」と願う人材は必ずいるはずだ、と思っています。私たちと夢を共有し、なおかつ大きな目標へのチャレンジを前向きに捉えてくれる人とめぐり逢うためにも、事業責任者として子会社の経営陣になってもらう、という形が最適だと判断しました。
【宮澤】私自身もまったくの異業種からやってきた経営者です(詳細はこちら)。それでも、この会社が持つ大きな可能性の中で成長させてもらい、ここまでやってくることができました。ですから、例えば将来的にプロ経営者のような立ち位置で自らを高めていこうとしているような人にも是非注目してほしい。そういう思惑も込めて、グループ子会社の設立と、新たな経営リーダーの獲得というやり方を選択したわけです。
世界の先進諸国に先んじて高齢化が始まった日本は、シニアビジネス先進国となり得る可能性を秘めています。これから高齢化を迎える中国など、アジア諸国もまた日本のシニアビジネスの動静に熱い視線を送っています。ですから、"いきいき"というプラットフォームを活かしながらグローバルな経営人材を目指したい、というような人も大歓迎です。そういう大きな目標に本気でチャレンジしようとしているかたと、一緒に夢を追いかけたいと願っています。
プロフィール
宮澤 孝夫 氏
代表取締役社長
1956年生まれ。東京大学大学院修了後、野村総合研究所へ入所。UCLAビジネススクールへの留学・MBA取得を挟みつつ、主に自動車業界や航空・宇宙業界をはじめとする製造業を対象にしたリサーチ、コンサルティングを約10年間担った。その後、ボストン コンサルティング グループへ転じ、約4年間にわたり戦略コンサルタントとして活躍。1996年、テレマーケティングジャパンに入社し、2003年には同社代表取締役CEOに就任。黎明期にあった日本のコールセンター事業分野において、大きな成果を築き上げた。2009年、PEファンドのJ-STARが買収したいきいき株式会社代表取締役に就任。同社の経営再建を達成して再成長軌道に乗せ、現在に至っている。
井上 耕平 氏
事業開発室長
1975年生まれ。早稲田大学卒業後、日本輸出入銀行(現 国際協力銀行。JBIC)に入行。同行で資源金融を担当、シラキュース大学マックスウェル行政大学院でのMPA取得を経て、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサー ジャパン)、ブーズ・アレン・ハミルトン(現プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー)でコンサルティング業務に携わった。その後、ワタミグループのワタミの介護株式会社でCFOや経営企画担当執行役員を務める。そして2012年、新規事業の起ち上げから確立までをマネージメントする存在を求めていたいきいきに魅力と可能性を感じ入社。事業開発室長としていきいきグループの新たなチャレンジをリードしている。
この企業へのインタビュー一覧
注目企業インタビューの最新記事
- 株式会社アダストリア | 執行役員兼マーケティング本部長 田中 順一 氏 (2023.7)
- 株式会社Quest | 代表取締役社長 南 健太 氏 / COO 小梶 隆介 氏 (2023.3)
- 株式会社カイバラボ | データ事業推進部 部長 兼 データコラボレーション部 部長 小林 真美 氏(2022.12)
- 株式会社JDSC | 代表取締役CEO 加藤 エルテス 聡志 氏(2022.9)
- 株式会社b-ex | 取締役 執行役員 コーポレート本部 本部長 篠原 麻理子 氏(2022.8)