三井物産株式会社
コンシューマーサービス事業本部
メディカル・ヘルスケア事業第一部医療サービス事業室
木田 高志 氏
コンシューマーサービス事業本部
メディカル・ヘルスケア事業第一部医療サービス事業室
木田 高志 氏
木田さんはアメリカの大学からそのままアメリカの金融機関に入られたと聞いています。
前職ではどんなお仕事を担当したのでしょうか?
【木田】前職ではまずアメリカの本店に勤務しました。その当時は資産運用管理が主な業務で、年金ファンド顧客対応や、証券・資金の決済、コーポレート・アクションへの対応などを担当していました。その後、やはり母国である日本で仕事をして少しでも貢献したいと考え、当初の希望通り東京支店へ移ったのですが、それからは従来の業務を継続しつつ、事業のアウトソースやシステム開発のプロジェクトにも参画していきました。
日米の金融の最前線にいらした木田さんが、前職をお辞めになり、あえてビジネススクールに行こうと考えた理由は何だったのでしょう?
【木田】大きな外的要因としてリーマンショックがあったのは事実です。自分を高めていけるような案件にチャレンジできる機会が少なくなってきたことから、転職についても、MBAの取得についても考えるようになったんです。ただ一方で、私はもともと起業や、マネージメントに関わる仕事をしたい、と考えたことから、アメリカの大学に入学し、将来的なキャリアビジョンを見据えて金融機関に就職した経緯があります。ですから、とにかく成長を止めたくないという内的なモチベーションも高かったんです。とはいえ、当初は異業種への転職を考えてはいませんでした。MBA取得後は再び金融の世界で仕事をしようと考えていたんです。
ということは、その後のビジネススクールでの経験が、キャリアに対する考え方を変えた、
ということだったんでしょうか?
【木田】そうです。ビジネススクールでは実に多様な人に出会いましたし、優秀な人にも会いました。刺激を受けたのは間違いないです。そのうちに、自分の進むべきキャリアについても、もう少し幅を広げて考えてみよう、という心境になり、金融のみでなくもっと実業寄り、ビジネス寄りの可能性も選択肢に入れるようになったんです。
ボストン・キャリア・フォーラムに参加した時にも、いろいろな可能性を模索しようと考えたところ、そこに三井物産も参画していたんです。ちょうど私のように銀行員から転職したという社員が話をしてくれまして、金融知識を活用することで新しいビジネスを創造できる環境なんだ、ということを教えてくれました。「チャレンジできる会社だ」「将来、グローバルな場面で経営に携われるチャンスがある会社だ」という話も聞き、非常に心に響いたんです。
三井物産へ入社して、すぐに今の部門に配属になったと聞いていますが、
金融とは直接関係しない部門ですよね?
【木田】そうですね。でも、それは私自身が希望した結果なんです。コンシューマーサービスで仕事をしたい、と会社にははっきり伝えていましたので。
医療機関向けのサービス事業を担っているのが今の部門とのことですが、
ここに配属される経緯をもう少し教えてください。
【木田】金融という私にとっての専門分野に特化した仕事を、という考え方もできたかもしれませんが、私が三井物産で経験したかったのは、たとえば財務についても人事についても携わり、事業全体を幅広く経営目線で見ることのできる立場でした。そういう立場になることで初めて得られる経験や学びを通じて成長したいと考えたんです。ちょうど現在のメディカル関連部門がそうした人材を求めてくれていたこともあって、すんなり決まったわけです。
現在、具体的にはどんなお仕事を担っているのでしょうか?
【木田】今は、国際的な病院グループの仕事を担当しています。いかにしてグループのバリューを高めていく経営ができるかの追求と同時に、病院経営だけではない周辺ビジネスの構築といったものも含めて、多彩なプロフェッショナルな方々と一緒に考えていく仕事です。
多彩なプロフェッショナルな方々というのは、コンサルティングファームや法律事務所の方であったり、病院経営に携わっている専門家の方であったり、あるいは社内でも多様な部署であったり。向き合っているミッションそのものも魅力的ですが、その解決に際して、これだけ多様で優秀な人たちと仕事ができることもまた、私にとってはやりがいにつながっています。
国際的な医療ビジネスというと、たとえばアジアなどの新興国が対象になるのでしょうか?
【木田】主に、そうですね。医療の領域では、中国であったりインドであったり、経済発展が著しいばかりでなく人口も多い新興国の存在が大きくなっています。現在担当している病院グループの場合は、これまでシンガポールとマレーシアとインドに病院を持っていたのですが、今年に入ってトルコでも病院をグループ化しました。そうして今、世界で第2位、アジアではNo.1の病院グループになっています。
先ほどもお話ししたように私一人でこの病院の経営を担っているのではなく、様々な専門家とともに協働しているわけですが、いずれにしても私のような若い人間、転職して間もない人間にここまでの責任を持たせてくれる。それが三井物産の特徴を示しているとは思いますね。泥臭い仕事も実際には多いんですが、非常にダイナミズムを感じて充実しています。
木田さんのお話は、三井物産がずっと標榜している「自由闊達」の好例だと思うんですが、
もう1つ「ひとの三井」というキーワードもあります。
そのあたりについて、何か思うところはありますか?
【木田】大いにありますね。たまたま私は金融の領域からここに来たわけですが、見回すと社内にはさまざまなビジネスの領域で、しかもエース級の働きをしてきたような人が揃っている。こういう方々と一緒に働けるだけでも、自分の成長につながっていると感じます。
ビジネススクールに通った経験のある人ならばわかると思うんですが、そこでもやはり多様なキャリアの持ち主が顔を揃えて、ビジネスのプレ体験みたいなことができる。非常に刺激を受ける。けれども、同じような経験を本物のビジネスで、しかも世界を舞台にして手にできる環境というのは、そうそうあるわけではないと思うんです。三井物産にはその環境があるんです。
最後に将来的なビジョンについて教えてください。
【木田】ちょっと先の話になると思いますし、その頃には私自身は違う部門にいるかもしれないんですが、やはりグローバルな舞台で成功をするだけでなく、その成果を日本でも発揮して、少しでもこの国に貢献できる状況になったらいいな、と思っているんです。要は日本の場合、病院経営に関する規制が厳しいため、今すぐ民間企業が病院経営を担っていくのは難しい状況なんですが、いずれは民間の力が必要になると見られています。その時が来るまでに、私たちがプラットフォームを構築し、直接病院経営を担えるような人材も育成していけば、今世界で獲得している多くの成果を日本でも活用していくことができる。ですから、その礎になるような部分に少しでも自分が寄与できれば、と考えています。
また、海外において医療ビジネスを発展させることができれば、日本の医療従事者が、日本の医療ビジネスにかかる人材が世界で活躍する下地にしていくことも、世界中で医療分野での雇用の創出につなげることも、世界中の医療レベルをさらに向上させることも可能なはず。そういう意味での貢献も、これからますます強めていきたい、と考えています。
プロフィール
木田 高志 氏
コンシューマーサービス事業本部
メディカル・ヘルスケア事業第一部医療サービス事業室
米国サンフランシスコ大学卒業後、ステート・ストリート銀行(アメリカ本店)に入行。
資産運用管理業務などを担当し、日本の東京支店へ異動後は事業のアウトソースやシステム開発などにも携わる。2009年にはMBA取得のためデューク大学大学院へ渡米し、2011年に三井物産へ転職。入社後はメディカル・ヘルスケア事業第一部医療サービス事業室にて、シンガポールやマレーシアなどの病院を買収し、国際的な病院グループの経営を担当。
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