2008.07.01
経営戦略セクター プリンシパル 斎藤 岳 氏 第3回 結論を出す能力
アビームコンサルティング 経営戦略セクター
プリンシパル
斎藤 岳 氏
結論を出すということ
「話はよくわかった。やろうじゃないか。ところで、検討期間は半年...だったかな?」
「いや、4週間です」
これは、とある企業で改革プロジェクトを行った際の、クライアントと、コンサルタントである筆者との実際の会話である。現場のキーマンに対し、今後の進め方を説明したときの出来事であった。
また、プロジェクトが終わった際に、その方から以下のお言葉をいただき、大変嬉しい想いをした覚えがある。
「ありがとう。この短期間でここまで出来るとは思わなかった。アビームさんたちは、風のように現れて、竜巻のように我々を巻き込んで、気付いたら良いものがたくさん出来上がった。結構自分の長年考えていたアイディアも入っているのだけれど、自分たちだけではここまで決められなかったよ。」
我々コンサルタントの仕事は、基本的に3ヶ月、4ヶ月といった限られた期間で結果を出す必要がある。この例のように、コンサルタントと一緒に仕事をすると、短期間で仕事をやり遂げるという印象を受ける方が多いようだ。
その短期間で仕事をやり遂げる秘訣は、一体何なのか?
1日に働く時間が長いということもあるかもしれないが、その他にも秘訣がある。
1つは日本でも比較的有名になっている「問題解決能力」を身につけていることである。
そしてもう1つ、会議・打ち合わせで「結論を出す能力」を身につけていること、これが違いを生んでいるのだ。
「問題解決能力」×「結論を出す能力」 ⇒ 短期間で、コラボして、デッカイことをやり遂げる
個人個人の考える力である「問題解決能力」に加え、複数の人が集まる場である会議・打ち合わせで「結論を出す能力」を身につけていることが、短期間で大きな成果をもたらすのである。
「アビームさんとの会議は、どんどんアイディアが飛び出て、そして、やるべきことがどんどん決まっていった」
これも一緒に仕事をしたクライアントからいただいた言葉だ。
会議・打ち合わせというと、「だらだらしていて当たり前」「結論が出ないのが普通」「3人寄れば文殊の知恵なんて現実は機能しない」と思い込んでしまっている、もしくは諦めている人が溢れている気がする。
実際、会議というものは結構難しい。前述した結論を出す能力なくして「どんどんアイディアが出て、やるべきことがどんどん決まる」会議の運営はまず無理だといっても過言ではないだろう。アビームでも座学を始めOJTにて会議の運営に関するスキルを徹底的に指導しているが、簡単に身につくものではないというのが実感だ。
この会議で結論を出す能力、一般的には、ファシリテーション力という表現をすることもある。前任で連載していた近藤のコラムにも「ファシリテーション力」という回があるので参照にして欲しい。
実は、近藤と私は、社内の「ファシリテーション研修」のプログラムを担当しており、この力の必要性を常々語っている。今日はもう少し、この「会議で結論を出す能力」「ファシリテーション力」について見ていこうと思う。
人を動かす
「システムを納品しないで、紙だけでよくあんなお金もらえますね?」
ときどき、付き合いのあるシステム・ベンダーさんからこういった声を聞くことがある。
この質問には本質的な誤りがある。
経営コンサルティングの仕事は、紙やシステムを納品することがゴールなのではなく、企業を動かす・人を動かすことがゴールなのである。
よって、「紙を出して終わり」という意識は我々コンサルタントには無い。現場のキーマンを巻き込み、キーマン自身が本気でやるべきだと思うような改革を作っていくのである。もちろん、秘匿性の高い案件で経営者と関係者数名だけにしか接触をしない場合もある。その場合でも「紙を納めて終わり」とは思っていない。そのレポートが納品された後、レポートが活用されて企業がいかに変わっていくかを真剣に考えているのである。
もう一つ。
アビームのコンサルタントはReal Partnerという言葉を大切にしている。
このReal Partnerという言葉、「トラブっても逃げない」「長期的な関係を築く」という意味もあるが、私はもう少し違う捕らえ方をしている。様々な改革案を作り上げるとき、コンサルの押し付け案を考えるのではなく、お客さんと触媒であるコンサルタントが一緒に新たな案を作り上げること、これがReal Partnerの意味だと思っている。
これらの、
・現場のキーマンを巻き込むこと
・お客さんとコンサルタントが一緒になって新たな案を作り上げること
コンサルタントにとって非常に大切な要素だと思う。
だからこそ、「会議で結論を出す能力」「ファシリテーション力」が重要なのである。
非常に大切な能力である。
結論を出す能力の身につけ方
では、どうやったらこの会議で結論を出す能力を身につけられるのか?
一番の近道は、このサイトにある。
かもしれない(^_^;)
上述した想いを成し遂げるため、社内や社外で研修を行ってきたのですが、研修だけでは、なかなか大勢の人には伝わりません。
ということで、本、出しました。
現場でバリバリ働いているコンサルタントでこういう本を出す人は実は少ないと思います。直接的に仕事に繋がらないものに、大事な週末を充てたくないですからね。
でも、週末や年末・年始をつぶして頑張りました。会議で結論を出す能力が、心から大切だと思うからです。
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それが第一歩です。