金光隆志のコンサル転職Q&A

[第50回] 戦略コンサルタントを経験していて良かったと思うことは?

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【質問】 
人生の中で、戦略コンサルタントを経験していて、良かったと思うことはありますか?

(26歳/元投資銀行 ※現在転職活動中)

皆さん、こんにちは。春が近づいて来ましたね。厳しい就職環境ではありますが、新しいシーズンを希望を持って迎えましょう!


さて、今回のご質問ですが、どうお答えすればよいのか、少々悩んでいます。なぜなら、悪かったと思っていることが何も無いから(笑)。

これまでにも何度かこのコラムで書いてきましたが、私は戦略コンサルタントの仕事を、将来何かをやるための手段として考えたことは、一度もありませんでした。

何か大きな目標に向けて、今は準備・手段としてある仕事をする。そういう考え方もあると思います。でも、私は、ただ今現在の自分を何かの手段というふうに考えるのは性に合わない。というか、手段として生きる時間があるなんて、人生がもったいないなと考える性質かも知れません。

もちろん誰にだって、ある時間を何かの準備のために費やすということはある。でもその場合でも、それ自体を楽しいと感じてやっているかどうかで、随分違いがあるような気がします。

例えば、練習嫌いの超一流プロスポーツ選手というのを、私は見たことが無い。練習自体は試合の為の準備なわけで、中には練習は嫌いと言っているプロ選手もいると思います。でも本気でそう思っているのなら、きっとその人は超一流にはなれないというか超一流ではない人なんだと思う。

例えばサッカー選手。Cロナウドもロナウジーニョもジダンもデルピエロもロベルトバッジョも、中村俊介も、みんな子供のころから今もずっと「ボールがともだち」(By翼くん)だったわけで。ベッカムだって下部組織から育ったマンU時代はずっとそうだった。レアルへの移籍以降、一時期はサッカーへの情熱を少し失っていたかもしれない。そしてその頃の彼のパフォーマンスは、決して超一流のものではなかった。

例えばゴルフ選手。タイガーウッズだってビジェイシンだってミケルソンだって片山だって、みんな練習の虫。試合に勝つためという手段ではあるけれど、何より皆練習が大好き。

「幸いにして自分はまっさらの手袋とバケツいっぱいのボールがあれば、嬉しくてしょうがない性質なんだ」(タイガーウッズ)微妙に話がずれてしまってますが、要は、常に楽しいことをやっている人、自分が好きなことをやっている人というのは、強いんじゃないかなと思います。幸いにして私も、戦略コンサルティングという仕事が大好きでした。そりゃあ上手くアウトプットが出なくて深夜まで働くとか、終わらなきゃ土日であろうが時間を使うとか、しんどいなと思うことも多々あった。だけれど、なんだかんだ言っても、好きなことしているから、客観的に見れば辛そうなことも、大して苦にはなってないんですよね。

先ずもって私は、「やっていて楽しかった」、それ自体を「後になってよかったと思うこと」の第一に挙げたいと思います。

さて、仕事として好きかどうか、という切り口だけだと、これで話が終わってしまうので、もう少し違う観点から戦略コンサルタントという仕事の魅力を考えて見ましょうか。

先程プロスポーツの世界の話を引き合いに出しましたが、ご高承の通り、プロスポーツ選手というのはなりたいと思っても誰にでもなれるものではない。絶対的な素質のリクワイアメントを先ずもってクリアできなければ、プロになんてなれない。いくら練習をしても、身体能力の衰えには逆らえないからプロとして通用する年齢・期間も非常に限られる。本当に厳しい世界です。

一方戦略コンサルタントは?確かに戦略コンサルティングもプロフェッショナルの仕事です。そして、厳しい世界です。最終的にプロとして通用する人はそう多くありません。でも、それは決して素質のせいではない。プロとして通用するレベルに到達できるかどうかは、私の見る限り、本当に戦略コンサルティングという仕事が好きかどうか、楽しいと思ってやれるかどうか、その差が大きいのだと思います。逆に言いますと、本当にやりたい人、好きだと思える人であれば誰にでも一流のプロになれるチャンスがある仕事だと思います。

もちろん最低限のリクワイアメントとしての知力や対人能力というのはあります。でもそれは、プロスポーツ選手に求められるような特別な才能ではない。決して数学者や哲学者のような特殊な思考能力が求められるわけでもない。恐らくこのコラムの読者の方であれば、全員が十分に最低限のリクワイアメントはクリアしているはずです。戦略コンサルタントは、読者の皆さん全員にチャンスの開かれている仕事だと思います。

戦略コンサルタントに求められる資質は、煎じ詰めれば二つです。二つで十分。戦略コンサルタントが好きな、「3つ」はいりません(笑)。

その一。プロフェッショナルという自覚が出来るかどうか。
その二。その上で様々な事象に対して原理的な知的好奇心を持てるかどうか。

先ずプロフェッショナルという自覚。あなたはプロとしてクライアントからクライアントの課題や要求にこたえるために高額で雇われるのです。常に、高額の報酬に見合う仕事や振る舞いを心がけねばなりません。決してあなた自身の自尊心や知的好奇心にお金を払ってくれるのではない。

矛盾するようですが、一方であなたは常に知的好奇心にドライブされなければならない。クライアントの課題を解決するために、あなたの持つ知的好奇心の全てをぶつけていける資質。常識的理解に留まらず、原理的に考えようとする資質。例えば。流行という現象はどのように生まれるのか。例えば。同様な商品を同様の価格で同じ市場に投下しているのに、なぜ会社間で収益性が異なっているのか。などなど。

そういったことに好奇心が持てるかどうか。原理的に解明したいと思うかどうか。解明するために必要とあらば、例えば今からでも経済や数学の勉強をしようと思うかどうか。もし自信を持って、Yesと答えられるなら、あなたは結構戦略コンサルタント向きかもしれません。

えーっと。随分質問から逸れてしまいました。
強引に纏めれば、私自身は決して特別な才能に恵まれているわけではないけれど、プロの自覚と知的好奇心は強く持っていました。それだけで、ある程度の成功を収める事が出来たことを嬉しく思いますし、良かったと思っています。

繰り返しになりますが、私にとっては、戦略コンサルタントを経験してよかったこととというのは、ほぼ全て、コンサルタントであるその真っ只中においてのことです。ですが、最後に、戦略コンサルタントを経験して、良かったなと後からつくづく思っていることを一つお話しましょう。

人生において、これほど素晴らしい財産は無いなと思うこと。それは、どんな状況に直面しても常にポジティブでいられるようになったこと。これも何度かこのコラムで、別の表現で話してきたことです。

「どんな絶望的な状況に思えても必ず解決策はある。」

BCGのワールドワイドトレーニングで教えてもらったこの一言が、ずっとその後の私の支えになってくれたし、戦略コンサルタントとしての経験を通じて、そこで教えられた一言がいつのまにか自分の身に染み付いていることに気づいたとき、私はこれからの人生全てに自信と希望を持ち続けられると確信しました。

そしてこの言葉には続きがあります。

「だから一人で抱え込むな」

事実BCGでは、どんな状況であっても、周りにいる優秀な仲間に相談するだけで、たちどころに解決の糸口が見つかる経験を何度もしました。そのこと自体素晴らしい経験でしたが、それ以上に、自分の人生において、その経験が大きな心の拠り所となってくれている。

そうだ。もっと、一番大事なことを言い忘れてました。一番の財産。それは、本当に素晴らしい仲間たちと出会えたこと。例えばOB同志、そんなにしょっちゅう会うわけではないけれど、どんなに久しぶりに会っても、どこかしら根っこでの繋がりを感じられるというか、お互いを尊重し合えるというか。例えばBCGのOBというだけで、お互いの利害や打算抜きに助け合える。そんな関係をいつまでも続けられる仲間と出会えたこと。なかなか他の職業ではないことなんじゃないかなと思います。

戦略コンサルタントを経験して、何一つ後悔していることはありません。経験したすべてが、得たもの全てが、自分の人生にとって輝きを放ってくれていると断言できます。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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