全てのスケジュールが怒涛のような勢いで押し寄せてくる4月。卒業式1週間ほど前から連日パーティや学校主催のイベントなどが数多く催され、試験やレポートの終了した学生も増えてくる中、卒業式2日前締め切りのFinanceのTake Home Examを抱えていた私は、根性で最後の集中力を保ち仕上げました。これで全てのカリキュラムを終了、2年間できる限りのことはしたというポジティブ気持ちで卒業式にこぎつけることができました。
そんな慌しい毎日で感傷に浸る間もなく迎えた卒業式ですが、式に出席するため当日両親が日本から到着しました。午前中から空港へ迎えに行き、長旅で疲れているであろう彼らを空港からそのまま卒業式前の立食パーティに連れて行きDeanと挨拶をしてもらったり、同級生を紹介したり、まずは私の宝物であるこのコミュニティを紹介、そして夕方からは卒業式とタイトなスケジュールでした。
卒業式会場はAnn ArborのChrysler Arena。1967年に建てられた13,751人収容できるMichiganバスケチームの拠点となっているバスケットボールアレーナです。卒業式のガウンに着替えそちらに向かい会場に入ると、その大きさとブラスバンドの演奏に、「ああ、とうとう卒業するんだな・・・」という少し寂しい気持ちもようやく沸き起こってきました。
コアの授業を共に受けた同じセクションのメンバーと席につき、両隣にはこの2年間の親友の中国人Vivianと台湾人のMaggieが一緒という位置です。ゲストスピーカーであるAOL創立者のSteve Caseの話を聞き、その後は一人一人名前を呼ばれ壇上に上がりDeanと握手、記念品を受け取りました。
「Kazuyo Nakatani・・・」と自分の名前が呼ばれステージを歩くと、やはり3年前に夢見たこと、MBA取得が今かなったんだということを実感すると同時に、今後MBAホルダーとして責任ある行動をとっていかなければいけない、これまで以上に切磋琢磨し常にベストを尽くす人間でなくてはいけないと認識する瞬間でした。
卒業式において私の心に沁み込んだメッセージは、この2年間で自分が素晴らしいことを達成したという頑張りに対する賞賛だけではなく、今後Ross卒業生として社会に恥じない人間にならなければならないということです。MBAゆえに注目されることや今まで以上のパワーを与えられることもあるかもしれないが、だからこそ社会に対する責任は更に大きくなるのだということを認識しなくてはならないということ。やはり大事なのは「これから」です。
ビジネススクールの卒業式を終えると、次の日にはMichigan大学全体の卒業式があります。こちらはMichigan Stadiumにて。なんと1927年に完成した11万人以上を収容できる世界最大のフットボールのStadiumで、会場に入るとそれだけの観衆に囲まれて式をするということ自体に圧倒されます。
ゲストスピーカーはClinton元大統領。この国際社会でのCitizenshipをテーマに、経済格差のある中私達がいかに共生していくか、NPOやNGOの活動の重要性などを聞くことができました。世界の舞台でリーダーシップを発揮してきた彼の言葉にはさすがに重みと迫力がありました。卒業というのは単に学業が終了したということだけではなく、その学位を持って社会に出た後どのように生きるのか、それが最も重要なのだということなのだと思います。
2つの卒業式を終えた私たちはせっかく同級生同士両親が来ているのだから、とバーベキューパーティをすることにしました。同級生のバックグラウンドもユニークですが、その家族が集まるとその個性は何ともユニークで、笑いの絶えないひとときでした。
こんな楽しいメンバーと同級生として2年間を過ごせたということに本当に感謝すると同時に、これからそれぞれが異なる地で新しい生活を始めるということに寂しさも感じました。しかしAnn Arborでの生活を支えあって過ごしたメンバーとは今後もずっと良き相談相手としての関係を続けていけると思います。そんな人間関係を築けたということにもMBAの価値はあったのではないかなとしみじみ感じています。
卒業式も嵐のように過ぎ去り、両親はカナダへ旅立ち、多くの同級生もAnn Arborを経ちました。ふと一人になってみると、振り返る暇もなく常にフル回転だったMBA生活を改めて見つめなおし、2年前何を思ってこの道を選んだのか、何が自分にとって収穫だったのか、今後自分はどのようになりたくて、MBAがどう活きてくるのか、そして果たして私はRossでの2年間に満足しているか、そんなことを考えている今日この頃です。その結論は、また次回のレポートでお送りします。