［第3回］　戦略コンサルタントにとって必要な資質やスキルって何ですか？...他

みなさん、こんにちは。お元気ですか。

今回はとってもストレートな質問ですね。一番こたえにくい類の質問です。だって僕にもよく解らないんですから。ただ、僕が自分自身について語ることは何かの参考になるかもしれませんね。自分のことなら羞恥心さえ捨てればいくいらでも話せます（笑）

というわけで、僕がどんなことやったり考えたりしてたか、そのあたりから話してちょっとずつ考え始めてみましょうか。

最近は世の中に色々なコンサル本が出てますよね。ロジカルシンキングだとかピラミッドなんとかだとか戦略思考だとか。その手の思考法ばっかり特集する雑誌まで見かけたことあります。ビジネスハウツーもののコーナーにはところ狭しとコンサルの方が書いた本があふれてるのできっと皆さんも一つや二つは読んだことあるのではないですか？　中には何十冊と買い漁って読みまっくったって人、いらっしゃいますよね。で、どうでした？どれもおんなじような感じだったでしょ？元ネタがおんなじだったりもしますから（笑）

でも、私そういう人大好きです。とても真面目で研究熱心な訳ですからね。僕は仕事でもプライベートでもある分野に興味を持つと、本屋を何軒も回ったりネットで調べたりその道の詳しい人に話しを聞いたりして、とにかくその分野に関する情報を一気に集めまくります。殆どコストは気にせず手当たり次第って感じ。本なんて一日で数万円とか必ず買っちゃいますから。で、最初は理解の深さを求めずにざっと、ほんとにざっと短期間で目を通します。出来るだけ 短期間であることが重要です。

で、例えば本にして2、30冊くらい２～３日で目を通すとなんとなくその分野で何が議論されてるかとかポイントは何かとか、大体パターンが見えてきます。その上で気になったものを少数選んで今度は深読みしたり何度も読んだり実践してみたり。そうすると自分なりの見解も出来てきます。かなり短期間でその道のプロとも結構まともに話せたりするようになります。

ここまでくれば怖いものなし。後はもう本当に新しい情報だけを追えばいいんです。この時点では自分の座標軸が出来てるから新しい情報を消化するのは楽チンです。ちなみに新しいものはそんなに出てきません。だいたいそれまでに見聞きしたものと同じか、違うように見えてちょっと角度変えて言ってるだけ、みたいな感じです。オリジナルというのはホントに少ない。

えー長々と私の方法論の一端など述べてしまいましたが、別に皆さんに私の研究法をお勧めしてるわけではありませんよ。なら書くなって？　そうですよね（笑）ただ、示唆があるとするとですね。ちょっと普通ではないでしょ？こういうやり方してる人いらっしゃいます？あんまり多くはないと思います。単純な力技とは言えそれなりに俺流（By落合）だと思うのです。

資質とかスキルとか、言い出すとキリが無いし色んなタイプのコンサルがいるしホントによく解らない（ありがちな答えというのはあるにはありますがその辺は皆さんも他の本とか読んで調べてみて下さい）のですが、何事であれ短期間で一定の成果を出すためにどうするのかの自分なりのやり方というのを一人 前のコンサルなら皆持ってると思います。

普通じゃ駄目なんですよ、普通じゃ。だってそんな普通の人に企業のトップが相談したいなんて思わないですから。とんでもないスピード感でとんでもないレベルの議論相手になってくれるから何千万、何億もの金で雇ってくれるんです。あ、ちなみに見た目とかもかなり大事ですよ。美人とか男前である必要はないけど適度に自信ありげに落ち着いていて緊張感も漂わせつつバリっとした雰囲気もあるって感じがよろしいかと。その人がいるとぱっーと周りが明るくなったように感じるくらい。

この逆な人（あえて描写はしませんが）想像してみてください。そんな人に誰が大金払って相談したいと思う？食事とかでもほどよい品が欲しいですね。大企業のトップと会食するときに若者なのにちゃんとマナーとか弁えてればカッコよろしいし、第一その逆はやはり相手の方に失礼です。

あと、かわいげもいりますね。ことば悪いですがじいさん殺し的なコミュニケーションが出来たほうがよいです。生意気なようでいてちゃんと礼節を踏まえ敬意をもって上下の隔てなく対話できるって感じでしょうか。などなど。うーむ。だいぶ横道にそれたようでいてとてもいいこと言ってる気がしてきました（笑）これ、ふざけてるわけじゃないですよ。

戦略コンサルとは大企業トップから信頼されるために、いついかなるときも一分の隙も許されない世界で生きています。誤解を恐れず言いますとみなさんはこれから一流ブランド品のようになろうとしているわけです。あるいはプロスポーツ選手かもしれません。長島茂雄さんはなぜ国民的ヒーローになったのか。学生時代からプロを意識してお客さんにとって魅力的なプレーはどんなものか考えてたそうですよね。結構示唆深い話です。あなたもあなた自身の優れたパフォーマンスによって、目の肥えたお客さんに対してものすごく高いレベルの満足を提供しなければならなくなるのです。

基本的な思考能力や対人能力の高さなんて当たり前。基礎運動能力の低い一流プロスポーツ選手なんています？そもそもそこに自信がないのなら戦略コンサルなんて目指すのはおやめになったほうがよい。あなたの才能を最大限に生かせる仕事は他にあるはずです。もちろんもとの能力が高くてもそれを磨き続ける努力は不可欠です。というより相当努力しないとプロとして絶対通用しません。その上で、独自の魅力が求められます。だって代替可能な人だったら人気がなくなるか、さもなくば値段の勝負になってしまいますよ。

独自の魅力というのは物凄い分析力だとか、話すとすごく勇気を与えてくれるだとか。それこそ色々あるはず。お客さんに満足を与えられるあなたらしさだと思ってください。その世界で何十年とやってこられた百戦錬磨の大企業トップが我々のような若者（私も入れてください。笑）のアドバイスを何ゆえ聞いてくれるのか。何ゆえ信頼してもらえるのか。その辺の若者とは違う圧倒的なオーラが何かないと相手になんてしてもらえませんよ。くどいですが普通の才能や普通の努力じゃだめなんです。

まあぶっちゃけみんながみんなそんなレベルのコンサルってわけではないです。今やコンサル自体が産業として確立してますから、それなりのコンサルでもそれなりにはやっていけてます。けど、それなりをあなたは目指すのですか？どうせやるならトップリーグでのスタープレーヤーを目指したほうがいいと思いますよ。サッカーで言えばJ2よりJ1、J1よりセリエAやプレミア。そこでのトップクラスのレギュラープレーヤー。補欠じゃ意味ないし。僕はそういう気概が必要不可欠だと思っています。

なんだかまた煙に巻いたような内容でちょっと後ろめたい気もしますが、巷にあふれてる業界本とは大分違う角度から考えるきっかけにはしてもらえるんじゃないかなと。論理的思考力だのインタビュースキルだのプレゼン能力だのといった解説を期待された方、ごめんなさいね。必要ならまたそういう話もおいおいしていきます。

でもね、プロとして飯を食うってどういうことなのか、是非考えてみてほしいんです。本当にその道を極め、一流の売れっ子コンサルタントになろうと決意するならそれこそ座っている時の姿勢や歩き方から変わってくるかも知れないですよ。見せ方の話をしているんじゃないです。そう思った時点であなたはまだ分かっていない。プロとしての責任感、緊張感の問題です。

要は戦略コンサルってどういう商売なのかをクライアントの立場や目線で徹底的に考え、それを自分なりのやりかたで、妥協せずとことんまで追求しあらゆる角度で惜しまず努力することがとても大事だと思うのです。それこそが一番大事な資質かもしれません。あっ、これちょっとクリシンのメタ思考になってますね。って、結構マニアックだけど分かる人にはわかってもらえるのではないでしょーか（笑）

最後にMBAについて少々。MBAは戦略コンサルになるための必要条件でも十分条件でもない。そんなに有利にもならない。でも悪くないと思いますよ。将来の同僚となるかもしれない仲間やそうでなくとも世界中の一流（の卵）たちと2年を共に過ごせるのはすばらしい経験であり財産になりますよね。それと、グローバルファーム志望であるならば英語は不可欠となりつつありますから英語に自信ない方にもよいのでは。英語のための留学って批判されがちですが、自分なりに考えてそういう結論ならば行けばいいんです。

ごくごく一般論で言えば若くして応募する人ほどMBAは問われません。素材がよければ中で鍛えようという方針のファームが多いと思います。逆にある程度ビジネス経験の長い人には即戦力性を求めますから、経営学の基本を学んだ証であるMBAはそれなりの参考材料にはします。但し参考程度です。MBAで学ぶことがストレートにコンサルに活きる訳ではありません。ケーススタディとか、実戦に比べるとほんとママゴトですので。

一流大学を出て一流企業でエリート街道まっしぐら、そしてトップランクのMBAを取得して自信満々で戦略ファームに入ってくる人の殆どすべてが最初に多大なショックを受けます。まったく通用しないどころか新卒でファーム入社2年目の子とかに負けますから（笑）もちろん正しい方向でちゃんと努力を続けていけば2～3年で学卒に追いつき追い越していけますのでご安心あれ。

とりとめのない話になってきました。少し異なる角度から纏めておきましょう。やるからには頂点目指して下さい。頂点目指すのなら今からすぐにでも努力を始めてください。そして今勤めておられる会社で一目も二目も置かれる存在になってください。

先ずは今の会社で普通じゃなくなることです。そうなれるならあなたには戦略コンサルに必要な資質が備わっているのだろうし、将来につながる何がしかのスキルも取得していることでしょう。そして、その努力をなしえたことこそ、あなたが戦略コンサルになる資格を持っている最大の証明だと思います。
では今回はこの辺で。