金光隆志のコンサル転職Q&A

[第22回] 将来ビジネスリーダーになるために20代をどうに過ごすか

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【質問】 
将来ビジネスリーダーになるためには、20代をどのように過ごせばよいでしょうか

みなさん、こんにちは。涼しいんだか暑いんだかよくわからない日が続きますが、調子はいかがですか。お体に気をつけて、収穫の秋に備えてください。


今回のご質問はなかなかお答えするのが難しいです。自分は未だビジネスリーダーではないですし、現在ビジネスリーダーの方の20代の頃をこの目で拝見したり詳しくお話を伺ったりしたこともないですし。ビジネスリーダー予備軍の人の20代はある程度見たことあるかなあ。そんな感じですので、質問への答えというより私からの期待ということでお答えさせてください。

ほとんどのビジネスにおいて、20代は小僧です。丁稚奉公みたいなものです。自分で思っているほど会社や世の中のための役にたっていません。先ずはこの勘違いをしないように心がけて欲しいと思います。つまり。

常に謙虚であってください。20代に限りませんが、どんな人からも、どんなことからでも学ぶべきことが沢山あります。周りの人全て、状況全てから、何かを学ぶ、という姿勢がほしい。きれいごとじゃありません。大げさに言っているのでもありません。何を経験しても学習できる人と、どんな貴重な経験でもなんとなくやりすごす人では、10年もすれば大きな開きが生まれます。ものすごい差です。

特に若いうちは、色んな立場の人の仕事を見てください。手伝ってください。上、横、下、ライン、スタッフ、サポートやバイトさん。すべて。どんなことを考えているのか、どんな悩みがあるのか、どんな楽しみがあるのか、話したり一緒に仕事したりする中で、感じ取ってください。学んでください。色んな立場の人のことがわかるビジネスパーソンになってください。あなたが将来ビジネスリーダーになりたいのなら尚更です。

なぜなのかをくどくど説明しなくとも賢明なる読者の皆さんならおわかりですよね。こうしたことがわかる人が周囲から信頼されます。尊敬されます。的確に指示をだせるようになります。人の心がわかるリーダーになってほしい、という面もありますが、ただそれだけのことを申しているのではありません。同じ人でも立場がかわれば考え方・感じ方がかわります。そのことを十分に理解できるようになってほしい。これは、上に上がってからでも後天的に学べますが、若いときのほうが、そして自分も位が低いうちのほうがはるかに身をもって学べます。

次に、20代は給与や処遇のことで文句を言わないようにしてください。むしろ、給与に関係なく出来るだけ沢山の仕事を進んで請け負うくらいの若者でいてください。「もっと仕事をください。」そう言える人は必ず成長します。大きい仕事をくれ、という我侭じゃありませんよ。小さくても何でも、もっと自分に出来ること・手伝えることがある、という姿勢です。

私のBCG時代の後輩で、10年に一人の逸材、と言われた者がいました。彼は3年前に自分で事業を始めて、昨年マザーズに会社を上場させました。中々できることではない。その彼の最初のプロジェクト。私が先輩として指導することになりました。学卒あがりたてなんて、何の役にもたちませんから、先ずは仕事に慣れさせようと思い、あるテーマで記事検索をし、それらを纏める、という仕事を彼に与えました。私の期待値は、トピックごとに記事を取捨選択し、私が読むべきものだけをピックアップし整理して持ってきてもらうことでした。

でも彼は違いました。仕事の手早さにも驚かされたのですが、それ以上に、彼は頼んでもいないのに、それぞれの記事にサマリーをつけ、しかもトピックごとに、だいたい世の中でどんなことが言われているのかまで整理してもってきたのです。何人もの学卒の面倒をみてきていましたが、そんなことまでやってきた人間は初めてです。おまけに彼が言った言葉。それが、「金光さん、もっと仕事ください。じゃなきゃ自分は給与泥棒です。」

僕は度肝抜かれました。与えた仕事は決して楽じゃないし、学卒にとって簡単なことでもない。でも、こいつは涼しい顔でこなすだけじゃなく、付加価値までつけてもってくる。おまけにもっと仕事させてくれだなんて。こいつは絶対にスターになる、と思いました。案の定、彼は学卒のコンサルタント昇進最短記録を塗り替えました。未だに抜かれてないのではないかと思います。だって1年半で昇進させたのですから。

もちろん彼にはものすごい才能がありました。でも、その点だけで言えば、似たようなポテンシャルを持った人間はいます。彼が他の人とは全く違った点。それが、仕事に対する謙虚さと貪欲さでした。唯一僕のポリシーと違ったのは、彼はのちに早く昇進することにこだわった点です。彼の場合、給与ではなくもっと上の仕事が早くしたいという欲求と自尊心からくる昇進へのこだわりであったと思います。でも、彼くらい凄ければ理解します。

目安として言いますと、自分が、もらってる給与の3倍以上の付加価値をもたらしてる、それは自分だからこそ出来ている、と自他ともに認められる場合には、給与アップや昇進の旨申し立てるのもまあうなずけます。でも、若いうち大抵はそんなことありえませんから。もっと言えば、若い頃の給与差なんて、長い目でみるとほんと取るに足らないほどのものです。

もう一つ、自分に言い訳をせず、常に前を向く癖をつけてください。客観的な反省は必要です。周囲のミスや相手の責任も客観的に認識することが必要です。でも、それが最終的に上手くいかなかった言い訳にしかならないのなら、反省などしないほうがましです。反省とは、そこから先に事態をどう好転させていくのか、あるいは今度同じことが起こったら何に気をつけねばならないか、という目標を首尾よく果たすための手段でしかありえません。

更に言えば、リーダーは絶対言い訳できません。全ての責任を自分が負うのです。他人の失敗だろうがなんだろうが。最終的には自分にはねかえってくる。言い訳する癖がついた人にはリーダーは決して務まらないことでしょう。

スキル向上という観点からもいくつかコメントしておきましょう。先ず、メモをまめに取る癖をつけてください。あとで読み返すためだけではありません。むしろその場での理解や話の展開を、より確実かつ発展的なものにするためです。メモをとるのは簡単なことではありません。簡潔な言葉で要点を書きとめなければ、話がどんどん先に進んでしまいます。また、話の先の展開やどういうコンテキストの話かということがわからないと、メモをとるタイミングを逸します。何をメモすべきかがわからないからです。

メモの書き方は人それぞれでやりやすい方法を見つければよいと思いますが、いいメモを書く人は例外なく優秀です。将来必ず成長します。新人コンサルタントの場合、インタビューメモやミーティングメモなどを纏める役がよく与えられるのですが、どんなメモが書けるかでその後の成長が手にとるようにわかるほどです。

また、コンサルタント時代に沢山のビジネスリーダーを拝見してきましたが多くの方はメモ魔でした。どう考えてもポイントをはずしてるなという話までメモを取る人さえおられました。あとで読み返すためじゃないですね、きっと。その場のミーティングをより効果的にするためだと僕は理解していました。

先ずは一年間、騙されたと思って、とにかくメモを取り続けてください。きっとあなたは沢山のビジネススキルや判断力を身につけていることと思います。そして一年前と今と、メモを読み比べてみれば、自分がどれほど成長したかを実感できることでしょう。

日記をつけるというのも面白いかもしれません。一流のスポーツマンには結構いますね、日記をつける人。巨人の桑田真澄、セルティックの中村俊輔、さらにびっくりするところでは、ボクシングの亀田兄。などなど。彼らは子供のころから毎日日記をつけていて、その日の練習や試合で気づいたことや学んだこと、反省、さらには体調管理なども日記をつけてやっているそうです。コンサルタントでも日記をつけている人は結構います。ほんの数行でもいいから、毎日日記をつけて、とにかくこれも継続してみるといいのではないでしょうか。

次に、ちょっと慣れるまでは難しいかもしれませんが、答えの仮説を先に考える習慣をつけてください。情報量が圧倒的に少ない段階で、想像力を働かせ、推論をフル回転させ、全体のストーリーや打ち手のグランドデザインを書いてしまうのです。そして、その検証のためにはどんな情報や分析が必要か、何を試さねばならないか、何から先に手を打てばよいか、などを考えます。そこから少しづつ前に進み、新しい判断材料が加わるたびに、仮説を進化させていくのです。

これもまた、先ずはとにかく1年続けてみてください。見違えるほどあなたの判断力は研ぎ澄まされていることと思います。そして、10年もし続けることが出来たなら。あなたは、どんなことに対しても、誰よりも早くビジョンが描け、正しい打ち手に近づき、ビジネスリーダーに不可欠な知的リーダーシップを発揮できるようになっていることと思います。

スキル面であと一つ申しておきましょう。自分の反省もこめて。英語を学んでください。将来のビジネスリーダーには絶対必要なスキルです。グローバルに情報網をはりめぐらせることが、今の時代は簡単になりました。それを縦横無尽に活用できるかどうかで決定的な差が生まれつつあります。またグローバルにビジネス展開をすることも10年前にくらべ、益々容易になっています。ですが、そのチャンスを生かせている日本人や日本企業は未だに少ない。

20年後を想像してください。世界は今よりはるかに一つに繋がっていることでしょう。日本固有の論点として考えても、ビジネスチャンスを日本だけに限定していると大きな機会損失が生まれるだけでなく、成長余力という観点で大きな制限を受けることになるでしょう。グローバルに活躍できるビジネスリーダーになってください。

英語の勉強は、今は仕事で必要ないから、というので、つい怠ってしまいます。何かをきっかけに思い直してまた勉強を始めるけれど、結局またさぼってしまう。そういう人が多い。私はそうでした。とても後悔しています。実はコンサルタントをやめてから、また勉強を始めなおしています。今度は結構続いています。音楽の仕事をやっているおかげで、洋楽CDをまた沢山聴くようになり、インターFMもよく聞くのでヒアリングはかなり向上しました。でも話すほうは未だに苦手です。私が独立してからの数年だけでも、実はいくつか、海外のビジネスチャンスを逃してしまいました。英語が苦手ということも遠因であったと思います。みなさんには、こんな後悔をしてほしくありません。英語は基本スキルです。

さて、最後になりますが、人脈について一言申しておきましょう。ビジネスにおいて人脈はとても重要です。極論すれば人脈が全てです。ですが勘違いのないように。ビジネスに必要な人脈というのは、準備のある人にはその時々で必ず構築できます。短期間のうちにどんどん広げていくことが可能です。ですから、別に今色んな人と無理につきあいを広げる必要なんてありません。異業種交流会だとか、否定はしませんが、目標のない付き合い方というのは楽しみがないと続きませんから、無理しても仕方ありません。

仕事を抜きにした友人というものと、仕事を通じて構築できる人脈とは全く異なります。友人を作るときに、仕事でメリットがあるかどうかなんて判断基準は持たないだろうし持たないほうがよい。逆に仕事の人脈をつくるときに、プライベートでつきあえるかどうかを判断基準にするのもおかしな話です。仕事の人脈とは具体的な仕事の目標を持って構築すべきものなのです。ですから、若いうちに、遠い将来のことを考えて、大して趣味も話も合わないけど、なにかに繋がるかもしれないから交友関係を広げておこう、などどいうのは時間と精神の無駄。友達ならしっかり友達づきあいを、仕事ならしっかり仕事のつきあいを。

たまたま将来道がクロスすることもあります。というか必ずあります。が、今からそんなの期待して付き合いをしないほうがよい。むしろ、冒頭の話にも繋がりますが、若いうちから、どんな人とでも話せる・どんな人の立場も理解できる人間になる努力を行ってください。そうすれば将来あなたが何をなさろうとも必要な人脈、望む人脈は必ず構築できるのです。

私は、殆どどんな方とでもビジネスおいて信頼関係をつくる自信があります。ちょっとしたきっかけを手繰り寄せ、そこから交流を広げていく自信があります。今私は音楽の仕事をしています。コンサルタント時代に音楽関係の知り合いなんて全くのゼロでした。よくとびこんだものだと自分でも思いますが、2年もごろごろしてると、いつのまにかかなりな人脈が出来ているものです。2年たって、ようやく勝負をかけていく下地が整ってきました。

さて、将来のビジネスリーダー、という観点で十分なお答えになったかどうか甚だ自信ありませんが、今日申し上げたことを実践してくれる方がいたら、その方の将来には結構な希望の光が灯っていることを私は確信します。
では今回はこのへんで。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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