金光隆志のコンサル転職Q&A

[第25回] 将来起業を考えています。コンサルティングでの経験は有効?

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【質問】 
25歳男性です。将来起業を考えています。35歳で起業をするためにコンサルティングでの経験は有効でしょうか。また、そのような実績はありますか?

みなさん、明けましておめでとうございます。今年も色々なご質問おまちしております。宜しくお願い致します。


さて新春第一弾。起業するのにコンサルティングの経験は生きるのか、ということですが。

これは以前から何度か、違う質問の中でお答えしてきたことではありますが、何度強調してもし過ぎということはなにので再確認しておきましょう。

基本的に、「将来○○をするために、今コンサルをやることは役に立つかどうか」という発想でコンサルに臨むのは、あまり関心しません。そういう発想で充実したコンサル経験を積んだ人を私は殆ど存じません。新年早々に否定的な言葉から論をスタートするのはあまり気持ちよろしくないのですが、前向きな議論へつなげていく前提で話を続けます。

ご質問の方が、今コンサルティングファームにおられるのなら。将来の起業のことを一旦忘れて、目の前のコンサルティングという仕事に没入なさるのであれば、その経験は起業だろうが何だろうが、必ず生きるはずです。きれい事を言っているのではなく、リアリティを申しております。

逆にご質問の方が、今はコンサルティングファームにおらず、将来起業するためのキャリアとして何を選択しようかと考えておられる最中であるなら。コンサルファームへの転職は個人的にはあまりお勧め致しません。中途半端な経験しか積めない可能性が高いからです。

将来○○のために今違うことを、というのは、それ自体誤った行動ではありません。むしろ目的完遂のために必要なステップであることも多いでしょう。近道であることもあるでしょう。それならそのステップを踏むべきです。ですが、コンサルティングは決して起業に必要なステップでも、近道でもありません。

様々なマネジメント課題に取り組む、ということで起業に直接役立つと考える人は結構います。ですが、ちょっと考えればわかるはずです。大企業のマネジメント課題に解を導き出すことと、小さな事業を自分で立ち上げ、仲間を増やし、組織を構築していく、ということと。そんなに近いことではありません。

コンサルティングが簡単な仕事なら、ちょっと経験しておく、という考え方もありだとは思います。ですが、残念ながらそんな簡単な仕事ではない。ほぼ確実にコンサルティングファームに入る全員が、大変な挫折、苦労、失敗を経験するはずです。そんな時を、腰掛け気分の取り組みで乗り越えられるでしょうか。

不可能です。あなたは自分の心に言い訳を見つけ出すはずです。「自分は起業を目指してる。なのに今なんでこんなことで苦労しているのだ。これは本来の自分のやりたいことではない。しかもどうやらコンサルティングと起業は直結しないようだし。続けても仕方ないのではないか。」云々。そういう人を沢山見てきました。そして、そんな感じでやめた後に起業家として成功したという人を未だ一人も存じ上げません。

将来起業を目標にしている人が、コンサルティングをやってはいけない、といっているのではありません。ですが、コンサルティングという仕事に携わっている以上その間は、全身全霊でコンサルタントとして成功することに立ち向かってほしいのです。コンサルタントとして成功するかどうか、とはちょっと違います。もちろん成功したほうがいいに決まっている。でも、それほど成功できなくても。あなたが本気でコンサルティングという仕事と格闘した中で、あなたは色々なものを得たり身につけているはずなのです。逆に本気でなければ何も得られません。むしろ中途半端な取り組みによる経験はその後のビジネス人生に有害だとすら思っています。

逆にあなたがコンサルティングに全力で取り組み、しっかりした経験を積むことが出来たなら。仲間を作ることができたなら。繰り返しになりますが、その経験は起業のあらゆる局面であなたの支えとなってくれるでしょう。私自身、今起業家として日々格闘している身なのですが、コンサルタントとしての経験やそこでの人脈、はてはコンサルタントとしての実績まで、本当に役にたっています。しかも、別に意識的に役立たせよう、なんて考えているわけじゃないのに、勝手に役にたってくれてしまっているのです(笑)。

ビジネスの発想において。事業計画や資本政策等のテクニカルスキルにおいて。他社との提携交渉において。人脈つくりにおいて。部下の指導やコーチングにおいて。等など。

そして何よりも、どんな状況でも必ず突破口はあるという信念において。私はおそらく、どんな起業家とも肩を並べる程度には出来ていると思う。起業家としてどこまで成功できるかは、もっと様々な要因によって左右されるでしょう。ラッキーも必要です。でも、成功してもよい条件は整いつつあると思っています。

私より先に起業家への道へと進み、見事成功している先輩や後輩が何人もいます。彼らの殆どは、コンサルタントとしてもとびきり優秀でした。例えばGDHの石川社長。例えばリプラスの羹社長。勿論コンサル時代はコンサルタントという仕事に没頭していました。彼らがコンサル時代に、自分は将来起業家になるためにここで修行している、みたいなことを言っているのは聴いたことはありません。彼らが起業してからコンサルのキャリアを否定しているのも聴いたことありません。皆、コンサル時代に磨いたスキルや発想を存分に生かしています。その上で、起業家に不可欠な、不確実性の中でのリスクテイク、転んでもただで起きない精神(笑)、等を発揮しています。

最初のご質問に戻り、話を整理しておきましょう。将来の起業にコンサルのキャリアは生きるのか。イエスです。事業領域などを全く問わない普遍的なスキルや発想法、人脈の作り方。そういったものが起業の役に立つはずです。25歳から35歳という10年を、本当にコンサルティングに没頭して過ごせるなら。かなりなポテンシャルをもった起業家になれるだろうと予測します。

ですが。「起業の為のコンサル修行」という発想はいただけません。というより失敗するのがおちです。コンサルやっていると起業家マインドが薄れる、みたいなことを言う方もいます。それならそれで仕方ないじゃないですか。いや、コンサルとして一流の道を歩むのでもいいじゃないですか。毒を食らわば皿まで(笑)です。それに、はっきり言って「起業家マインド」って正体不明な言葉です。起業した人じゃなきゃ起業家マインドって何なのかわからないはずだし。起業家として成功した人は起業家マインドみたいなステレオタイプなことあまり言わないだろうし。

今現在の目の前のことに集中し、熱中し、没入できるマインド。それだって、いや実はそれこそが起業家マインドに通じてたりもするのです。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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