金光隆志のコンサル転職Q&A

[第29回] 影響を与えた人や尊敬する方のエピソードを教えて1

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【質問】 
金光さんのビジネスキャリアに大きく影響を与えた人や尊敬する方についてお聞きできますか。出来れば3人くらいの方のエピソードを教えてください (1)
(26歳 戦略コンサルタント会社 アソシエイト)

皆さんこんにちは。


私が尊敬する人3人、ということですが、語り出すときりがなくなりますので一人ずつ順番にご紹介していきたいと思います。

尊敬する人は沢山いるので、そもそも3人に絞るところが難題なのですが、先ずは何をおいても外せない方、私の大先輩の古谷昇さんの話からはじめさせてもらいましょうか。

古谷さんは、BCG時代からDI時代を経て、お互い全く違う道に進んでいる今でさえも、ちょくちょく声をかけて下さり、私が社会人になって以来ずっとお世話になっている方です。

古谷さんとの出会いは、私が学生時代に参加したBCGのサマージョブ。当時は古谷さんもまだ20代でしたが、既にマネージャーになっておられ、古谷さんが初めて採用担当を務められたときの学卒採用第一号が、私たちでした。今考えても古谷さんがよく私を採用してくださったなあ、と思います。私のジョブの出来はメチャクチャでしたから。。

その頃のBCGは、ほんとに曲者というか変り種な感じの人が沢山いて、コンサルタントってエキセントリックじゃないと務まらないのかな、とすら感じていたのを覚えています。

そんな中、ひときわ異彩を放つほどまっとう(笑)で、しかも何か神々しいほどのオーラを発しておられたのが、古谷さんだったのです。

入社前に感じていたオーラは、本物でした。古谷さんはコンサルタントとして、本当の意味での天才だと思う。記憶力がケタ外れとか、頭の回転が凄く速いとか、そういう人は沢山います。でも、ものごとのマクロな構造を捉えたり、議論が行き詰った状態でさらりと新しい切り口を提示したり。直線的・線形的な思考だけでは中々たどり着けません。同じ情報を前にして、人とは違うパターン認識が出来る。これこそ天才性だと思います。

私は古谷さんが夜遅くまで残業しているのを、ただの一度も見たことがありません。土日に出てきて仕事、なんてこともゼロ。コンサル時代いつも深夜まで残業し土日も常連だった私が言うのですから、間違いない(笑)。

もっと言うと、彼が行きづまったり、窮地に追い込まれたりするのをただの一度も見たことがない。これは奇跡に近いことでした。途中がどんなに危機的状況に見えても、最後はきっちり顧客から評価されている。途中の危機的状況だって、内部的な見え方の話であって、顧客サイドからクレームされたり、なんてことはほぼ皆無だったのではないか。

なんでか。
天才だから、の一言で片付けてしまうとこの先話が続かなくなるので、少しでも天才に近づけるべく、彼の思考性癖を具体的に整理してみますと。

先ず、古谷さんは常に自然体というか、型に囚われていないというか。偏ったものの見方が無いというか。ほぼあらゆる観点から、常時バランスしていました。言葉本来の意味での第三者性・客観性を常に保持している。

例えば、全てのコンサルタントは、自分が何か確からしい仮説を考えると、それを何とか証明しようとします。マネージャーであれば、自分の仮説を証明できるように、コンサルにワークプランをたてさせます。して、その作業がうまく進まないとき、あるいは作業が進んでも仮説が上手くサポートされないとき。ほとんどの人が、作業の何がいけないのか、仮説を証明するのに、更に何をせねばならないのか、という方向に思考が向きます。多くのマネージャーは、コンサルの分析や作業が間違っている、と考えます。それはごく自然な反応です。

古谷さんの場合、はなから違います。そもそも、仮説なんてものを自分からは出さない。具体的な作業指示も殆ど出さない。そのかわりに、何に対して答えが欲しいのか、については、徹底的にコミュニケーションします。どんな背景があって、どんな議論がなされていて、何がわかればその議論に決着がつくのか、といった問題意識を共有する。

私は、古谷さんから「仮説は何?」といった類ことを聞かれた記憶がありません。そのかわり「何やってるの?」「何調べてるの?」「何がわかったの?」ということをきちんとしたミーティング以外のときでも雑談のように聞かれます。答えるべき問いにアプローチしているか、そもそも問いが何かちゃんと理解しているか、を確認し、それにたいして、わかった情報を求めている、と解釈しています。

昨今、仮説思考の重要性が語られます。仮説思考こそがコンサルの生命線の如くも語られます。仮説思考が大事なことについて、私も全く異論は無い。ですが、「何について」の仮説なのか、がずれていては話になりません。この、「何について」というのは、物事を見るときの視点そのものです。仮説とは、そこから「何が見える(はず)か」に関する、極論すれば色眼鏡です。

喩えていいますと。皆が、真上から見てああだこうだ、という議論をしている状況下において、古谷さんは、真上からの議論では何がわからなくて、決着させるために見るべきものは何で、例えば、左斜め45度から見たときに何が見えるか、それがポイントだ、と指示します。そして、コンサルタントが左斜め45度から見たときに何が見えたか、の情報を客観的に見据え、「それってこういうことなんじゃないのかな」と、今までの議論とは全く違う切り口から、新しいパターンを切って見せます。

問題意識、即ち視点がぶれている状態で、あるパターン即ち仮説した状況を見ようとしても、見えません。あるいは、あばたもえくぼで、関係ないものを見て、仮説に無理やり結びつけようとしてしまうのが、オチです。

コンサルの生命線は、先ずもって正しい問いを設定できることです。問いの立て方がクリエイティブかつ具体的で的を得ていれば、高い確率で素晴らしい解にたどり着けます。

私にとって、古谷さんは身近にいる人の中で、常に目標であり憧れでした。学生からすぐコンサルタントになった先輩としてはもちろん、戦略コンサルタントとして、あらゆる観点からほぼ完璧だと思った人は、後にも先にも彼ただ一人。普通は、分析はすごいけど統合が上手くない、とか、顧客リレーションは上手いけど戦略インサイトは普通、とか、何がしかのでこぼこはあるものです。

私もついに古谷さんの領域にまで到達することは出来ませんでしたが、常にロールモデルとして意識していましたから、極端に偏ることなく、ある程度自然体なコンサルタントとして成長できたような気がします。もちろん彼のような天才ではなかったので、後天的にスキルとして徐々に身につけていったわけで、その発展途上は天才の真似をしようとして失敗する凡才の典型みたいな感じでしたけど。

古谷さんには未だもって全くかないません。今でも、時折私が道に迷ったとき、相談にのって下さいます。状況を15分くらい説明すれば、たちどころにどういう構造になっているのか見抜いてしまいます。眼からうろこなヒントを与えて下さります。

BCGに入って、沢山の素晴らしい経験・財産をもらいましたが、古谷さんとの出会いは、その中でも私が最もありがたいことだと思っていることの一つです。

ちょっととりとめない話になってしまいましたが、今回はこの辺で。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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