金光隆志のコンサル転職Q&A

[第33回] ベンチャーへの転進を考えています

転職のご相談・お問い合わせ

経験豊富な
エージェントに転職相談(無料)してみませんか?

1分で完了無料登録・転職相談

【質問】 
金光さま 前回のコラム大変興味深く拝見しました。私もベンチャーへの転進を考えているコンサルタント32歳です。「ベンチャー企業の経営者をどうすれば正しく評価できるでしょうか」生意気な表現ですが、経営者の資質や自分との相性など考えるところ実際多いのでご意見をいただきたく宜しくお願いいたします。

みなさんこんにちは。だいぶ過ごし易くなってまいりましたね。

さて、2ヶ月ぶりのコラムとなってしまいましたが、前回のコラムに関連して、ベンチャー経営者に関する目利き・評価について、ということですが。難しいですね。非常に難しいです。これが簡単に出来ればベンチャーキャピタルなど、苦労はなさらないでしょうね。

難しさの本質は、経営者にも色んな側面がある、という当たり前の事実です。外部の人に見せる顔、社内での顔、プライベートでの顔、等など恐らく全部違うでしょう。

表面的に出す性格と深く付き合った時に出てくる性格も全然違うことが少なくない。もっと言えば、付き合う時期によっても印象が違ってきたりすることでしょう。

先ず留意すべきは、どれが本当の顔なのか、ではなく、どれもその人の顔だということです。本性、すなわちその人の本質・中心、などというものを見極めようとしても無駄だと思う。

人は複雑です。人は変わります。先ずはそれをあるがままに受け止めるべきではないでしょうか。客観的にその人を見る、とはそういうことです。人には色んな側面がある、それら側面それぞれをを事実として、その人の一部として受け止めることです。

ここに、目利き・正しく評価、という観点での一つのインプリケーションがあります。
その人の姿を出来るだけ客観的に知るためには、あなた一人の観察では不可能だ、ということです。また、特定の立場からの観察からだけでは不可能だ、ということでもあります。

既にご推察のとおり、色んな立場の色んな人の意見を聞く、というのが正しい評価ということに他なりません。更に付け加えれば、色んな状況下での、色んな立場の人の意見が必要ということです。色んな状況下というのは、例えば、順風満帆な時と逆境の時。こちらが同じ立場で向き合っても状況が異なればその人の違う側面が出てくることの方が多い。中にはどういう状況下でどういう立場で出会っても印象や評価がある程度一貫している人もいるでしょう。その人は比較的わかり易い人です。ただし、わかり易い、というのと、良い、というのは全く別のことだという点には注意が必要です。もちろん逆に、全く違う色んな顔を出すというのが、それ自体悪いともいいとも言えません。

経営者を正しく評価する、という目的においては、先ず、出来るだけ客観的にその人の色んな側面を知ること、その為には色んな状況下で色んな立場の人が、その経営者のどういう部分を見たか、という事実を知ることが必要です。その情報量が多いほど、客観的な姿を捉えたということになります。

現実的に言って、短期間の就職面接などでは、そこまで詳しく色んな人の情報を得ることは難しいかもしれません。ですが、少なくとも、今社内にる幹部、中堅、新人、そして出来れば退職していった人、などの見方は情報源として考えておくべきです。取引先や株主などにもアンテナを伸ばせればよいのですが、面接段階においては中々難しいかもしれません。

繰り返して申しておきます。正しく評価したいのであれば、あなた自身が10回その経営者と会って話しをするよりも、極論言えば10人の立場の異なる人たちの意見を聞いたほうが、遥かに有益なのです。むしろ、最初は自分が10回も会って話さないほうが宜しい(笑)。10回あったところで、今の状況下での今のあなたの立場(ここでは相手から見て採用候補のあなた)からの、相手の見え方が出てくるだけですから。

相手もあなたを採用するつもりだったらたいていはいい顔見せるでしょうし、もっというと、会っているうちにあなたにも情がわきます(笑)。そして、妙に最初の段階で意気投合した感じになってしまうと、もうあなたは、相手についての自分の印象を変えることは非常に難しくなってしまっているはずです。

あばたもえくぼ。客観的評価という観点からは、最悪ですね。最初の段階では、自分の会った印象よりも、色んな人の意見から色んな側面を見ることに注力すべきだと思います。

もう少し、この段階での留意点を付け足しておきます。色んな人の意見を聴く際に、真昼間にお互い畏まって話しをするだけだと、ちょっと足りません。出来れば夜に食事でもしながら、少しは酒も入れて、話が出来るとなおよいでしょう。その相手の本音がポロリと出るのは、酒を飲んだとき。どれだけガードが固い人でも、酒が入りリラックスした雰囲気になれば、少しはガードが下がるものです。

ついでに言えば、その相手の人の違う側面も見えることでしょう。これはこれで面白いけど、本論には関係ないですね(笑)。酒の席での意見だけに偏るのは、それはそれでよくないですし、現実的に全員と酒を飲むわけにもいかないでしょうが、「この人の意見をもっと聞きたい」という場合には、夜の食事は有効かつ大事なイベントだと思います。

さて、こうして色んな立場の色んな人の意見、出来れば色んな状況下におけるそうした人々の意見をある程度聴くことが出来たと想定しましょう。これらは、その経営者が他人に与えている印象ということで、客観的事実です。真実のその人となりかどうかは神のみぞ知るところですが、周囲の人に与えている印象や影響そのものです。

そして、それらの話を累積したところで、あなたは、なんとなくでも、その経営者についてのあなた自身の印象を持つに至っているはずです。その印象がとても大事なのだと思います。

単純に、好きか嫌いか、尊敬できるか出来ないか、優秀と思うかどうか、などなど。もちろん最初に申し上げたとおり、人には色んな側面があるから、たった一つの印象をもつことはできないでしょう。しかし、「こういう面はこうだけど、全体としてこうかな」みたいな感じの印象は持てると思います。

漠然とした言い方ですが、そもそも人物評価は、人という複雑な生き物に関する統合的判断・評価でしかあり得ない。極論すると、理性判断であるよりも遥かに、美的判断なのです。だからこそ難しいのですが、だからこそ面白い。

さてこの段階で、「なんかちょっとひっかかるんだよなあ」という思いが強くて拭えない場合。私のアドバイスとしては、それ以上は深追いしないほうがよい。その会社へは就職しないほうが良い。恐らくあなたのそのひっかかりは、就職後、現実のものとして立ち現れるでしょう。あなたの印象というか判断が誤る確率より、あなたの印象が現実のものになる確率の方が遥かに高いと思います。

逆に、そういうひっかかりを超えて、あなたがポジティブな印象・判断を持った場合。最後の仕上げがあなた自身の実体験・実際に会う印象による、その経営者の最終評価です。

きっとあなたは、その経営者の経営理念や方針、経営者としての戦略グランドデザイン、事業に関してのコミットメント、経営において何を大事にしているのか、人材や人事に関してどのような考えを持っているのか、などなど、色んなことを直接聴きたい・探るべきだ、という風に思うことでしょう。まあ、悔いのないように好きに聴いてください話してください(笑)。経営者とサシで飯を食うのもいいと思います。

実は私の感覚で申しますと、この段階での評価という面では、もはやネガティブチェック程度の意味合いしかありません。あなたは既にその経営者に対して、一定の印象、ポジティブな印象を持って会っているはずです。その時点で判断には大きなバイアスがかかっています。それでいい。判断は、直接自分の目で確かめる前に、つけておくべきだと思うからです。

繰り返しになりますが、被面接者としての立場での自分の個人的印象を先に強く持ってしまうと、その後誰の何の話しを聞こうとも、色んな意味で大きなバイアスがかかります。自分の印象と違う意見や見方を無視したり。逆に過剰に自分と違う意見に反応したり、というのもあり得ます。

例えば最初の自分の印象で、すごく大らかで人懐こいタイプだなと勝手に思っていたところ、社内では、しっかりしてるが結構恐持てだという印象で、皆が思っていたとしましょう。あなたはもしかすると、恐持てという部分に過剰反応し驚きのあまり「二重人格だ」なんて短絡的な判断をしかねません。

逆に、恐持てだけどしっかりした社長だ、という周囲の意見からの印象を先に強く持っていた場合、その後実際会ってみて、温和に話す社長を前に、「外部の人にたいしてはとても接し易い好印象を残す人なんだな」なんて感じで加点ポイントになったりもするでしょう。

人についての印象・判断なんてのは、これくらいブレが起こり易いものです。そして、どちらの判断がより正しいのか。統合的判断という意味では、後者に分があるのは明らかです。

話を戻します。最終段階での社長との面談というのは、選挙で最後にだるまの目を書き入れるようなもの。書き入れる前にあなたはほぼ結論を出しているのです。この最終段階でよほど気になることが出てくるなら就職はやめるべきですが、その確率は高くありません。むしろここで行うべきは、判断というより、入魂。社長と意気投合できそうならば、大いに盛り上がりましょう。

社長は、面談する前にそんな綿密なあなたの情報を持っているわけではありません。通常は、面談前に何か強い印象をもともと持っているわけではありません。入社するにあたっての、社長から見たあなたの印象は、やはりこの最初というか、初期の段階での、社長の直接的な印象に大きく規定されるのですから。。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

初めての方へ 私たちキャリアインキュベーションについて

転職のご相談・お問い合わせ 業界の専門分野で10年以上の
経験を持つエージェントに
転職相談(無料)
してみませんか?

あなたのキャリアに関する相談相手として、現在の状況に耳を傾け、これまでのご経験や今後のポテンシャル、
将来の展望を整理し、よりふさわしいキャリアをご提案します。

1分で完了 無料登録・転職相談

現在約6000人以上が登録中!
転職活動にすぐに役立つ
メールマガジン(無料)もございます。

メールマガジン登録(無料)