金光隆志のコンサル転職Q&A

[第40回] 最近、戦略系ファームのトップが外国人になったり...

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【質問】 
最近、戦略系ファームのトップが外国人になったり表向き日本人がトップだが実質外国人がマネジメントしている著名なファームがでてきています。グローバル化が当たり前の世の中ですから驚くに値しませんがオペレーションは現地化しないとうまくいかないのではと思っています。金光さんはどのようにお考えですか?(戦略コンサルタント志望 30歳 メガバンク勤務)

みなさんこんにちは。ゴールデンウィークは如何でしたか?僕はずっと都内にいましたが、さすがにどこも混んでましたね。出かけるとかえって疲れる感じでロクに休まらないし、後半は仕事してました。


さて。戦略ファームのグローバルリンクに関連するご質問のようですが。これはもう昔から繰り返されていることで、むしろ僕は「今だに調子の悪いファームはそうなるのか」と逆に驚きました。

コンサルティングファームに限らずグローバル企業が真に成功するには、あるいは真に成功した暁には「グローバルに考えローカルに行動する」ことが不可欠となります。

20年近く前にアセアブラウンボベリ(以下ABB)という企業が多くのメディアで取り上げられ、コンサルティングファームもABBをグローバル組織のベストプラクティスとしてケーススタディによく取り上げていました。そのABBが提唱していた考え方の一つが、この"Think globally, act locally"という組織原理です。

元々は国際政治的な文脈の中でよく使われていたスローガンでしたが、企業マネジメントにおいてアナロジカルにこのスローガンを使い始めたのはABBが最初ではないかと思います。ちなみに「小さな政府」のアナロジーとして「小さな本社」というコンセプトがもてはやされ出したのもこの時期です。

さて政治文脈におけるスローガンの意味はともかくとして、企業マネジメントにおいてABBが実践していたこと。それは、研究開発やベストプラクティスのような、主として知的生産活動についてはグローバルに共有を計ったり機能を集約したりしてその生産性を高め、事業行為や営業行為は現地化を徹底する、という組織原理です。

これ、言うのは簡単だけど実行するのはとても難しい。突き詰めると縦横無尽かつ現実的実践的なマトリクス組織運営のスキルやノウハウが求められるのです。何を考えて組織設計すべきかの指針はある程度存在しますが、所謂一般解は存在しません。

語り始めるとこのテーマだけで本何冊にもなりますので深入りはしませんが、業種や多角化の度合い、各事業特性、市場特性、当該企業の歴史、競合上のポジション、強み弱み、固有の行動規範、等々によって、何をどこまで現地化し、どんな機能や理念をどこまでグローバルで統一すべきか、ごしつ誰がどんな組織をどうマネジメントすべきか、責任権限をどう配分すべきか、など、徹頭徹尾固有解を考えることが求められます。一度設計したらそれで終わりということはなく、常に考え、実践し、修正し続けることが求められます。

とまあ非常に堅苦しく難しい言い方をしてしまいましたが、これ実は、元も子もないことを言いますと結局は世界で何人優秀な人がいて、彼らがどこにいるか、ということによって決めて行くことになるんです。何でかって?乱暴に言えば、要するに、どんなグローバル組織においてもその組織規模に比して真に優秀な人材は限られているということなのです。そして、その限られた優秀な人材をどこに配置すべきか、どう責任権限を持たせるのか、というのがマネジメント上の最重要に近いイシューとなるわけです。

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが、グローバル戦略ファームとて、このイシューの例外ではありません。いや、グローバル戦略ファームこそ、常にこの問題に直面し格闘せねばならない代表格かも知れません。グローバル戦略ファームにはもちろん優秀な人材が沢山いますが、その優秀な人材達を効果的にあるいは効率的に活用していくには、それこそ極めて優秀な人材が必要になるのです。そして、そんな人材は、世界広しといえどごろごろは存在しないのです。
ここに、ご質問に対する答えの核心があります。
グローバル戦略ファームにとって、日本市場は非常に重要です。どれほど不況に喘ごうと世界有数の経済大国であり、グローバルに活動する企業が多数存在し、国際競争力を保持しています。つれて、コンサルティング市場も非常に大きく成長してきました。

しかし、日本の経済力に比べて、コンサルティングの浸透率は未だ各国市場と
比べるとかなり遅れているのではないかと推察します。
そして更に、今や恐らくは一人勝ちとも言える程、BCGが他を圧倒しています。BCGがここまで圧勝しているのは日本市場だけではないでしょうか。

さてここで質問。市場にまだまだ伸びしろがありそうで、市場シェアだって本当はもっと高く出来るはず、なのに長年伸びるどころか停滞あるいは衰退してきている。あなたがそのグローバルファームのトップマネジメントだったらどうしますか?

おそらくはいつかのタイミングで、巻き返しを計るべくこの市場に自社有数の人材を投入しようと思いませんか。

そして、残念ながら自社有数の人材の中に日本人がいなかったとしたら。恐らくあなたは、そこそこ優秀な日本人に日本市場を任せる、というマネジメントに限界を感じているはずです。国籍よりも実績や能力を優先させようと考えるはずです。

BCG東京はBCGグローバルにおいても重要な地位を占めますし、既に発言権も相当なものだと思います。東京の代表の一人(御立さん)はコーポレートの役員も兼ねておられます。

端的に言えば、今のBCG東京に太刀打ちするには、中途半端な現地化よりも多少言語的な問題や商慣習に馴染みがないなどのデメリットがあろうともグローバル人材を投入すべき、という判断があってもおかしくはありません。

事実がどうなのかは存じませんが、多かれ少なかれ上記のような事情はあるのではないかと推察します。ちなみに現在のBCG東京は、完全現地化とグローバルリンクの両立を高度なレベルで達成していると見てよいでしょう。

ご質問への答えになっているかどうか解りませんが、単純に現地化がよいとか、外国人ではダメとか、そういう問題ではない、ということはお解り頂けたでしょうか。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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