金光隆志のコンサル転職Q&A

[第41回] コンサルタントの辞め時はいつ?

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【質問】 
「コンサルタントの辞め時っていつでしょうか。」
いつも楽しく拝見しています。現在の戦略ファームに転職して6年が経ちました。マネージャーも3年近く経験しています。今の仕事はフィットしていると思うのですが、パートナーになりたいかと言われると微妙です。個々人のキャリアに対する考え方次第だと思うのですが辞め時っていつだと思われますか?(戦略コンサルタント 34歳)

みなさんこんにちは。

6月に入り、もう夏の足音が聞こえる季節となりましたね。でも、今年はなんか全然季節感を感じません。みなさんはどうですか?

さてさて。コンサルタントの辞め時ですね。辞めざるを得ない状況というのは別として、いつ、自分は辞めるのか。難しい質問です。

コンサルタントというのは、いつも漠然とではありますが、自分はいつ辞めるのかな、というようなことを頭にイシューとして持っているような気がします。好不調に関わらず、私も、私の周りも皆そうでした。

先ず、個人的には、戦略コンサルになったからにはプロジェクト全体をマネージする立場までは経験して欲しいと思います。会社によって階層分けは違いますし、どのファームも規模化に伴い階層が細かく分かれるようになってきていますから、呼称では一概には言えませんが、メンバー6人くらいまでのプロジェクトならパートナーの直下でマネージするレベルまでです。更に言いますと、その程度の規模ならパートナーがいなくてもプロジェクトが回せるレベルまでです。

本当はプロジェクト最終責任者としてのパートナーまで経験して、初めて一人前のコンサルタントになったと言えるのですが、上記のレベルまでいけば、クライアントのトップから直接信頼を得るまでにはなっているはずです。コンサルタントという仕事の醍醐味はかなりな部分経験したと言えると思います。

パートナーは経験すべきか。出来れば経験して欲しいとは思います。ですが、職業倫理として、どこまで情熱を持ち続けられるかが重要になってくるのではないでしょうか。

長年コンサルタントをやっていると、疲れも飽きも出て来ます。これは、ほぼ全ての人にとって避けられないことではないかと思います。この疲れや飽きと上手に付き合っていくことが必要になっていきます。例えばサッカーにせよ野球にせよ、どんな一流のプロスポーツ選手だって、何年も、毎シーズン中ずっと、100%の力を出し続けることは不可能です。シーズンを通して、また長期に渡り、高水準のパフォーマンスを持続するために、試合によって力の出し方を調整するはずです。オフの過ごし方などを工夫するはずです。

コンサルタントで言えば、メンバーの力、クライアントのレベル、プロジェクトの難易度、等によって自分自身が、どのプロジェクトにどれくらいの工数を割くのか。もちろん常にクライアントのエクスペクテージョンを上回らなければなりませんが、例えて言えば10のエクペクテーションに対して100返しても、むしろ無駄なことだってあります。10に対しては12返す。100に対しては120返す。そういうビジネス判断は必要になります。

コンサルタントというキャリアの楽しみ方、醍醐味の感じ方。そういったことも自分の中で変っていくだろうし、変えていいと思います。マネージャーまでは分析的にメカニズムを解明したり解を導きだしたりすることに醍醐味を感じる人も多いでしょう。ところが、パートナーになったら、自らがその次元でインテレクチュアルリーダーシップを発揮する機会は減ると思います。減らないといけません。

では、パートナーにはインテレクチュアルリーダーシップは求められないのか。パートナーとは単なる営業マンなのか。全く違います。パートナーにはより高次でのジャッジメントが求められます。長年の経験に基づき、プロジェクトがスムースに進行するようなディレクションを行わねばなりません。クライアントのエクスペクテーションを判断し、どのイシューにフォーカスすべきか、どの程度の答えを出すべきか、等の判断をせねばなりません。また、クライアントのエクスペクテーションそのものをうまくコントロールせねばなりません。

これらはとても高度な知的な活動です。

新たなビジネスコンセプトの研究開発に力を注ぐという楽しみ方もあるでしょう。更には、後輩の育成、大学講師を兼務して教育を担って行く、等をライフワーク的に行って行くのもいいでしょう。もっとダイレクトにクライアントトップと打々発止の議論をすること自体が醍醐味という人もいるでしょう。

いずれにせよ、コンサルタントを長く続けている人の多くは、みなそれぞれに創意工夫をして、楽しみ方、息の抜き方などを身につけていると思います。

ところが。こういう創意工夫をしてももはや楽しめない、それらすらも飽きてしまう、もっと新しいチャレンジをしたくなる、等の心理状態が段々支配的になっていく人も出て来ます。こうなってくるとコンサルタントとしての職業倫理を保ち続けるのがつらくなってきます。ここでいう職業倫理とはクライアントに対する真摯な姿勢です。

正直言いまして、あるレベル以上になると、もはや組織力だけでプロジェクトを受注することもプロジェクトを回すことも出来ます。悪い言い方をすれば、神輿の上で好き放題に踊っても許されるようになるでしょう。これはもうはっきりと、本来は辞め時というか、辞めるべきだと個人的には思います。

ご質問者の方は、まだその手前におられますね。悩みどころだと思います。パートナーをやる前ではパートナーの醍醐味は解らないことも多い。もちろんあるレベルまでは直接間接に経験しているので、多少の想像はできるでしょう。でも、想像と実際は随分違ってもおかしくありません。もしあなたが、コンサルタントという仕事にもはや情熱を持てないのであれば、辞めるべきでしょう。疲労や飽きがどうにもならない場合だってあります。それ自体は仕方ないですし今まで頑張って来たのなら悪いことではありません。情熱を傾けられる新たなチャレンジを見つけることを勧めます。

ですが、今はまだ結構楽しみは感じられるけれど、パートナーは面白そうに見えない、とか、パートナーとしてやって行く自信が今ひとつ持てない、という程度の状況ならば。私は、パートナーを経験してみることを勧めます。そこまでは頑張ってみる価値があると思います。パートナーには、やってみて解る醍醐味、やってみて解るチャレンジ、やってみて得られる自信や名声、等、多くの魅力があります。

とにかく、6年のコンサルタントキャリアは価値あるものです。ここで新たなキャリアに進むのも1つの区切りとしてはあり。一方、コンサルタントを続けることで益々自分の価値の向上が加速する可能性がある、そんなステージでもあります。

もう少し手前のレベルの方なら絶対に続けろとアドバイスするところですが。
あなた次第ですね。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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