金光隆志のコンサル転職Q&A

[第46回] 世界的大不況の中、戦略コンサルに転職するのは厳しい?

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【質問】 
世界的に大不況ですね。このタイミングで戦略コンサルに転職するのは厳しいのではないかと迷っています。金光さんは如何お考えですか?(29歳/総合商社勤務)

みなさん、こんにちは。

めっきり寒くなってきましたね。季節も、景気も。。
サブプライム問題は大きな問題ではない、と予想した半年前の私の推論も寒いものでした。。

ここまで不況感と先行き不安感が強まると、さすがに戦略コンサルファームの仕事にも影響が出てきていることでしょう。金融系クライアントへの依存度はほぼどのファームも高かったはずですから、業界全体に影響していることでしょうが、ファンド系からの仕事に依存していたファームなどは、今は相当厳しいかもしれません。

もちろん、採用にも影響していることでしょう。別段戦略ファームに限ったことでなく、多くの業界で採用を控える、当初予定より抑える動きは出てきています。

こういうタイミングでは動くべきではない?

そうですね、不況下では需給バランスが大きく崩れていますから、一般的には転職に不利なタイミングと言えるのかも知れません。転職しても仕事がないのではないか、とか、すぐクビを切られるのではないか、とか。転職した後のことも不安に思われるかも知れませんね。

ですが、私は、戦略ファームへの転職は、考えてよいのではないかと思います。いや、場合によっては、考えようによっては、あなたにとってチャンスかも知れない!?

戦略ファームというのは、日本のビジネス環境においては、未だ人材・採用・育成の観点からは特殊な業界です。

先ず、プロフェッショナルスタッフの大半が、中途採用です。今でも学卒からの採用は少ないはずですし、オフィサークラスまで残っていく人は非常に少数です。

そして、戦略ファームで求められる成長スピード、言い換えれば、階層間の年次差は、他の業種に比べてはるかに短スパンです。あなたは3年で中堅を担うことを求められます。

更に、戦略ファームにおける人材育成の基本ポリシーはup or outです。これは、端的に言えば、上のポジションが詰まっている、ということが殆ど無いということ。プロジェクトマネージャーになった人は、いつまでもマネージャーでいられない。3年すれば、次の階層にあがらないといけない。あがれない人は基本、outです。

もうひとつ付け加えるなら、戦略コンサルティングは特殊技能ですから、基本的には人材は内部育成せねばならない。例えば、プリンシパルが少し足りないから、どこかからか中途採用、というわけにはなかなかいかない。世の中でヘッドハンティングといえば、即戦力を求めてエキスパートやマネジメントクラスを採用するものなわけですが、戦略ファームでマネージャーやプリンシパル等を勤められる人が、世の中にごろごろいるわけではない。というか極く限られてる。戦略ファームでは、卵やひよっ子をヘッドハンティングして、大事に育てているわけです。

さて、以上の4点からどのようなインプリケーションが導かれるか。懸命なる皆さんならお気づきのことと思います。いや、ここまでヒントを出しているのだから、戦略コンサル予備軍たるもの、気づかねばなりません(笑)

そうです。今入社すると、もしかすると3年後、あるいは6年後あなたはファームにとってとても貴重な存在になっているかもしれないのです。極々一部のトップファームは別として、多くのファームはさすがに今は採用を少し控えるはずです。トップファームとて、例外ではないかもしれない。でも、大半のファームはゼロにはしない。数年後を考えると、それは余りに高リスクだからです。今採用をゼロにしてしまうと、例えば3年後、中堅層が枯渇した状態になってしまいます。それこそ、プロジェクト遂行にも、受注にも支障をきたしてしまいます。

裏を返しますと、今、戦略ファームに入ると、下世話な言い方をすれば出世の競争率がグーっと低い状態でいられるかもしれないのです。

たった今でいうと、一番きついのは、ここ2~3年で入社したコンサルの人たちではないでしょうか。

2,3年前といえば、戦略ファームはどこも好景気だったのでは、と記憶します。当然、採用数も多かったはず。例えば10人採用していたとしましょう。3年前の景況感が続いていれば、その10人のうち、半数近くはマネージャーになるでしょう。しかし、今の景気だと。。

もちろん先ほどのロジックはあらゆる階層に言えますし、上に行くほど即戦力は外に求めにくいので、単純に今の景気や受注量に合わせた昇格数とはしないでしょうが、半数は残れないかも知れませんね。

私は学卒でBCGに入社したのですが、当時はまだBCGも全然小規模でしたし、スピンアウトがあった少し後だったので、あらゆる階層に穴というか人材不足が発生していました。

そして、その穴を埋めるために、学卒においても3年先輩、2年先輩のところには、ごろごろ(といっても7、8人ずつくらいでしたが)学卒コンサルがおられました。ところが、採用しすぎた、ということで1年先輩は面接はしたけれど採用ゼロ。私たちの代も3人だけ。

私たちは、良くも悪くも(笑)、随分と可愛がって頂きました。出来が悪いと言われ続けながらも3人しかいないから、厳しく、そして大事に育てて頂いていたと思います。

様々な理由がもちろんありますが、3年先輩と2年先輩を合わせて、マネージャーになられたのは確か2人。15人くらいおられて、2人。私たちの代は、一人は家業を継ぐために早々にやめましたので実質2人しかおらず、そして2人ともマネージャーになりました。
細かい、具体的な事情を見ていけば色々あるのですが、マクロに言ってしまいますと、ここにも構造とメカニズムは働いていたのだろうと思います。

今のトップファームであれば、人材プランは数年先を見越して考えているものです。上層部については、固有名詞で、誰がどうなっているか、ある程度想定します。すると、その時点での中堅層の必要キャパシティは自ずとわかります。オフィサー一人につき、何プロジェクトくらい受注するのか、稼働率にある程度の幅を見て、これくらいのマネージャー数は必要だな、とか。そうすると、その下に予備軍をどれくらい必要とするかもある幅の中で決まってきます。

それでも、足元の景気というか収益とのバランスは見なければなりませんから、余裕を見た採用というのは難しいかもしれません。だからこそ、今のタイミングで採用した人にはなんとしても将来中堅を担えるように育って欲しいはずなのです。


ちょっと下世話な観点からの話が多すぎたかもしれません。が、私からのアドバイスは、決して今だけを見て判断するのでなく、将来のキャリアプランを見据えて考えてほしいということです。

コンサルを目指したいのなら、そんなに景気とか気にしないで、アプライするのも手だと思いますよ。

では、ちょっと短めですが、私の申したいことはほぼ言えましたので、今回コラムはこの辺で。

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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