金光隆志のコンサル転職Q&A

[第45回] 戦略ファームに入社予定です。アドバイスいただけますか

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【質問】 
来年1月に戦略ファームに入社予定です。それまでに準備しておくことなどアドバイスいただけますか。宜しくお願いいたします。(27歳・男性/国家公務員)

みなさん、こんにちは。すっかり秋らしくなってきましたね。これからの季節、物事に落ち着いて取り組むには最適。創造性を多いに発揮して参りましょう!


さて。戦略ファームに入社ご予定ということで、先ずはおめでとうございます。
大変な仕事だし、公務員からの転職で、色々と戸惑うことや悩むことも多いと思いますが、謙虚に、かつ自信を持って、自分を信じて、最初の3年間は全てを注ぐつもりで頑張ってみてください。それくらいの覚悟が必要だし、その覚悟のある人には意義深い経験と、その後の展望が開けることでしょう。

入社前の準備ですが、正直申し上げて、これをやっておくべし、みたいなものはないんじゃないかな。僕の考えでは、各人の状況や性格、これまでのキャリア等によって色んな過ごし方があっていいと思います。

例えば。
冒頭申し上げたように、戦略ファームに入ると、本当に余裕は無くなりますし、余裕こいてる場合じゃない。当初はプライベートを含めて全て注ぎ込む覚悟が必要です。

国家公務員も仕事が深夜に及ぶことが多いでしょうし、27歳と大変お若いので関係ないかも知れませんが、ご家族との時間すら相当犠牲にしないといけなくなります。

深夜残業、土日出勤は当たり前。
深夜は減ったし土日もあるし昔に比べて相当楽になったという噂もたまに耳にはしますが、もし本当にそうならば、コンサルタント個々の力量は、それに比例して相当堕ちていることでしょう。現在シニアとして活躍している方々は、ほぼ例外なく、とても苦しい時期を過ごし、それを乗り越えてきておられます。100%注ぎ込んでもまだ足りない、通用しない、という経験を絶対にしておられます。1度や2度じゃないです。ほぼ毎日のようにね。

で、つまりは、ご家族をお持ちの場合は、ほぼ確実に、ご家族との時間を犠牲にせねばなりません。ですから逆に、今のうちはご家族との時間を大切にし、しっかり入社後についての理解を得られるようにお話合いもしておく、というのだって1つの時間の過ごし方だと思います。真面目に言っていますよ。ご家族からの理解と協力無しには、戦略コンサルタントとして一人前になるというのは、困難なことなのです。

ご家族が無い場合でも、個人の時間や趣味を大切にしてこられた方ならば、今はその時間を増やして、自分が満足するところまでやっておいて、来るべき戦略ファーム初日を迎える、というのだってよいでしょう。例えば旅行なんて100%ろくに出来ませんから、今のうちに行きたい所へはいっておくとか。ゴルフが好きなら休みの日は毎日のようにいっておくとか。

そういうプライベートなことは大丈夫だから、もっと仕事面や知的な面で何かしておきたいという方ならば。

例えば。
あなたはどうせ今の会社や組織はお辞めになるわけです。飛ぶ鳥後を濁してはよろしくありませんが、この際最後に思い切り暴れてみる、というのはどうでしょうか。

これまでは多かれ少なかれ上司の顔色を見ながら、言葉を選んだり、言おうかと思ったことも言わなかったり。そういうの、絶対にありますでしょ?

全社のことだけを考えて、あるいは顧客のことだけを考えて行動してみる、というのをやってみるのはどうでしょうか。ご質問の方なら、国家や国民のことだけを考えて、ということになるのでしょうか。

少々の軋轢は生まれるかもしれませんが、今まで顔色を伺ってばかりだった人には、もしかすると大切な経験かもしれません。戦略ファームにおいては、原則は、議論において上下は関係ありません。徹底的に考え抜き、徹底的に議論を闘わせねばなりません、その中から新しい知恵が生まれるのです。言われたことだけ言われた通りにやっていたって駄目なのです。

もっと言いますと、戦略ファームであなたに与えられるのは、作業ではなく、目的や論点、ミッションなのです。言われたことやったけど、So what?が無いとか、考えてないとか、論外です。最初にこれで面食らう人は、今でも結構いるんじゃないかな。「言われたからやったのに、これじゃ付加価値ゼロって。何なんだよ」ってね。あるいは、マネージャーやオフィサーの意見に、そうですね、ばっかり言っていて、後のエバリュエーション(戦略ファームでは通常プロジェクトごとに、詳細な評価とフィードバックがあります)で「お前は何も考えてない」と言われて、愕然としたり。

ともかくも、意見をキチンと闘わせるとか、直接の上司部下だけじゃなくいろんな人を巻き込んで物事を進めようとするとか、全社最適や顧客のことだけを考えてやってみるとか、そういうことって案外経験の無い人が多いと思いますので、この機に乗じてというのも何ですが、辞める前に試してみるというのも、ありなんじゃないでしょうか。そこから何かが生まれるかもしれません。自分が行動を起こす事で何か新しい動きを生み出すというのは貴重な経験です。まあ後の責任を取る事が出来ないので、大きいプロジェクトをしかけるとかは無責任な結果しか生まないだろうから避けた方がいいでしょうけれど。(苦笑)

あるいは。
もっと入社後に直結することをしておきたいと思うならば。
色々勉強しておきたいというのもあるかも知れませんが、例えばリクルーティンング担当にお願いして、週に1回でもいいので、現役のコンサルタントやマネージャー、オフィサー達にランチやディナーに付き合ってもらえるよう計らってもらうのもありかも知れません。色々と聞きたい事をインタビューしたり、今のうちから将来の仲間と信頼関係や親睦を深めておくのです。

入社したら嫌というほど話す事になるから、そんな必要は無い?そうとも言えます。それに今から頻繁に会っていると、来るべき入社初日に新鮮味が無くなるというデメリットも懸念されます。しかし、入社すると、思いのほか、一緒のプロジェクト以外の人と話したりゆっくり過ごす機会は少ないと思います。

昔のBCGは2プロジェクト制だったし期間も比較的短いプロジェクトなんかがあったので、入ってからでも結構色んな人と一緒に働いたり、飲みに行ったりということが出来ました。でも、今は違うんじゃないかな。1プロジェクト制になり、しかも期間の長いプロジェクトが増えているだろうし、昔のようにこじんまりとブティックファーム的な雰囲気でやってた頃みたいな、プライベートも含めた付き合いというのは減っていると思います。

色んな人の話を聞くというのは、案外やりにくくなっているんじゃないかと推察します。それに、いくら入社が決まっているとはいえ、入社前と後では、こちらが聞ける話や相手の答えや話の内容も多少違ってくると思います。まあ相手は多忙だしリクルーティング担当だってあなた一人にそんなに構ってられないだろうから、そうそう多くは期待出来ないかもですが、週に一人アポを入れてもらうくらいのお願いは、駄目もとでしてみるのもいいのではないでしょうか。

どうしても、もっとスキルやなんかに直結することをやっておきたいのなら。
ずっと前にも違う話題で書いた事がありますが、今のうちからメモを取る習慣をつけるといいと思います。あらゆるミーティングや話し合いで、メモを沢山とる。なれるまでは、書き留めるだけで精一杯だろうし、何をメモすればいいかわからず、すっちゃかめっちゃかなメモ帳になるかも知れません。でも習慣化するだけで、全然違います。

最近若い人で、というかビジネスパーソンでメモる人がほんとに少ない。もったいないなあとつくづく思います。意味があるのか、などと疑問を持たず、続けることです。いずれあなたは、話を構造化しながら聞き取れるようになるでしょう。メモすら構造的になっていくことでしょう。あるいは、キーポイントを外さないメモがかけるようになるでしょう。気づけばあなたは分析力、論理力、構造化力、様々なスキルを向上させていることでしょう。

もっともっと直結することをやっておきたいのなら。
そうですね。。定量分析力を鍛えておけると、ちょっとは役にたつかもしれません。だけど、それって入社前に机上でやるのはかなり難しい。フェルミ推定を100問やったところで、無駄じゃないけどうーんって感じですし。(笑)

定量分析力とはすなわちモデル化力でもありますので、いろんな社会現象の微分方程式をたてる訓練などはいいのかもしれませんが、ちょっと、特に文系の人にはハードル高すぎるかなあ。。まあよっぽど他にやることがなくて、かつその気があったら、大きい本屋の数学コーナーなんかを覗いてみてください。多分多くの人が挫折するからお薦めはしませんが。ちゃんとやれるなら、悪くありません。微分方程式が解けなくてもいい。たてる経験を積めたら、分析センスは結構鍛えられる可能性があります。

そこまでは出来ないけど、少なくともコンサルティングに役立つ数理センスを養っておきたいという場合は、対数を勉強しておくといいでしょう。対数は、日本の学校教育ではあまり重きを置かれず、苦手意識を持っている人も多いと思います。しかし、実は思っている程に難しいことではありません。しかも、世の中の現象を分析的に見る上で、対数的発想ほどパワフルかつ大事なものはありません。出版社は忘れましたが、確か「対数のはなし」(森 毅著)という本があって、すごく解りやすくかつ面白かったような印象があります。ご興味があれば、読んでみてください。

さて、色々と言ってみましたが、別にどれが正解ということはない、というのは先刻申し上げたとおりです。他にも色んな過ごし方があることでしょう。1つメタレベルで要約しておきますと、要するに、コンサルタント初日を万全の気持ちで迎えられるように、そして入社した後はひたすらがむしゃらに、全てを注ぎ込めるように、しておく、今のうちに各自の状況や興味に応じて準備しておく、ということです。過ごし方は人それぞれでよいし、そうあるべきです。

最後にもう1つだけ。
あなたは10年後、どうなっていたいのか。20年後はどうか。それくらいのタイムスパンで、自分のことを考えてみるのもお薦めです。入社したら、そんなこと考えている暇はしばらくなくなりますからね。

では、ご検討をお祈り致します。万全の気持ちでコンサルタント初日を迎えてください!

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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