金光隆志のコンサル転職Q&A

[第47回] 戦略コンサルタントの一番大変なことって何でしょうか?

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【質問】 
戦略コンサルタントはハードワークで大変な仕事だと聞きます。実際、一番大変なことって何でしょうか?(25歳/監査法人勤務 会計士)

みなさんこんにちは。

12月になりましたね。今年も残すところあと1ヶ月。明るい話題が殆ど聞こえなかった一年のような気がします。それでも、希望と信念は捨てずに、前に進んでいきたいものですね。

さて、戦略コンサルタントはハードワークで大変な仕事で、何が一番大変か、とのことですが。

最初にお話しておかねばならないのは、確かに戦略コンサルティングはハードな仕事ですが、それ以上に先ず持って、戦略コンサルタントになる人にはハードワーカーが多い、ということです。

ちょっと鶏と卵みたいな話ですが、そもそもハードワーカーがやるからハードワークになるのだ、という側面が確かにあるのです。

戦略コンサルタントになろうという人の多くは、恐らく自尊心も自負心も責任感も、大変強いはずです。また、それなりの高い評価を周囲から与えられてきた人達ばかりです。

そういう人が戦略コンサルタントになったら最初にどうなるのか。

大抵の人が、見事に自信を打ち砕かれることでしょう。実績があってなおかつ自負心を強くもっていた人であればあるほど、そうなはずです。

そういう人が、自信を打ち砕かれたたら、どうなるのか。

これまた大抵の人が、必死で立ち向かおうとします。自負心を失わない限り、克服しようと必死に頑張ります。責任感も強いので、クライアントに対して、あるいはプロジェクトにおいて、何とか付加価値を付けなければと、その時点での実力以上の結果を残すべく、努力をします。

ここに、もうひとつの本質が潜んでいます。というほど大げさなことでもないのですが。

どこに?実力以上の結果を残すべく努力する、というところにです。
何の本質か。戦略コンサルティングがハードワークである本質です。

どういうことか。

答える前に、話の補助線をもうひとつしておきましょう。
戦略コンサルティングファームにおける人事・評価制度についてです。

ほぼ全ての戦略コンサルティングファームでは、Up or Outという人事ポリシーが貫徹されています。

Up or Outというのは、文字通り、「成長し上に上がるか、さもなくば去るか」ということ。そして、通常の会社では考えられないほどのスピードで、成長、というか上にあがることが求められます。

このことから導かれるインプリケーションは?
そう。あなたは、やっと今の役割に慣れてきた・上手く出来るようになってきた、と思った途端、上の役割へとすぐ引きずり上げられるわけです。笑。
普通の会社だと、例えば伝統的大企業であれば、同じ役割や仕事を数年から、長ければ10年以上とか、やっていくわけですよね。ところが、戦略コンサルタントの場合、細かく見れば、1年から1年半くらいのスパンで、上の役割へと次々に引きずりあげられていきます。

何が大変かと言って、これが一番大変なわけです。

最初は下請け的な見習い。下請けといっても難しい仕事。なかなか上手く出来ません。でもあなたは自負心と責任感から、ハードワークして、なんとかリクワイアメントに応えようともがきます。

それにやっと慣れて上手く出来るようになったと思ったら次はモジュールを任されるアソシエイトに。今までは先輩から論点や仮説を提示されていました。しかし今度は自分で論点整理や仮説構築をしなければいけない。大変です。

あなたはまた、実力以上のハードワークでそれに応える。いづれモジュールはお茶の子さいさいで出来るようになるでしょう。でもゆっくりはさせてもらえない。

モジュールが1人で出来るようになったら、今度はプロジェクトマネージャー。プロジェクト全体の設計やプロジェクト運営、プロジェクトにおけるクライアントマネジメント等、また1次元高い役割にひきずり上げられます。

プロジェクトマネジメントがある程度できるようになったら、今度はマネージャーとかプリンシパルとか。つまりプロジェクト責任に加え、ある程度営業にも責任を負うようになります。

最初はパートナーとかディレクターとかと一緒に営業に行きますが、それもある程度できるようになったら、すぐ独り立ち。つまり自分でクライアントを取ってくる、メンテする、という事が求められます。

この間の5階層を、中途採用の場合、通常7年くらいで登りつめることが求められます。

つまり、1つの階層に2年と留めさせてはくれない。パートナー(ディレクター)になるまでは、あっと言う間の成長を求められ続けるのです。

ちなみに現在のファームでは、パートナーだって、2年くらいでちゃんと独り立ちできなければ、クビになります。昔ならパートナーは、パートナーなわけですからもう少し特権がありましたが、今は違います。独り立ちした暁に、やっと少し余裕というか、変な言い方ですが、ハードワークから精神的・時間的に開放されるわけです。

一つ一つの階層間にどれくらい違いというか差があるのか、その辺のイメージがないとわかりにくいとは思いますが、結構な落差です。アソシエイトからプロジェクトマネージャーはある程度連続性もありますが、それでも、階層間での役割と責任には大きな落差があるのです。

ひとつの役割に慣れたと思ったら、息をつく暇もなく、もっと大きな役割・責任を与えられる。その時点での実力以上の責任を負わなければならなくなる。あなたには自負心と責任感があるから、ハードワークでそれに応えようと頑張る。更に言えば、その役割をこなせるようにならなければクビだから、残りたければ頑張る。

つまり、戦略コンサルタントがなぜハードワークかと言えば、もちろんそもそも難しい仕事だというのが根底にありますが、コンサルタント自身が元来持っている自負心や責任感といった資質とUp or Outという人材マネジメントシステム・ポリシーが見事に共鳴し相互にかみ合うことによって生まれる社風だからなのです。

プロジェクト毎にかなり細かく評価・フィードバックされるというのも、ハードワークの社風に一役買っています。戦略ファームでは通常、各階層ごとにどんな役割・パフォーマンスが求められるのか、細目に渡って定義されています。そして、プロジェクトが終わるごとに、アソシエイトならマネージャーから、マネージャーならオフィサーから、評価とフィードバックを受けます。

何が成長しているのか、どこが弱点なのか、今の年次で期待される標準パフォーマンスと比べてどうなのか、かなり具体的な評価がなされます。嫌がおうにも、今自分がオントラックで成長しているのか、遅れているのか、何が駄目なのかを意識させられます。

プロジェクトごとに評価されるのですから、評価・フィードバックを受けるスパンは短い。3ヶ月ごととか、長くても半年で、纏まったフィードバックがなされるのですから、殆ど常に、上へ上へのプレッシャーとモチベーションを与えられることになります。

どうですか?精神的にも時間的にも大変そうでしょう?その通り。ですから、戦略コンサルタントには高い能力が求められるのは当たり前として、精神的タフさも相当求められます。

でも、この大変さ・タフさの見返りは大きい。
戦略コンサルティングファームの社風のおかげで、あなたは短期間で他では信じられないほどの成長を果たす事ができるのです。ビジネスの世界でそれなりのポジション・評価を与えられます。そして上に上がれば上がるほど、それに見合った報酬も得られます。インベストメントバンクには敵いませんが、それ以外では考えられない高額報酬です。

さて、最後に。
能力はあるけれど、そんなタフな環境でやっていけるかな、と怖気づく方もおられるかもしれませんね。そんな方に、私がBCGで学んだ事で最も有益で今でも自分の支えになっている教えをご紹介して今回コラムを終わりましょう。

「どんなに困難で難しいと感じる状況でも、解決策は必ずある。」

それでは皆様、よいお年をお迎えくださいませ!

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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