金光隆志のコンサル転職Q&A

[第48回] コンサルタントが面接する際にどこを見ているか?

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【質問】 
コンサルタントが面接する際にどこを見ているか教えてください。(エレクトロニクス 経営企画/27歳)

皆さん、明けましておめでとうございます。


どうやら厳しい経済・社会情勢がしばらく続きそうな気配ですが、明るい未来を信じて、乗り切って参りましょう!今年もよろしくお願いいたします。

さて、コンサルティングファームでの面接。最近では面接対策なども進んでいるようなので、ケーススタディなどには不安なく臨めている方も多いのではないでしょうか。それでも面接はケーススタディだけではありませんし、どこか謎めいているというか、コンサルタントとしての資質を試す上で何か特別なことを見ているのではないかいう印象はあるかもしれませんね。

私がお答えする前に、ご自分が面接官だったらどこを見るか、どんな人を求めるか、ぜひ考えてみてください。

コンサルタントじゃないのに判らない?そう思うのは当然。というか一般的な反応です。して、ここで思考が止まってしまう人。そういう人は残念ながらコンサルタント向きじゃない、ということになります。

ここで一つ、コンサルタントが面接でどこを見るか、出てきましたね。
どんなことでも自分なりに考えて仮説や考えや答えを導き出そうとするマインド。これはとても大事な資質です。私の考えでは、コンサルタントとして最も大事な資質だと思っています。

どんなことでも自分で考えて答えを導こうという人、案外世の中で少数派ですよね。自分に余り馴染みがなかったり情報がなかったりする事柄について、普段はもちろん考えようとはしないだろうし、急に問われると途方に暮れる。思考が止まる。そういう人が圧倒的多数。

戦略コンサルタントは、元来的には馴染みがなかったり情報が少なかったりする中でも方向性や解決策を提言するのが仕事です。もちろん経営学には、課題を考える技術や方法論、戦略を詰める上で助けとなる様々なフレームワーク、コンセプトなどは存在します。でも、フレームワークやコンセプトを使えばシステマティックに答えが出てくる、と思うのは大きな間違い。
そんなこと言わなくてもわかってる?いやいや。そうでもないですよ。

フレームワークやコンセプトに当てはめて、ステレオタイプな答えや戦略を書いて満足している人が、いかに多いことか。当のコンサルタントでさえ、新人の間はこの程度のことしか出来ない人が結構いるものです。
自分の頭で考える癖がついている人は、フレームワークやコンセプトに頼ることはしません。

もっと言えば、フレームワークやコンセプトというのは、そのままでは役にたちません。その背後にある考え方や論理そのもに立ち返って深く理解出来て初めて、様々な現実の課題を前にした時に縦横無尽な発想の源としてパワフルに活きてくれるのです。

これもちょっと考えてみればわかります。そもそも、そのフレームワークやコンセプトを考え出したり発見した人は、どうやってそこにたどり着いたのか。何かフレームワークやコンセプトを当てはめることで考え出せたのでしょうか?
有り得ませんね。現実の課題を前に、あくまで事実に密着して個別具体的に考え抜く過程で、結果として汎用性のあるフレームワークに結晶化されたり、複数の現象を統一的に説明できるコンセプトにたどり着いたりしているのです。
ですから、この結果だけ知っても仕方ないわけです。その背後にある膨大かつ緻密な思考の痕跡にこそ、本質が宿っているのですから。

話がかなり逸れてますね。すみません、私の悪い癖です。。
兎に角、自分の頭で考えられる人かどうか、というのは、一人前のコンサルタントになれるかどうかの必要条件と言って過言ではないと思います。

ですがこれ、面接で見抜くのは至難の業なんです。更に言えば、最初から自分の頭で考えられる人だけを採用しようとしても、必要採用人数が集まらないかもしれない(笑)。じゃあどうしてるのか。自分の頭で考えられるポテンシャルのある人を採用する、という具合に軌道修正せねばなりません。ポテンシャルなわけですから、採用後発露されるかどうかはその時点ではわからないし、残念ながらたまには見誤ることだってある(爆)。でも的中確率をあげることぐらいはできます。

何を聞けば分かる、というものではありません。逆に、何を聞いてもある程度はわかる、と言ったほうが正しいかもしれません。議論を通じて、あるいは何か質問することを通じて、はたまた単なる雑談を通じて。その人が自分なりの考えをその場で発展させていける人かどうか、一つのアイデアに固執せず柔軟に考えられる人かどうか。そういった基本的なことを確かめます。

それともう一つ。ポジティブに考えられる人かどうか、というのも自分で考える力にかなり関係していると思います。ポジティブに、というと前向きな人とかイメージされるかもしれませんが、所謂"頑張ろう"的前向きとはちょっと違って、解決指向的、とでもいいましょうか。あるいはコンサル用語で言えば"So What?"やインプリケーションに向けて考える、ということかな。

解決指向でない思考というのは、説明指向的な思考とでも言いましょうか。説明指向というのは、出来ない理由をあげつらう、というのとは違います。出来ない理由を考えるのがネガティブ思考だとすると、私がここで言っているポジティブ思考はその対概念ではありません。説明指向というのは、世の中や物事を整理して説明して終わり・"So What"が無くても整理できたり説明できればそれで満足、みたいな感じです。わかります?

対話の中で自分なりの思考を発展させられたり、柔軟に思考できたり、解決指向的に考えることが出来る人は、自分の頭で考えられる人かそのポテンシャルがある人である場合が多いです。

皆さんとしては、どう対策を講じるかに興味というか関心がおありだと思いますが、自分で考える資質というのはまさに癖というか習慣であって、一朝一夕の面接対策では如何ともし難いです。普段の仕事や学校生活、日常生活において意識して取り組んでおくことをお勧めします。コンサルタントにならなくても、それはあなたにとってとてもプラスになるはずです。

ケーススタディで本来問われているのも、基本的には自分で考える資質です。
ですが、最近は結構皆さんケーススタディ慣れしてらっしゃる(笑)。ですから私などはある時期から面接において所謂ケーススタディは殆どやらなくなりました。むしろケーススタディ以外の話題での対話においてこそ、その人が本当に自分で考える資質をもっているのか、そのポテンシャルがあるのかがよくわかる、ということに気づきました。面接でケーススタディを行うのは、どうしてもIQ的な意味での思考力を試しておきたいときだけにしていました。ですから、私と面接でケーススタディをやった経験のある人は、その時点で私に、IQは大丈夫かな、と疑われていたことになります(笑)。

でも、極論すると頭の良し悪しの8割くらいは自分で考える資質で決まってるんじゃないかな。
クイズ問題が上手く解けるとか、IQテストで高いIQを出せるとか、まあ上手いにこしたことないし、IQ高いにこしたことないけど、それってアスリートで言えば、基礎体力に過ぎない。あるいはパソコンで言えばCPUみたいなものに過ぎない。ある一定以上備わっていれば、それでOK。むしろその上での、どういう系統の運動が得意かとか、どんなアプリがのっかっているか、とかの方が遥かに大事。それによって適性が違ってくるはずです。

さて、長々と、コンサルタントとしての必要条件、自分で考える資質について語ってきました。これが面接の8割です。なぜなら、この段階で8割以上の人が不適格と判断されるからです。

ちなみに、コンサルティングファームによっては一部、ある種の専門性を期待して採用したり、一芸に秀でた人を採用したりというのを試しているようですが、多分余り上手く機能していないのではないでしょうか。なぜなら、専門性や一芸を重視すればするほど、自分で考える資質、という必要条件とのマッチングというかそれをも併せ持つ人を見つけるのは非常に困難だからです。特に専門職的な採用においては顕著です。

ご想像はつくと思いますが、専門職としてある程度の経験と実績を積むと、残念ながらどうしても自分で考えるという資質が退化しがちなのです。あくまでその専門性だけを求めて採用していたとしても、恐らくはあまり機能していないと思います。コンサルティングファームにおいてそれは未だ確立されていない組織文化というか、今までとは全く異なる組織運営ノウハウが必要になるはずだからです。

またまた話が逸れました。

自分で考える資質、それが面接の8割。そう思っておいて間違いはありません。そして、この必要条件をクリアしてくれる人が面接した人の中で2割くらいしかいないわけですから、ここさえしっかりしていれば、ほぼ採用されると思ってもいい。

もちろん見ますよ、他にも。コミュニケーション能力やらチームワーク力やら誠実さやらプレゼンスやら、なんやかんやと。まあ言ってみれば人間としての魅力度、オーラ、もっと一言で言えばインプレッシブな人かどうか。そういった事柄が十分条件としてあるわけです。この十分条件を高いレベルで満たしている人ほど、シニアになって行った時の高パフォーマンスが期待できます。

でもね。高望みはしないというかできないんです(笑)。だって今申し上げたこと全部を高い次元でクリアできる人ってスーパーマンですもの。そんな人は何年かに一人とかしか現れません。

十分条件のほうでよっぽどひどかったり、なにか引っかかりがあるようだったら不採用ということにはなりますが、そうではなければ。つまり少なくとも十分条件の側が普通の人並み以上であれば。採用される確率はかなり高いと思います。それがコンサルティングファームのリアリティです。

今のご時勢だとさすがにどこのファームも採用数は大なり小なり絞っていることでしょう。

そこで最後に。

あなたはなぜ今のこのご時勢において、コンサルタントになろうと思うのですか?更に言えば、どうしてそのファームにアプライするのですか?そのファームのどこに魅力を感じているのですか?

この点をしっかり考えてみて欲しい。背伸びする必要はないし、かっこいい答えをする必要はない。素直に、身の丈で。でも真摯に。しっかり考えてしっかり自分なりの答えを出しておいて欲しい。

そうすれば、あなたは、このご時勢においても、いやこのご時勢だからこそ、是非採用したいキャンディデートの一人になることでしょう。

もちろん必要条件を満たした上での話しですが(笑)。
ご健闘をお祈りいたします!

プロフィール

金光 隆志 氏

京都大学法学部、ボストンコンサルティング グループ マネージャー、ドリームインキュベータ取締役を歴任後、現在音楽を中心に活動。 映画・ビデオなどへ楽曲をプロデュース・提供し、05年春にはアルバムリリース予定。NYにてライブハウス・クラブのプロデュースも手掛けている。
また、従来のキャリアの延長で経営人材育成・派遣や経営支援等も行っている。ASPIREAL代表。Directors代表。RAISEプロデューサー兼ボーカリスト、camino(ロックバンド)エグゼクティブプロデューサー

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