Campus Report 2002

MBA留学直前インタビュー(全2回)

MBAホルダーへの道

MBA留学直前インタビュー(前編)

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会社を辞め、私費でMBA留学に賭ける

編集部「本日は、今秋欧米のMBAコースに留学される6名の方にお話をうかがっていきたいと思います。司会および解説は人事・組織コンサルタントで慶応義塾大学大学院助教授の小杉俊哉氏です」

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小杉「まず自己紹介と、どこのビジネス・スクールに留学するかをお話ください」

熊野「95年に早稲田大学を卒業しました。このまま遊びほうけて、親のコネを使って大企業に入るのはイヤだと思い立ち、公認会計士の勉強を始めましたが、残念ながら目標期限内に最終試験まで合格できませんでした。その後、メルセデス・ベンツ日本(現ダイムラー・クライスラー日本ホールディング)に入社しました。経理での募集だったのですが、面接で人事部に誘われました。将来はビジネスをやりたいと思っていて、ヒトの勉強をするのも面白いかなと。以来、ずっと人事に携わっています。これから会社を辞めまして、アメリカのインディアナ大学のMBAコースに行ってまいります」

高橋「アンダーセンの税務コンサルティング部門に勤務しています。98年に大学を卒業して新卒でアンダーセンに入社し、約4年半、おもに国際税務や企業再編等に関するコンサルティングを行なってきました。今年、カーネギーメロン大学のMBAコースに留学することになっています」

小林「全国銀行協会に勤めています。入社10年目になります。おもに内国為替の送金システムの運営を担当。決済リスクの対策などを行なってきました。その他、西暦2000年問題など、情報セキュリティー・システム関連も行なっています。今月、会社を辞めて南カルフォルニア大学に留学します。私はこの大学の通信教育のコースに入学していまして、2年次からの編入になります」

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倉本「自己紹介というと生い立ちから話すことになりますが、父親の仕事の関係で0歳~3歳、10歳~18歳まで米国のシリコンバレーで暮らしていました。98年に早稲田大学を卒業し、シリコンバレーにあるようなハイテクの会社に入ろうと思い、情報通 信ということでNTTに入社しました。

幸いなことに最初の仕事がインターネットビジネス。多国籍企業のIP通信網移行へのサービス企画に携わりました。やがて会社が分割し、NTTコミュニケーションズに移りました。ここでは経営企画部勤務となり、海外法人のIPビジネスの立ち上げ支援、海外の有力企業への投資などを担当しました。現在は、新規事業やクロスセールスなどの活動が主体です。入社5年目ですが会社を辞め、これからUCバークレーのMBAコースに留学します」

山中「私はシカゴ大学に留学します。95年に大阪大学を卒業し、さくら銀行(現三井住友銀行)に入行。当時さくら銀行はアジア、とくにタイにおいて経済インフラ向けのプロジェクトファイナンスがさかんで、私も携わりたいと思ったのが入行の理由です。5年半支店での新規融資案件、建造船案件に携わった後銀行を辞め、少し理由ありで受験準備をしながら友人の立ち上げた会社のスタートアップの手伝いをしました」

服部「97年に東京大学を卒業し、三井不動産に入社しました。最初の3年は住宅部門の経理担当で、その後の3年間は大規模マンションの開発を担当してきました。用地取得の条件交渉から商品企画・販売企画までが業務内容です。不動産を選んだのは、大規模な開発に興味があったからです。今後は、ファイナンスという切り口を加えて、不動産のビジネスをやっていきたいと思いまして、ファイナンスや将来必要なマネジメントを勉強するためロンドン・ビジネス・スクールに留学します」

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MBA留学の勉強法にはコツがある

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小杉「今日集まったみなさんのうち、帰国子女の方が3人、学生時代に留学していた方が2人もいます。やはりMBAに合格するのは海外経験のある人が多いのですね。面 接やエッセイできちんとアサーション(自己主張)が伝わらないといけませんから。みなさんは合格までどのような勉強をしてきたのですか?」

倉本「MBAの勉強をする際に障害となったのは、仕事がすごく忙しかったこと。さらに留学費用の捻出です。だから予備校には行きませんでした。勉強を始めたのは去年の夏ごろ。UCバークレーは選考が早く10月中旬に出願をしました。勉強の方法はまずインターネットのアマゾン・ドットコムの日本版でGMATというキーワードで検索し、出てきた本を全部買って勉強をしました。だから、今でもアマゾンのページに入るとオススメ本としてGMAT本が並ぶわけです。もう見るのも嫌なのに(笑)。

ふつうの英語とGMAT英語は全くの別物。アメリカ暮らしが長いのですが、勉強は苦労の連続だったですね。予備校は、同じ志を持っている人が集まって、将来のことや受験の情報を交換できるので、そういう意味で行けばよかったな、と今更ながら思います。僕は会社から帰って夜3~4時間くらい孤独に勉強していて、途中で苦しいときも多々ありました。気合で合格したという感じでした。ただ、勘違いしてほしくないことは、GMATがすべてではないということです。いちばん重要なのは、やはりエッセイです。その点、僕は海外で暮らしていたので、どうアピールするかを体感的にわかっていたぶんラクだったと思います」

小林「僕は、BBT(ビジネス・ブレーク・スルー)の南カルフォルニア大学の講座を通信教育で1年間受けていました。それが終わり、去年の7月から本格的に出願の準備をはじめました。予備校(プリンストン・レビュー)に通ってGMATを3ヵ月勉強し、エッセイも外国人の先生に手伝ってもらいました。なかなか自分の力だけではエッセイは書けなかったですね。オススメはGMATのCD-ROM。必ずやるべきですね」

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山中「私は2回受験しているんです。当初は去年から留学するつもりでした。当時に話を戻すと、勉強を始めたのは一昨年の正月。お金のことでくよくよ悩むのはやめて、とりあえずトライしようと思って。イフ外語学院が有名だったので入学し、カウンセリングを受けてからTOEFLとGMATの勉強を始めました。ところが、どちらの会社も似たような状況だと思うのですが、仕事のほうが毎夜おそくまであり、なかなか進まない状況。GMATを甘く見ていて、自分の実力では土日の勉強だけでは点数が上がらないと考え、去年の9月にスパッと会社を辞めました。辞めてからエッセイとGMATを中心に勉強し、シカゴとは別 の米国の大学に合格しました。ところが突然事情が変わってその年はどうしても行けなくなってしまい、考えた結果 ディファー(翌年に入学を繰りのべる)してもらいました。 結局1年ブランクになるので、別 のプログラムに再度トライすることに。

それで今年、シカゴ大学に行くことになりました。たまたま2回受けることになって感じたことですが、インタビューにしてもエッセイにしても、2回やると学校が何を聞きたいかが見えてきて、とにかく2年目はスムーズでした。GMATの点数は同じでもエッセイやインタビューは必ずうまくなります。思えば1年目は余裕がなくて学校側の意向を考えず自分のことばかり考えて受験していましたが、2年目は冷静になって大学をじっくり研究し、なぜ選んだかをしっかり話すよう努めました。どこでもいいから入りたいという学生は、もうどこの大学もほしくないはず。自分が何を実現するために留学するのか。当たり前のことなのかもしれませんが、これがないと、入ってから自分も困るはずです。このあたりを明確にするのが大切だと思います」

高橋「確かに、学校の雰囲気を知っておくのはエッセイを書く上でのポイントですよね。僕も山中さんと同じでリアプライなんです。経緯を簡単にお話しすると、最初の年はかなり無計画で、9月になってTOEFL、GMATを受けるためにプリンストン・レビューに行きはじめました。エッセイ、推薦状も同時進行でしたし、猛烈に勉強しました。死ぬ かもしれないと思うほど。会社では「顔が土色だよ」とか言われて(笑)。仕事が忙しいので、夜間の演習を受けては仕事に戻り、帰宅して深夜3:00近くまで勉強。早朝も6:00から勉強です。それを3ヵ月やりましたが、結局報われなかった。それで敗因分析をしたんですが、何より計画性がなかったことが一番反省するところ。

それともうひとつ重要なのが、エッセイとインタビューの語調を大きく変える必要があると思ったこと。卒業生や在校生とお会いしたり、受験仲間とも情報交換をしているうちに、各校が求める「人物像」や「資質」みたいなイメージが掴めてきました。それでエッセイやインタビューでは、初年度の失敗だった「自分が言いたいことを一方的に言う」スタンスを捨てて、むしろ「相手が聞きたがっていることを伝える」というスタンスに変えた。これはあまり意図的にやりすぎるのもよくないとは思いますが、受験では重要なことだと思います。それから、エッセイを同僚やプリンストン・レビューのネイティブ(米国人)に読んでもらったのがすごくよかった。日本人とは違う方法・論理構成で「要するに何をいいたいのか」を明確に伝える書き方が分かりました」

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熊野「僕が勉強を始めたのは2000年の12月。高校時代アメリカ留学の経験があるので純ジャパニーズより英語はできるのですが、通 用したのはTOEFLまで。TOEFLはスムーズだったのでGMATはなめてしまった。GMATは桁外れに苦労しました。ということで、これから始める方(特にドメスティックな日本人)へのアドバイスですが、1点目はGMATのスコアーを気合を入れて先に出せということ。2点目は受験のネットワークを持つことです。僕はリアプライしている経験者に早めに知り合ったのが幸いしました。会社にもちょうどその時期MBAに合格した方がいたので、その人からアドバイスを一杯もらったんです。まずネットワークを作り、情報をもらい、勉強するペースを作ることがポイントですね。

また、僕には家族がいますので、家族のマネジメント(笑)も大切。妻がいるのですが、CRMをもじってWRM(ワイフ・リレーションシップ・マネジメント)が大事だと。妻には家事・育児を押し付けて大変な思いをさせたなと反省しています。とにかく、家族に迷惑をかける大変なプロジェクトなので、それだけはくれぐれも注意したほうがいいですね」

服部「勉強はとにかく早く始めることがポイントですね。私は去年の1月に始めて、TOEFLを3月くらいで終わらせて、GMATが終わったのが9月。もし、GMATが7月か8月のタイミングで終っていれば、エッセイをもっと練る時間が取れたと思います。だから、これから受ける人は7月くらいにはGMATを終えるようにするのがいい。あと、お薦めしたいのはキャンパス・ビジット。各大学の校風を掴むうえでも、エッセイやインタビューの説得力を出すうえでも有益でしょう。僕は11月頃に実際に行ってみたのですが、そこでいろいろな人の話を聞くことができブローシュアとは違った一面を見ることができました。キャンパス・ビジットで、こういうことを知る機会を持てればいいと思います」

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日本人がグローバルに活躍する方法はまだまだある

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小杉「私が89年にMITに留学したころは日本人が多く、日本のビジネスを語ることでメリットがありました。しかし、今は状況がまったく違います。日本のことなんて聞きたくないといったところでしょうね。そんな中でみなさんは、講義の中で何をコントリビューション(貢献)しようと考えていますか?」

山中「私はこれからも日本のデフレは続くと思っています。まだまだ外国資本が日本の資産に投資する機会があるはず。ビジネスマンにとって日本、とくに彼らの進出の障壁になるであろう企業文化やマーケット特性を知ることはメリットになると思います。私は銀行で融資担当をして、中小企業から大きな会社まで現場を見てきた経験があり、この点で貢献できると思っています。また、なぜ日本企業がダメになってきたかなども自分なりに分析し、ビジネス・スクールに集う未来のビジネスリーダー達にその情報をシェアしていくことで、日本企業と投資する外資系企業のWin-Winな関係を構築していくプロセスに少しでもインパクトを与えられたらいいと思いますね」

小杉「ファイナンシャル・ビジネスはある種、ユニバーサルですね」

山中「ええ、ただ金融は日本が後進国という意識があるので、果 して受かるかと心配だったんです。それで、インタビューも戦々恐々で」

小杉「しかし、受かったのですから、山中さんの意見が評価されたんでしょうね。山中さんの例のように、何をコントリビュートするかをいかにエッセイやインタビューで訴えるかが重要。まさに自分自身のバリューはこれだと」

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服部「確かに日本のネガティブな部分が強調されているのですが、たとえば日本の技術を見ると繊細すぎて非効率になっている面 が多々あると思います。サービスも過剰ゆえに非効率だったり。効率化すれば確かによくなるとは思うのですが、それを本当に消費者が求めているのかは分からない。

以前、ニューヨークの不動産事情を視察に行ったのですが、向こうでの住宅分譲事業はかなり荒っぽいビジネスでした。アメリカの消費者は満足しているのでしょうが、もし日本のマンション分譲のようなこまめな商品企画や販売手法等を持ち込んだらどうなるだろうか。今は日本が欧米のビジネスのいい部分を取り入れるという流れになっています。それはいいのですが、逆に欧米が日本から取り入れる部分がまだまだ残っているのではないでしょうか。私はそれを見つけてきたいと思っているのです。また、日米・米欧の繋がりと比べ、日本とヨーロッパの繋がりは薄い。それがなぜ密接にならないのかを勉強しながら、日本と欧州の結びつきを強くしてゆく中でビジネスチャンスを探してゆきたいですね」

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高橋「私の場合、日本人として何をコントリビュートするか、ということ自体ほとんど考えたことがありません。自分個人として何ができるか、ということだけです。私は会社でクライアント・ジョブ以外にも内部のトレーニング制度やウェブサイトの立ち上げなんかもやらせて頂いてきたので、何でもやってしまう人間だと、そんなことをエッセイに書いたんですが、大学院でもやっぱり好きなことを好きなようにやりたいって思っています。これが結果 的に授業や課外活動でのコントリビューションに繋がるはずだ、と。日本人としてって感じじゃないですね。

ただ、今年の4月にカーネギーメロン大学へ行ったんですが、韓国人や他のアジア人の元気さ、目の輝きに感銘を受けたんですよ。敢えて言うなら、日本人も負けてられるかってところですね。サッカーと同じです(笑)。あとは今まで経験したことを思い切りぶつけてくればいいと思ってる。面 白いことをいっぱいやろう。やっぱり計画性はないです(笑)」

熊野「僕がエッセイの中で書いたコントリビューションは2つあります。ひとつは、今の私の会社は日米欧の文化が混ざっている。99年にダイムラーとクライスラーが合併し、日本の法人も合併しました。国の文化の違いもあるし、会社の持っている文化の違いもあります。私は人事担当として、そういった異文化の融合経験をもっていることを書きました。もうひとつは、日本が再生するために必要なのは個の力。自立とかリーダーシップなど。僕は個人の自立をサポートし、アドレナリンが出まくっているような若い人をもっと増やしたい。そうすれば、きっと日本という国はよくなるはず。日本がうまく行かなくなった理由は色々あるけれど、「失敗の本質」は個の力を活かしていない点にあることを伝えたいし、だからこそアメリカでリーダーシップや組織論を学んできたいと考えているのです」

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小林「僕は今、銀行協会に勤めているので、貢献としては日本の金融業界を反面 教師とし、横並び体質や年功序列など失敗の理由を紹介することです」

倉本「僕にとってはITバブルの崩壊はすごいインパクトのあることで、巻き込まれたのはベンチャーキャピタルや投資銀行や情報通 信関連企業などいろいろな人達がいるはず。振り返って、どうすればバブルの崩壊を防げたか。UCバークレーにはそういったITに関連のある人達が多く集まるので、ITバブルをいろんな角度から検証してみたい。僕も、インターネットの草創期から崩壊までを渦中で見てきましたから。アメリカでNTTというと、ドコモ?と聞かれるほど携帯及び携帯ビジネスに興味があるようなので、なぜ日本でiモードが普及したのか。このあたりで貢献できると思っています」

小杉「海外では、もう日本から学ぶものはないみたいな雰囲気もある。でも、今日集まったみなさんのように、日本人でもこんなすごい奴がいるんだ、まだまだ日本も捨てたものではないと、そう向こうの人達に思わせてほしいですね」

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