Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.10 Mini 2 の"全貌"!

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すっかり紅葉も散ってしまった

いよいよ二学期も後半戦。ピッツバーグの気温はいよいよ下がり、11月最後のサンクス・ギビング中に3度ほど雪が降った。美しかった紅葉もすっかり散ってしまい、いよいよ本格的な冬に入ったようだ。学校の方は、ここにきて今学期の全貌が見えてきた。今回は各講義の内容を中心に、歯に衣着せずにご報告したいと思う。(今回は11月後半の内容です)

■ Mini 2 追加所感「Interdisciplinary Approach」

前回、「定量的アプローチと定性的アプローチの初期的融合」が見られるとご紹介したが、今回はもう一点、「Interdisciplinary Approach」についてご報告したい。「学問的な境目を超えたアプローチ」と訳せばよいのだろうか、言い換えるなら、「各講義内容が有機的に繋がっている」ということである。今学期の授業設計には、まさにこの「Interdisciplinary Approach」の概念を強く感じた。

例えば、確率統計の授業で「ポアソン分布や指数分布」が取り扱われると、すかさずDecision Modelsの講義でその概念を使用した意思決定モデルが取り扱われる。ファイナンスで「NPVやValuation」の基礎講義が行われると、Decision Modelsでもその概念を使用したモデリングが行われる。Decision Modelsで「ツリー分析」があったと思うと、組織行動論での意思決定分析に採用される。確率統計での基礎的諸概念はほとんど毎日どこか他の授業で目の当たりにする。こんな具合である。明らかに意図された授業設定であるが、「上手く設計するなぁ」と感心してしまう。特に、私のような文系出身者には非常に助かる授業設計で、これが学校の標榜する「Interdisciplinary Approach」のほんの一環なのだろうと感じた。(ただし、一つつまずくと、他の教科でも連鎖的につまずくということである)

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グループワーク - 机を囲んでとにかく議論

グループワーク等でも、自然に複数の講義内容にまたがった議論がされる。統計の話からファイナンスやDecision Modelsへ話が飛ぶ。こんなやりとりをしているうちに、そもそも「統計」だとか「ファイナンス」だとか、そういう講義的・学問的境目は人工的に作られたものであって、現実問題にそもそも「境」などないという当たり前のことに気付かされるわけである。

■ Mini 2 の履修教科

今学期履修したのは次の必修4教科。以下は各教科の内容と、個人的な感想である。

(1) Decision Models
【内容】 前学期のQuantitative Methods for Managementの続編。定量的問題解決の理論と実務(Excel等によるモデリング)を学ぶ。効率性分析、Multiple Goals Programming、ツリー分析、モンテ・カルロ・シミュレーション、Stochastic Dynamic Programming、Queuing Programming等、Excelでできる分析という分析を徹底的にこなす。(Visual Basicのプログラミングには殆ど入り込まない)

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Decision Modelsの授業はラップトップ必須

【感想】 こんな手法があるのか、の一言。理屈が分かれば構造はシンプルなモデルが多い。現実問題に適用できそうなものも多く(特にモンテ・カルロ・シミュレーション)、特にメーカーの方やプロジェクト・バリュエーション等をされる方には非常に興味深い内容なのではないだろうか。また、マネジメントを目指す方にとっても、あらゆる定量 分析の構造や本質を知るために有用。ただ、前学期と同様だが、前提条件の設定についての議論が少ない。例えば、モンテ・カルロで一番難しいのはモンテ・カルロをまわすことよりも「どんな前提条件(確率分布等)を設定するか」だと思う。講義的に成り立ちにくい内容なのかもしれないが、実務で最も重要と思われるこの部分の議論をもっと行うべきと感じる。

(2) Finance
【内容】 ファイナンスの基礎。リスクとリターンの関係と言った基礎理論から、NPVの算定、資本資産評価モデル(CAPM)と加重平均資本コスト(WACC)の算定、資本構成や配当方針の財務インパクトの理論(MM理論)等を網羅的に学ぶ。今後のあらゆる授業の一番の基礎となる内容。

【感想】 基礎的内容だが、確率統計の概念をかなり多用するため、苦戦。エンジニア・バックグラウンドの教授は数式展開にも相当力を注ぐため、難しいがその分深層も分かる。来学期以降に履修予定のCorporate FinanceやInvestment Analysis、Option等の授業はこの数倍の難しさらしいので、とにかく体で覚えておかなければならない。練習問題は解ききれないほど渡される。ファイナンスの概念は、他の授業でもしょっちゅう引用されるため、その意味でも重要性が高い。不満があるとすれば、もっと現実問題を取り扱った事例をふんだんに用いたいこと。が、今は基礎的スキルを身に付ける期間として我慢するしかない。

(3) Probabilities and Statistics I
【内容】 確率統計の前半戦。来学期、後半戦がある。内容は大学の確率統計の初級から中級レベル位 だろうか。条件付確率やベイズ定理、正規分布、対数分布、ポアソン分布、指数分布等の概念から、区間推定、仮説検定等を網羅的に学ぶ。ファイナンス以上に、あらゆる授業の基礎となる超重要な授業。

【感想】 小学校の頃から確率統計(順列組み合わせ)の授業から可能な限り逃げてきた私としては、極めて辛く重要な授業。教科書など読めば読むほど分からない。問題を解くと1分で分かったりする不可解な学問である。しかし、ひたすらやっていたら、大体感覚がつかめてきた。教授が言う「ツールとしての確率統計の可能性と限界」を引き続き学ばねならないと思う。分かってくると面 白かったりするから、単純な性格である。

(4) Human Behavior in Organizations
【内容】 組織における「パワー」とは何か - それは権力や権威からもたされるものではない。「リーダーシップ」は「マネジメント」といかに違うか。業績評価は?合併における組織文化の違いにどう対応するか・・・などなど、いわゆる組織論におけるあらゆる基本的問題を取り扱う授業。教授はカーネギーメロンの公共政策大学院(ハインツ・スクール)のFacultyであるが、ハーバードやシカゴ大学でも教鞭をとっていた経験豊富な敏腕教授。

【感想】 ケース・スタディとプレゼンテーション中心の講義スタイルで、非常に刺激的。また、示唆に富んだ内容が多く、「ハッ」とすることがしばしば。興味深かった事例を幾つか紹介する。

「あるレーシング・チームが原因不明のエンジントラブルを抱えていたとする - 明日のレースに出場すべきかどうか、一時間で決めよ」。あらゆる数字データも与えられる。生徒は一斉に過去の経験から成功・失敗の確率を算定し、様々な要因を加味しながら、明日のレースの成功・失敗によりもたらされる数値的インパクト(成功により得る報酬、失敗により失うスポンサー等)を算出、結果 「出場すべし」と結論付ける。教授はそのすべての過程を見守ったうえで「なぜドライバーの命を顧みないのか」と、1986年に起こったNASAのロケット「チャレンジャー」打ち上げ失敗における「意思決定プロセスの誤り」を引用する。答えのないケース・スタディの一つだが、非常に示唆に富んでいる。(ちなみに私は「出場すべきでない」とした数少ない保守的(?)志向の生徒だったが、大多数の生徒がすぐさま数量 分析に集中して意思決定をしようとする姿に、内心驚きを感じた)

他の例では、「企業文化」が企業の成功と失敗にいかなる影響を与えるか、東京とフランスのディズニーランドのケースを基にディスカッション。多くの場合、企業文化は「過去の成功体験」から形成されるが、これが「将来の失敗」に繋がことがままあるという点が強調された。組織のエグゼクティブは「既存の文化」を理解し、この先「必要とされる文化」を定義し、創造しなければならない。・・・私にはこれがそのまま個人にも結びつくように思えた。過去の成功体験に引きずられて、新しい局面 で対応できない - ひどいときは、それでも過去の成功談に浸って脱皮できない。個人にはよくある話である。或いは日本の経済などもそうかもしれない。常に精神的な「リセット」を行うこと、「今この時点の」状況と自己、必要とされる行動を冷静に分析する必要がある。

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オーバージェスチャーで熱烈に訴えるKrackhardt教授

最後の例として、スカンジナビア航空(SAS)のCEO、ジャン・カールゾンの経営手法のケース・スタディ。崖っぷちの経営状態だった80年代にCEOに抜擢され、いかにSASを世界に名だたる航空会社に短期間で変貌させたか。チェンジ・リーダーの見本のような人。現時点の状況にうまく対応する「マネージャ」と、変化に取り組み、変化を生み出す「リーダー」がどれだけ異なるかが強調される。説明すれば枚挙に暇がないが、この手の話はなにしろ自分に直接あてはめて吟味できるから、この上なく勉強になる。生徒もみな真剣である。

■ Mini 2 の課題攻勢

厳しい量だ。前半戦は就職活動もあって授業もサボりまくったから、そのたびに課題が辛かった。友人にも随分お世話になった。特に「魔の第4週」では、7つの提出課題と中間試験が重なり、ほとんどノックダウン状態に陥っていた。サンクス・ギビングの存在だけを励みに何とか乗り越えたものだ。

毎週確実に全クラス提出課題があるため、「復習をきちんとしましょう」などと言う必要はまったくない。課題をすれば要足りるからである。さらには、「試験勉強をしなければ」なんて考えもかなり少ない。課題を着実にやっていれば、試験勉強は必要ないほどである。一夜漬け職人として名を馳せていた大学時代を思うと、当時が恥ずかしい限りである。これだけ懸命に学ぶことが学生の本分なのかもしれない。

このレポートを書いているは12月頭であるが、あと2週間足らずで今学期も終了である。そう思うと、一日一日を懸命に過ごさねばと思う。課題もいいが、個人的にも他の分野を勉強しなければならない。ゴルフも練習しなければならない(?)。ダイエット(エクササイズ)も必要。時間が完全に足りないが、できる限りのことをして、息抜きをして、毎日を過ごす次第である。

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