Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.15 Mini 3 の "全貌"

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辛かったMini3も後半戦に差し掛かりました。急ピッチ更新中にて、今回は2003年2月前半の内容をご報告します。

■ 大雪 - 歴史的な(?)CMUの休校

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アパートの窓から: 車が埋もれた記録的大雪

勉強ばかりであまり変化のない生活をしているが、今月変わったことといえば、大雪によるCMUの休校。ほとんど毎日チラホラ雪が降っていたが、2月初旬、とうとう「ドカン」と降った。写 真のとおり、車が埋もれるほどの大雪。ピッツバーグでも珍しい量である。

大雪などで地元大学の休校があると、ピッツバーグではLocal TVで休校情報が流れる。CMUは「雪でも絶対に休校にならない学校」という名誉ある(?)評判を得ていたが、今回の大雪でとうとう休校になった。私は友人と車を左右に振り回しながら死ぬ 思いで学校にたどりついたが、到着したとたんの休校宣言。噂では1992年の記録的大雪でもCMUだけは唯一開校していたらしいから、今回の休校はかなりの異例措置。・・・こんな話が最近の変わったことというのも寂しいが、あとは勉強ばかり、そんな感じの毎日である。

■ Mini 3 の履修教科
(1) Probability and Statistics II

【内容】 確率統計の応用編で必修科目。回帰分析を中心に学習する。具体的には、Simple Regression Model, Multiple Regression Model, Prediction, Forecastなどの統計解析手法から、仮説検定(Redundancy Test, Chow Breakpoint Test等)、Error Termに関する様々な前提条件を確認・調整するための手法(Heteroskedasticityの存在確認等)を網羅的に学ぶ。「EViews」という統計専門のアプリケーションを使用し、学期末にはEViewsおよび多変量 回帰分析の達人になれる。

【感想】 個人的にバックグラウンドがない分野できつかったが、非常にためになった。回帰分析の全範囲を網羅的に理解することができ、20年以上体内に培ってきた「統計アレルギー」を完全に払拭できたことが大変な収穫である。また、素人ながら多変量 回帰分析に「アート的」側面があることも分かった。不明確な事象の因果 関係を調べるのに多変量解析は強力な武器となるが、どの変数をピックアップし、Error Termの調整を加えるかといった判断には、たぶんに定性的な判断が必要となる。経営者の立場として統計数値にあたる際にも、これらの知識や理解、解釈は重要であると思う。

(2) Marketing Management

【内容】 マーケティングの必修科目。自社のStrategic Business Unitの把握(BCGユs PPM等)、マーケティング環境の分析(Marketing Research、3C、SWOT等)、マーケットのセグメンテーションとターゲッティング、自社のポジショニング、マーケティング・プログラム(4P等)の立案など、マーケティング・プランニングの一連の流れをひたすらケースを使用して学ぶ。プロダクト・ライフ・サイクルやマーケットの発展段階に応じたマーケティング・プログラムの相違点にも着目する。

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ケースとDiscussion中心のMarketingの授業

【感想】 恥ずかしながら、渡米前はマーケティングと販売戦略の違いさえよく分かっておらず、マーケの目的は売上を上げること、程度にしか考えていなかった。が、この講義をとおして「マーケティング」が極めて面 白い分野だと分かった。本講義の内容はマーケティング経験者には基本レベル(らしい)。ケースの考察は奥深く、教授の分析に納得がいかないこともしばしば。「実際に会社経営者の立場だったとして、その分析でリスクをとって意思決定できるか?」と問い詰めると、たかが一本のケースでもかなりの深みがある。個人的に得るものが多い授業であったが、欲を言えばマーケティング実務者の見地の話がもっと欲しかったと感じている。

(3) Production and Operations Management

【内容】 オペレーションの必修科目。「Supply Chain Management論」と言ってもいいかもしれない。(1)在庫管理の効率化を目的として、様々な定量 的発注手法([s, S] Policy等)、複数の拠点にまたがった在庫リスクのプーリング、Bullwhip Effectの防止策(SCM川上に向かうにしたがって発注量のVarianceが膨張する現象)、ITの効果 的活用などが討議された。また、(2) SCM全体の利益を最大化すること(Global Optimization)を目的として、Supply Chain Contractの活用、Push-Pull戦略のバランス、Mass Customizationを可能とするためのプロダクト・デザインやプロセス・デザインの基本コンセプトなどが議論された。大手企業のオペレーションやマーケティングの担当者、ブーズ・アレン・ハミルトンのパートナーが何度か来校して臨時講義を行った。

【感想】 素人ながら、二つのことを発見した。(1) オペレーションにおける最大の問題点が「需要等の不確実性」であるということ、そして(2) オペレーションとマーケティング等の他の分野との関係が極めて深いということである。(1)については、その不確実性に伴うリスクを最小化するため、いかなる定量 的アプローチが現実的に可能かが討議され、非常に興味深かった。(2)について、担当教授に「今後オペレーションに関連して、どういった授業を履修すればいいか」と尋ねたとき、「何をとってもいい!」と言われたのが印象的。オペレーションがあらゆる分野に共通 する側面をもっている、という意のメッセージである。 本講義でもケースを多く扱ったが、ケースを分析する際には、問題の所在と解決策の方向性を大局的に(定性的に)把握し、次に自分の提案を定量 的に明確化・数値化する必要がある。このバランスがなかなか難しかった。どちらに偏ってもSolutionは不完全なものになってしまう。こういった体験を通 じても、学ぶところが非常に多い授業であった。

(4) Competitive Strategy and the New Economy

【内容】 教授独自の戦略論が展開される。競争のダイナミズムは、(1) 競争が激化していくConvergenceのベクトル、(2) 新規プロダクトを市場に送り出して一時的に独占的な位 置を占める Renewal のベクトル、(3) 企業と市場のニーズをタイアップさせる Alliance の力、の三点から構成されるとする。その力関係を理解したうえで、問題となる商品・サービスの"Economic Time" (商品が廃れたり再生されたりするスピード)が早いのか遅いのかを把握し、それぞれの戦略を立てることの必要性と、具体的な戦略の立て方を様々なケースを通 して学ぶ。

【感想】概して人気の高い授業であるが、個人的には曖昧な議論が目立ち、いまいちの評価だった。新たな概念を紹介されているというよりは、既知の概念を違う言葉で考えているだけのような気がする。戦略論の素人としては、それでも多様なコンセプトを整理するのには役立ったが、「果 たしてこれで意思決定に結び付けられるか」と考えると、私の回答は「否」である。将来の戦略の立案よりも、過去の事例の分析に重きを置いた授業で、私の個人的趣向と合わなかったというのもあるだろう。ポーターやBCG等が開発した諸コンセプトを学びたかったが、それは来学期の他の戦略論の講義に期待する。

(5) Corporate Finance

【内容】 ファイナンスの選択科目のうち、最も基礎的とされるもので、名前のとおりコーポレート・ファイナンスに主眼を置く。具体的には、(1)Capital BudgetingにおけるNPVの算出方法(DCF法の復習、Replication、Real Optionの活用等)、(2)Capital Structuringにおける負債比率の設定(MM理論)、配当政策、資本政策等を議論する。双方に関連して、WACCやAdjusted Present Value法等によるBusiness Valuationにも考察を深め、M&Aにおける合併比率や株式交換比率の算定方法等もケースを交えて討議する。

【感想】 コーポレート・ファイナンスをやっていて何となく「気持ち悪く」感じるのは、諸理論がPerfect Capital Marketを前提としているためである。つまり、現実世界はPerfectでないわけで、だからお金が儲かるという仕組みになっている。この講義は、この「気持ち悪さ」を整理するのに非常に役立つ授業であった。講義が少々理論に偏りがちと感じるのは、恐らく私がコーポレート・ファイナンスの学問をしっかりやったことがないからであろう。後半戦のBusiness Valuationや、MM理論のケースとして扱ったAT&T Wirelessスピンオフの事例は、内容も実務的で極めてためになった。ファイナンスではどのコンセプトも言っていることは単純そうで、なかなか深いと感じる。

■ Mini 3 の課題攻勢等

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毎学期作成しているスケジュール表: 書き込まれているのは課題の締め切り

前回もご紹介したとおり、Mini 3はこれまでで一番きついスケジュールであった。毎週3つから7つの課題が中間試験・期末試験中も出題され続ける。グループワークの比率も非常に高く、Meetingをもつことが要されるため、7週間で学校に行かなかったのは最初の一週間だけ、残りの6週間は一日たりとも休みがなかった。仕事と比較すると精神面 ではそれでも楽だが、体力的には仕事を越えた気がする。

「講義とケースの比重」は半々のイメージ。最初の二学期は基礎期間ということで殆どが講義だったが、随分とケースに重点が移ってきている。ケースは、毎週Write-upかプレゼンテーションの課題が課されるという感じだろうか。「グループワーク」がその分多くなり、時間はかかるが、ソフトスキルや英語能力もさらに改善されてきた気がする。

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