Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.16 実り多し! Mini 3

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毎度遅れ気味ですが、ようやく少し追いついてきました。今回は2003年2月後半の内容になります。

■ Mini 3 を終えて - Conceptualization の重要性

Mini 3 は本当にきつかったが、それだけに得たものも多い学期だった。ぶっちゃけた話だが、今から考えると、Mini 1、Mini2 など飛ばして、最初からMini 3 をやってほしかったと感じる。そのくらい、ようやく今学期から実務的に「使える内容」が増えてきたのだ。

以前にもどこかで少し耳にしたことがあるのだが、こちらのビジネススクールで勉強していて、米国という国は本当に「Conceptualization」に長けた国だと感じる。何てことない出来事やストーリーから、必ず「キー」となるようなコンセプトを抽出して、概念化して、ツールにする技術、という感じだろうか。何でもメソッドにしてしまう。「なんちゃらModel」とか「なになにDiscipline」、「これこれApproach」といった名前をすぐにつけて、他のケースにも適用できうる「手法」として紹介するのだ。オペレーションでもマーケティングでもファイナンスでもITでも、これは共通 して感じる。「体験の大衆化」とでも言えるだろうか。

日本では、仮に同じ体験談があったとしても、その「出来事」自体が有名になるくらいで、そのなかに存在する「スキル」や「メソッド」が体系化され、コンセプトとして紹介される頻度は、相対的にかなり少ないように感じる。同じ体験から抽出されるアウトプットの「大衆化」のレベルに大きな差があるように感じ、これはこの国のすごいところだと感じる。日本企業もケースでよく出てくるが、日本企業の成功談から、日本では聞いたことないような概念が米国の学校で紹介されているのを目の当たりにすると、なかなか微妙な心境になる。

■「グループワーク」 一考察

今学期はグループワークが非常に多かった。そこでグループワークについて率直に感じたことを今回は書きたいと思う。

グループを組むにあたっては、ビジネススクールではよく「Diversityを考慮して、他の国や異なるバックグラウンドの人と組む」ことが推奨される。生徒もせっかくだから自分の「知らない世界」から来た人間と組みたいと思っている人間が多い。私も同じで、これまで毎回、常に違う人間と組むようにしてきた。しかし、率直に感じるのは、「Diversity」と「Hard Skill Learning」の間には多少のトレードオフ関係があるということである。或いは「Soft Skill Learning」と「Hard Skill Learning」と言ってもいいかもしれない。

まずDiversity、つまり他国や面識のない文化からきた人間と仕事を一緒にこなすのは、「Soft Skill Learning」の側面が強いと思う。自分が当たり前とおもっている様々な「前提」が通 じない。「ロジック」は万国共通と感じるが、けっこう「行間」は違う。意見を否定するにしても、議論をEncourageするよう、うまく言わねばなない。「Sorry」の意味も、笑顔の意味も、局面 によってけっこう意味が違ったりする。文化の違いなのか、個人の「キャラ」の違いなのか分からないこともよくある。職場と違って上下関係もないから、グループ内でどう「リード」し、どう「フォロー」すべきかというのも重要なポイントで、この点に関する「期待の仕方」も各文化(や各人)によって相違があるように感じる。

他方、これまた私見だが、「Hard Skill Learning」、つまり実際に学問やビジネスの内容を徹底的に理解・議論したいと思うなら、ファイナンスにしてもマーケティングにしても、日本人同士で勉強するのが一番早く、議論が深まり、理解も深まることが多いと感じる。日本人学生の多くは、すでに各業界や企業の「第一線」で活躍してきた人ばかりで、各分野のエキスパートと話をするのは、きわめて実りのある体験である。しかも、みな実務仕込みの話だから余計興味深い。これは英語能力の問題ではないと感じる。クラス全体を観察していても、日本人学生のビジネスセンスや理解のレベルは平均的に際立っていると感じる。「わざわざ米国まできて日本人同士で組むのは勿体ない」という意見もあろうが、日本人同士とはいえ、異なるバックグラウンドの人間同士でグループワークをやるというのは実は貴重で非常にレベルの高いLeaning Experienceではないか、と感じるのである。

結論として、私が感じるのは「本当に深く学びたいと思うなら、日本人同士で組む方がいい。むしろチームワークスキル(&英語スキル)の醸成に重きを置くなら、他の国の人と組むべし。」と感じる。このレポートを書いている現在はMini 4 に突入しているが、両方のアプローチをバランスさせてとっている。

■ ジョージ・ソロス氏 来校

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ジョージ・ソロス氏 (c)2003 Carnegie Mellon University

2月27日、「Billionaire Capitalist」として有名なジョージ・ソロス氏が来校し、"Problems of Globalization"という題名の講演をした。講演の前には特別にGSIAの生徒とのQ&Aセッションも1時間ほど開かれ、GSIAの学生にとっても非常に印象深い出来事だった。

課題の山に埋もれていた私は、情けないことに他の課題を内職しながら講演だけ拝聴させて頂いた。氏はGlobalizationに伴う諸問題と米国がこれまで果 たしてきた役割、特に対イラク政策等に対する率直な提言や疑問等を率直に提起された。講演前、私は米国人や他のアジア人の友人に、「自分の国ではジョージ・ソロスは何となく金融世界の裏の支配者とか、ネガティブなイメージがある。日本ではどうか」などと聞かれていた。しかし、講演ではそのようなイメージとは異なる、熱意と温かみのある話口調、バランスの取れた見方が非常に印象的であった。講演が終わったときには、人種を問わず、500人の聴衆から拍手喝采を浴びられた。奇しくも氏の講演後まもなく、米国がイラクに対する開戦を宣言した事実に、聴衆の多くはそれぞれに多くを感じ、考えたことと思う。

■ Management Game (2) - 緊迫のドラフト会議

2月後半、Management Gameの「ドラフト会議」が開催された(Management Gameの概略については、前回レポートかGSIA日本語ウェブサイトを参照されたい)。「ドラフト会議」とは、プロ野球でいう新人獲得のドラフト会議と基本的に同じである。GSIAで選出された50人の社長が一同に会し、約200人の生徒から順番に一人ずつ指名して、チーム決めをするというイベントだ。

私を含む社長たちは、事前に自分のチームメンバーの役割(CFOやCOO等)やそれに適した人物を一生懸命考える。自分が指名する前にとられる可能性も大だから、各ポジションに5名から10名くらいの候補を用意する。「どうしてもとりたい」という友人には、事前に「是非お前をとりたい!」、「全力をつくす!」と仁義ぎり。今まで面 識がない人間についても、事前に「あいつはどの分野に強い」とか、「彼は優秀だが我が強くてグループワークはやりにくいという噂」といった情報を収集しておく。いざ自分が指名する番がまわってきたときに「誰を選べばいいか分からん!」という状態にならないよう入念に準備するのだ。毎順、指名の所要時間は1分程しか与えられない。

他方、指名される側の人間は、特別に用意されたWebsiteに事前に「自分が興味をもつポジション」や「強み」等を詳細に入力しておく。こちらのデータも社長たちは確認し、誰が何をやりたがっているかをチェックする。やりたくなかったポジションを与えてしまうと、Discourageすることになりかねないからだ。また、社長には基本的に公開されない情報だが、「この社長にはとられたくない」といった情報も入力される。その社長が実際に指名してしまうと、PCがDingを鳴らし、獲得できないというシステムになっているのだ。

お察しのとおり、このドラフト会議はかなりセンシティブなものだ。上記の「Ding」も、鳴らされたらかなりつらい。(実際に鳴ったケースは非常に少ないが) また、指名も3順目、4順目と回るにつれ、今まで知っていた・知らなかったクラスのさまざまな「様相」や「勢力図」が見えてくる。Girl Friendを一位指名して皆から拍手喝さいを浴びる社長もいれば、ほしかった人間を他の社長に指名されて「Oh No!」 と悲鳴をあげる社長もいる。他の社長と交換トレードを申し込む社長もいる。唯一にして絶対のルールは、「ドラフト会議での固有の出来事は、すべて会議場に置いてくる、絶対に口外しない」ということだ。独特かつ緊迫のイベントだった。飲みもの・食べ物が提供されるが、味など楽しむ余裕はなかった。

ちなみに、幸い私のチームは非常にバランスのとれたチームになった。私を含め日本人2名、米国人2名、中国人1名で、全員が「希望ポジション」につくことができた。また、Management Gameでは実際の企業の重役とディスカッションやプレゼンテーションをする機会があるため、コミュニケーション能力に長けた米国人を獲得できたことは大きかった。

■ 厳しい米国就職事情

サマーインターンを目的とした就職活動の第一次戦線(波)が終了した。今年もかなり就職事情は厳しい。企業の学校訪問などが激減してしまったこの時期も、まだインターンを獲得できていない生徒は就職活動を継続している。このレポートを書いている3月末時点で、GSIAのサマーインターンの獲得率は約50%弱といったところらしい。(それでも米国のビジネススクール事情のなかでは比較的善戦している方かもしれない) 特にInternational Studentへの就職の間口はさらに狭いため、仕方なく母国の企業でのサマーを希望して就職活動している生徒もしばしば見られる。しかし、「サマー」という制度自体が国によって一般 化していない場合も多いため、状況はやはり極めて厳しいようである。

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