ネゴシエーションのチーム
早いものでもう8月です。キャンパスでは新入生の姿を多く見かけるようになりました。今週の月曜日からはインターナショナルの生徒用のオリエンテーションが始まっています。USCでの生活も丸1年経ったことになります。生活のセットアップに苦労していた頃が遠い昔に感じられます。
Marshallではインターナショナルの生徒が占める割合は約2割です。今のところ中国・台湾が一番多くて25人、韓国も去年より増えて10人、インドは減って4人です。日本は大きく減って2人だけのようです。なお、このほかにも中国生まれでアメリカに帰化した人たちも大勢いるので、中国系は圧倒的に強いです。今回は、先週の水曜日で終わった夏学期の授業のファイナルの模様についてレポートします。
Strategic Renewal and Transformation (Mon, 6:00 to 10:00)
ファイナルの課題はチームプロジェクトで、ヒューレット・パッカード(HP)によるコンパックの買収について分析しました。2002年5月に完了した今回の買収は一応成功したと言われていますが、財務面 から見ると現在のところ利益のほとんどを買収前からのHPの得意分野であるプリンター部門に頼っており、買収の目的であったパソコン部門、サーバー部門、サービス部門の強化が進んでいるかどうかはまだ明らかにはなっていません。ただし、買収を進める過程でCEOであるフィオリーナのリーダーシップが強化されたのは確かです。
ネゴシエーションのCoombs教授
IT分野における大型合併・買収は失敗に終わるケースが多い中、今回の買収が比較的スムーズに行った最大の要因は、合併前の入念な準備にあります。コンパックは今回の買収の前に、DEC,タンデムといった企業を買収した結果 、組織が混乱しましたが、その失敗の要因を分析し、今回の買収の成功につなげました。
授業の感想ですが、授業進行のペースが多少遅いため、物足りなさを感じる生徒もいました。もっとケースを使って、数多くの企業戦略の事例を取り上げれば、より面 白いクラスになったと思います。ただし、Mischeさんはコンサルティング会社の社長だけあって、課題に対する評価は理論重視です。僕の拙い英語のレポートでも高い評価をしてもらい、ダイムラー・クライスラーのレポートを同社の友人に送ってくれると言ってくれました。
Negotiation and Deal-Making (Tue, 6:00 to 10:00)
ファイナルの課題というのは特にありませんでしたが、チームプロジェクトで各国のネゴシエーション・スタイルの違いについてプレゼンテーションしました。フランス、スペイン、日本、サウジアラビア、インド、マリ、南アフリカなど、それぞれのユニークな習慣(服装、時間に対する考え方、上下関係の強さ、政府の役割、タブーなど)を説明してくれました。その国の民族衣装を着てプレゼンテーションするチームもあって、かなり面 白かったです。ちなみに僕のチームは中国についてプレゼンしました。
このネゴシエーションのクラスは、僕にとっては少しハードでしたが、その分勉強になりました。特にチームでのネゴシエーションでは英語が聞き取れないことが多かったのですが、クエスチョン、コンファメーション、ホワイトボードの利用などをネゴシエーションのテクニックとして利用して、なんとか乗り切る方法を学びました。
また、交渉の最初では高い要求を出して相手に譲歩する余地を残しておくなど、アメリカ人と交渉するうえで必要となる知識も得ることができ、とても有用なクラスでした。正直、相手チームから絶対無理な要求を出されたときにはなんて自分勝手な相手だと思ってしまいましたが、交渉のテクニックとして捉えれば冷静に対処することができます。
Strategy and Organizational Consulting (Wed, 6:00 to 10:00)
RenewalとConsultingのMische教授
ファイナルの課題はチームプロジェクトで、コンサルティング業界について分析しました。コンサルティング業界は淘汰の時代で、各社とも独自性を出すのに苦労しています。 授業の感想としては、率直に言ってレクチャー中心で物足りなさを感じました。そのレクチャーも表面 的なもので、コンサルティング業務の流れを一通り学ぶことはできましたが、それだけなら教科書を読めばよいという感じです。
クラス内でコンサルティング業務のプラクティスもありましたが、あまりオーガナイズされていなかったので中途半端に終わってしまいました。こちらの授業もRenewalのクラスと同様にもっとケースを使って、実際にコンサルタントが直面 する課題を数多く扱えば、もっと面白い授業になったと思います。また、ゲスト・スピーカーも一人だけでしたが、もっと様々な分野のコンサルタントの話が聞きたかったです。
夏学期の授業も終わり、僕のアメリカ生活も残すところあと4ヶ月です。この1年で勉強面 、生活面を含めて数多くのことを学びました。ただ、大部分の知識は卒業したら忘れてしまうと思います。実際に社会に出て役に立つのは、それらの知識を応用する能力だと思います。ケース分析、クラスやチームでのディスカッションを通 じて、残りの4ヶ月でその応用力を高めていきたいと思います。
次回は、秋学期の授業の選択についてレポートします。