これを書いているのは8月25日、今日米国へ出国する日です。振り返ってみると、仕事と育児と就職活動で瞬く間に過ぎ去った夏休みでした。仕事もその他のプライベートもこれまで体験したことのないことだらけで、非常に充実した毎日を過ごしました。今回は6月前半、インターンでの仕事内容をレポートします。
■アサイメント(2) [続き]
コンシューマーグッズ製造会社のM&A戦略のプロポーザル作成
前回ご報告したこのアサイメントも、何とか資料を纏め上げて、部内のオフィサーに説明して一段落させることができた。この資料はクライアントとのアポイントがとれ次第、使用されることになる。
このアサイメントで特に興味深く感じたのは、クライアントのとるべき「事業戦略」を自ら考え、そのストーリーの中での「海外進出」の意義、「M&A」の意義、「潜在ターゲット」を位 置づけるという作業で、ここではいわゆる「戦略系コンサルティング」と呼ばれる分野の思考プロセスも多少経験できたのではないかと思う。他方で、いかに戦略のストーリーがすぐれていても、潜在ターゲットやパートナー相手が実際に「発掘」できなければ何の意味もない、という思いを抱いた。
この「ターゲットの発掘」という点は、特にクロスボーダーの案件になると重要で、外資系投資銀行がいかに強固な「海外ネットワーク」と「生の(非公開の)情報」を有しているかということが、投資銀行の価値源泉の一つにもなっていると感じた。
■ アサイメント(3)
類似企業の選定・マルチプル算定業務
企業価値を算定する際の手法の一つとして、いわゆる「マルチプル」(乗数)を算定する方法があるが、その算定のためにはターゲットと類似する企業を探索する。この業務も理解しておく必要があるということで、100社以上の企業探索とマルチプル算定業務を言い渡された。なかなか大変な作業量 であったが、充実した内部の情報システムにも助けられ、何とか業務をスムーズに終えることができた。
実際に自ら出したアウトプットに目をやり、業種ごとにマルチプルが異なることなどの意味を考えたりした。ビジネススクールの授業では、「投資銀行ではマルチプルを多用するが、理論的にはあまり正しいアプローチではない」と教授が幾度も言っていたのを思い出したが、確かに投資銀行では多用している(証券会社全般 で多用していると言ってもいいかもしれない)。 ここでも、理論と現実の差を垣間見たような気がする。