今回は、MBAに入学する人々が本コース開始前にいくことの多い「サマースクール」に関してです(このレポートは8/9に書かれたものです)。このサマースクール、日本では英語学校の代名詞のように使われているのですが、実際には英語コースは、サマースクールの中ではマイナーなプログラムなのです。通 常の大学で提供されているような歴史、経済、統計等を取り、通っている大学の単位 の足しにする、というのがサマースクールの正しい使い方のようです。
私はといえば、MITのインタビューを1月に受けたときに、面接官(MITの入学審査オフィスの人間)から、英語のサマースクール行くことを入学のための必須条件(Requirement)とされてしまいました。面 接官曰く「君の英語はさほど問題ないが、英語環境にもっと慣れる必要がある」とのことでしたが、要は遠まわしに「英語ができないねぇ」と言われてしまったのです。
私個人としても、英語の改善は目的のうちの1つだったので、当初からサマースクールには通 う予定でした。但し、西海岸の学校に・・・。東海岸のBostonも悪くはない(誰もが本当に良い所だと言う)のですが、西海岸への憧れも持っていた私としては、西海岸にも一度は住んでみたいと思っていました。サマースクールはその絶好の機会だと考えていたのです。
しかし、実際には選択の余地は与えられませんでした。2月に受け取った合格通 知の文面には「おめでとう」の文字と共に「Harvard Summer SchoolのEnglish for the MBAというプログラムに参加し、かつ成績Aを取ること」などという文章がきっちり加えられていたのです。
そこで、少し残念ではありましたが、まあ有名大学であるHarvardに通うのも悪くなかろう、というように気持ちを切り替え、6/21~8/15の2ヶ月間(長い!)もの間、Harvardのサマースクールに通 うことになりました。
このコースの概略ですが、クラス構成は12名×2クラス。基本的には9月からどこかのMBAに通 う人々(MITが大半だが、周辺のTuck、Yaleの方も参加)。国籍の比率は、日本人12名、韓国人4名、他アジア3名、南米5名。
スケジュールは、午前・午後2時間ずつ×5日。午前は12名のクラスで、Speaking、Listening、Writing、Pronunciation、Grammarを総合的にトレーニング。扱うテーマはビジネス、哲学、文学(小説)と多様。午後は2つのクラスが一同に介し、アカデミックな生活で起こりうる色々な状況下でのコミュニケーションのトレーニングが行われました。具体的には、ビジネスの問題事例のディスカッション(いわゆるケースディスカッション)、講義への参加、美術館・博物館へのツアーなどです。あとはファイナルプロジェクトと称して、上記ビジネスの問題事例を自分達で書く、というようなこともやりました。
さてこのコース、最初は良さそうだと思ってたのですが、途中から「あれ?」と思うことが多くなっていってしまいました。もちろん、サマーに行かなかった場合に比べれば、格段に英語は上達しているのですが、もう少しやりようのあるプログラムな気がしてしょうがなかったんですよね・・・。
問題点(皆から挙がっていた不満)は主に下記の3つです。
(1)Reading偏重
(2)MBAと関係のないトピックが多すぎる
(3)その割に高い!
(1)Reading偏重
MBAを受けたドメスティック人は、実はかなりの量のReading・Writingをこなしています。なのに、これを全く理解していないのか、やたらとReadingの課題が多かったです。小説と哲学書に加え、毎週金曜日に催される通 常の講義への参加に際しても、かなりの量の文献を読まなくてはなりませんでした。
Readingが大事、との主張も分かるのですが、少なくともReadingと同じ比率の労力ををSpeakingやListeningにも注がせるようなプログラムだと良かったなと。
(2)MBAと関係のないトピックが多すぎる
メインのReading Textは、上で示したように、ビジネスとは無関係の哲学書とテキサスを舞台にした小説でした。また、毎週金曜日の講義も、ビジネススクールの教授の授業だった一回を除いて、国際法や深海魚、考古学などのビジネスとは関係が薄いものでした。
これまた、ビジネス以外の幅広いトピックを知ることが大事、という意見には賛成(確かに哲学書を読むとビジネス書は具体的で読みやすく思える)なのですが、これももう少しバランスの取り様があるのでは、という感じでした。
(3)その割に高い!
これで安ければ「まあしょうがないか」という感じなのですが、学費は2ヶ月で3900ドルと、結構高いのです(日本円だと25万円/月、1万円/日ぐらい)。ボストンには周辺に多くの有名大学(Boston University、Boston Collegeなど)があります。これらの大学が、よりSpeakingにフォーカスしたプログラムを半額程度で提供しているらしいのです。これを聞くと、他の選択肢があってもよかったなぁと感じてしまいます。
英語以外のメリットは、(1)MITに行く英語が苦手な他国の生徒(韓国人、南米人)と知り合いになれた、(2)ボストン生活の立ち上げができた、などがあり、これらは非常に大きかったのですが、やはり本来の目的であるサマースクール自体に不満を感じてしまったのは残念でした(繰り返しになりますが、英語自体は上達しました。不満はそのROIが低い、ということなのです)。
サマースクールで友達になった南米の生徒とは「MITに、このコースだけを勧めないように働きかけよう」と話し合っています。来年からMITに行かれる方には、少なくとも他のプログラムに参加できるオプションぐらいは提供されるようになると良いのですが・・・。
さて、実は今週でこのサマースクールは終了して、来週からはMITのオリエンテーションが始まります。次回はこちらの様子をレポートしようと思います。