8/18から始まる2週間のオリエンテーションを前に、MITではPre-termというものが催されました。そもそもPre-termってなんだ?って感じだと思うんですけど、これは本格的に授業が始まる前に、これまで勉強してこなかったかもしれない科目に対する知識を補うための、オプショナルな講義のことです。
今回は、会計、経済、数学の3科目に対して実施され、1科目1.5時間×3を5日間連続で集中的に行いました。何がいいって、講義の内容もさることながら、無料であること!Harvardの商業主義にうんざりしていたところなので、なかなか新鮮でした(実際にPre-termへの参加が有料である学校もあるとか)。
このPre-termで特に重要なのが、講義の内容もそうなのですが、9月からのクラスメートと仲良くなることです。サマースクールにも15人ぐらいの同級生がいたのですが、今回はその比ではありません(推定250名ほど。学年全体で350名なので、殆どが参加しています)。
そして、彼らの大半はネイティブ・・・。これまでの英語のサマースクールでは「英語はできなくて当たり前」という雰囲気で、英語の苦手なもの同士で話していたのでまだ良かったのですが、今回からは「英語ができないなんて信じられない」という雰囲気になってきました。MITのMBAではInternational Studentsの比率は4割ほどだと聞いていたので、少し安心していたのですが、この数字にはトリックがあることが分かりました。
話してみると、アジアや南米出身の生徒の英語の見事なこと!殆どネイティブ並なのです。彼らは、国籍や外見はアジアだったり南米だったりするのですが、アメリカ在住XX年とか、XX年以上働いていたとか、アメリカの大学を卒業したとか、そんな人ばかりなのです。国籍ではなく、言語で切った場合のネイティブ比率を考えると、9割近い感じがします。MBAで英語を向上させよう、なんて考えているのは我々日本人だけなのかもしれませんね(または僕だけ?)。
特に、アジア諸国のクラスメートの英語には驚かされました。私などは「英語を学ぶには、日本では無理!」なんて宣言をしてたのですが、自国以外で英語を勉強したことが無いにも関わらず、素敵な英語を話す台湾人クラスメートには「学ぶのに場所は関係ない(どこでも何でも学べる)」と言い切られてしまいました。自分の中に甘えがあったことを認識させられてしまいました。
やはり残念なのは、日本の英語教育です。今回の留学に際して、TOEFLを受けていて感じたのは、高校受験や大学受験の英語のテストにTOEFLを絡めると、リスニングに対する意識も向上するのでは、というものです。せっかく沢山の時間を投入して勉強してるのですから、高校卒業ぐらいには英語ニュースぐらい聞けるようになるようなカリキュラムでも良いのでは、と思ってしまいます。
また、2005年からはTOEFLにスピーキングも導入されるらしいですから、さらに良いのかもしれませんね。6年間も英語を勉強したのに、気の利いた自己紹介の1つもできない、というもの悲しいですしね・・。
脱線してしまいました。Pre-termの話に戻します。このPre-term期間中は、ほぼ毎日のように飲み会があったのですが、この飲み会がまた大変なんです。飲み会では、さらにネイティブ比率が上がるんですよね。英語に自信の無い人が参加を見送るからなのでしょうか、初日に行った飲み会では、殆どがネイティブでした(まあ上で書いたように、推定ネイティブ比率9割なので当たり前かもしれませんが)。
まず、僕らのようなたどたどしい英語を話す人間の話を辛抱強く聞いてくれる人間を探さなくてはなりません。やはり明らかに日本に興味を示さない生徒っているんですよね(そうは言っても皆結構いい奴なんで、その点は安心しましたが)。探した後も大変です。1対1ならばなんとかなるので、ほっとしつつ話し込んでいると、必ず「Hi, nice to meet you!」と割り込んでくるネイティブが登場します。そうなると3人での会話になるのですが、これがまた厳しい。彼らも当然ネイティブ同士で話している方が話が早いので、どんどん話が進んでいきます。
で、飲み屋でさらに問題なのは、周りがうるさいこと。音楽や周囲の会話の声で目の前にいる人の言葉を聞き取るのも、非常に厳しくなってきます。自分の日本語での状況を考えれば当たり前なのですが、大半の生徒ははそんな状況下でもきっちり聞き取れるんですよね。
まあ、そんなこんなで、飲み会に参加すると日本の倍以上疲れます。今日も100人近くが集まったBBQ大会があったのですが、かなりぐったりして帰ってきました。でも、やはり英語の練習にはなりますね。話してると、表現がシンプルになってきたり、まどろっこしさが無くなっていくのを感じることがあります。あと面 白いのは(たぶん)発音も改善されていく、ということです。これはInternational Students中心のサマースクールでは体験できなかったことなのですが、ネイティブと話していると、彼らの発音が、いい意味で染ってきてしまうんですよね。
こういった飲み会に行く前は、疲れていたりして実は気後れしたりもするのですが、ビールを飲みながら英語の練習ができるなんて最高!と言い聞かせながら参加してます。支えになっているのは「留学して日本語が上手くなってこないで下さいよ!」という会社の後輩の言葉(日本語が上手くなってしまうぐらい日本人とばかり話す、ということの無いようにという意味)。今日は幸運にも、ネイティブの一人に、「何でお前が英語のサマースクールへの参加をrequirementにされるのかが良く分からん。全く問題ないじゃないか」と言われ、いい気分になって帰ってくることができました。これを続けられるよう、頑張って飲み会にも参加し続けようと思います。