《毎日かぶりつきで》
授業は毎日かぶりつきで聴いている。じーっと教授の顔をにらみつけるようにしていないと内容の理解が授業の速度に追いつかないのだ。それでもペースの速い授業やリーディングの宿題が追いつかなかったときなど、質問が投げられて誰かが答えて教授がホワイトボードで説明を始めるころになってやっと何が起きたのか理解することもある。あまりのやり取りの速さについつい眠くなってしまうこともたま~にある。
でも一番前っていいものだ。日本の大学生だったころはあまり(まったく)真面 目な学生ではなかったので、一番前に座ったことなど一度もなかったし、一年間マサチューセッツに留学していたときも今以上に授業についていくのは難しかったが、なんだか気恥ずかしくて(?)一番前には座れなかった。今は今期選択している5教科全部を最前列で聞いているが、とってもいい。
まず第一に、Class Participation(どれだけ授業中に発言したか)を最終成績にカウントするクラスが多いのだが、最前列だと見えるのは教授だけなので、シャイな日本人の私も気楽に手を挙げられる。各教授には英語にちょっぴり不安があることをあらかじめ伝えてあるので、一番前に座っていると簡単な質問のときに手をあげるようにそれとなくうなずいてくれたり、授業の前後に声をかけてくれたりする。
最初のころは、勉強熱心な他の"Front row persons"と一緒にされて、よく"Cold Call"(突然指名であてられる)されたりもしたが。そう、最前列のほかの人々はとても熱心なのである。ほとんどの人が人に教えるのもとっても好きで、聞けば何でも丁寧に教えてくれる。私の強い味方である。
来週から始まるMid-Term(中間試験)も、彼らの力を借りればなんとか乗り切れそうな気がする(?)そしてこのかぶりつきの習慣は当分続けようと思う。本物の"Front row person"(勤勉家!!)になれる日まで。
《Officer Position》
NYUには公式なクラブが40強ある。内容は様々で、堅くは、Global Finance Association, Management Consulting Associationなど、やわらかくはGolf Clubやコーラスなどである。皆、四つや五つは掛け持ち(多い人=私などは7つくらい入っている)しているのだが、これらのクラブのそれぞれが一年生のオフィサー(役職)を募集する。
日本ではありえないような気がするのだが、このオフィサーポジション獲得の戦いがとっても熾烈なのである。日本人が少ないNYUに何故か今も存在するJapanBusinessAssociation等一部のクラブを除いては、数倍から10数倍くらいの倍率にもなるのだ。
皆、1St year VP とか、Officerとか、レジュメに書ける格好いいネタが欲しいのだ。かくいう私も私費留学生。来年のサマーインターン獲得に向けて見栄えのよいレジュメが必要である。そこでまず応募したのが寮の大学院生フロアのFloorRepresentative。
これは住人みんなのお世話係や、苦情処理、かしましく理想主義の大学生との寮の運営会議に出席したりと、まったく美味しくない仕事なのだが、来年続けて選出されれば高い寮費が無料になるという、一点してとてもいい仕事になるらしいのだ。倍率は三倍。エッセイを書いて、応募して面 接とわりとすんなりとクリア出来た。
次はJapanBusinessAssociation。これは競争ではなくて、日本人は半強制的にオフィサーにされてしまう。その次に挑戦したのが、SternWomenInBusinessのオフィサー。NYUSternの特徴として女性の比率が高く、才気あふれる活発な女性が非常に多いことがあげられ、このクラブはその女性たちほとんど全員が参加している活動の活発なものである。
これは本当にやってみたかったのだけれど、競争は二人募集のところに20人と、10倍。競争相手は皆、気の強い私が言い負かされてしまうほど弁舌巧みなのだ。私もインターナショナルの意見の反映や、女性経営者になって、卒業後もクラブに貢献(?)することをたてに頑張ったのだが、あえなく敗退。今後の世界で戦うには、敵(競争相手)は異性ではなくて、同姓の女性だな、と痛感した出来事だった。
最後は、StrategicOperationsClubのオフィサー。ここはOperationalExcellenceの研究や、発展途上国の重工業発展可能性の分析などなど、自分の興味ともぴったり一致し、バックグラウンドも強みとして活かせるクラブである。倍率は4倍強だったが、すんなり役につくことが出来た。
レジュメに書くことがたくさん出来たのは嬉しいが、それぞれ、かなりの仕事量 である。勉強や、インターンシップ探し、社交活動(お酒!)と上手くバランスを取ることがこれからの課題である。
《私くらいのもの》
ビジネススクールくんだりまでやってきて授業中に教授やほかの生徒の前で泣くなんて、全米広しとはいえ私くらいのものだろう。ほんとうに恥ずかしかった。いくら普段から泣き虫とは言え、自分でもあんなところで泣き出すとは思わなかった。
Statistics(確立・統計)の授業中、新聞記事のコピーが配られ、読んで問題に答えるように、との指示。いつものことだが、私が三分の二ほど読み終わったところで時間切れ(周りの人はとうに読み終わっている)となり、コールドコールが始まる。
この日は運が悪く、一番にあてられてしまったのだ。まるっきり見当もつかずあてずっぽうに答えていたら、「ちゃんと読んだの??」と聞かれてしまい、質問は次の人へ。その時点は別 に泣く気配もまるでなかったのだが、自分で問題を読み終えてみると、なんとも簡単な問題だったことが判明し、もう悔しくて悔しくて、涙がばーっと。
あまり突然のことで自分でも予測がつかず、教室を出て行くことも出来ず、その場でずーっと泣いていたのです。最前列なので、クラスメートにはあまり見つかっていないと思うのだけれど、教授は心配そうな顔で何度も私の方を見ていたな....
今冷静になって思い返してみると、こちらへ来て3ヶ月弱、嬉しいことも辛いこともたくさんあり(???)フラストレーションがたまり、泣き虫としてはそろそろ泣き時だったのでしょう。Statisticsの教授には申し訳ないが、泣いたおかげで今は妙にすっきりとしたいい気分である。
27年間の"泣き"の実績からして泣かないようにするのは絶対無理なので、今度泣くときは授業中を選ばないようにしなければ。不可抗力なのだけれど。しかしあの問題、今思い返しても悔しいくらい簡単だったな。