今回は10月末に行われたボストンフォーラムおよび就職活動について少し書いてみようと思う。MBAに入学すると、8月中旬からオリエンテーションが始まり、9月末頃には早速就職活動関連のイベントが始まる。自分自身、勉強に来ているというよりは、寧ろ仕事探しに来たと錯覚する程である。私費の身である為、当然卒業後の進路先が気になり、情報収集の為にもビジネススクール内の学生クラブにも参加した。
実際に就職活動をしている身として感じたことは、外国人としてアメリカで就職するという事が思った以上に大変だということである。アメリカの景気が徐々に回復してきたとは言え、数年前のバブル期とは違い、企業の採用意欲はやはり強いとは言えない。ネガティブではないが、先行きを慎重に見ながら、採用プロセスを進めているとの印象が強い。そのため、アメリカ人にとっても良い条件、望む環境での就職は難しい。まして、言葉に壁がある外国人としては、決して簡単なことではないのが身に染みるように分かった。
私自身、年齢やバックグランドなどを考え、絶対にアメリカで就職したいと考えている訳ではない。あわよくばアメリカに残り、ネットワークを作り、経験を積みたいとは思うが、自分のアドバンテージを活かすには、やはりアジアに戻り、東アジアにコミットした方が良いと考えているからである。従って、いかに日本で仕事を見つけられるかが重要になってくる。その前哨戦となるのは毎年10月後半ボストンで開かれるボストン・キャリアフォーラムである(ご存知かとは思うが、ボストン・キャリアフォーラムは東京水道橋に本社を持つDisco Internationalが開催する東京、ロンドン、LA、ボストンでの英語および日本語が堪能な学生向けの就職活動の場である)。
コロンビア大学は伝統的には私費留学生が少ない。去年の私費留学生はJ-Term(1月入学)も含め3人ぐらいで、今年に関しては、私一人である。従って、就職活動に関して相談に乗って頂ける先輩がいないに等しい。他の日本人の同期はボストン・キャリアフォーラムには誰も参加せず、全て手探り状態であった。幸いなことに、NYからボストンまではさほど遠くない上に、アメリカ在住の私の元生徒が色々と手配してくれたため、大変助かった(私は以前、GMAT塾を開いていた経緯がある)。実質2日間で意中の企業を全て回らなければならないというのが、スケジュール的にも体力的にもかなり大変なものであった。
10月末の朝8時、早速、倉庫のようにも見える会場の入り口に出来た長い列に加わり、冷たいボストンの風に晒され、なんだかちょっと空しい気持ちにもなった。また、この歳でUndergraduateの4年生と一緒に企業ブースを回るのも少々気が引けたが、既婚の私費留学生がそんな悠長なことを言っている場合ではない。大学卒業時の様に未熟さゆえに格好をつけて自分自身を飾ろうとする気もこの歳になっては更々なく、生まれてから30年、異なる国々で勉強し、経験し、感じ、そして現在考えている事を素直に表現出来ればと思った。
もちろん端から相手にされない企業もあれば、私の考えを熱心に聞いてくださる企業もあり、反応は様々であった。また、一口に外資系企業とは言うものの、企業文化はそれぞれ異なる。僅か二日間で色んな企業の方と会わなければいけないので、体力的にも精神的にもきついところがあったが、その代わり、色んな企業のカルチャーなどを知ることができ、就職先を考えるのに役に立つだけではなく、今後のためにもなる。ただの二日間だったが、ある意味では非常に収穫のあった二日間と言っても差し支えがない。