今日は10/24(金)~26(日)に開催された、アメリカ留学生にとって最大の就職活動の場、ボストンキャリアフォーラム(以下BCF)について書こうと思います。
まずBCFについてですが、日本企業または外資系企業の日本支社、計200社ほどが一同に会し、日本語がネイティブレベルかつ英語力の高い学生を採用するために行われる合同説明会、兼面 接会です。学生の側は、今年は全米各地または日本から(!)7,000人が訪れたという非常に大規模なものです。
ただ、このBCFは基本的には就職を目前に控えた学部4年/修士1年向けですので、就業経験があり、かつインターン狙いのMBA1年生に興味を示してくれる企業は非常に稀です。 興味を示してくれるのは、投資銀行と、あとはメーカ数社程度でしょうか。
コンサルティング会社もMBAのインターンを積極的に行っているのですが、なぜか彼らはこのBCFには来ておらず、BCFの1ヵ月後に個別 に各都市を回るようにしているようです。このためMBA1年生にとってのBCFは、投資銀行の方々と時間の大半を過ごすことになるのです。
私はメーカでのインターンに対する興味が強かったため、投資銀行は声を掛けてもらったところを中心に2社程度の話を少し聞いてみよう、という程度に考えていました。さらに3日間のうち、最終日の日曜日はオフにしようとも考えていました。 しかし、始まってみると、投資銀行のインターンオファーを獲得しようと必死に活動する他校のMBA1年生達(大半は顔見知りで友人なのですが)にあおられ、私も同じペースで投資銀行だけで5社を回るという状態になっていました。
また実際の活動内容上(特に投資銀行に関して)で、大きく予想と違っていたのは、(1)インタビュー(面 接)がBCF会場で激しく行われること、(2)ディナーへの参加が恐ろしく重要なこと、の2点でした。
まず(1)ですが、会社のブースとは別に、怪しげな「インタビューブース」なるカーテンで仕切られた個室がたくさん設けられており、通 常のブースで一般的な説明を受けたあとに、気に入られた人はそちらに連れて行かれ、その怪しげな個室でおもむろにインタビューが始まるのです。
各投資銀行とも3-5名とインタビューを行わなくては先に進めないため、本命のメーカとのインタビューも含めると、あっという間に3日間の予定が埋まってしまい、結局3日間とも開始時間から参加することになってしまいました。
また(2)ですが、実はこれらインタビューよりも重要なのがディナーへの参加です。このディナーに参加して、その投資銀行へのコミットメントを示すことが内定獲得への鍵になっているようで、投資銀行各社はその日に良いと思った学生を必ずディナーに誘ってきます。
このディナーへのお誘い自体は良いサインなのですが、ここで複数者からお誘いを貰っている人は、他社を切るという決断を迫られるのです。そして、このお誘いは次の日にしてもらうといった調整は基本的にできず、その日に回った企業はその日のうちに結論を出すことを求められます。
私は、このルールを知らず、初日にお誘いを頂いたディナーをお断りしてしまったため、翌日に「今夜のディナーに参加させて下さい」とお願いに行ったところ、手のひらを返したように冷たい態度を取られた、ということがありました。
予想外の事態に戸惑い、ストレスを感じつつも、最終的には、次の週にも面 接を数件こなし、内定を2社から頂くことができました。しかし結局、その後に第一志望であった某メーカからもオファーを頂いたため、こちらで働かせて頂くことになりそうです。
また、今回の活動を通じて私にとって重要だったことは、日本が、調子を落としているとはいえ世界No.2の経済大国であり、世界中の人々にとって魅力的な市場である、ということを実感をもって確認できたことです。
このBCFの話を聞いた何人かのMIT Sloan学生から「興味はあるけど、日本語が喋れない人向けにチャンスはないんだろう?」と聞かれました。私と非常に親しくしてくれている友人の1人は、実際に一緒に会場に行ったのですが、「日本語の話せない方はお断り」と冷たい態度を取られた、と嘆いていました。
これを聞いて、もちろん日本企業の度量の狭さにも問題意識を感じましたが(アメリカが強い一因はDiversityを受け容れる度量 の広さだと個人的に感じている)、それ以上に感じたのは「日本語が話せるという強みの大きさ」です。
これまでは英語のNativeを羨ましく思うことばかりだったのですが、日本語Nativeも捨てたものではないと初めて思いました。何しろ、世界No.2の経済大国であるにも関わらず、この市場で競争できる人材(日本語が話せるという意味で)は非常に限られてしまうからです。
国外に価値を発見しに行きながら、自分の国の価値を再認識するというのは、逆説的なのですが、この発想の転換は7月からの4ヶ月間アメリカ生活の中でも比較的大きなものでした。今後もこういった発想の転換が沢山できると嬉しいですね。
P.S. 少し上でも触れましたが、このBCFで渡米直前に会った他校の友人達(メーリングリストで繋がっている)と久しぶりに会い、非常に楽しい時を過ごすこともできました。こういう横の繋がりというのは本当に貴重なので、大事にしていきたいと思います。