これを書いているのは12月初旬、ピッツバーグはすでに「白銀の世界」と化しています。といっても、雪か快晴という感じで、あまりドンヨリとした天気がないせいか、清清しい毎日が続いています。日記の内容は8月前半になります。
■ 最終アサイメント - 生命保険業のアジア進出戦略
3ヶ月以上の長期にわたったインターンも、いよいよ最終アサイメントだ。最後のアサイメントは特定のクライアントのためのプロジェクトではなく、「お題目は何でもよし、調査・分析を自由にやって、お客さんのところにすぐ持っていける何か」をつくるというもの。
自分はインターン最初のアサイメントであった保険業界に少し愛着があったため、そこから特定企業をピックアップし、「生命保険を日本以外のアジア地域で展開するビジネス戦略」と、それを実施するための「買収・提携先候補と参入プロセス」の分析と立案を行った。
当たり前のことかもしれないが、中国他アジア諸国の保険業の伸びは現在半端なものではない。「保険」のようなサービス、特に「生命保険」はその国の所得水準(経済)の伸びに従って伸びるものだからだ。現在のアジア市場のサイズはまだ小さいが、今の伸びが続けば数年後から十数年後にはとてつもない市場規模になる計算だ。
他方、このアジア地域を「戦略地域」として位置づけて参入している保険会社には、欧米の企業ばかりが目立つ。生命保険に限ると、現段階では日本企業はほとんど見られない(日本生命等を除けばほとんど皆無だ)。 無論、これは現地の曖昧な規制や政府当局との交渉の困難さに起因するところが大きいのだが、それにしても欧米企業に差がつきすぎている。
ここに着目して、各国の市場成長状況、規制概要、現地企業や既参入企業の提携状況、株価推移などを調査し、「今」参入する必要性とその具体的な方法・タイミングを提案することを試みた。また、買収を通 じた参入の場合には、お金を払うのではなく、自社株を使ってノン・キャッシュでの買収ができないかも検討し、方法を提案してみた。
今回はこれまでの「与えられた仕事をやる」というのではなく、「どこにビジネスの機会があるかを自ら探し、対策を練る」というアプローチだ。この意味では今回のアサイメントが最も難しく、また刺激的であった。対象業種や会社、切り口や分析の方法については、社内のアソシエートからディレクターまでの方々に散々ご相談させていただき、非常に多くのアドバイスをいただいた。
「そんなこと調べたって、社長は興味ないよ」と一刀両断されることもあったし、「分析が浅い」、「具体性に欠ける」と指摘される。 「お客さんが知ってること書いたって意味がない、何が新しい発見なんだ」、「常識にとらわれず、Out-of-boxで考えろ」。 ポイントは、「お前がお客さんの社長になったとき、その提案書で本当に"やりたい"と思うかだ」。 厳しく実りのあるアサイメントだった。
この分析のアウトプットは、インターンの最終日に社内で発表することになっている。
■ 夏の間の就職活動記(2) - 戦略系コンサルティング等への応募
先日も少しだけご報告したが、インターンの合間をぬって就職活動もしなければならない。私は7月後半くらいから特にその動きを早め、投資銀行以外の候補先として、自分が以前から魅力を感じていた戦略系コンサルティング2社とプライベート・エクイティ(PE)ファーム1社に応募した。
戦略系コンサルティングは、各社によって多少違いはあると思うが、よく言われるように「筆記試験+ケース・インタビュー」という構成だ(詳細は各社さんのウェブサイトでご覧になれると思う) 。筆記試験は「論理力」やコンサルタントとしての「適性」を見るということで、GMATやGMATっぽい試験をやるところがあるようだ。それをクリアして、ケース・インタビューをやる。
ケース・インタビューも、最近では書店にその手の本が並んでいるし、カーネギーメロンを含め、ビジネススクールには「ケース・インタビュー虎の巻」みたいなものが存在しているので、それをご覧になればいいと思う。
よくあるのは、「イギリスの~の会社が日本の市場に参入しようとしてる。君ならどう分析をして、どんな提言をする?」とか、「東京のエアコンの市場規模(または台数)って、どう数えたら分かる?」とか、こういった突拍子もないような問題である。「そんなの前提条件がたくさんありすぎて、答えられません」と言いたくなる気持ちを抑えて、仮定を置いて、議論を構築する(ちなみに上記のケースは私がこの記事ように適当に作成したものです)。ある仮定が崩れたら、「次はこのアプローチ」と提言する。
他方、PEでは、試験があるとは聞いたことがない。先日ご報告したとおり、PEは個人の紹介などがあると円滑にプロセスを進めやすい面 があるようだ。自分も友人の紹介を通して、すぐにある部署の責任者の方とアソシエイトの方と面 接をしていただくことができた。
この3社の結果は「1勝1敗1分け」であった。詳細はここでは控えるが、この就職活動を通 じても、これまで以上に各業界、各会社の文化やご担当者の雰囲気や心意気に触れることができ、大変勉強になった。