私と妻はこのクリスマスと年末年始はここニューヨークに留まり、アメリカでこの時期を過ごすことにした。日本人の生徒達も、日本からは遠くてなかなか旅行出来ないような国へ、この冬休みを利用して出かける人が多い。例えば、カンクーン、アフリカ、ジャマイカなどへ旅立っていった。
Thanksgiving Dayの連休時もそうであったが、期末テストが終わり、打ち上げなどで数日間学校近辺のレストランやバーなどが混みあった後に、学部生の生徒を迎えに来た親の車が寮の門の前に並び、学校近辺からはどんどんと生徒の数が減り閑散とした雰囲気となる。
クリスマスのデコレーションでコロンビア大学正門前から続く木はライトアップされているというのに、学校の回りは、お正月を迎える数日前の様な寂しささえ漂わせている。それに引き換え、マンハッタンのミッドタウンの建物は競うように派手なイルミネーションに飾られ、なんとも賑やかな様子である。
ただライトで光るクリスマスリースを飾る、などではなく建物全体をプレゼントの箱に見立てて、真っ赤なリボンが建物全体に掛けられているなど、とにかくイルミネーションもアメリカサイズで驚かされる。日本にいる時にテレビなどで見て、さぞかし大きなクリスマスツリーなのだろうと期待して見に行ったロックフェラーセンターのツリーでさえ、とても小さく感じた。
今月12月は期末試験があり、学校の授業、図書館、家(学校のすぐ隣)にしか居なかったように思う。たまに近所の中華料理屋へ行ったぐらいであろう。従って今月はあまり話題がない。そこで12月にあったハプニングをお話しようと思う。
2つ挙げられる。まずは12月最初の週末に2日間降り続いた大雪である。この時期にこれだけの雪が降るのは珍しい事であったようだ。朝、ブラインドを上げるとチラチラと雪が降っていて、今シーズン初の雪であったし少し嬉しいような気分さえした。
日本の雪と違い、水分が少なくパウダースノーである。お昼ごろには既に数センチ積もる勢いであった。だんだんと雪のサイズが大きくなり、そのまま2日間降り続いた。驚いたのは雪には慣れっこなのか、除雪作業の素早さである。学校内の道などは除雪車がガンガン除雪して、常に人が安全に歩けるようにされていた。
大雪の日、コロンビア大学
また、大通りなども同様である。日本では雪が降ると、重い腰を上げて自分の家の前や車の前だけ除雪する、といった具合だろう。コロンビア大学の借り上げ寮に住んでいるために、管理人数人が作業をしてくれたのだろうが、数センチ積もった頃からすでに家の前や階段、大通 りまでの道はあっと言う間に除雪されて道が確保されていた。その後も買い物へ出たりしても歩くのに危ないような目には全く合わなかった。
ただ、ニューヨークは道が悪く、雨の時などもすぐにあちこちに大きな水溜りができる。雪が解けるまでの数日間、横断歩道などに、大きく迂回しないと渡れない程の、雪交じりの大きな水溜りが数箇所できているのには不便を感じた。
12月21日、ミッドタウン
2つ目のハプニングは、妻が中華街で魚や私の好きなお惣菜を買って来てくれた事があった。私は上海出身の同じビジネススクールの友達を連れて、自宅へ戻った。妻は見るのも恐ろしがっている牛の胃袋の煮物や鶏の足先の煮物など、私たち中国出身者2人は大喜びでかじりついていた。他に妻は魚の煮物や、新鮮なワカサギを油で揚げたりなどの料理をした。
アメリカではどこでもそうであろうが、スーパーなどではほとんど魚は扱っていない。あったとしても海老、サーモン、タラなどの切り身くらいだろう。もちろん新鮮さは期待できない。妻は中華街でフィッシュマーケットを見つけてきたらしく、魚三昧の夕食であった。
夕食後、友達と私はまた図書館へ行くために家のドアを開くと、とにかく廊下が香水臭い。香水を撒き散らしたのかと思うほどの強い臭いである。また、気がつくと家のドアには何やら張り紙が。。。そう、あまりに魚と油の臭いが耐えられなかったのか、上の階の住人からの苦情であった。香水も臭い消しのつもりか嫌がらせか、苦情の表現だったようだ。
こちらのキッチンには換気扇が付いていない。オーブンの上に頼りにならなそうなのが付いている場合もあるそうだが、揚げ物などの習慣がないのだから必要ないのだろう。それ以来、妻はキッチンにある空気口をラップなどで塞ぎ、揚げ物などをする時は窓全開、扇風機を回し、料理後はお香や香りつきのロウソクで臭い消しに追われている。改めて文化、習慣の違いを感じ、周りへの配慮の必要性を感じた事件であった。