Campus Report 2003

関 伸彦 to Sloan School of Management, Massachusett Institute of Technology(全28回)

MBAホルダーへの道

Vol.9 初学期を振り返って

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12/19のFinanceの期末試験をもって、長いようで短かったMBAでの最初の学期が終了しました。今回はこの最初の学期を、この体験記の最初に述べた4つのMBA留学の目的に照らし合わせながら振り返りたいと思います。

ところで、この期末試験は各科目3時間を目一杯使わなくてはならない、長くハードなものでした。またそのための試験勉強も、膨大な量 の過去問と夜通し戦わなくてはならないという大変なものでした。久しぶりの大学の期末試験だったので、深夜まで勉強できるかどうか不安でしたが、なんとか乗り越えることができました。

さて、今回のMBA留学の目的として最初の体験記で挙げたのは、下記の4つでした。
(1)日本人以外のものの考え方の把握と英語力のテコ入れ
(2)戦略・改革案を定着させる(業績評価の)仕組みの学習
(3)人的ネットワークの拡大(日本人、外国人)
(4)アメリカが日本に負けている理由の体感

以下、それぞれの達成状況につきコメントします。

(1)日本人以外のものの考え方の把握と英語力のテコ入れ

MIT Sloanでは、初学期には誰もが6人のコアチームにアサインされるのですが、私はこのメンバーに非常に恵まれたため、(1)の達成に向け大きく前進することができました。他のチームを見ていると、大抵は親日家(日本人に興味が強い、日本で働いたことがある、日本人と働いたことがある)が1人はいるのですが、私のチームには1人もいませんでした。

これを最初は厳しいと感じていたのですが、終わってみると、このことにより逆に色々な面 で鍛えられたのではないかと感じています。私のチームは週に3回程度は何かにつけてface to faceでミーティングをするというカルチャーを持っていたため、英語を改善する機会も非常に多く、非常に充実した日々を送ることができていました。

ものの考え方に関しては、意外なほど差がない、ということを発見しました。MBAにくるという指向性を持った人間が集まると、ベースとなるところ(プロジェクトの進め方など)では同じような考え方をし、かつ皆のコミットメントも非常に高いため、全ての事柄がスムーズに進むという気がしました。

海外のオフィスと仕事をしていた時は、常に進捗をモニタリングしていないと、とんでもないアウトプットが出てくるため、全く気が抜けなかったことも多かったのですが、他のメンバーに一方のプロジェクトを任せてしまっておいても、ちゃんといいアウトプットが出てくる場合が殆どでした。

結果、ものの考え方というのは、人種で変わるものではなく、単にその人の仕事上の優秀さやアカデミックバックグラウンド、所属した業界などの違いによって影響されることの方が大きいと考えるようになりました。

その他に意外だった点としては、アメリカ人も、日本人と同様かそれ以上に相手の意見に反対する時には気を遣っている、ということです。ビジネススクールにくるアメリカ人というと、自分の意見をどんどん主張して相手の主張と正面 から戦う、というイメージを持っていたのですが、実際には非常に婉曲的な言い回しを使ったりしながら、相手の気分を害さないように自分の意見を言うという場合が殆どでした。

英語に関しては、最初は、はっきりとは話されない教授の冗談や他の生徒の授業中の発言などはなかなか聞き取れなかったのですが、12月にも入ると、100%ではないにしても、格段に聞き取れるようになっていきました。しかし、チームミーティングなどで、チームメート達が授業内容とは関係の無い雑談をしている時は、未だになかなか聞き取れず、辛い思いをしています。これらは今後も継続的に意識して機会を設けて改善していく必要があると感じています。

(2)戦略・改革案を定着させる(業績評価の)仕組みの学習

今セメスターの授業内容は、実は悪くはないが、良くもない、というものでした。これは、選択科目が1つもなく、アサインされた必修科目はすべて基礎的なものに留まっていたためです。

AccountingとFinanceは基礎から学ぶ必要を感じていたため良かったのですが、例えば意思決定論と称された、実際には確率・統計や最適化シミュレーションを学んでいた科目は、あまりに理想的な仮定(データのavailabilityなど)の下で成り立っていたので、本当に現実の世界での経営に役に立つのか?と疑問に感じることもしばしばでした。

このような状況だったため「戦略・改革案を定着させる(業績評価の)仕組み」を学ぶことはできませんでした。但し、ビジネススクールの科目では、このトピックはManagerial Accounting(管理会計)に分類されるということが発見できたのは有意義でした(これまではEmpowermentとかOrganizational Behaviorに属するトピックだと考えていた)。

そして、次のセメスターでは、まさに私の興味に合致する科目「Management Accounting and Control(この最後のControlというのがポイント)」があり、これを履修することになっているため、今から非常に楽しみにしています。

その他の授業でも、春学期(次学期)では「さすがMIT」と思わせてくれる内容が提供されており、学期ごとに取れる単位 の上限が恨めしく思えるほどです。詳しくは次の体験記で報告したいと思いますが、例えば、履修することになっている「Managing Innovation and Entrepreneurship」とか、来学期に以降に履修する予定の「Disruptive Technologies」「Technology Strategy」などは名前だけでも興味がそそられるものでした。

(3)人的ネットワークの拡大(日本人、外国人)

まず日本人ですが、こちらは想像していた通り、あっという間に仲良くなることができました。特に今年は例年になく仲が良いようで、先日行われた日本人忘年会では、Class of 2005の生徒の奥さんにも酔っ払いが数人出るほどの盛り上がりでした。これには、日本出発前から何度か集まって食事などをしていたり、半数ぐらいがサマースクールから勉強を共にしていたことが要因として挙げられるかもしれません。

この年齢になって、異業種の方とこれほど仲良くなるということは非常に難しいので、こういった強固な日本人ネットワークを作ることができるというものMBA留学のメリットであると実感しました。

外国人のネットワークに関しても、沢山の友人を作ることができ、英語にハンデを抱える人間としては、まずまずだったと言えるのではないかと考えています。大きかったのは上でも述べたコアチームと、あとはサマースクールで作った友人です。特にサマースクールで勉強を共にした韓国人、南米人とは今でも他の同級生とは少し違った感じで悩みなどを共有できる友人になっています。

Nativeとは心を割って話し合えるような友人にはなかなかなれないと予想していたのですが、前職の人脈から、この壁も突破することができました。同じ学年にSimonという友人が出来たのですが、彼は偶然にも、ADLで一緒に働いていた先輩の親友だったため、渡米前にメール等を通 じて紹介してもらっていたのです。親友が共通の友人であるという安心感のためか、他のクラス同士だったにもかかわらず、彼とはすぐに仲良くなることができました。

また、彼のガールフレンドもSimon同様に日本、特に日本食が大好きで、彼のガールフレンドと私の妻も2人で出かけるようになるほど仲良くなりました。11月のThanksgivingには、彼女のNYの実家にSimonと一緒に招待され、そこで伝統的なThanksgiving Dinnerを食べる、という経験もすることができました。

Simonとの出会いがなければ、この学期の充実感は半分になっていたのではと思えるほど、貴重なものでした。Native達のように、大勢の友人を短期間で作るということは私には難しいので、こうした形で1人づつ着実に長く付き合える友人を、来学期以降も増やしていきたいと考えています。

(4)アメリカが日本に負けている理由の体感

これまでは言葉と文化で デファクトを握っていることが最大の理由だと考えていました。こちらに来て以来、レストランに行っても、車をドライブしていても、自分で組み立てなければならない製品を買っても、いつでも「相手(顧客等)の気持ちに立って考えることをしない人々」だと強く不満を感じていましたため、「なぜ日本がアメリカに?」という思いはさらに強まっていきました。この不満は現在でも変わらないのですが、これまで生活してきた中で、新たに2点ほどのことが思い当たりました。

まず、彼らは「不必要なことに労力を使わない」ということです。特に道路、地下鉄等の公共施設を使っていて感じるのですが、とにかく汚くて古い。「使えればよい」という考え方が徹底されているように感じます。一般 市民も同じ考え方を持っている(例えば車など直さない)ため、例え地下鉄車内の電気が切れても、エスカレーターが2日に渡って止まっていても、それに対して文句も言いません。

一長一短あるのでしょうが、余計なお金・人を使わずに、最低限必要なことだけは行うという考え方は、社会に無駄 の多い(道路などに不必要にお金・人を掛けている感がある)日本と比べるとある意味効率的に思えます。

また、こちらでは「社会のチェック機能がうまく働いている」ということも強く感じます。よくアメリカの強みとして語られる「Diversity(多様性)」という言葉の本質はここにあるのではないかという気がしています。ここアメリカでは何かをする際には、常に異なる考え方をする種類の人々のことを考えなくてはいけません。さもなくば、性差別 、人種差別、年齢差別という理由で大企業ですら一般人に訴えられてしまいます。

このことは、結果として意思決定の際の重要な視点の見落としの防止に役立っているのではないでしょうか。アメリカの組織体に比べると、日本の組織体は画一的な考え方に基づいて意思決定が行われているように感じます。

さて、次回は春学期以降に登場する選択科目と、その中で私が履修する予定の科目を紹介します。MIT Sloanでは、次学期からは完全に選択科目制になる(HBSなどは次学期も全てが必修科目)のですが、取りたい科目が自由に取れるわけではありません。各生徒には1000ポイントの持ち点が与えられ、各科目を競り落とさなくてはならないのです。私の競りの結果 がどうだったのかも次回に紹介させて頂きます。

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