Campus Report 2003

関 伸彦 to Sloan School of Management, Massachusett Institute of Technology(全28回)

MBAホルダーへの道

Vol.14 面白かったケースを2つ

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Managing Innovation & Entrepreneurship: E Ink 

(電子インク・電子ペーパを開発したベンチャー)

先日、Managing Innovation & Entrepreneurshipという、革新的な技術・製品・プロセスをどうやって生み出すか、他社の革新的な技術・製品・プロセスに対してどのように対抗すべきか、といった命題に対して、大企業とベンチャー企業の両方の視点で議論する、という内容の講義で、E Inkというベンチャーのケースを扱いました。

この会社は、自ら開発した電子インクという技術を使った電子ペーパを用い、LCDディスプレイ等の既存のディスプレイを代替する、というビジョンの基に、MIT Media Labの技術者2人によって1990年代の中ごろに設立されたものです。

ケース自体は「技術とビジョンは良いが、設計から生産、販売まで全てを自社でやろうとしていたために、スピード・リソースが不足し、適切な市場をなかなか見つけられなかったなかった(その後は方針を変更)」という方向性・結論だったのですが、さらにその後に教授陣がそのケースの主人公で現在のCEO(HBS出身)を招き、スピーチをしてもらったことで非常に印象深いものになりました。

しかも、タイミングよく、E Inkの電子インクの技術を搭載した電子ブックがついに販売開始されるというアナウンスがその少し前にあったのです。しかも、ソニーの製品として、まずは日本で。

スピーカの話は面白く、Q&Aではやはりソニーとの契約に質問が集中しました。しかし、個人的に何より印象的だったのは、その製品と同じディスプレイを採用した試作品を実際に触ることができたことです。

ケースを読んだ直後はこの技術に対して、非常に懐疑的だったのですが、実際に見て触ってみると・・・すごい! 

まだ白黒しかできない(カラー化は2006年とのこと)のですが、特にその解像度の高さからくるリアル感と自然さ(LCDよりもはるかに紙に近い)と、表示角の広さ(これまた紙並みで、部屋の両サイドの生徒が同時に画面 が見える)には本当に驚かされました。

さらに、消費電力もLCDとは比較にならないぐらい少ない(一度画面を表示すれば、電源を切ってもその画面 を保持できる)ことから、将来的には本当にLCDを置き換えてしまうぐらいのポテンシャルを持っているかもしれません。

まさに、百聞(百読?)は一見に如かず、であり、現物(モノ)の重要さを改めて感じました。ソニーが一見してこの技術に魅了されたという話(CEO談)も分かる気がします。

価格の問題とか、コンテンツの問題とか、解決しなければいけない問題は多そうですが、これをきっかけに電子ブック以外でのアプリケーションが色々と考え出されていくと、面 白いことになるかもしれません。

Strategic Human Resource Management: NUMMI 

(トヨタとGMの合弁で設立された西海岸の工場)

NUMMIという会社、ご存知ですか?

後半タームから始まったStrategic Human Resource Managementという授業の2回目に登場したのがこのNUMMIのケースでした。

実はこの会社、1980年代にトヨタとGMの合弁でカリフォルニアに設立された工場であり、一度は閉鎖されたGMの不採算工場を、両社が出資して、トヨタがマネジメントを担当するという体制で再開されました。

設立に際してのGM側のメリットは、トヨタの生産方式を学ぶこと、トヨタ側のメリットは、アメリカでのオペレーションを拡大するに際して、現地工場にトヨタの生産方式が持ち込めるかどうかをテストする、というものだったそうです。

トヨタは、カイゼン、カンバン、アンドン、多能工といった有名な生産コンセプトの導入に加え、終身雇用などのHR絡みの仕組みも全てこのNUMMIに持ち込みました。そして、数年後には、NUMMIは他のGM工場全てを、生産性等でアウトパフォームしてしまうのです。さらには日本のトヨタ工場にも肉薄する結果 を出すようになってしまうのです。

しかし、GMが同じやり方を他のGM工場に導入しても、NUMMIと同じ結果 が得られず、GMのマネジメントが悩む、というストーリーでした。

結論としては、授業のタイトルから分かってしまう通り、生産方式だけでなく、その前提となっているHRその他の仕組みも変えないと、会社をドラスティックに変えるのは難しい、というものだったのですが、有名なトヨタ生産方式に対して、HRの観点から切り込むという点で、なかなか秀逸なケースでした。

さらには、この工場(試み)のアメリカでの知名度の高さにも驚きました(生徒は殆ど知っていたもよう)。また教授(Diane Burton, HBSでも教えていたこともある教授で、現在のMITの名物教授)も、このケースを選んでいることから分かる通 り、日本式のHRマネジメントに感銘を受けているようで、このNUMMIの取り扱いは非常にポジティブでした。

蛇足ですが、こういう日本関連の(良い)ケースが議論されているのを見ると、非常に誇らしい気持ちになります。

実際の授業では、最後に「一度閉鎖された工場だったから上手くいっただけだ」というネガティブな意見がアメリカ人から出され、他の生徒もそれに追従するような動きをみせました。さらには、「トヨタは従業員をmanipulateしているようにも見える。まあ結果 がいいのだからそれでいいんだろうけど」なんて言う生徒も出てきました。

アメリカの中核産業である自動車での(対日本車での)近年の不振は、未だに根本では受け容れ難いトピックである、ということなのかもしれません。ここボストンでも日本車が走りまくっている現状(きっと半数ぐらいは日本車)を考えると、このことには多少の驚きを感じました。

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