Campus Report 2003

関 伸彦 to Sloan School of Management, Massachusett Institute of Technology(全28回)

MBAホルダーへの道

Vol.13 旅行直前のうっかり 危うく再入国不可に

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3月の中旬に中間試験が終了し、待望のSpring Breakを迎えることができました。とはいっても、先立つもの(お金)がない我々としては、比較的近場であるナイアガラの滝などに一泊旅行でもして安く済まそうかとも思ってたのですが、結局、アメリカの大学生の旅行先として非常にポピュラーな、カリブ海はジャマイカに、7日間も旅行に行くことにしてしまいました。

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この旅行の主な目的は、これまで妻と2人で長らく考えていた、スキューバダイビングのライセンス取得です。「どうせいつか取るとすれば、時間のある今はいい機会(ライセンスの取得には3.5日必要)」と自分に言い聞かせ、また、ライセンス取得自体にかかるお金が1人$320と比較的安かったこともあって、相当な葛藤があったのですが、決心してしまいました。カリブ海なんて日本に戻ったらきっと行けない、というのも理由のひとつでした。

ところが、支払いも済んで、安心しきっていた出国の2日前に、同じくジャマイカに行く韓国人の友人と話していたところ、「I-20の他に準備しておく書類って何がある?」と聞かれ、「はっ」と重大な問題に気が付きました。外国人にとって、ビザと同等もしくはそれ以上に重要な書類であるI-20に裏書きサインを貰うのを忘れていたのです!

ジャマイカがアメリカからそんなに離れていないためか、なぜかアメリカ国内旅行に近い気分になってしまっていたのですが、F-1ビザの学生は、アメリカから出国する際には、学校から「現在もちゃんと就学中であると」いうステータスの確認と、それを証明するサインをI-20にもらっておかなければならないのです。このサインをもらっておかないと、現在のF-1ビザが出国の時点で失効してしまうため、最悪の場合、ジャマイカには行けるものの、アメリカに再入国できなくなってしまうのです。

問題なのは、MITでこういったビザ関係の手続きを統括するISO(International Student Office)は、愛想と対応が悪いことでInternational Studentの中で有名であり、残り2日程度で迅速な対応をして貰えるとはとても思えない相手であるということです。さらに、混雑が予測されるSpring Breakに向けて、「I-20は出発1週間前には提出すること」というメールが事前に出されていたことも、今更思い出しました。

気づいたのが火曜日の午前中、出発は木曜日の昼と時間は非常に限られていました。再入国できないという最悪のケースは免れたものの、このタイミングでは旅行のキャンセルも全く効かないため、サインがもらえなかった場合は旅行代金が全て無駄 になる、という依然として厳しい状況でした。

それでもできる限りのことはやろう、ということで、まずは妻に電話して大急ぎでI-20を持ってきてもらい、ISOに行くことにしました。ちなみにこの電話をした時、うちの妻が怒ったり、私を責めたりするようなことが全くなく、少しほっとしました。僕が逆の立場だったら、きっと妻のことを怒っているに違いないと思うので(笑)、こういうところは本当に尊敬できる妻です。

さて、ISOにI-20を持っていったところ、例の評判の悪い受付の女性が出てきて、案の定「春休みで忙しく、他にも何十人もの生徒が同じようにサインを待っている。旅行では緊急事態とみなすことはできず、1・2日でのサインは全く保証できない」という対応をされてしまいました。

こちらに非があることを認めた上で、なんとかしてくれるようお願いしてみたのですが、全くの無反応。「No」の一点張りで、非常に冷たい対応をされました。他の時期ではあるのですが、他の生徒が数日でサインを貰ったという事例を聞いていたので、「ひょっとしたら」と少しは希望を持っていたのですが、ついにここで旅行に行けないことが現実的になり、Mid-term中から思い描いていた南の島の青い海が、頭の中でガラガラと崩れていきました。

がっかりしながら、この交渉のためにスキップするつもりだった授業に戻り、しばし呆然としていました。しかしここで少し思い直し、再度やれることは一応全てやろうということで、最近I-20にサインを貰った日本人同級生に相談したところ、「あの受付では話にならないから、ダメ元で直接プッシュしてみたら?」と、ISOのDirectorのe-mailアドレスを教えてくれました。

ダメ元ではあるのですが、さっそくメールを書き、失礼がないかどうか、ネイティブの同級生にチェックしてもらった上で、即座に出しておきました。これが、結果 的に非常に大きな効果を発揮しました。

そのDirectorはとてもいい人で、まずは「とりあえずトライしてみるから少し待て。但しダメな場合もあるから、その場合は諦めて欲しい」という返事が即座に帰ってきました。ここで、受付の女性が「旅行先にI-20を送付することも可能(アメリカ再入国時にしか必要でないため)」と言っていたのを思い出したので、「問題がないならば、後日送付というやり方でも構わない」とメールしたところ、今度は「そのやり方も可能ではあるが、リスクが高いので、やめたほうがいい。それよりも、まずは明日トライさせてくれ」との非常に前向きなメールが、またもや即座に帰ってきました。

さらに「木曜日のフライトは何時なのか?」と聞かれたので、「昼12時なので、10時にはCambridgeを発ちたい」と返すと、「じゃあ、明日(木曜日)の9時半ごろにISOに寄りなさい」とのメールが。さらに、「今日の午後4時頃に寄るようにと言われているけど、今日は行かなくていいの?」と返すと、「今日は来なくても大丈夫。あなたのI-20を取り出して、最優先にしておいたので、明日の9時半には仕上がっているはず」という返事が。

出発24時間前にして、ついに「I-20の準備ができる」という最終回答を引き出すことができました。一転してほぼ行けることになった我々は大喜びし、さっそく荷造りに取り掛かりました(私は結局同級生と夜遅くまで飲んでいて、実際はパッキングを少しもしていないのですが(笑))。

出発当日、空港に行く前にMITに立ち寄り、I-20をピックアップ。そこで会ったDirectorは、メールで感じていた通 りの非常にいい方で、ISOも捨てたものではないな、と初めて思うことができました。例の受付の女性とは全く正反対です。お礼のために買っておいたダンキンドーナツを渡すと、大喜び(ボストン人はみんなダンキンドーナツが大好き)で、「Have a wonderful trip!」という言葉まで貰ってしまいました。

ジャマイカに着いた途端に、空港のホテル出張カウンターで、初日の宿がOverbookingで他のホテルになったことを知らされ、そこからまたかなりの問題が発生したのですが、その問題の後は極めて順調に進み、最終的には予定通 りにPADIのライセンスを2人とも取ることができました。

出発前日には、さっそくそのライセンスを活用し、ナイトダイブと、28m付近まで行くディープダイブを体験し、2人とも大満足で帰ってきました。ライセンス取得のプロセスも非常に楽しく、結果 的には、これまでの8年間の2人の旅行史上で、1・2を争う充実した旅行にすることができました。

この事件で認識したのは、まず、自分が非常におっちょこちょいであること(笑)。昔から親と姉には「お前は肝心なところが抜けている」と良く指摘されてきたのですが、本当に身にしみて分かりました。

I-20に関してこんなドタバタをやっているのは私ぐらいのもの(実際には同じクラスのスペイン人も同じようなタイミングで同じ問題を抱えており、ISOでばったり会ったのですが(笑))であり、他の日本人生徒のみなさんは用意周到に相当事前からサインを取得されているのです。今後は、このことを良く認識して、妻にも偉そうなことを言わずに、謙虚に生きて行きたいと思います。

もう1つは、これはよく言われることなのですが、アメリカではあらゆることがNegotiable、言い換えるとFlexibleである、ということです。アメリカでは、受付などの組織の末端にいる人々は、日本以上に官僚的(決められた以上の仕事は絶対にしない)なのですが、適切な人を見つけて交渉できれば、全く違う結果 が得られたりすることがままあるのです。

ですので、ここでは上手く行かない場合でも、自分の主張をせずに引き下がってしまってはダメなのです。アメリカ人が自分の主張をしっかりするのは、アメリカがそうしなければ上手くやっていけない社会システムであり、これに日常から鍛えられているからなのかもしれません。

ところで、懸案のアメリカ再入国が実際にどうだったかというと、マイアミ入国審査官はこれまでになく非常にいい人で、世間話なんかをしながら、あっという間に通 してくれました。それも、苦労してもらったI-20のサインの確認もせずに!無事通 過できたことは非常に良かったのですが、あの苦労はなんだったのかと、少し残念な気分になってしまいました。

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