CHINA(B)-中国研修旅行
4学期が4月23日に終了した後、中国への研修旅行に参加しました。4月25日から5月1日にかけ7日間、杭州、上海、北京をまわり、各地のビジネスを見学するというプログラムで、単位 の取得にもなります。授業名はCHINA(B)、4学期に履修したCHINA(A)の続編という格好です。CHINA(A)の担当教授Steven White が引率し、13名のMBAが参加しました。今稿はこの研修旅行記の前編です。
4月25日(上海から杭州への列車旅)
プログラムは現地集合、現地解散で、現地までの往復は学生それぞれの責任です。上海から列車で3時間弱の距離にある杭州が開始地点でした。私は、23日から上海で2泊したあと、25日の午後に杭州に向かいました。
杭州に向かう車内の様子
上海駅で若干苦労しながらチケット購入した後、列車に乗って杭州に向かいます。列車内は基本的には日本とあまり変わりがありません。日本と同様、販売員が時折、スナックや飲料などを持ってまわって来ます。車両の端には熱湯がでる蛇口があり、お茶、カップラーメンなどを飲食できるようになっています。
杭州駅に着き、集合場所である花港ホテルへ向かい、プログラム参加学生、教授とブリーフィングをしたのち、みんなで夕食をとり、25日は基本的にこれで終了です。
26日(杭州、学会出席、サイエンス・パーク見学)
26日は朝から浙江大学で開かれている中国の経営・人材育成に関する学会に出席しました。発表者・参加者の大部分は中国人の研究者・学生であるにも関わらず、発表は英語中心なのが驚きでした。
昼食を交え午後3時頃まで学会に出席した後、浙江大学のサイエンス・パークを見学に向かいます。ガラス張りの9階建てビル3棟からなるベンチャー企業向けのオフィス施設で、数ヶ月前にオープンしたばかり、入居率も1-2割程度と、雨が降っていたせいもあり寒々しく見えました。
浙江大学の様子
浙江大学サイエンス・パーク
サイエンス・パーク運営の責任者は、接江大学の教員で、彼自身が案内してくれたのですが、入居率の低さはあまり気にしていないようで、INSEADのMBA学生の間では、"If you build it, they will come" (ケビン・コスナー主演映画「フィールド・オブ・ドリームス」の中の台詞で「建てれば、(客は)やってくる」の意)の乗りだな、と苦笑していました。オープンしたサイエンス・パークは200万元(3億円)の費用が投じられたとの事です。
サイエンス・パーク見学の後は、浙江大学の学生と夕食をとりながら交流、夜9時前後に解散しました。
- コラム1:中国MBA学生と交流
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今回の旅行を通じて、浙江大学、北京大学、清華大学、のMBAと交流する機会がありました。どれも中国ではトップクラスの大学です。MBAの課程は2.5年、カリキュラムは、ファイナンス、会計、マーケティング、組織論など、欧米のMBAとあまり変わらないように見受けられました。MBA入学には最低3年の勤務経験というのが明示的に要求されているようです。
入学選考過程は(清華大学MBAの場合)、筆記試験で10%程度まで絞られた後、面 接でまた半分落とされるという事で、欧米MBAに比較すると筆記試験が重視されている点が異なっています。また、欧米MBAに比べると、より勤勉に勉強しているようで(?)、交流会の後にINSEADの学生が、「飲みに行こうぜ!」と誘ったときにも戸惑っているように見受けられました。
北京大学MBAと英語能力については個人差も大きく、比較的流暢にしゃべれる学生もいれば、コミュニケーションに相当時間がかかる学生もいました。但し、ほとんどの学生が海外に旅行した経験もない事から、流暢にしゃべれる学生がいる事の方が驚きと考えるべきかもしれません。
北京大学では一緒にケース・ディスカッション(上海ディズニーランド計画についてのケース)をする機会があったのですが、INSEADの学生に比べると、教授の指導に従順だなという印象を受けました。
INSEADの学生の場合、議論の最中に教授から、「その論点は今回の議論ではあまり重要ではないので。。。」などの指導を受けても、反対に「いや、この点は重要だ、なぜなら。。。」と強引に議論を続ける学生も多く、個人的にはしばしば、いい加減にしてほしいなあ、と思うときもあるのですが、北京大学の学生は、教授の指摘をすぐに受け入れるように見受けられました。
27日(Alibaba.com見学、上海へ移動)
27日、前日に引き続き、学会に午前中参加した後、午後は中国最大のBtoBサイトであるAlibaba.comを訪問しました。この会社は中国の中小製造業会社、その商品をウェブサイトで紹介する業務を主に行っています。まだ未上場で、日本のソフトバンクや、米国のゴールドマンなど有力なベンチャー投資会社が出資しており、雑誌などでもよく取り上げられるインターネット・スタートアップです。
Alibaba.com見学の後は、杭州駅へ向かい、上海に移動です。学生の二人が列車に乗り遅れるというハプニング(彼らは上海に2時間遅れて到着)を経て、上海に6時ごろ到着し、ホテルにチェックインした後、上海で働いているINSEADのOBと交流会に参加した後、27日は終了です。
28日(B&Q(家回り資材量販店)見学、知的所有権コンサルタントと面会)
28日午前中は、B&Qという会社を見学しに行きました。この会社は、消費者向けにタイル、塗料、建材、園芸用品などの家回り資材を販売しており、英国、フランスなどを中心に1000店舗ほど展開しています。中国には99年に進出、現在17店舗開店を果 たしています。中国B&QのManaging Director(総責任者)がINSEADでエグゼクティブ・プログラムに参加した事があり、彼自身が2時間程度に渡り詳細に説明してくれました。
この見学では、何よりも中国消費者の購買力の向上ぶりが印象に残りました。B&Qは、中国では住宅改造のコンサルティング業務も行っており、中国で現在進行している不動産ブームに乗って、大きくビジネスを拡大しているようです。
彼の説明によると、B&Qにコンサルティングを依頼した場合、家回り建材、施工、コンサルティングフィーを合わせて100-150万円程度の売上げ、一週間に200件程度の依頼があるらしく、こういったサービスを依頼する財政力のある消費者が中国で育っているのだな、と感銘を受けました。
B&Q店内
このコンサルティングは家のレイアウトの上に、自分で選んだ家具、タイルなどをどんどん当てはめ、コンピュータ上でバーチャルに完成後の家を見る事もでき、私自身でもぜひ利用したいサービスだな、と思いました。
昼食を経て、午後は知的所有権コンサルタントと面会しました。このコンサルタントはINSEADの卒業生で、イギリスベースの法律事務所に所属し、上海で企業の知的所有権保全についてのコンサルティングをしています。
欧米ブランド商品の違法コピーなどがしばしば正規の製造委託先で作られる(つまり正規品に準じた製造過程で作られている)事や、中国法制度の下での知的所有権に関する保護状況についてなどブリーフィングを受けました。
その後、違法コピーマーケットを見学(?)した後、解散、各自バラバラに北京に移動しました。私は夜9時の飛行機で上海を発ち、真夜中に北京のホテルにチェックインしました。
- コラム2:中国の街角
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今回の研修旅行は、25日からだったのですが、私は、ドイツ人、韓国人の学生と一緒に3人で23日から上海に2泊しました。私は、香港以外の中国は行った事がなく、今回が始めてのMainland China体験でした。以下、研修プログラム以外の点で気がついた事を何点か。
携帯電話:
空港に着くとまず、プリペイド携帯電話の入手です。中国では欧米と同様GSM方式なので、携帯の中のチップ(SIMカードという)を交換するだけで完了です。最初に購入する場合、200元(3000円)、この料金の中に50元(750円)の通 話料金クレジットが付いてきます。その後は、50元、100元などの単位 でクレジットを追加できます。50元で通話時間は一時間程度でした。今回1週間の旅行中では100元追加で済みました。ATM:
シティバンクカードが使えました。すくなくとも杭州、上海、北京では大手の銀行ではどこでも使え、非常に便利でした。
地下鉄構内地下鉄:
上海では、2路線、北京では3路線走っています。チケットはテレホンカードに似た大きさ、薄さです。今回の研修旅行では、中国の都市生活が他の先進国とそう変わらない事を感じる事が多かったのですが、地下鉄、また列車の乗降マナーだけは特異性を感じました。ドアが開くとホームに待っている客は降りる客にかまわず乗り込んでくるので、乗降は押し合いへし合いといった状況です。ドア近くの客も乗降客に道を譲る事なく、その場に頑固に立っています。
人民広場付近のスターバックス写真:
上海のスターバックスで写真を撮ろうとすると、だめだめ、と(手振りで)言われました。スターバックスに限らず、さまざまな店舗で写 真撮影は止められる事が多かったのですが、その理由はデザインなどの違法コピー防止にあるようです。百貨店:
日本の百貨店と同様、1階に化粧品、2階、3階に婦人服、その上の階に紳士服というような構造が多かったです。店舗によりますが、商品の内容、ディスプレイもあまり日本の百貨店と変わりませんでした。