筆不精になってしまい、大変申し訳ありません。最近自分なりに色んなトレーディング・アイデアを考えているので、ついついそれにふけてしまいます。
前号では、Value投資の話しをさせてもらいました。今回では、そちらの続きを書かせてもらいます。前回書いたかと思いますが、CBSではBruce Greenwald教授のValue Investing及びEconomics Behaviorという二つの授業は非常に人気があります。私は聴講という形で許してもらい、クラスにもぐりで入っていますが、いつも満員御礼でその授業の人気度の高さは伺えます。
授業の中でも最も人気が高かったのはGuest Speaker Seriesで、有名な投資家を毎回招いて将来偉大な投資家になるかもしれない学生達に熱心に彼らの相場観や投資スタイルを伝授しています。色んな投資家がいる中で、僕が感心したのはPaul Sonkinというポートフォリオマネージャーです。
彼の凄いところは、あえて他人がやりたくないようなマーケットで相場を張ることだと僕は思います。つまり、彼はMicro Capといういわゆる超小型株マーケットで相場を張っています。
なぜ、大半のプロの投資家がそのようなマーケットを嫌がるかと言いますと、まず一つの銘柄の市場総額があまりにも小さいので、かなりの銘柄に投資しないといけません。そうしますと、一つの銘柄に割く時間及び労力とそのPay Offを考えたら、そのような市場に投資するよりは、いわゆるBlue Chipと言われる大型で有名企業に相場を張った方が効率的だからです。
また、そのような市場総額が小さいな銘柄となると、多くの場合は流動性が低く、情報量 は圧倒的に少ないので、なかなか的確な判断を下すのは難しいです。つまり、よほど勤勉で大きな収益(収益率ではなく)を望まない人でないと、このようなマーケットでは相場を張りたがらないでしょう。
ただ、逆に言えば、人がやらないことをやるというのは一つのCompetitive AdvantageでSonkin氏はそこら辺は十分に心得ているでしょう。
僕も縁があって、Sonkin氏と彼の弟子となる同級生と話をしたことがあります。聞いた話では、Sonkin氏はかなり忠実にBen Grahamの教えを実行しており、ポートフォリオ全体を多くの銘柄に分散投資しています。
その上、自分のポジションが外に漏れないようにもかなりの注意を払っており、あまり大口の株主にはならないようにとの戦略をとっています。そこまで聞くと、やはりプロとなる人はいかなる細心な注意を払わなければならないのだとつくづくと感心しました。
Sonkin氏以外にも、William von Muefflingというポートフォリオマネージャーも非常にユニークです。彼の投資哲学は"良いビジネス"に投資するとのことです。
例えば、彼は以前ノルウェーのとある椅子を製造する会社に投資をしたそうです。椅子メーカーと言えば、なんだかピンとこない感じもしますが、その椅子メーカーと他のメーカーとの違いはかなり長い期間にわたり、高い収益率を維持してきたことです。
その間、コンセプトのコピーなどが色々とあったようですが、やはり技術力でそこの製品は他のメーカーの製品より優れています。友達の中に授業後にわざわざManhattanにあるそのメーカーの椅子が置いてある店に行って実際にその製品を試してみた人もいますが、彼らによれば、かなり座り心地がよく、一般 の製品とは一味違うそうです。そこがそのメーカーが市場でのleading positionを維持している理由かもしれません。
よく考えてみたら、トヨタなどの優良企業への投資も株価どうこうではなく、その優れたビジネスモデル及び将来性に対する投資を考えれば、彼の言うモ良いビジネスモに投資するとの哲学には頷けるはずだと思います。