CHINA(B)-中国研修旅行(後編)
前編に引き続き、中国研修旅行記です。
4月29日(不動産コンサルタント、国立会計院訪問)
北京でのプログラムは、不動産コンサルタントとのミーティングから始まりました。彼は香港出身で、大学で講師をするとともに不動産投資、投資コンサルティングを手掛けています。彼の講演によると、中国では現在不動産投資が盛んになりつつあるが、開発業者と開発地域住民の間のトラブル、行政と業者の癒着などが頻発しているとの事です。
不動産コンサルタントによるマンション説明
中国では2000年に初めて土地の時限付き所有(リース)が法制化されるなど、不動産所有に関する法制度が過去10年ほどに目まぐるしく変化しており、また、土地の登記も不正確なため、トラブルの原因となっています。マンション投資の利回りは10%程度と魅力的で個人的にも興味を引かれるのですが(!)、投資後も物件のモニターが極めて重要と彼は強調しており、残念ながら中国での不動産投資は外国人にはアプローチしにくい投資のようです。
昼食の後、国家会計学院(National Accounting Institute)というビジネススクールに向かいました。この学校は、中国官営企業幹部に1週間程度で会計や経済学など基礎的なビジネススキルを教育するのを主な目的として数年前に設立されたばかりの学校です。千人規模の宿泊施設、ボーリング場(!)などの娯楽施設もあります。
この学校は短期プログラムの他に100名程度と少数ですがMBAプログラムもあり、29日午後はこのMBA学生と一緒に、中国の保険管理委員会(日本の金融庁にあたり、保険業を監督している)の副主任による講演に出席しました。中国の金融改革の現状、今後の展望について講演が行われました。
講演の後、国立会計院MBA学生と一緒に食堂で簡単な夕食をとったのち、ホテルに戻りました。
国家会計学院
国家会計学院図書館
30日(北京ジープ見学)
30日午前は、北京ジープ工場を見学しました。北京ジープは、1984年にクライスラーと北京市の合弁で設立された会社で、中国での合弁自動車製造としては最も歴史が長い会社です。但し、運営は必ずしも成功しているわけではなく、製造規模も年間数万台と合弁会社の中では決して大きくありません。今後は、クライスラーとベンツの合併を受けて、メルセデス車の製造も開始するようです。北京ジープの広報担当者による20分程度の説明の後、工場内部を見学しました。
北京ジープ工場内
北京ジープ工場内
北京ジープ広報説明
30日午後は、数時間の自由行動時間(紫禁城観光~)を経て、夕食は北京在住のINSEAD卒業生と食べました。去年INSEADを卒業し、今は北京郊外で老人ホーム兼教育施設を運営するベンチャーを立ち上げ中という卒業生と話し、中国でも老人ホームなどが需要されるようになったのか、と興味深かったです。
5月1日(北京大MBAと共同授業)
この日は、北京大学MBAの学生と共同で授業を終日受けました。「上海ディズニーランド」ケースを題材に、INSEADのMBAと北京大MBAが数人ずつグループになって議論、プレゼンテーションをするというプログラムです。
上海ディズニーランド計画の妥当性、また実際に建設、運営する上で問題となる点(東京ディズニーランド、また現在建設中の香港ディズニーランドとの競争、またユーロディズニーなどで顕在化した文化ギャップへの対処)について議論しました。ケース自体も面 白かったのですが、ディスカッションをする上で、INSEADの学生の議論スタイルとの違いが興味深かったです。
前稿でも若干触れましたが、INSEADではあまり人の話を聞かず、自分の興味のある論点にこだわる学生も多いのですが、北京大のMBA学生は議論を前に進めようという姿勢が見え、ディスカッションをしていて楽でした。反面 、プレゼンテーションスキルではやはりINSEADの学生の方が手馴れているように感じました。
北京大MBAと共同授業
北京大「赤門」
1日夜は、北京大MBA、教授とともに、大学付近のレストランに行き、この夕食をもって今回の中国研修旅行の締めくくりとなりました。