Campus Report 2002

高橋 邦比呂 to Tepper School of Business, Carnegie Mellon University(全46回)

MBAホルダーへの道

Vol.40 2年目Mini 3の"全貌"

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2月後半の内容となる今回は、毎度お馴染み、今学期に履修した教科の全貌をお伝えしたいと思います。

■2年目Mini 3 の履修教科
(1) Interpersonal Negotiation

【内容】 交渉術の授業。交渉の目的の設定と目的を達成するためのあらゆる交渉「術」を学ぶ。交渉の形態としても、1対1から5対5(Multi-party negotiation)まで様々。交渉における倫理の問題、社会問題が絡む場合などにも踏み込む。形態は基本的にケースベース。各人Role Descriptionを事前に渡され、それに基づき準備し、交渉する。実際に「体験する」ことで交渉のダイナミズムを体感する。詳細は前々号のレポートを参照されたい。

【感想】 一番の収穫は「自分が交渉に弱い」という事実を実感したこと。いつもやみくもに交渉に臨み、「しょうがないな」と思ったら譲歩する、という適当なものだった。「お互い気分が悪くならなければいいや」くらいにしか思っていなかった。この授業を経て、「交渉には相当の準備がいる」ということを実感したことが、学んだことで一番重要なことかもしれない。

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交渉術のWeingart教授は人気教授の一人

他方、前々号のレポートで書いたとおり、「そのまま現場で適用していいのか?」と思うような話もあった。あくまでもその場、その状況、その相手に応じ、柔軟に対応していく必要性は強いと思う。卒業後の職業でも「交渉」は重要な部分を占めるため、この授業はだいぶ参考になった。

(2) Corporate Restructuring

【内容】 M&Aを中心にした「企業再編」を取り扱うケースベースの授業。詳細は前号のレポートでご報告した通 り。コーポレートガバナンス、会社法、買収・合併・株式交換、スピンオフなどのDivestiture、倒産、LBO等の、およそ「企業再編」に関係する取引のほとんどを包括的に取り扱う。毎年最も人気があり、また評価の高い授業の一つ。

【感想】 事前のケース分析にあたっては「理詰め」でアプローチするが、授業では「現実に起こったこと」を目の当たりにする。その際の「理論と現実の差」を実感できたことが最も大きい収穫の一つ。バリュエーションは「これ」という正しい一つの答えはないし、再編手法についてもしかりだ。教授の解説については大体「なるほど」と思わされたし、納得がいかないものについては質問や授業後のフォローアップで解決。非常にためになる授業だった。投資銀行に限らず、コンサルや事業再生、経営企画に興味のある方にお勧めできる授業だと思う。

(3) Technology Strategy

【内容】 ハイテク産業に主眼をおいた戦略論の授業。ハイテクマーケットの構造、テクノロジーの変革による企業への影響、特許等の無形資産戦略、ネットワーキング、価格戦略などが中心。少し前に話題になったHBSのクリステンセン教授の「イノベーターのジレンマ」にも触れる内容を含む。クラスの半分がケースベースで、Kodak(フィルム)、Intel(PC部品)、フィリップスと松下(家電)、Immusolとノバルティス(製薬)、任天堂とセガ(ゲーム)、NutraSweet(甘味料)などの分析を含む。

【感想】 考え方のフレームワークとして役立つものもあったが、全体的にマクロ的なアプローチが目立ち、どうも一経営者的な観点に応用しにくいと感じることが多かった。理論では分かるのだが、現実への適用のところで今ひとつ説得力に欠けるといえば言いすぎだろうか。 ただ、最終課題では、数年前から日本・世界で話題になっている日亜化学による「青色ダイオード」に焦点をあて、その開発プロセスと応用分野などに関する分析をグループで行ったが、これは非常に勉強になった。自分以外のメンバーは化学系メーカーで非常に強いバックグラウンドをもっており、分析や議論を通 してかなり勉強させてもらうことができた。

(4) Corporate Financial Reporting

【内容】 企業会計の「肝」となる部分を網羅的にやる授業。投資家や経営者として何に着目すればいいのか、最もホットなトピックを中心に解説していく。具体的には収益・費用の認識基準、比率分析の"操作"方法、有価証券の評価方法、デリバティブ会計、リース会計、退職給付年金会計、長期性資産に関する会計、M&Aに関係する会計処理など。全体的にあまり規定の詳細に入り込む議論はせず、制度の大枠と現実での適用についての議論がほとんどを占めるスタイル。

【感想】 2年間の会計の授業の中では、恐らくベストの授業だった。デリバティブやリースなどの会計は元来複雑なものが多く、前職で学んだときも飲み込みきれないものが多かったが、この授業でかなり理解が深まった。規定の一文一文を読むのではなく、大局的に、ある規定が意思決定にどう影響を与えうるかを分析するというスタイルで、参考になるものが多かった。

■2年目Mini 3 の課題攻勢

やはり1年目に比べればだいぶ楽であるが、コンスタントに毎週1~3回の課題を提出するペース。Corporate Restructuringの準備に最も時間を割くことになった。1年目から通算7学期目となると、あとはもう慣れたものとなる。

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